検査センターに約10年勤めた経験から、検査センターがきついと言われる理由について解説していきます。なお、僕が務めていた会社は一日の検体数は1万本程度の中規模ラボですが、それより小さいラボや、大手検査センターのラボも単身赴任で経験がありますので、できる範囲で解説していきます。
また、結論を先に書きますが、検査センターで働いており、自分の環境に疑問を持っている人は直ちに転職活動をした方がいいです。
後述しますが、少しでも年齢が若いうちに行動に移しておくべきです。
僕自身転職を行い苦労もしましたが、あのまま検査センターで辛い思いをし続けるよりかは、良かったのではないかなと思います。
それでは、理由を解説していきます。
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検査センターがきつい理由三選
検査センターがきつい理由①夜勤がメイン
検査センターの仕事は夜勤がメインです。社員全員でローテーションするわけではなく、僕のように夜勤専属の方が在籍しているところがほとんどではないでしょうか。
僕が働いていた検査センターでは、夜勤専属と、夜勤日勤半々の人、日勤専属の3グループに分かれていました。
- 夜勤専属
- 日勤もするし夜勤もする(案外こっちのがキツイので、専属のが多い)
- 日勤メ専属
ご存知の通り検査センターでは、検体が夜中に集まってきますので、当然仕事の量も夜間の方が多くなっていきます。
日勤と夜勤でどのくらいの検体量の差があるかというと血清の数で表すと、日勤帯は1500本程度、夜勤帯は4500本程度でした。
これを4~5人数でさばいていくので、当然一人当たりの作業量も膨大です。
体調や年齢的にも夜勤がきついという人は日勤に切り替えることもできますが、給料が大幅に下がるため、家庭を持っていたりすると中々それもできません。
(日勤主体だと手取りで20万いくことはほぼ無いと思います)夜勤専従も仕方なしとなってしまいます。
家族との時間を確保しようとすると、自分の睡眠時間を削る以外に選択肢はありません。
- 夜勤はきついが給料は良い
- 夜勤主体だと家族との時間が取りづらい(睡眠時間が取れない)
- 日勤主体だと、普通に働けるが給料はイマイチ
ちなみに、大手の検査センターでは、検体数の桁が一つ増えます
本気で終わる気がしないので、気持ちが滅入りやすいです。慣れてはきますけどね。
検査センターがきつい理由②夜勤なのに残業が多い
月の残業時間は役職付きだった僕の場合はおよそ50時間程度でした。内訳を上図に示します。
さらに残業時間は30時間までしか認められないなど、労基的な問題もありました。
(30時間分しか残業代が出ない)他のスタッフも夜勤専属の人は大体が30時間程度でした。
(会社が30時間までの残業を意識していたため)
★残業の内訳
- ルーチン(検体数が多すぎて終わらない)
- 事務作業(精度管理図作成、ISO書類作成、勤務表作成など)
- メンテナンス(試薬補充、機器保守管理)
なぜそんなに残業になるか?例をあげてみましょう。例えば春から増えてくるアレルギーの検査。
1テスト結果が出るまで約90分かかります。機械のスペックにもよりますが、同時に測定できるテスト数は限られています。アレルギー検査のView39では、1本の検体で機械が39回サンプリングに行きます。1検体吸い終わるまでに15分程度はかかるので、結果が出るのはそれから90分後です。これが50本ときたらもう定時では終わりません。
しかし、報告書を出力する時間は決まっているので、その時間に向けて全力で頑張ります。1分でも効率よくかけようと努力をします。そんな努力も報われずに報告書出力時間に間に合わなかった場合、上司や営業部による「なぜ間に合わなかったか?」となぜなぜ分析と称して「尋問」のようなことを受けることもあります。
検査センターはサービス業なので、決められた時刻に病院(顧客)に商品(データ)を届けるのは必須と考えているからです。
こんなことが日常的にあると、気持ち的にも疲れてきます。
- 無駄なく仕事をしても物理的に間に合わないときもある
仕事は何も検査だけではありません。事務作業もあります。
毎月必ず必要になる精度管理作業。ISOの更新のための書類整備など、挙げだすときりがないくらいあります。膨大な検体処理に加え、終わりのない事務作業もあり残業しても翌日以降に持ち越すため、スッキリ終わる日はほとんどありません。
- 精度管理図作成や、ISO書類作成などの事務作業が最も時間がかかる
- 夜勤後なので、頭が働かない
検査センターがきつい理由③休みがとりにくい
検査センターの時に休日に関する決まりを思い出してみました。
- 有給消化(誕生月、リフレッシュ休暇取得時)
- リフレッシュ休暇(連続7日)
- 冠婚葬祭
- 公休(月8回)
- 休日出勤あり
- GW、盆、正月(基本的に休みだが、休日出勤あり)
- 一見、良さそうに見えるかもしれませんが、夜勤主体で働いていると最低でも二連休はないと休みの気分にはなれません。(朝寝て起きたらもう夜なので)
- また、GWや盆、正月などの大型連休は基本的にどこかで休日出勤があるため、世間一般の連休タイミングでは休めません(里帰りが大変です)
- 働き方改革が施行されており有給消化に積極的になる企業は増えていますが、検査センターの場合は、休みたくても休めない環境なので完全消化は絶対に無理だと思います。
(忙しさのあまり、有給を取ること自体が気まずい)
では、少し僕の見解を述べさせてもらいます。
医療業界は、保険点数の見直しにより年々厳しくなっています。細菌検査を除くほとんどの分野では利益を得ることが難しくなってきています。
そこで、いかに「儲け」を出すかを考えていくと、試薬や消耗品を可能な限り安価で購入することと何よりも人件費の削減に力を入れざるを得ません。
僕がいた検査センターでは人件費の削減では、残業時間の削減と人員の確保を最低限にすること。これらが特に注力されていました。
また、大手センターでは社員の数が極端に少なく、アルバイトやパートの方、契約社員などの正社員以外の雇用を積極的に行っていました。
何が言いたいかというと、そういった正社員の数を極限まで減らした状態では勤務を組むのが非常に大変だということです。
工場のように二交代、三交代制であればまだいいのですが、非常に細かいシフト制を採用していることが多く、そういった場合、パズルのように勤務を組んでいかなければいけません。
結果まとまった休みを取りにくくなってしまいます。
実家が遠方にある場合も、まとまって休みがとりにくいので、帰れても数日しか帰れない。連休を取ることで、同僚から小言を言われることもある。
ゴールデンウィーク、お盆、正月などに休みを取ることはまず無理でした。
検査センターがきつい。ではどうしたらいい?
勇気を出して転職を検討しましょう。
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僕もメディカル技師ワーカーに登録をしていますが、
年齢も40代でも“さほど気にする業界ではない”と教えてもらいました。
実際に行動に移さずとも最低でもどういった求人が出ているかをアンテナは張っておきましょう。
僕も検査センターにいた時には人材センターに登録をしていました。
(登録だけしている人は多いと思います)
検査センターにいると、「自分は〇〇しかできないから転職は無理」と考えている方は多いと思います。
僕も生化学と免疫学の検査しか経験がなかったので、とても不安でした。転職すると苦労は間違いなくしますが、意外とやってしまえばどうにかなるものです。
思い出してみてください。検査センターに入った時も「自分にこんな大量の検体検査をできるだろうか」という不安はありませんでしたか?
僕はありました。何なら今でも新しい検査に取り組む時は不安になります。
結局新しいことに挑戦するときには皆必ず不安になるんです。
今検査センターに勤めていて、キツイ、辛い、後悔がある人は勇気を出して転職を検討してみてはいかがでしょうか。