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第71回 臨床検査技師国試 午前【臨床血液学】全選択肢の正誤理由と解説まとめ

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こんにちは、臨床検査技師のさいです。

第71回臨床検査技師国家試験 午前「臨床血液学(問59〜67)」を1問ずつ詳しく解説まとめしています。

臨床血液学は、止血のメカニズム、白血病細胞の特殊染色、血球の封入体、血球計算の原理など、幅広い知識が問われる分野です。一見すると暗記項目が多く感じますが、「正常な造血の仕組み」や「なぜその検査結果になるのか」という原理を理解すると、一気に問題が解きやすくなります。

本記事では、現場で働く臨床検査技師の視点も交えながら、できるだけイメージしやすい言葉で解説しました。国家試験対策はもちろん、血液学実習や日々の復習にも活用していただければ幸いです。

※本記事の問題文および選択肢は、厚生労働省が公開している「第71回臨床検査技師国家試験問題および正答」をもとに掲載しています。

問59:血栓形成の促進因子と抑制因子

【問題】
血栓形成を抑制するのはどれか。

  • 1.ADP
  • 2.セロトニン
  • 3.エピネフリン
  • 4.トロンボキサンA2
  • 5.プロスタサイクリン
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正答:5

【問題の考え方】

止血のメカニズムでは、血小板を活性化させて血を固める「促進因子(アクセル)」と、血栓ができすぎるのを防ぐ「抑制因子(ブレーキ)」が存在します。国試では「血小板由来」と「血管内皮由来」の働きを対比して問われることが多いため、それぞれの役割を整理しておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(ADP:アデノシン二リン酸)
    血小板の濃染顆粒(δ顆粒)から放出され、他の血小板を次々と呼び寄せて活性化させる強力な血小板凝集惹起(促進)物質です。
  • 2.誤り(セロトニン)
    これも血小板の濃染顆粒から放出されます。血管の平滑筋を収縮させて傷口からの出血を抑えるとともに、血小板の凝集を促進します。
  • 3.誤り(エピネフリン)
    アドレナリンのことです。カテコールアミンの一種であり、血小板の表面にある受容体に結合してADPやコラーゲンなどによる血小板凝集を増強します。(※血小板凝集能検査の試薬としても使われます)。
  • 4.誤り(トロンボキサンA2:TXA2)
    血小板自身がアラキドン酸カスケードを通じて産生・放出するプロスタグランジンの一種です。強力な血管収縮作用血小板凝集作用を持ち、止血のアクセルとして働きます。
  • 5.正しい(プロスタサイクリン:PGI2)
    主に正常な「血管内皮細胞」から産生される物質です。血管拡張作用血小板の活性化(凝集)を強く抑制する作用を持ちます。正常な血管内で不要な血栓ができないように働くため、これが正解です。

【関連知識】アクセルとブレーキの対比

「どこから分泌されて、どう働くか」をセットで整理しておきましょう。

物質名 分泌元 作用
TXA2(トロンボキサンA2) 血小板 凝集↑・血管収縮
PGI2(プロスタサイクリン) 血管内皮 凝集↓・血管拡張
NO(一酸化窒素) 血管内皮 凝集↓・血管拡張
ADP 血小板(濃染顆粒) 凝集↑
セロトニン 血小板(濃染顆粒) 凝集↑・血管収縮

間違えやすいところ

名前の似ている物質の作用をすり替える問題がよく出ます。

  • プロスタサイクリンは血小板から分泌される → 誤り(血管内皮細胞から分泌されます。血小板から分泌されるのはトロンボキサンA2です)
  • トロンボキサンA2は血管を拡張させる → 誤り(血を止めるために血管を「収縮」させます)
  • ADPはα顆粒に含まれる → 誤り(ADPとセロトニンは「濃染顆粒(δ顆粒)」に含まれます)
  • アスピリンはPGI2だけを阻害する → 誤り(血小板ではTXA2産生が強く抑制され、抗血小板作用を示します)

覚えるべきポイント

国試では、相反する働きを持つ2つの物質の対比がよく問われます。

  • TXA2 = 血小板 = 凝集↑・血管収縮
  • PGI2 = 血管内皮 = 凝集↓・血管拡張
  • NO = 血管内皮 = 凝集↓・血管拡張

TXA2とPGI2の対立構造をしっかり頭に入れておきましょう。

さい
さい
傷ついた血管では血小板がTXA2を放出して止血を進めます。一方、正常な血管内皮はPGI2やNOを産生し、不要な血栓ができないよう調節しています。このバランスが保たれていることで、必要な場所だけで止血が起こります。

さいの補足:低用量アスピリン療法の仕組み

解熱鎮痛剤として有名な「アスピリン(バファリンなど)」は、アラキドン酸カスケードの酵素(シクロオキシゲナーゼ:COX)を阻害する薬です。これを少量だけ毎日飲むと、血小板でのTXA2産生が抑えられます。血小板には核がないため、一度阻害されるとその血小板の寿命が尽きるまで新しい酵素を作れません。

一方、血管内皮細胞には核があるため、新たにCOXを合成できるため、PGI2産生は回復します。その結果、「アクセルだけが効かなくなり、ブレーキは効く」状態になるため、血液がサラサラになります。これが、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防に低用量アスピリン(バイアスピリンなど)が処方される理由です。

問60:骨髄塗抹標本の染色法と対象細胞

【問題】
髄塗抹標本の染色法と対象細胞の組合せで陽性とならないのはどれか。

  • 1.鉄染色 ―― 環状鉄芽球
  • 2.PAS染色 ―― 正常赤芽球
  • 3.ペルオキシダーゼ染色 ―― 好酸球
  • 4.特異的エステラーゼ染色 ―― 好中球
  • 5.非特異的エステラーゼ染色 ―― 巨核球
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正答:2

【問題の考え方】

骨髄塗抹標本の特殊染色は、白血病などの血液疾患を分類する(どの血球ががん化したかを見極める)ための必須アイテムです。この問題は、各細胞が「正常な状態」でどの染色に染まるのかを整理できているかを問う基本問題です。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(陽性となる:鉄染色)
    鉄染色は細胞内の貯蔵鉄(ヘモジデリン)を青く染めます。赤芽球の中に鉄顆粒が見えるものを「鉄芽球」と呼び、さらに異常をきたして核の周囲1/3以上に5個以上の鉄顆粒がリング状に並んだものを「環状鉄芽球」と呼びます。骨髄異形成症候群(MDS)などでみられる重要な陽性所見です。
  • 2.誤り(陽性とならない:PAS染色)
    PAS染色はグリコーゲンなどの糖類を赤紫色に染めます。正常赤芽球ではPAS反応は陰性〜ごく弱陽性であり、診断的な陽性とはなりません。しかし、赤白血病(AML-M6)やMDSなどの腫瘍化した「異常赤芽球」では、異常に糖原を蓄積してPAS染色「陽性」となります。この正常と異常の対比は国試の超定番です。
  • 3.正しい(陽性となる:ペルオキシダーゼ染色)
    ミエロペルオキシダーゼ(MPO)を黒褐色に染め出します。好中球系で強陽性、好酸球も陽性、単球は弱陽性を示します。(※リンパ球系は陰性です)。
  • 4.正しい(陽性となる:特異的エステラーゼ染色)
    特異的エステラーゼ(ナフトールAS-Dクロロアセテートエステラーゼなど)は、好中球系の細胞(前骨髄球〜分葉核球)に特異的に存在するため陽性を示します。AMLの顆粒球系分化の証明に使われます。
  • 5.正しい(陽性となる:非特異的エステラーゼ染色)
    非特異的エステラーゼ(α-ナフチルブチレートエステラーゼなど)は、主に単球系の細胞に強く発現しますが、巨核球や血小板、マクロファージなども陽性を示します。

【頻出】特殊染色とターゲット細胞のまとめ

染色名 主な陽性細胞 国試での主な役割
ペルオキシダーゼ(POX) 好中球系、好酸球、単球(弱陽性) 骨髄球系とリンパ球系の鑑別
特異的エステラーゼ 好中球系細胞 顆粒球系腫瘍の同定
非特異的エステラーゼ 単球、巨核球、マクロファージ 単球系腫瘍の同定
PAS染色 異常赤芽球、ALLリンパ芽球 M6(赤白血病)やALLの鑑別
鉄染色 鉄芽球、マクロファージ MDS(環状鉄芽球)の診断

間違えやすいところ

正常と異常、あるいは似た名前の染色のすり替えに注意しましょう。

  • 正常赤芽球はPAS染色陽性である → 誤り(正常は診断的な陽性を示しません。陽性になるのは異常赤芽球です。)
  • リンパ球はペルオキシダーゼ染色陽性である → 誤り(リンパ球系はペルオキシダーゼを持たないため完全に陰性です。)
  • 単球は特異的エステラーゼ染色陽性である → 誤り(単球は「非特異的」エステラーゼ染色で陽性になります。)

覚えるべきポイント

白血病の鑑別で重要な特殊染色を押さえておきましょう。

  • POX染色 = 骨髄系(顆粒球系)
  • 特異的エステラーゼ = 好中球系
  • 非特異的エステラーゼ = 単球系(NaFで阻害される)
  • PAS染色 = 異常赤芽球・ALLリンパ芽球
さい
さい
白血病の系統(顆粒球系・単球系など)の鑑別をするとき、細胞の顔つきだけでなく、この特殊染色で「何色に染まるか」が鑑別の重要な手掛かりになります。

さいの補足:非特異的エステラーゼと「NaF阻害試験」

非特異的エステラーゼ染色は「単球系」を見つける検査ですが、実は巨核球やTリンパ球の一部など、他の細胞も染まってしまうことがあります。

そこで、本当に単球かどうかを確定させるために「フッ化ナトリウム(NaF)」を加えた染色液で同時に染める「NaF阻害試験」を行います。
単球が持つ非特異的エステラーゼはNaFに弱いため、NaFを入れると染まらなくなります(阻害される)。一方、巨核球などが持つ酵素はNaFの影響を受けずにそのまま染まります。

「単球 = 非特異的エステラーゼ陽性 + NaFで阻害される」は重要事項なので覚えておきましょう。
急性単球性白血病(AML-M5)の診断にも利用されます。

問61:造血器腫瘍における遺伝子異常

【問題】
JAK2変異の検出が診断に有用なのはどれか。

  • 1.骨髄異形成症候群
  • 2.真性赤血球増加症
  • 3.慢性骨髄性白血病
  • 4.慢性リンパ性白血病
  • 5.原発性マクログロブリン血症
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正答:2

【問題の考え方】

「疾患と代表的な遺伝子異常の組み合わせ」を問う国試定番問題です。JAK2変異は骨髄増殖性腫瘍(MPN)で高頻度に認められ、とくに真性赤血球増加症(PV)の診断で重要な遺伝子異常です。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(骨髄異形成症候群:MDS)
    造血幹細胞に異常が生じ、血球の形態異常(異形成)と無効造血をきたす疾患です。特定の染色体異常(5q欠失など)や様々な遺伝子変異が認められますが、JAK2変異は診断マーカーではありません。
  • 2.正しい(真性赤血球増加症:PV)
    赤血球を主体に、白血球や血小板も増加することがある骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一つです。患者の大部分(95%以上)でJAK2遺伝子の点突然変異(V617F変異)が認められ、WHO分類においても大基準の一つとして診断に用いられます。
  • 3.誤り(慢性骨髄性白血病:CML)
    CMLも骨髄増殖性腫瘍(MPN)に含まれますが、診断にはPh染色体およびBCR-ABL融合遺伝子の証明が必須となります。
  • 4.誤り(慢性リンパ性白血病:CLL)
    小型で成熟したBリンパ球が異常増殖する疾患です。診断には細胞表面マーカー(CD5、CD19、CD23陽性など)の解析が重要であり、特定の遺伝子変異としてJAK2変異は用いられません。
  • 5.誤り(原発性マクログロブリン血症:WM)
    リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)の中で、IgM型のM蛋白血症を伴うものを指します。この疾患ではMYD88 L265P変異が極めて高頻度で検出され、診断マーカーとして利用されます。

【関連知識】造血器腫瘍と代表的な遺伝子異常

主な疾患と、その診断指標となる遺伝子・染色体異常の対応です。

疾患名 遺伝子・染色体異常
真性赤血球増加症(PV) JAK2変異
本態性血小板血症(ET) JAK2変異、CALR変異、MPL変異
原発性骨髄線維症(PMF) JAK2変異、CALR変異、MPL変異
慢性骨髄性白血病(CML) BCR-ABL融合遺伝子
(フィラデルフィア染色体:t(9;22))
急性前骨髄球性白血病(APL / M3) PML-RARA融合遺伝子
(t(15;17))
原発性マクログロブリン血症(WM) MYD88変異

覚えるべきポイント

  • PV・ET・PMFはJAK2変異がみられることが多い
  • CMLはBCR-ABL融合遺伝子が診断に必須
  • WMではMYD88変異が高頻度に認められる
さい
さい
血液疾患の分類は、形態学的な所見から遺伝子レベルの異常に基づく分類へと移行しています。遺伝子名と疾患の対応を整理しておくことで、疾患ごとの特徴が整理しやすくなります。

さいの補足:JAK2変異による造血メカニズム

正常な造血において、赤血球の産生は腎臓から分泌されるエリスロポエチン(EPO)が造血幹細胞の受容体に結合することで促進されます。JAK2は、この受容体の下流に位置し、細胞増殖のシグナルを伝える「チロシンキナーゼ」という酵素です。

JAK2遺伝子に点突然変異(V617F)が生じると、エリスロポエチンが受容体に結合していなくても、JAK2のチロシンキナーゼ活性が常に亢進した状態(スイッチが入りっぱなしの状態)になります。その結果、外部からの指令に関係なく細胞が増殖し続けるため、赤血球をはじめとする血球増加が引き起こされます。

このため真性赤血球増加症では、血中エリスロポエチン(EPO)は低値となることが多いです。

問62:巨核球の特徴と血小板産生

【問題】
巨核球で誤っているのはどれか。

  • 1.正常成熟巨核球は多倍体となる。
  • 2.巨核球の平均直径は200μmである。
  • 3.トロンボポエチンは巨核球を分化成熟させる。
  • 4.1つの巨核球は2,000個程度の血小板を産生する。
  • 5.巨核球は血小板糖蛋白質〈GP〉Ⅱb/Ⅲaを発現する。
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正答:2

【問題の考え方】

骨髄で最大の細胞である巨核球の特徴を問う問題です。巨核球の特徴(大きさ・多倍体化・表面マーカー)と、血小板産生の仕組みを整理しておけば解ける問題です。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(多倍体化)
    巨核球の最も特徴的な性質です。普通の細胞とは異なり、細胞分裂を伴わずにDNAの複製だけを繰り返す(核内倍加)ため、核内DNA量が増加し、多分葉状の巨大な核を形成する多倍体(8N、16N、32Nなど)になります。これにより巨大な細胞質を形成できるようになります。
  • 2.誤り(細胞の大きさ)
    巨核球は骨髄の中で最も大きな細胞ですが、その大きさは約30〜100μm程度(平均40〜60μm)です。200μmという数字は明らかに大きすぎるため誤りです。
  • 3.正しい(トロンボポエチン)
    トロンボポエチン(TPO)は、主に肝臓などで作られるホルモン(サイトカイン)です。造血幹細胞から巨核球への増殖・分化・成熟を強力に促進します。
  • 4.正しい(血小板の産生数)
    成熟した巨核球の細胞質がちぎれるようにして血小板が作られます。1つの巨核球から約2,000〜4,000個程度の大量の血小板が産生されます。
  • 5.正しい(表面マーカーの発現)
    血小板の表面には、止血に不可欠な血小板凝集に重要なフィブリノゲン受容体であるGPⅡb/Ⅲaや、フォン・ヴィルブランド因子受容体であるGPⅠbなどの糖タンパク質が存在します。巨核球は血小板の「生みの親」であるため、すでに巨核球の段階からこれらの血小板特異的な表面抗原を発現しています。

【関連知識】巨核球のプロフィールまとめ

国家試験でよく問われる巨核球の基本スペックです。

項目 特徴・数値
細胞の大きさ 約30〜100μm程度(骨髄で最大)
核の特徴 多倍体(16Nや32Nなど)、多分葉傾向
血小板産生数 1個の巨核球から約2,000〜4,000個
促進ホルモン トロンボポエチン(TPO)
表面マーカー CD41、CD42b(GPⅠb)、GPⅡb/Ⅲa

国試で間違えやすいポイント

数値やホルモンの名前をすり替える問題に注意しましょう。

  • GPⅡb/Ⅲaはフォン・ヴィルブランド因子受容体である → 誤り(vWF受容体はGPⅠbです。)
  • エリスロポエチンによって成熟する → 誤り(EPOは「赤血球」を増やすホルモンです。巨核球・血小板はTPOです。)
  • 細胞分裂によって血小板を作る → 誤り(分裂するのではなく、細胞質が「ちぎれて」血小板になります。巨核球自体は分裂しません。)
  • 平均直径は100μm以上である → 誤り(最大級のものは100μmに達することもありますが、「平均」は40〜60μmです。)

覚えるべきポイント

  • 巨核球は骨髄で最大の細胞
  • 多倍体化して巨大な細胞質をつくる
  • 細胞質がちぎれて血小板になる
  • 巨核球を刺激するのはTPO
さい
さい
骨髄塗抹標本で見つけると、ひときわ大きく目立つ細胞です。赤血球の大きさが約7〜8μmなので、巨核球がいかに巨大な細胞か分かりますね!

さいの補足:TPOはどこで作られる?

赤血球を増やすエリスロポエチン(EPO)が「腎臓」で作られることは有名ですが、巨核球を刺激するトロンボポエチン(TPO)は主に「肝臓」で作られます。

そのため、肝硬変などで肝臓の機能が著しく低下すると、TPOが十分に作られなくなり、結果として血小板の数が減ってしまう(血小板減少症)ことがあります。さらに肝硬変では脾臓が腫れる(脾腫)ため、そこで血小板が壊されてしまい、血小板減少に拍車がかかります。臨床現場でもよく見られる病態のつながりです。

TPOは血小板や巨核球のMPL受容体に結合して消費されるため、血小板数が減少するとTPO濃度は相対的に上昇します。

問63:自動血球数測定の原理(電気抵抗法)

【問題】
血液細胞数測定の模式図(別冊No. 13)を別に示す。この測定で正しいのはどれか。2つ選べ。

  • 1.交流電流を用いる。
  • 2.破砕赤血球と血小板を区別できる。
  • 3.パルス電圧は細胞の重量に比例する。
  • 4.溶血処理した後に白血球を計測する。
  • 5.細孔を通過するときの電気抵抗の変化を測定する。
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正答:4、5

【問題の考え方】

自動血球計数装置の基本原理である「電気抵抗法(コールター原理)」を理解しているかを問う問題です。細胞数と細胞体積をどのように測定しているかを整理しておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(使用する電流)
    電気抵抗法では、細孔(アパチャ)を挟んだ2つの電極間に一定の直流電流(定電流)を流し、細胞が通過した瞬間の抵抗変化をパルスとして検出します。
  • 2.誤り(細胞の区別)
    電気抵抗法は、細胞の「大きさ(体積)」だけで血球を分類しています。そのため、血小板とたまたま同じ大きさになってしまった赤血球の破片(破砕赤血球)を区別することはできず、血小板の偽高値を招く原因になります。
  • 3.誤り(パルス電圧が示すもの)
    血球が細孔を通過する際に生じる電気抵抗の変化(パルスの高さ・振幅)は、細胞の重量ではなく「細胞の体積」に比例します。大きな細胞ほど抵抗が大きくなるためです。
  • 4.正しい(白血球の計測条件)
    血液中には白血球の約1000倍もの赤血球が存在します。そのまま測定すると赤血球が邪魔になって白血球を正確に数えられないため、専用の溶血剤で赤血球を破壊(溶血)させてから白血球数を計測します。
  • 5.正しい(測定の基本原理)
    画像の模式図が示す通り、電気を通しにくい細胞が細孔を通過する際、電解質溶液が押しのけられることで生じる「電気抵抗の変化」を測定します。

【関連知識】電気抵抗法のメカニズムまとめ

要素 詳細
基本原理 血球が細孔を通過する際の電気抵抗の変化を捉える。
電流の種類 直流(定電流)
パルスの「数」 通過した細胞の数を示す。
パルスの「高さ」(振幅) 細胞の体積(大きさ)に比例する。
白血球の測定 あらかじめ赤血球を溶血させてから計測する。

間違えやすいところ

「重量」や「交流」といった用語のすり替えに注意しましょう。

  • パルス電圧は重量に比例する → 誤り(あくまでも押し退けた液体の「体積」に比例します。)
  • 破砕赤血球は血小板と区別できる → 誤り(小さくなった赤血球の破片は、大きさが似ている血小板のエリアにカウントされてしまいます。)
  • 赤血球を溶血せずに白血球数を測定する → 誤り(圧倒的多数の赤血球を壊さなければ白血球は測れません。)

覚えるべきポイント

  • 電気抵抗法は、血球が穴を通る時の抵抗の変化を見る
  • 直流電流(定電流)を用いる
  • パルスの高さ(振幅) = 細胞の体積
  • 体積が同じものは区別できない(破砕赤血球と血小板など)
  • 白血球を測る時は赤血球を壊す(溶血処理)
さい
さい
血液中には、赤血球は白血球の約1000倍も存在します。だから白血球を正確に数えるためには、邪魔な赤血球を先に消してしまう必要があります。

さいの補足:ヒストグラム(粒度分布図)の役割とMCV

電気抵抗法では、一つひとつの血球の「体積」が分かるため、横軸に体積、縦軸に細胞の数をとったグラフ(ヒストグラム)を作ることができます。これにより、血液の中に「どのくらいの大きさの赤血球(または血小板)がどれくらい含まれているか」が一目で分かります。

赤血球ヒストグラムはMCV(平均赤血球容積)の算出にも利用されます。鉄欠乏性貧血では左方移動(小球性)、巨赤芽球性貧血では右方移動(大球性)がみられます。

また、山が2つできる場合(二相性)は、輸血後や鉄剤治療直後(よく見ます)など、大きさの違う赤血球が混在していることを示します。

問64:赤血球の封入体と異常構造物

【問題】
赤血球の封入体でないのはどれか。

  • 1.Cabot環
  • 2.Heinz小体
  • 3.Russell小体
  • 4.好塩基性斑点
  • 5.Howell-Jolly小体
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正答:3

【問題の考え方】

赤血球の封入体と、他の細胞にみられる封入体を区別できるかを問う基本問題です。国家試験では、赤血球の封入体の中に、白血球や他の細胞の封入体を紛れ込ませるパターンが定番です。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(Cabot環:カボット環)
    赤血球内に見られる、ループ状または8の字型の青紫色の紐のような構造物です。核膜や微小管の遺残と考えられています。重症貧血や骨髄異形成症候群(MDS)、鉛中毒などで見られます。
  • 2.誤り(Heinz小体:ハインツ小体)
    酸化・変性したヘモグロビンが赤血球内に凝集してできた塊です。通常のMay-Giemsa染色では見えず、超生体染色(ニューメチレンブルー染色など)で観察されます。G6PD欠損症や不安定ヘモグロビン症などで見られます。脾臓で摘み取られると咬み込み赤血球(bite cell)の原因になります。
  • 3.正しい(Russell小体:ラッセル小体)
    これは赤血球ではなく、形質細胞(プラズマ細胞)の細胞質内に見られる封入体です。形質細胞が作りすぎた免疫グロブリン(抗体)が蓄積したもので、好酸性の球状封入体として観察されます。多発性骨髄腫などで見られることがあります。
  • 4.誤り(好塩基性斑点:Basophilic stippling)
    赤血球内に散在する青紫色の微細なツブツブ(顆粒)です。その正体はリボソーム(RNA)の凝集物です。鉛中毒や重症貧血、サラセミアなどで見られる重要な所見です。
  • 5.誤り(Howell-Jolly小体:ハウェル・ジョリー小体)
    赤血球内に見られる、円形で濃く染まる(暗紫赤色)1〜2個の小体です。赤芽球が脱核する際に捨てきれずに残ってしまった核(DNA)の断片です。脾臓摘出後や巨赤芽球性貧血などで見られます。

赤血球の主な封入体まとめ

「封入体の正体は何なのか」をセットで覚えるのが得点のカギです。

封入体名 正体(成分) 関連する主な疾患・状態
Howell-Jolly小体 DNA(核の遺残) 脾臓摘出後、巨赤芽球性貧血
好塩基性斑点 RNA(リボソーム) 鉛中毒、サラセミア
Heinz小体 変性ヘモグロビン G6PD欠損症(※超生体染色が必要)
Cabot環 核膜や微小管の遺残 重症貧血、MDS
Pappenheimer小体 非ヘム鉄(鉄顆粒) 鉄芽球性貧血、脾摘後(※鉄染色で青く染まる)

間違えやすいところ

  • Heinz小体はMay-Giemsa染色で観察できる → 誤り(Heinz小体は普通染色では染まりません。網赤血球を見るときと同じ「超生体染色」が必要です。)
  • Russell小体は赤血球の異常である → 誤り(「形質細胞」の異常です。)
  • Pappenheimer小体はDNAである → 誤り(鉄顆粒です。)
  • Howell-Jolly小体はRNAの残骸である → 誤り(丸くて濃いHowell-Jolly小体は「DNA」、ツブツブの好塩基性斑点は「RNA」です。)

覚えるべきポイント

封入体の中身(成分)で分類して整理しましょう。

  • Howell-Jolly小体 = DNA
  • 好塩基性斑点 = RNA
  • Pappenheimer小体 = 鉄
  • Heinz小体 = 変性ヘモグロビン
  • Russell小体 = 免疫グロブリン(※形質細胞)
さい
さい
赤血球の封入体は、「本来なら成熟の過程で取り除かれるはずのもの」が残った結果としてみられることが多いです。何が残っているのか(DNA・RNA・鉄・ヘモグロビン)を整理すると覚えやすくなります。

さいの補足:脾臓のフィルター機能とHowell-Jolly小体

脾臓(ひぞう)は、血液中の老朽化した赤血球や異常な細胞を取り除く「フィルター」の役割を果たしています。赤血球の中にHowell-Jolly小体やHeinz小体などの「封入体」が残っていても、通常は脾臓を通過する際に脾臓のマクロファージによるPitting(ピッティング)機能によって綺麗に摘み取られます。

しかし、病気や事故で「脾臓を摘出(脾摘)」してしまうと、このフィルター機能がなくなるため、ゴミを持ったままの赤血球がそのまま血液中を循環するようになります。そのため、脾摘後の患者さんの血液塗抹標本を見ると、Howell-Jolly小体を持った赤血球が観察されるようになります。
この「脾摘=Howell-Jolly小体出現」の流れは臨床現場でも非常に重要です。

問65:胎生期の造血組織の変遷

【問題】
胎生中期において主要な造血組織はどれか。

  • 1.肝 臓
  • 2.脾 臓
  • 3.卵黄囊
  • 4.骨髄(脊椎骨)
  • 5.骨髄(大腿骨)
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正答:1

【問題の考え方】

胎生期の造血部位の移り変わり(造血の場の変遷)を問う基本問題です。発生の流れに沿って「卵黄嚢 → 肝臓 → 骨髄」の順番を整理しておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(肝臓)
    胎生中期における最も主要な造血組織です。妊娠2〜3か月頃から造血の中心は卵黄嚢から肝臓へと移行します。
  • 2.誤り(脾臓)
    胎生中期に一部造血に関与しますが、主体となるのは肝臓であるため、主要な組織ではありません。
  • 3.誤り(卵黄囊)
    胎生初期(妊娠数週〜3ヶ月頃まで)の主要な造血組織です。人体で最初に血液が作られる場所です。
  • 4.誤り(骨髄・脊椎骨)
    胎生後期から出生後にかけての主要な造血組織です。脊椎・骨盤・胸骨・肋骨などの体幹骨の骨髄は、成人になっても生涯にわたり造血機能を保ちます(赤色髄)。
  • 5.誤り(骨髄・大腿骨)
    胎生後期から出生後にかけて造血を行いますが、成人では長管骨の骨髄の多くは脂肪の塊(黄色髄)へ置き換わりますが、大腿骨や上腕骨の近位部には赤色髄が残ります。

【関連知識】造血部位の変遷まとめ

時期と臓器のリレーを順番に整理しておきましょう。

時期 造血組織 備考
胎生初期 卵黄嚢 一次造血(最も早い時期)
胎生中期 肝臓(+脾臓) 二次造血
胎生後期 〜 成人 骨髄 骨格が形成されてから開始

間違えやすいところ

  • 胎生初期は肝臓で造血される → 誤り(初期は卵黄嚢です。)
  • 脾臓は胎生中期の主要な造血臓器である → 誤り(脾臓も造血に関与しますが、主体は肝臓です。)
  • 成人の主な造血組織は肝臓と脾臓である → 誤り(健康な成人では骨髄のみで造血が行われます。)

覚えるべきポイント

この順番と矢印の流れを確実に押さえておきましょう。

卵黄嚢 肝臓 骨髄

さい
さい
造血の場は、発生に合わせて「卵黄嚢 → 肝臓 → 骨髄」とリレーするイメージで覚えると整理しやすいですよ。

さいの補足:髄外造血(ずいがいぞうけつ)とは?

健康な大人の場合、血液はすべて「骨髄」で作られます。しかし、原発性骨髄線維症などの病気で骨髄が硬くなり、血液を作れなくなってしまうことがあります。

すると体は血液不足を補うために、かつて胎生中期に血液を作っていた「肝臓」や「脾臓」で再び血液を作り始めます。これを「髄外造血」と呼びます。その結果、肝臓や脾臓が大きく腫れ上がる(肝脾腫)という症状が現れます。骨髄線維症だけでなく、重度の慢性貧血や骨髄浸潤をきたす疾患でも髄外造血がみられることがあります。

問66:凝固因子の血中半減期

【問題】
血中半減期が最も短いのはどれか。

  • 1.プロトロンビン
  • 2.第Ⅴ因子
  • 3.第Ⅶ因子
  • 4.第Ⅸ因子
  • 5.第Ⅹ因子
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正答:3

【問題の考え方】

各凝固因子の血中半減期を問う問題です。凝固因子の半減期は、ワーファリン投与時やビタミンK欠乏、肝障害でどの因子から影響を受けるかを理解するうえで重要です。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(プロトロンビン)
    第Ⅱ因子とも呼ばれるビタミンK依存性凝固因子です。血中半減期は約3〜4日(約60〜72時間)と、凝固因子の中で最も長い部類に入ります。
  • 2.誤り(第Ⅴ因子)
    ビタミンK非依存性の凝固因子です。半減期は約12〜15時間です。
  • 3.正しい(第Ⅶ因子)
    外因系凝固経路の要となるビタミンK依存性凝固因子です。血中半減期は約0.2〜0.3日(約4〜6時間)と、すべての凝固因子の中で最も短く、最も早く低下します。
  • 4.誤り(第Ⅸ因子)
    内因系凝固経路に関わるビタミンK依存性凝固因子です。血友病Bで欠損します。半減期は約1日(約18〜24時間)です。
  • 5.誤り(第Ⅹ因子)
    共通系凝固経路の開始点となるビタミンK依存性凝固因子です。半減期は約1.5〜2日(約40〜60時間)です。

【関連知識】ビタミンK依存性凝固因子の半減期まとめ

数字だけでなく「臨床的な意味」とセットで覚えましょう。

因子 半減期の目安 国試で重要なポイント(臨床的意味)
第Ⅶ因子 約4〜6時間 最も短い、PT(プロトロンビン時間)に反映
第Ⅸ因子 約24時間 血友病B
第Ⅹ因子 約40〜60時間 ビタミンK依存
第Ⅱ因子
(プロトロンビン)
約60〜72時間 半減期が長い

間違えやすいところ

  • 血友病Aで欠損する第Ⅷ因子が最も短い → 誤り(第Ⅷ因子の半減期も約半日と短いですが、最も短いのは第Ⅶ因子です)
  • PT延長は第Ⅱ因子が最初に低下するため起こる → 誤り(最初に低下するのは半減期の最も短い第Ⅶ因子です。)
  • プロトロンビンの半減期は短い → 誤り(プロトロンビン(第Ⅱ因子)などの半減期は3〜4日と長めです)

覚えるべきポイント

半減期については、以下の3点を押さえておけば十分です。

  • 最短 = 第Ⅶ因子(PTに反映)
  • 最長 = 第Ⅱ因子(プロトロンビン)
  • ワルファリンで最初に減るのは第Ⅶ因子
さい
さい
半減期が短い因子ほど、ワーファリン投与やビタミンK欠乏の影響が早く現れます。

さいの補足:ワルファリンとPT(プロトロンビン時間)の関係

ワーファリンは、肝臓でのビタミンKの働きを邪魔することで、ビタミンK依存性凝固因子(第Ⅱ、Ⅶ、Ⅸ、Ⅹ因子。※「肉・納豆」と覚える人も多いビタミンK依存性凝固因子です。)の産生を抑える抗凝固薬です。

患者さんがワーファリンを飲み始めると、血液中にあるこれらの凝固因子が寿命を迎えて減っていきます。この時、半減期がわずか数時間と最も短い「第Ⅶ因子」から真っ先に枯渇していきます。

第Ⅶ因子は「外因系凝固経路」に属する因子であり、この経路の働きを見る検査がPT(プロトロンビン時間)です。だからこそ、ワーファリンの効き目(薬が強すぎないか)をモニターする際には、APTTではなくPT(PT-INR)を測定するのです。生理学的な寿命(半減期)の知識が、臨床現場の検査選択に直結しています。

問67:Brecher-Cronkite法による血小板数の計算

【問題】
血小板数をBrecher-Cronkite法にて目視した。用いた計算板(Burker-Turk)の区画(別冊No. 14)を別に示す。100倍に希釈した血液を用いた図中オレンジ色枠内の任意の5つの中区画のカウントは(14,16,13,12,15)であった。血液1μL中の血小板数で正しいのはどれか。

  • 1.3,500
  • 2.7,000
  • 3.70,000
  • 4.350,000
  • 5.700,000
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正答:4

【問題の考え方】

Brecher-Cronkite法における血球計算は
「カウント数 × 希釈倍数 ÷ 測定容積」で求められます。まずは測定した容積を求めることがポイントです。順を追って計算していきましょう。

【計算のステップ】

ステップ1:数えた血小板の合計を出す
5つの中区画で数えた数をすべて足します。
14 + 16 + 13 + 12 + 15 = 70(個)

ステップ2:数えた範囲の「容積」を計算する
オレンジ色枠内にある細かいマス目は「中区画」と呼ばれます。中区画1つの面積は「0.2 mm × 0.2 mm」、計算盤の深さは「0.1 mm」です。
・中区画1つ
0.2 × 0.2 × 0.1 = 0.004 μL(mm³)
・5マス分(5区画)
0.004 × 5 = 0.02 μL(mm³)

ステップ3:1μLあたりに引き伸ばす(容積換算)
求めたいのは「1μL中」の血小板数です。公式に従い、カウント数を測定容積で割ります。
・70 個 ÷ 0.02 μL = 3,500(個 / μL)
※これは「1 μL ÷ 0.02 μL = 50倍」なので、70個を50倍して3,500個とするのと同じ意味です。

ステップ4:希釈倍数を掛けて元の血液に戻す
これは「100倍に薄めた血」の話なので、最後に100を掛けて元の濃さに戻します。
・3,500 × 100 = 350,000(個 / μL)

したがって、答えは 350,000 となります。

【関連知識】Bürker-Türk計算盤の基本スペック

項目 寸法・数値 用途
深さ 0.1 mm 容積計算で必ず使用する
大区画 1.0 × 1.0 mm(面積 1 mm²) 白血球や好酸球のカウント
中区画 0.2 × 0.2 mm(面積 0.04 mm²) 赤血球や血小板のカウント

※オレンジ枠の部分は「中央の大区画」です。この大区画の中に、さらに25個の「中区画」が敷き詰められています。中央の中区画は赤血球や血小板の計算で用いられます。

間違えやすいところ

マスの面積や計算式の省略によるミスに注意しましょう。

  • 中区画1つの面積は 1.0 × 1.0 mm である → 誤り(1.0mmは大区画です。中区画はその1/5の長さの0.2mm角です。)
  • 容積換算はしなくてもよい → 誤り(数えたのはあくまで0.02μLの空間です。容積で割るのを忘れると桁が全く変わってしまいます。)
  • 計算盤の深さは1.0 mmである → 誤り(0.1 mmです。カバーガラスとの隙間はとても薄いです。)

覚えるべきポイント

血球計算はこの3つを押さえておけばすべての問題が解けます。

  • 血球数 = カウント数 × 希釈倍数 ÷ 測定容積
  • 容積は「面積 × 深さ」で求める
  • Bürker-Türk計算盤の深さは 0.1 mm
さい
さい
この計算問題は、公式に当てはめて順番に計算すれば確実に解けます。容積さえ間違えなければ得点しやすい問題です。

さいの補足:Brecher-Cronkite法とは?

血小板は赤血球に比べて非常に小さく、また集まって塊(凝集)になりやすい性質があります。そのため、血小板だけを正確に数えるための工夫が凝らされたのが「ブレッヒャー・クロンカイト法(Brecher-Cronkite法)」です。国家試験でよく問われるポイントは以下の4点です。

  • 希釈液は「1%シュウ酸アンモニウム」を使用する
  • 赤血球を溶血する
  • 血小板は残す(凝集を防ぐ)
  • 「位相差顕微鏡」で観察する

血小板は透明で通常の明視野顕微鏡では見えにくいため、光の屈折を利用して立体的に光らせて見やすくする位相差顕微鏡を用いて観察します。現在では自動血球計数装置が主流ですが、異常値が出た際の確認として、この用手法の知識は依然として重要です。

臨床血液学(午前)の解説は以上です

お疲れ様でした。

今回の臨床血液学は、止血メカニズムにおける促進・抑制因子、白血病の特殊染色、計算問題(Brecher-Cronkite法)、血球の封入体など、国家試験で繰り返し出題される重要テーマが中心でした。暗記だけでは対応しにくい問題もありますが、「なぜその染色を使うのか」「その封入体の正体は何なのか」を理解しておくと、初見の問題でも対応できるようになります。

分類問題や画像問題は、一つひとつの細胞や疾患の「決定的な目印」を覚えることが得点への近道です。環状鉄芽球なら鉄染色、PAS染色陽性なら異常赤芽球、Howell-Jolly小体ならDNAというように、ノートにまとめ、整理しながら復習してみてください。

臨床血液学は覚えることが多い分野ですが、一つひとつの知識が正常な造血機能や止血メカニズムとつながると大きな得点源になります。ぜひ過去問を繰り返し解きながら、自分の中で「なぜそうなるのか」を説明できるレベルまで理解を深めていきましょう。

さい
さい
お疲れ様でした!一見複雑な止血カスケードや白血病の分類も、焦らず「この細胞の特徴はこれ!」「この因子の役割はこれ!」と自信を持てるレベルまで、この解説で一緒に仕上げていきましょう。

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