こんにちは、臨床検査技師のさいです。
今回は第72回臨床検査技師国家試験より、最後の難関「医用工学概論(午前・午後 問95〜100)」の解説まとめをお届けします。この分野は「計算問題が苦手…」「IT用語や記号が覚えられない…」と苦手意識を持つ学生さんが非常に多い傾向にあります。
しかし、実は医用工学ほど「法則性」や「パズル的な解き方」が通用する分野はありません。例えば、デシベル(dB)の計算は対数(log)を使わなくてもゼロの数を数えるだけで瞬殺できますし、ME機器の安全記号はアルファベットの意味を知るだけで簡単に図形を判別できるようになります。
本記事では、トランジスタからデータベース、超音波の物理特性からWi-Fiの周波数帯に至るまで、直感的に理解できる例え話や暗記表をたっぷりご用意しました。難しそうに見える問題も、コツを掴めば確実に得点源になります!
解説を読んで分かりにくい点などがございましたら、各SNSのDM等で気軽にお声がけください。皆様の国試合格に少しでも貢献できれば嬉しいです。
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床検査技師国試【医用工学概論】
全選択肢の正誤理由と解説まとめ
午前:医用工学概論(問95〜100)
問95:バイポーラトランジスタの基本
【問題】
バイポーラトランジスタで正しいのはどれか。
- 1.MOS型が存在する。
- 2.端子名にゲートがある。
- 3.pn接合面は一つである。
- 4.電圧制御型の素子である。
- 5.動作には自由電子と正孔〈ホール〉の両方が関与する。
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正答:5
【解説】「バイ」の意味を理解する
医用工学の半導体分野からの出題です。バイポーラの「バイ(Bi)」は、バイリンガル(2カ国語)などと同じく「2つの」という意味です。マイナスの電気を持つ「自由電子」と、プラスの電気を持つ「正孔(ホール)」の2種類両方が電気を運ぶ役割(キャリア)を果たすため、この名前がついています。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(MOS型はFET)
MOS型とはMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)のことであり、FET(電界効果トランジスタ)の一種です。バイポーラトランジスタにはMOS型は存在しません。 - 2.誤り(端子はE、B、C)
バイポーラトランジスタの3つの端子名は、エミッタ(E)、ベース(B)、コレクタ(C)です。ゲート(G)、ソース(S)、ドレイン(D)という端子名を持つのはFETです。 - 3.誤り(pn接合面は2つ)
p型とn型の半導体を「p-n-p」または「n-p-n」のように3層に接合しているため、pn接合面は2つあります。 - 4.誤り(電流制御型)
バイポーラトランジスタは、ベース端子に流す「電流」によって全体の電流をコントロールする電流制御型の素子です。FETは「電圧制御型」です。 - 5.正しい(電子と正孔)
上記の通り、自由電子と正孔の両方が関与します。一方、FETでは、電子または正孔のいずれか一方のみが電流の担い手(多数キャリア)となるため、「ユニポーラ(単極)」トランジスタと呼ばれます。
【頻出】バイポーラとユニポーラ(FET)の比較まとめ
| 比較項目 | バイポーラトランジスタ | ユニポーラトランジスタ |
|---|---|---|
| 別名 | BJT | FET(MOSFET・JFETなど) |
| キャリア(電気の運び手) | 電子と正孔がともに関与 | 電子・正孔のどちらか一方のみ |
| 端子の名称 | エミッタ、ベース、コレクタ | ソース、ゲート、ドレイン |
| 動作制御の方式 | 電流制御 | 電圧制御 |
| 入力インピーダンス | 低い(FETより圧倒的に小さい) | 非常に高い |
※国試では「BJT=電流制御・EBC」「FET=電圧制御・GSD」の組み合わせが大切です。
暗記方法・覚え方のコツ(水道の蛇口)
トランジスタの働きは「水道の蛇口」によく例えられます。
バイポーラトランジスタの場合、ベース電流が蛇口を開く役割を果たし、大きなコレクタ電流を制御します。コレクタが水道管、エミッタが水の出口です。蛇口を回すイメージと一緒に「端子の名前」も覚えてしまいましょう。
さいの補足(入力インピーダンスと医療機器)
「入力インピーダンス」の違いも、国試でよく狙われます。バイポーラトランジスタに比べて、FET(ユニポーラトランジスタ)は入力インピーダンスが「非常に高い(トランジスタ≪FET)」という特徴があります。
この特徴のおかげで、FETは心電計や脳波計などの「生体アンプの入力部分(初段)」によく使われます。患者さんの体に余計な電流を吸い込まず、微小な生体信号の電圧だけを正確に測るためには、電流が流れ込みにくい(入力インピーダンスが極めて高い)FETが適しているからです。
一方、バイポーラトランジスタは増幅性能(利得)が高く、アナログ回路や電力制御回路などで広く利用されます。
問96:臨床検査システム(LIS)とIT用語
【問題】
臨床検査システム〈LIS〉で扱われる大量の検査データを効率的に取り扱う仕組みはどれか。
- 1.ウェブブラウザ
- 2.オフィススイート
- 3.オペレーティングシステム
- 4.データベース管理システム
- 5.プログラミング言語
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正答:4
【解説】データを一元管理するDBMS
臨床検査システム(LIS:Laboratory Information System)には、毎日膨大な量の患者情報や検査結果が送られてきます。これらの大量のデータを重複なく整理し、必要な時に一瞬で検索・抽出・更新できるように管理する裏方のシステムを「データベース管理システム(DBMS)」と呼びます。ここで注意したいのは、データベース(DB)はデータそのものを保存する場所であり、DBMSはそのデータベースの作成・検索・更新・削除・アクセス制御などを効率よく管理するソフトウェアであるという違いです。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(ウェブブラウザ)
インターネット上のWebサイトを閲覧するためのソフトウェアです(Google Chrome、Safariなど)。 - 2.誤り(オフィススイート)
文書作成や表計算など、事務作業に必要な複数のソフトをひとまとめにした製品群です(Microsoft Office、LibreOfficeなど)。 - 3.誤り(オペレーティングシステム)
ハードウェア資源(CPU・メモリ・ストレージなど)を管理し、アプリケーションが動作する基盤となる基本ソフトウェア(OS)です(Windows、macOS、Linuxなど)。 - 4.正しい(データベース管理システム)
DBMS(Database Management System)のことです。データベースの作成・検索・更新・削除・アクセス制御などを効率よく管理するソフトウェアであり、LISの中核をなす仕組みです。 - 5.誤り(プログラミング言語)
人間がコンピュータに「どう動いてほしいか」を指示するための専用の言葉です(C言語、Pythonなど)。
【頻出】基本IT用語と具体例まとめ
| 用語 | 役割 | 具体例 |
|---|---|---|
| データベース管理システム(DBMS) | 大量データの作成・検索・更新・アクセス制御 | Oracle Database、Microsoft SQL Server、PostgreSQL、MySQL |
| オペレーティングシステム(OS) | ハードウェア資源の管理(基本ソフト) | Windows、macOS、Linux |
| ウェブブラウザ | Webページの閲覧 | Chrome、Edge、Safari |
| オフィススイート | 文書作成・表計算などの統合ソフト | Microsoft Office、LibreOffice |
※国試では「OS=基本ソフト」「DBMS=データ管理」「ブラウザ=Web閲覧」「Office=文書・表計算」の対応を問う問題がよく出ます。
暗記方法・覚え方のコツ(超優秀な図書館司書)
【ゴロ】DBMSは超優秀な図書館の司書さん!
【解説】本棚=データベース(DB)、司書=DBMS、利用者=LIS、本=検査データ、という対応関係になります。
本(データ)がバラバラに積まれていると探すのに時間がかかりますが、司書さん(DBMS)がルールに従って本棚(DB)に整理整頓してくれるおかげで、「AさんのHbA1cの過去データ」を瞬時に取り出すことができるのです。
さいの補足(LISとHISの関係とHL7)
LIS(臨床検査システム)は、単独で動いているわけではありません。病院全体を管理するHIS(病院情報システム)という大きなネットワークの一部として機能しています。医師が電子カルテ(HISの一部)で検査をオーダーすると、その情報がLISに送られ、検査が終わるとLISから電子カルテに結果が返される、というデータ連携が行われています。このHIS・LIS間における検査依頼や検査結果のやり取りには、「HL7」などの医療情報標準規格が利用されることが多く、これも国試でよく出るキーワードです。
問97:増幅器の利得(デシベル計算)
【問題】
入力された信号を1000倍にする増幅器がある。この増幅器の利得[dB]はどれか。
- 1.10
- 2.20
- 3.40
- 4.60
- 5.80
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正答:4
【解説】電圧利得(ゲイン)の計算式
医用工学(電子回路)において、増幅器が入力信号の電圧を何倍にしたかを表す指標を「電圧利得(ゲイン)」と呼び、単位にはデシベル(dB)を用います。
入力電圧に対する出力電圧の比率(増幅率)をAv(Av = Vout / Vin)としたとき、電圧利得Gを求める公式は以下の通りです。
G[dB] = 20 log10 Av
電圧利得の計算において「20」を掛けるのは、電力が電圧の2乗に比例するためです。今回の問題では、信号を1000倍(103倍)にしているため、公式のAvに1000を代入して計算します。
G = 20 log10(1000)
G = 20 log10(103)
G = 20 × 3
G = 60 dB
よって、正解は60になります。
【頻出】暗記必須の倍率とデシベル対応表
| 増幅率(倍率) | 利得(dB) | 計算の考え方 |
|---|---|---|
| 0.5倍 | -6 dB | 2倍の逆数(マイナスになる) |
| 1倍 | 0 dB | 20 × 0 |
| 2倍 | 約 6 dB | 暗記(2倍=6 dB) |
| 10倍 | 20 dB | 20 × 1(101) |
| 100倍 | 40 dB | 20 × 2(102) |
| 1000倍 | 60 dB | 20 × 3(103) |
暗記方法・覚え方のコツ(10の指数×20)
対数(log)の計算が苦手な方は、単純に「10の何乗か(指数)× 20」と覚えてしまいましょう。101(10倍)なら20 dB、102(100倍)なら40 dB、103(1000倍)なら60 dBです。10000倍などの大きな数字が出ても、この法則で瞬時に対応できます。
さいの補足(電圧利得と電力利得の違い)
今回の問題のような電圧比や電流比を求める場合、公式は
「G[dB] = 20 log10(Vout / Vin)」となります。
しかし、もし問題文が電力(W)の増幅器だった場合、電力比の公式は
「G[dB] = 10 log10(Pout / Pin)」に変わります。
つまり、電力を1000倍にした場合の利得は「30 dB」になるという罠があります。生体アンプなど医療機器の問題では原則として電圧比(20 log)が問われますが、引っかけとして電力比(10 log)が出題される可能性もあるため、問題文に電圧と電力のどちらが書かれているか、慎重に確認するクセをつけておきましょう。
問98:ME機器の安全基準(図記号)
【問題】
ME機器の耐除細動形CF形装着部を表す図記号はどれか。
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正答:5
【解説】図記号のパーツを分解して読み解く
医用工学におけるME機器の安全基準(JIS T 0601-1)からの出題です。図記号はそのまま丸暗記するのではなく、パーツごとの意味を知っておくとパズル感覚で確実に解くことができます。
【各選択肢の図記号と正誤理由】
- 1.誤り(保護接地)
丸の中にアース(接地)のマークが描かれています。機器の金属外装などを接地(アース)するための端子を示します。 - 2.誤り(クラスⅡ機器)
四角形が二重になっているマークです。基礎絶縁に加えて付加絶縁を施した「二重絶縁構造(アース接続が不要)」を持つ機器を示します。 - 3.誤り(注意喚起)
逆三角形にビックリマークは、一般的に注意喚起や警告などを表します。ME機器特有の装着部分類の記号ではありません。 - 4.誤り(BF形装着部)
四角形(F:Floating:フローティング)の中に人体(B:Body)が描かれたBF形装着部です。心臓へ直接適用することはできず、心臓以外の体表・体内へ適用されます。 - 5.正しい(耐除細動形CF形装着部)
四角形(F)の中に心臓(C:Cardiac)が描かれ、さらに両脇にパドル(除細動器の電極)のマークが付いています。心臓へ直接適用できるCF形装着部であり、除細動時の高電圧パルスに耐えられる「耐除細動形CF形装着部」を示します。
【頻出】装着部の分類マークまとめ
| 分類 | 記号の特徴 | 適用部位と漏れ電流の厳しさ |
|---|---|---|
| B形 | 人のマークのみ(四角枠は付かない=Floatingではない) | 体表や体腔(心臓以外)。基準は緩め。 |
| BF形 | 四角形の中に人体 | 体表や体内(心臓以外)。B形より厳しい。 |
| CF形 | 四角形の中に心臓 | 心臓に直接適用。基準が最も厳しい。 |
暗記方法・覚え方のコツ(アルファベットの意味)
図記号はアルファベットの意味を知ると一発で覚えられます。BはBody(人体)、CはCardiac(心臓)、FはFloating(浮いて絶縁されている=四角い枠)です。さらに耐除細動形は、左右に「パドル(除細動器)」のマークが追加されます。それぞれのパーツを組み合わせるだけです。
さいの補足(患者漏れ電流の許容値)
装着部の分類は、患者さんに流れても安全とされる「漏れ電流の限界値」の違いでもあります。
特にミクロショック(心室細動を引き起こす微小な電流)の危険があるCF形では、患者漏れ電流の許容値がB形・BF形よりもさらに厳しく規定されています(JIS T 0601-1)。
μA単位の具体的な許容数値は、JISの版(改訂)や状態(正常状態・単一故障状態など)によって細かく異なるため丸暗記は不要ですが、常に「CF形が最も基準が厳しい」という原則を覚えておきましょう。
問99:超音波の吸収(減衰)係数
【問題】
超音波検査における吸収〈減衰〉係数が最も大きいのはどれか。
- 1.筋 肉
- 2.空 気
- 3.血 液
- 4.脂 肪
- 5.水
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正答:2
【解説】減衰係数=超音波の「通りにくさ」
超音波が物質(媒質)の中を進むとき、エネルギーが熱に変わって吸収されたり、散乱したりして次第に弱まっていきます。これを「減衰」と呼び、その弱まりやすさの度合いを示す数値を「吸収(減衰)係数」と言います。係数が大きいほど超音波は早く弱まってしまい、奥まで届きにくくなります。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(筋肉:1.3〜3.3 dB/cm/MHz)
軟部組織の中では比較的減衰しやすい方ですが、空気に比べればはるかに小さい値です。 - 2.正しい(空気:約10〜12 dB/cm/MHz)
空気では生体との音響インピーダンス差が極めて大きいため、超音波の大部分が境界面で反射され、さらに媒質内でも減衰が非常に大きく、深部へ伝搬しにくくなります。 - 3.誤り(血液:0.18 dB/cm/MHz)
液体成分に近く、散乱が少ないため超音波がよく通ります。 - 4.誤り(脂肪:0.63 dB/cm/MHz)
筋肉よりも減衰が少なく、超音波が通りやすい組織です。 - 5.誤り(水:0.0022 dB/cm/MHz)
水は超音波の吸収・散乱が非常に少なく、減衰係数が極めて小さいため、選択肢の中で超音波が最もよく伝搬します。
【頻出】生体組織の減衰係数の大小関係
| 媒質 | 減衰係数の目安 | 超音波の通りやすさ・特徴 |
|---|---|---|
| 水 | 0.0022(最小) | 非常に通りやすい(減衰しない) |
| 血液 | 0.18 | 通りやすい |
| 脂肪 | 0.63 | やや通りやすい |
| 筋肉 | 1.3 〜 3.3 | 普通 |
| 骨 | 大きい | 反射・吸収とも大きく音響陰影を生じやすい |
| 空気 | 約10〜12(非常に大きい) | 音響インピーダンス差が極めて大きく反射も最大 |
暗記方法・覚え方のコツ(エコーゼリーの理由)
【ゴロ】吸水決死の筋トレ、骨折り損で空回り!
【解説】吸=吸収(減衰係数)、水=水(最小)、決死=血液・脂肪、筋トレ=筋肉、骨折り=骨、空回り=空気(最大)、という係数の小さい順を表しています。
また、超音波検査で体にゼリーを塗るのは、プローブと皮膚の間の空気をゼリーで除去することで、音響インピーダンス差による反射を防ぎ超音波を体内へ効率よく伝えるためです。
さいの補足(弱点補強:空気と骨の「通らなさ」のメカニズム)
超音波の2大天敵として「空気」と「骨」があります。どちらも超音波が深部へ届きにくくなる原因ですが、その物理的なメカニズムを正確に理解しておくことが重要です。
骨は生体組織との音響インピーダンス(音の伝わりやすさの抵抗)の差が大きく強い「反射」を起こし、さらに骨内部でも「吸収・散乱」が大きいため超音波が深部へ届きにくく、後方に音響陰影(真っ黒な影)を生じます。
一方、空気も音響インピーダンス差が極めて大きいため強い「反射」を起こしますが、それに加えて媒質内での「減衰(吸収)」も非常に大きくなります。つまり、どちらも単に減衰するだけでなく「反射」が大きく関わっているという点をセットで押さえておきましょう。
問100:電撃(感電)の基準値と生体反応
【問題】
商用交流による皮膚表面での最小感知電流とされる電流[mA]はどれか。
- 1. 0.1
- 2. 1
- 3. 10
- 4. 100
- 5. 1,000
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正答:2
【解説】体に流れる電流の大きさと危険性
医療安全やME機器の取り扱いにおいて、電撃(感電)による生体反応の基準値は必須知識です。皮膚表面から電気が流れる「マクロショック」の場合、電流が大きくなるにつれて人体に重大な影響を及ぼします。
(ただし、接触時間や電流経路、交流・直流の違いによって生体反応は変化します)。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(0.1 mA)
皮膚表面から流れるマクロショックとしては、人間は何も感じない安全なレベルです。しかし、心臓に直接流れる「ミクロショック」の場合は、心室細動を誘発する危険な値となります。 - 2.正しい(1 mA:最小感知電流)
人間が「ピリピリする」と辛うじて電気を感じ始める限界の電流値です。 - 3.誤り(10 mA:離脱不能電流付近)
筋肉が強く収縮(痙攣)し、自力で漏電部分から手を離すことができなくなる限界の電流(10〜20 mA)です。 - 4.誤り(100 mA:心室細動電流)
心臓の拍動リズムが崩れ、致命的な不整脈である「心室細動」を引き起こす極めて危険な電流値です。 - 5.誤り(1,000 mA = 1 A)
呼吸停止、重度の熱傷、心停止など極めて重篤な障害を引き起こす危険があります。
【頻出】マクロショックの三大基準値(10倍の法則)
| 電流値(商用交流) | 名称と生体反応 |
|---|---|
| 1 mA | 最小感知電流(ピリッと感じる限界) |
| 10〜20 mA | 離脱不能電流(筋肉が硬直して動けない限界) |
| 100 mA | 心室細動電流(心室細動を起こす危険域) |
暗記方法・覚え方のコツ(1、10、100)
マクロショックの基準値は「1、10、100」と見事に10倍ずつ大きくなっていくため非常に覚えやすいです。1mAで「あ、電気だ」と気づき、10倍の10mAで「手が離せない!」となり、さらに10倍の100mAで「心室細動を起こす危険域」という流れで頭に入れておきましょう。
※この「1・10・100」は50〜60Hz商用交流による代表値です。
さいの補足(弱点補強:ミクロショックの基準値)
皮膚を通さず、カテーテルなどを伝って心臓に直接電流が流れることを「ミクロショック」と呼びます。
皮膚という強力な抵抗(バリア)がないため、ほんのわずかな電気でも心室細動を誘発する恐れがあります。心室細動を誘発する危険性がある電流は約100μA(0.1mA)とされています。
マクロショックの心室細動(100mA)と比べて「1000分の1」の小さな電流でも命に関わる、という決定的な違いを覚えておきましょう。
午後:医用工学概論(問95〜100)
問95:ネットワークの防御システム
【問題】
病院内のネットワークと外部ネットワークの間に設置される防御システムは何か。
- 1.スイッチ
- 2.ハ ブ
- 3.ファイアーウォール
- 4.ブリッジ
- 5.ルーター
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正答:3
【解説】あらかじめ設定されたルールで守る「防火壁」
電子カルテや検査データなどの機微な個人情報(要配慮個人情報)を扱う病院内のネットワーク(院内LAN)は、インターネットなどの外部ネットワークからのサイバー攻撃や不正アクセスから厳重に守られなければなりません。この境界線に設置され、あらかじめ設定されたルールに従って通信を許可・遮断する防御システムが「ファイアーウォール(防火壁)」です。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(スイッチ)
スイッチ(スイッチングハブ)は、OSI参照モデルのデータリンク層(第2層)で動作し、宛先MACアドレスを見てデータを適切なポートだけに送る中継機器です。 - 2.誤り(ハブ)
複数の機器を接続する集線装置です。スイッチとは異なり、受信したデータを全てのポートへ送信(ブロードキャスト)します。 - 3.正しい(ファイアーウォール)
上記の通り、外部ネットワークと内部ネットワークの間に設置され、ルールに従って不正な通信を遮断する防御システムです。 - 4.誤り(ブリッジ)
2つのLANセグメントを接続し、MACアドレスをもとに必要なフレームだけを転送する中継機器です。 - 5.誤り(ルーター)
OSI参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作し、IPアドレスをもとに異なるネットワーク間の通信経路(ルーティング)を決定する機器です。病院LANとインターネットを接続する際にも使用されます。
【頻出】ネットワーク機器の役割まとめ
| 機器名 | 主な役割・特徴 |
|---|---|
| ファイアーウォール | ルールに従って通信を許可・遮断(防御) |
| ルーター | IPアドレスをもとに異なるネットワークを繋ぐ・経路決定 |
| ブリッジ | MACアドレスをもとにLANセグメント間を繋ぐ・フレーム転送 |
| スイッチ(スイッチングハブ) | MACアドレスをもとに宛先ポートだけにデータを送る |
| ハブ(リピータハブ) | 複数の機器を繋ぎ、受信データを全ポートに送信(ブロードキャスト) |
暗記方法・覚え方のコツ(お城の警備)
病院のネットワークを「お城」に例えましょう。
ファイアーウォールは、城の入り口に立つ「門番」です。あらかじめ決められたルール(リスト)をチェックし、怪しい通信を追い返します。一方、ルーターは城の外の道を案内する「標識(ナビ)」、ハブやスイッチは城の中の部屋を繋ぐ「廊下」のような役割だとイメージすると区別しやすいです。
さいの補足(多層防御の重要性)
ファイアーウォールの主な役割は通信の制御であり、一般的なファイアーウォールにはウイルスを検知・駆除する機能はありません(UTMなどの統合脅威管理製品は例外です)。例えば、職員がうっかり開いてしまった迷惑メールの添付ファイルから感染するようなウイルスは、通信自体は正常なルールに乗って見えるため、門番を素通りしてしまいます。そのため、ファイアーウォール(入り口の対策)だけでなく、パソコン端末ごとにウイルス対策ソフトを入れ、アクセス権限管理やソフトウェアの定期的な更新などを組み合わせた「多層防御(Defense in Depth)」を行うことが、現代の病院ネットワークにおいて極めて重要になります。
問96:医療情報システムの標準規約(HL7とDICOM)
【問題】
医療情報システムに用いられる標準規約はどれか。
- 1.DICOM
- 2.HL7
- 3.JPEG
- 4.MP3
- 5.PDF
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正答:2
【解説】DICOMとHL7の厳密な区別
医療情報システムにおいて、HL7とDICOMはどちらも医療連携に欠かせない国際標準規格ですが、国家試験ではそれぞれの役割の違いが区別されて出題されます。医療情報システム間で文字情報をやり取りする標準規約を問う場合は、HL7を選択するのが適切です。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(医用画像と付随情報の規格)
DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)は、医用画像とその付随情報(患者情報・撮影条件など)を保存・通信するための国際規格です。DICOMも医療情報システムで利用される重要な標準規格ですが、システム間の文字情報交換の主たる規約を問う本問では誤りとなります。 - 2.正しい(医療情報の規格)
HL7(Health Level Seven)は、患者基本情報、検査オーダー、検査結果、処方情報など、医療システム間で文字情報を交換するための国際標準規約です。 - 3.誤り(静止画像)
JPEGは、一般的な静止画像ファイルの圧縮形式であり、医療特有の標準通信規約ではありません。 - 4.誤り(音声)
MP3は、一般的な音声データファイルの圧縮形式です。 - 5.誤り(電子文書)
PDFは、端末やOSに依存せずにレイアウトを保持したまま閲覧・印刷できる一般的な文書ファイル形式です。
【頻出】医療ITの2大標準規格まとめ
| 規格 | 扱う情報 | 代表例 |
|---|---|---|
| HL7 | 患者情報・検査オーダー・検査結果などの文字情報 | HIS・LIS・電子カルテ |
| DICOM | 医用画像 + 画像に付随する情報(患者情報や撮影条件) | CT・MRI・超音波・PACS |
暗記方法・覚え方のコツ
国試対策としては、シンプルに以下の対比で頭に整理しておきましょう。
・HL7 = 文字情報の受け渡し
・DICOM = 画像 + 画像情報の受け渡し
なお、HL7もDICOMも国際標準規格であり、異なるメーカー間でもスムーズに情報交換できるようにすることを共通の目的としています。
さいの補足(院内ネットワークにおけるHL7とDICOMの連携流転)
実際の病院では、HL7とDICOMは切り離されているのではなく、互いに連携して動作しています。
例えば、医師が電子カルテ(HIS)で「CT検査」を指示すると、まず患者IDや検査目的などの文字情報がHL7規約にのっとって放射線情報システム(RIS)へ送信されます。
次に、そのオーダー情報を受け取ったCT装置(モダリティ)で撮影が行われると、撮影された画像データに、オーダー由来の患者IDや撮影条件などの付随情報が組み込まれ、DICOM規格のデータとして画像保存通信システム(PACS)へ送信・保管されます。
このように、同じ一つの検査フローの中でも、文字情報を運ぶフェーズ(HL7)と、画像およびその情報を運ぶフェーズ(DICOM)がバトンを繋いでいると理解すると、臨床に即した深い知識になります。
問97:トランスデューサ(変換器)の基本
【問題】
振動を起電力に変換するトランスデューサはどれか。
- 1.CdS
- 2.圧電素子
- 3.サーミスタ
- 4.ストレインゲージ
- 5.フォトトランジスタ
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正答:2
【解説】自ら電気を生み出す「圧電効果」
トランスデューサ(変換器)とは、ある種類のエネルギーを別の種類のエネルギーへ変換する素子です。MEでは、温度・圧力・光・振動などを電気信号へ変換するものを指すことが多いです。
この中で「圧電素子(ピエゾ素子)」は、圧電正効果により、機械的な力や振動を加えると電荷(電圧)が発生するという特殊な性質を持っています。
超音波プローブでは、圧電素子が送信時には電気から超音波(逆圧電効果)、受信時には超音波から電気(圧電正効果)という双方向の変換を行います。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(光 → 抵抗変化)
CdS(硫化カドミウムセル)は、光が当たると電気抵抗値が下がる性質を利用した光センサーです。 - 2.正しい(振動・圧力 → 起電力)
上記の通り、圧電素子は振動を起電力に変換します。エコー検査に使う超音波プローブの先端(振動子)に入っている超重要パーツです。 - 3.誤り(温度 → 抵抗変化)
サーミスタは、温度が変わると電気抵抗値が変化するセンサーです。電子体温計の先端に入っています。 - 4.誤り(ひずみ・力 → 抵抗変化)
ストレインゲージ(ひずみゲージ)は、引っ張られたり縮んだりすることで電気抵抗値が変わるセンサーです。観血的血圧計などに使われます。 - 5.誤り(光 → 電流変化)
フォトトランジスタは、光が当たることでベース電流に相当する作用が生じ、光に応じたコレクタ電流を増幅する半導体素子です。
【頻出】トランスデューサの変換タイプまとめ
| 変換方式 | 代表例 |
|---|---|
| 起電力を発生 | 圧電素子・熱電対 |
| 抵抗変化 | サーミスタ・ストレインゲージ・CdS |
| 電流変化 | フォトトランジスタ・フォトダイオード |
暗記方法・覚え方のコツ(自己起電型かどうか)
センサーは電気的な働き方で分類できます。自己起電型(自己発電型)には圧電素子や熱電対があり、外部電源なしで電圧を発生します。一方、抵抗変化型のサーミスタやストレインゲージなどは、測定にはブリッジ回路など外部電源が必要です。この違いで区別しておきましょう。
さいの補足(フォトダイオードと超音波プローブの仕組み)
過去問の解説書などでは表現が曖昧なことがありますが、厳密にはフォトダイオードは一般に光電流を発生する素子であり、太陽電池はその一種として光起電力効果を利用しています。
フォトトランジスタは、その光電流を利用して電流を増幅する素子です。また、今回正解の圧電素子は送信用・受信用の両方に利用されるため、超音波プローブでは1つの素子が送受信を兼ねています。
問98:EOG(酸化エチレンガス)滅菌の工程
【問題】
酸化エチレンガス滅菌で滅菌後に使用したガスを排出する工程はどれか。
- 1.昇 温
- 2.乾 燥
- 3.インターロック
- 4.エアレーション
- 5.プレコンディショニング
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正答:4
【解説】毒性ガスを抜く「エアレーション」
酸化エチレンガス(EOG)滅菌は、熱に弱いプラスチック製品やゴム製品などを低温(40〜60℃)で滅菌できる非常に優れた方法です。しかし、EOGには毒性、刺激性、変異原性、発がん性があるため、残留ガスを十分除去する必要があります。そのため、滅菌終了後に医療機器の素材の内部に吸着・残留したEOGを、空気で置換・揮散させ、安全な濃度まで低下させる「エアレーション(空気洗浄・曝気)」という工程が絶対に欠かせません。数時間〜数日(器材や装置によって異なる)に及ぶ長時間のエアレーションが必要です。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(昇温)
滅菌器内の温度を、EOG滅菌の適正温度まで上げる工程です。 - 2.誤り(乾燥)
滅菌前の乾燥は器材表面の水分を除去し、適切な滅菌条件を整えるために行います。 - 3.誤り(インターロック)
工程ではなく「安全機構(装置)」のことです。扉が確実に閉まっていないと作動しなかったり、ガスが抜けるまで扉が開かないようにするシステム的な制限を指します。 - 4.正しい(エアレーション)
上記の通り、残留したEOGを空気で置換・揮散させ、安全な濃度まで低下させる必須の工程です。 - 5.誤り(プレコンディショニング)
ガスを注入する前段階で、器材の温度・湿度を調整し、EOGが十分作用できる環境を整える前処理工程です。
【頻出】EOG滅菌サイクルの順序
| 順序 | 工程名 | 内容 |
|---|---|---|
| ① | プレコンディショニング | 器材の温度・湿度を調整し環境を整える |
| ② | 真空・加湿・昇温 | チャンバー内を減圧し、滅菌条件を整える |
| ③ | EOG注入・滅菌 | EOGを注入し、一定時間キープして滅菌する |
| ④ | 排気・空気置換 | チャンバー内のガスを排出・処理する |
| ⑤ | エアレーション | 器材の奥まで染み込んだ残留ガスを置換・揮散させる |
暗記方法・覚え方のコツ(毒ガスのお風呂)
EOG滅菌は「毒ガスのお風呂」に入れるようなものです。
お風呂から上がった直後の器材には、まだ目に見えない毒ガスがたっぷり染み込んでいます。そのまま患者さんに使うと化学火傷などを起こしてしまうため、長時間風に当てて(エアレーションして)完全に毒を飛ばす必要がある、とイメージしておきましょう。
さいの補足(他の滅菌法との使い分け)
医療現場で最も一般的でコストも安い滅菌法は「高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)」です。しかし、121℃〜135℃という超高温になるため、プラスチックやゴム製品などは溶けて壊れてしまいます。そういった「熱や水分に弱い精密機器」に対して、代替案として行われるのがEOG滅菌です。現在は、過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌や過酸化水素蒸気滅菌など、残留毒性の少ない低温滅菌法も広く利用されています。ただし、EOG滅菌は器材への適応範囲が広く、現在でも重要な滅菌法です。EOG滅菌は、熱や湿気に弱い医療機器に適していますが、滅菌時間が長く、残留ガス対策(エアレーション)が必要という欠点があると整理しておきましょう。
問99:遠心分離機の回転数と遠心力
【問題】
遠心分離機において回転数を2倍にすると遠心力は何倍になるか。
- 1.2
- 2.4
- 3.8
- 4.16
- 5.32
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正答:2
【解説】遠心力は回転数の「2乗」に比例する
検査機器学からの出題です。遠心分離機における遠心力Fは、以下の公式で表されます。
F = m r ω2
(m:物体の質量、r:回転半径、ω:角速度)
毎分回転数n(rpm)を用いると、角速度ωは ω = 2πn / 60 と表せるため、遠心力Fは回転数nの2乗に比例するという関係が成り立ちます。したがって、回転数を2倍にすると、遠心力は22 = 4倍になります。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
回転数にそのまま比例(1乗に比例)すると誤認した場合の数値です。 - 2.正しい
上記の通り、遠心力は回転数の2乗に比例するため4倍となります。 - 3.誤り
回転数の3乗に比例すると誤認した場合の数値です。 - 4.誤り
回転数の4乗に比例すると誤認した場合の数値です。 - 5.誤り
回転数の5乗に比例すると誤認した場合の数値です。
(参考)相対遠心力(RCF)の実用式
参考までにですが、重力加速度(g)の何倍の力がかかっているかを示す「相対遠心力(RCF:× g)」を用いて遠心条件を設定・統一することが多く、この公式も知っておいた方が良いかもしれません。
(r:ロータ中心から試料底部までの半径[cm]、n:回転数[rpm])
暗記方法・覚え方のコツ
国試対策としては「回転数は2乗(n2)、半径はそのまま1乗(r)」という関係を整理しておくことが大切です。
回転数を3倍にすれば32 = 9倍、4倍にすれば42 = 16倍の遠心力になります。
遠心分離機ごとにロータ半径が異なるため、rpm(回転数)ではなくRCF(遠心力)で条件を統一するという目的も合わせて押さえておきましょう。
さいの補足(弱点補強:回転半径を変えた場合の実務知識)
国試では「回転数を変えた場合」だけでなく、「回転半径を変えた場合」の条件も出題されることがあるかもしれません。
公式(F = m r ω2)の通り、半径rには2乗がついていません。つまり、回転半径を2倍にした場合、遠心力はそのまま2倍になります。「回転数は2乗に比例」「半径は1乗に比例」という違いを対比して理解しておくと、引っかけ問題にも対応しやすくなります。
問100:電子レンジと同じ周波数帯の通信機器
【問題】
電子レンジと同じ2.4GHz帯の電波を使用しているのはどれか。2つ選べ。
- 1.GPS
- 2.AM波
- 3.FM波
- 4.Wi-Fi
- 5.Bluetooth
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正答:4、5
【解説】ISMバンド(2.4GHz帯)を利用する機器
電子レンジは、約2.4GHz(2.45GHz付近)のマイクロ波を照射して食品の水分を振動させ、その摩擦熱で加熱する仕組みです。この2.4GHz帯は「ISMバンド(産業・科学・医療用バンド)」と呼ばれています。ISMバンドは産業・科学・医療用途のために割り当てられた周波数帯であり、一定の技術基準を満たした無線設備(Wi-FiやBluetoothなど)が免許不要で利用できるよう開放されています。そのため、私たちの身近にある多くの無線通信機器がこの同じ周波数帯を共有して利用しています。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(GPSは1.2〜1.5GHz帯)
GPS(全地球測位システム)は、人工衛星から送信される1.2GHz帯や1.5GHz帯のマイクロ波を利用しています。 - 2.誤り(AM波はkHz帯)
AMラジオは、中波(MF)と呼ばれる535kHz〜1605kHzの低い周波数帯を利用しています。障害物を回り込む性質があり、広範囲に電波が届きます。 - 3.誤り(FM波はMHz帯)
FMラジオは、超短波(VHF)と呼ばれる76MHz〜95MHzの周波数帯を利用しています。AM波より高音質ですが、直進性が高く障害物にやや弱いです。 - 4.正しい(Wi-Fiは2.4GHz帯など)
無線LAN(Wi-Fi)の主要な規格は2.4GHz帯を使用しています(他に5GHz帯や6GHz帯なども利用されます)。 - 5.正しい(Bluetoothは2.4GHz帯)
ワイヤレスイヤホンなどに使われるBluetoothも2.4GHz帯を使用しています。干渉を防ぐため、周波数を細かく高速で切り替えるホッピング方式を採用しています。
【頻出】電波の周波数帯まとめ
| 通信・機器 | 主な周波数帯 | 単位の目安 |
|---|---|---|
| AMラジオ | 535 〜 1605 kHz | キロヘルツ(低) |
| FMラジオ | 76 〜 95 MHz | メガヘルツ(中) |
| GPS | 1.2 GHz / 1.5 GHz | ギガヘルツ(高) |
| 電子レンジ、Wi-Fi、Bluetooth | 2.4 GHz 帯 | ギガヘルツ(高) |
暗記方法・覚え方のコツ(電子レンジで動画が止まる理由)
自宅で電子レンジをオンにした瞬間、スマホのWi-Fiが切れたり、Bluetoothイヤホンの音が途切れたりした経験はありませんか?あれはすべて「2.4GHz」という同じ電波の通り道(周波数帯)で渋滞や衝突(電波干渉)が起きているからです。日常のイライラ体験とセットで覚えておきましょう!
さいの補足(弱点補強:電子レンジの加熱原理「誘電加熱」)
電子レンジが2.4GHz帯(正確には2.45GHz)のマイクロ波を使用するのには明確な科学的理由があります。食品に含まれる「水分子」を効率よく振動させるためです。水分子はプラスとマイナスの電気的な偏り(双極子)を持っており、1秒間に約24億回も電界の向きが反転する2.45GHzの電波を浴びると、それに追従しようとして激しく回転・振動します。この分子同士の摩擦熱によって内部から温まる仕組みを「誘電加熱」と呼びます。医用工学の分野では、マイクロ波治療器や極超短波治療器(ジアテルミー)などで同様の原理が応用されているため、周波数帯域と加熱のメカニズムをセットで押さえておきましょう。
医用工学概論の解説は以上です
第72回の医用工学概論、本当にお疲れ様でした!医用工学は、単にテストで点を取るためだけでなく、将来医療現場に出てから「患者さんを医療事故(感電や火傷など)から守る」ための極めて実践的な知識です。また、情報科学の知識も、電子カルテやLISを使いこなす現代の臨床検査技師にとって欠かせない武器になります。
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