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第72回臨床検査技師国試 午後【臨床免疫学】全選択肢の正誤理由と解説まとめ

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こんにちは、臨床検査技師のさいです。

今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題より「臨床免疫学」の全問解説まとめをお届けします。

午後の分野では、カラム凝集法や蛍光抗体法の画像読影、交差適合試験の原理や非溶血性輸血副作用の鑑別など、実際の検査業務に直結する実践的な問題が多く出題されています。

単なる語句の暗記にとどまらず、検査結果から患者の病態や輸血のリスクを論理的に推測する力が求められていると思います。

解説を読んで分かりにくい点などがございましたら、各SNSのDM等で気軽にお声がけください。

僕自身、学生時代に輸血検査の複雑なルールや自己抗体の多さに苦労した経験があります。当時の自分が読みたかったと思えるような、ゴロ合わせや表などのイメージを交えた解説を心がけました。皆様の国試合格に少しでも貢献できれば嬉しいです。

※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。

第72回 臨床検査技師国試 午後【臨床免疫学】
全選択肢の正誤理由と解説まとめ

問79:免疫グロブリンの基本構造と酵素切断

【問題】
免疫グロブリンで正しいのはどれか。

  • 1.抗原との結合は共有結合による。
  • 2.H鎖の可変部はC末端側に存在する。
  • 3.L鎖の定常部ドメインは2つからなる。
  • 4.Fabフラグメントはパパイン処理で得られる。
  • 5.グロブリンクラスはL鎖のイディオタイプで決定される。
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正答:4

【解説】抗体の構造と酵素による切断パターン

免疫グロブリン(抗体)は、2本のH鎖(重鎖)と2本のL鎖(軽鎖)がジスルフィド結合で結ばれたY字型の構造をしています。この問題は、抗体の構造的特徴と、タンパク質分解酵素による切断パターンの違いを問う基本かつ重要な問題です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(非共有結合)
    抗原と抗体の結合は、水素結合、静電気力、ファンデルワールス力、疎水結合などの「非共有結合」によって成り立っています。そのため、可逆的(結合したり離れたりできる)であるのが特徴です。
  • 2.誤り(N末端側)
    抗体が抗原を捕まえる先端部分を「可変部(V領域)」と呼びます。H鎖・L鎖ともに、可変部はアミノ酸配列の「N末端側」に存在します。根元側の「定常部(C領域)」がC末端側です。
  • 3.誤り(定常部ドメインは1つ)
    L鎖(軽鎖)は、可変部ドメイン1つと、定常部ドメイン1つの「合計2つ」のドメインからなります。定常部ドメインが3〜4つあるのはH鎖(重鎖)です。
  • 4.正しい(パパイン切断)
    免疫グロブリンをパパインで処理すると、ヒンジ部(Y字の分かれ目)の上部で切断され、抗原と結合する2つの「Fab」と、マクロファージ等に結合する1つの「Fc」の、合計3つの断片に分かれます。
  • 5.誤り(H鎖のアイソタイプ)
    免疫グロブリンのクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)を決定するのは、「H鎖の定常部(アイソタイプ)」の構造の違いです。

ポイント(酵素処理による違い)

「最終的にいくつのパーツに分かれるか」を視覚的に覚えましょう。

処理酵素 覚え方のゴロ・イメージ 得られる断片
パパイン パパッ3つに切り分ける 合計3つ
※Fabが2つ、Fcが1つ
ペプシン 上半身が1つにくっついたまま 合計1つ
※F(ab’)2が1つ(Fcは細かく分解)
さい
さい
抗体を人に例えるなら、N末端側が「敵を捕まえる両手(可変部)」、C末端側が「足(定常部)」です。これをイメージすると、構造問題がグッと解きやすくなりますよ。

さいの補足(弱点補強:非共有結合と特異性)

抗原抗体反応の「非共有結合」は一つひとつの力は弱いですが、抗原と抗体の形が「鍵と鍵穴」のようにピッタリ合うことで、複数の力が同時に働いて強固に結合します。この立体構造の適合性が、抗原抗体反応の「特異性」を生み出しています。

問80:アレルギー(過敏症)の分類とメカニズム

【問題】
Ⅱ型アレルギーで正しいのはどれか。

  • 1.補体による細胞障害が起こる。
  • 2.抗原と感作T細胞の結合で生じる。
  • 3.アナフィラキシーショックを起こす。
  • 4.免疫複合体の組織沈着が原因となる。
  • 5.肥満細胞の活性化でヒスタミンが放出される。
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正答:1

【解説】CoombsとGellの分類(I型〜IV型)

アレルギー反応(過敏症)は、その発生メカニズムによってⅠ型からⅣ型の4つに分類されます。Ⅱ型アレルギーは「細胞傷害型」と呼ばれ、自分の細胞を異物とみなして抗体が結合し、細胞を直接破壊してしまう反応です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.正しい(Ⅱ型:細胞傷害型)
    Ⅱ型アレルギーでは、赤血球や血小板などの細胞表面の抗原に対してIgGやIgM抗体が結合します。これを標的として「補体」が活性化したり、マクロファージなどが攻撃したりすることで細胞が破壊(細胞障害・溶血)されます。
  • 2.誤り(Ⅳ型:遅延型)
    抗体ではなく「感作T細胞(細胞性免疫)」が主役となって炎症を起こすのは、Ⅳ型アレルギーの特徴です。反応が出るまでに時間がかかるため遅延型と呼ばれます。
  • 3.誤り(Ⅰ型:即時型)
    アナフィラキシーショックは、数分〜数十分で急激に症状が出るⅠ型アレルギー(即時型)の最も重篤な例です。
  • 4.誤り(Ⅲ型:免疫複合体型)
    抗原と抗体が結合した塊(免疫複合体)が血流に乗って腎臓の糸球体や関節などに沈着し、そこで炎症を引き起こすのはⅢ型アレルギーの特徴です。
  • 5.誤り(Ⅰ型:即時型)
    肥満細胞(マスト細胞)の表面にあるIgE抗体に抗原(花粉など)が結合し、ヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されてアレルギー症状(蕁麻疹や鼻水)が出るのは、Ⅰ型アレルギーの代表的なメカニズムです。

【頻出】アレルギーの分類と覚え方まとめ

「型の名前」と「関与する物質」と「代表疾患」をセットで完璧に暗記しましょう。

分類 名称(ゴロ) 関与する抗体・細胞 代表的な疾患
Ⅰ型 アナフィラキシー型( IgE、肥満細胞 アナフィラキシー、気管支喘息、花粉症
Ⅱ型 細胞傷害型( IgG、IgM、補体 不適合輸血、AIHA、重症筋無力症、Goodpasture症候群
Ⅲ型 免疫複合体型(メン 免疫複合体、補体 全身性エリテマトーデス(SLE)、急性糸球体腎炎、血清病
Ⅳ型 遅延型( T細胞、マクロファージ ツベルクリン反応、接触性皮膚炎(金属アレルギー)

暗記方法・覚え方のコツ(あさのメンチ)

  • アレルギーの名称はI型から順に「あさのメンチ」というゴロで一発暗記できます。
  • :アナフィラキシー型(I型)
  • :細胞傷害型(II型)
  • メン:免疫複合体型(III型)
  • :遅延型(IV型)
  • ※もしかしたら出るかもしれないV型(受容体刺激型・バセドウ病など)を含めて、「あさのメンチと刺身(刺激)」と覚えるのもおすすめです!
さい
さい
Ⅱ型とⅢ型はどちらも「IgGやIgM抗体」が関与するため混同しやすいですが、「標的の細胞に直接くっついて壊すのがⅡ型」「血液中をフワフワ漂う塊(複合体)が組織に引っかかって悪さをするのがⅢ型」とイメージを分けておきましょう。

さいの補足(弱点補強:Ⅴ型アレルギーについて)

近年では、Ⅱ型アレルギーの特殊なパターンとして、受容体(レセプター)に対する自己抗体が結合して細胞の機能を「異常に高めてしまう(刺激してしまう)」ものを「Ⅴ型(受容体刺激型)」と独立して分類することがあります。代表疾患は、甲状腺機能亢進症を引き起こす「バセドウ病」です。

問81:自己免疫疾患と特異的な自己抗体

【問題】
疾患と検出される自己抗体の組合せで誤っているのはどれか。

  • 1.悪性貧血 抗内因子抗体
  • 2.Basedow病 抗TSHレセプター抗体
  • 3.関節リウマチ〈RA〉 抗CCP抗体
  • 4.Goodpasture症候群 抗アセチルコリンレセプター抗体
  • 5.原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉 抗ミトコンドリア抗体
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正答:4

【解説】疾患名と標的(ターゲット)を見極める

自己免疫疾患は、自分自身の特定の臓器や細胞を「異物」と勘違いして攻撃する自己抗体が作られることで発症します。どの病気で、どの自己抗体が出るのかを正しくペアで覚えることが必須の分野です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.正しい
    悪性貧血は、ビタミンB12の吸収に必要な「内因子」や、それを分泌する「胃壁細胞」に対する自己抗体(抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体)が産生されることで生じる巨赤芽球性貧血です。
  • 2.正しい
    Basedow(バセドウ)病は、甲状腺のTSH受容体を常に刺激し続ける「抗TSHレセプター抗体(TRAb)」が作られ、甲状腺機能亢進症を引き起こします。
  • 3.正しい
    関節リウマチ〈RA〉では、リウマトイド因子(RF)に加えて、極めて特異度が高い「抗CCP(環状シトルリン化ペプチド)抗体」が診断マーカーとして検出されます。
  • 4.誤り(抗糸球体基底膜抗体が正解)
    Goodpasture(グッドパスチャー)症候群で検出されるのは「抗糸球体基底膜(GBM)抗体」であり、肺や腎臓が障害されます。「抗アセチルコリンレセプター抗体」は、神経からの指令が筋肉に伝わらなくなる重症筋無力症(MG)で検出されるため、この組み合わせは誤りです。
  • 5.正しい
    原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉は、肝内の小型胆管が破壊される疾患で、非常に高い確率で「抗ミトコンドリア抗体(AMA:特にM2分画)」が陽性となります。

暗記方法・覚え方のコツ

今回登場した自己免疫疾患と自己抗体の組み合わせを、覚えやすいゴロで表にまとめました。

疾患名 自己抗体 覚え方のゴロ・イメージ
悪性貧血 抗内因子抗体 悪人(悪性・内因子)
Basedow病 抗TSHレセプター抗体 Tシャツ(TSH)着たバセドウさん
関節リウマチ 抗CCP抗体 リウマチにシーシー湿布(CCP)
Goodpasture症候群 抗糸球体基底膜抗体 グッド地球(糸球体)
重症筋無力症 抗アセチルコリン
レセプター抗体
重傷(アセチルコリン)
原発性胆汁性胆管炎(PBC) 抗ミトコンドリア抗体 ピーピー(PBC)泣いてるミトコちゃん
さい
さい
この手の問題は、ゴロのイメージを音で覚えるのが一番効率的です!「グッドな地球」や「悪人」など、少し強引なくらいが本番の試験中にふと思い出しやすくなりますよ。

さいの補足(甲状腺疾患の引っかけ)

バセドウ病(甲状腺機能亢進)と橋本病(甲状腺機能低下)の自己抗体の違いは超頻出の引っかけです。バセドウ病は「抗TSHレセプター抗体」ですが、橋本病は「抗サイログロブリン抗体」や「抗TPO(甲状腺ペルオキシダーゼ)抗体」が検出されます。必ず対比して覚えておきましょう。

問82:梅毒血清検査の特徴と鑑別(免疫学)

【問題】
梅毒血清検査で正しいのはどれか。

  • 1.TPPA法では担体として炭素粒子を用いる。
  • 2.生物学的偽陽性〈BFP〉はRPR法で認められる。
  • 3.RPR法では検査前に血清の不活化が必要である。
  • 4.スクリーニング検査としてTP抗原の検出が行われている。
  • 5.FTA-ABS法によるIgG型TP抗体の検出は先天梅毒の診断に有用である。
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正答:2

【解説】STS法とTP抗原法の違いをマスターする

梅毒の血清検査は、大きく分けて「STS法(非トレポネーマ脂質抗原検査)」と「TP抗原法(トレポネーマ抗原検査)」の2種類があります。この2つの検査の目的や特徴、使用する担体の違いを比較して覚えることが国試攻略のカギとなります。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(TPPA法はゼラチン粒子)
    TPPA法の「P」はParticle(粒子)ですが、具体的には「人工ゼラチン粒子」を担体として用います。炭素(カーボン)粒子を用いるのはSTS法である「RPRカードテスト」です。
  • 2.正しい(BFPはSTS法の特徴)
    生物学的偽陽性(BFP)とは、梅毒感染がないのに自己免疫疾患(SLEなど)や妊娠、加齢などによりSTS法(RPR法など)が陽性になってしまう現象です。脂質抗原を用いるため交差反応が起きやすいのが原因です。
  • 3.誤り(RPR法は不活化不要)
    RPR(Rapid Plasma Reagin)法は、その名の通り「迅速(Rapid)」に検査ができるよう改良された方法であり、血清の非特異的反応を防ぐための加熱処理(不活化)は不要です。※VDRL法 → 補体失活のため56℃30分加熱
    RPR法 → 不活化不要
  • 4.誤り(抗体の検出)
    現在の梅毒スクリーニング検査(RPR法やTPPA法など)は、TPそのもの(抗原)を検出するのではなく、TP抗原を用いて患者血清中の抗TP抗体を検出する。
  • 5.誤り(IgM型の検出が必要)
    IgG型抗体は胎盤を通過して母親から胎児へ移行するため、新生児からIgGが検出されても赤ちゃん自身が感染している(先天梅毒)とは限りません。感染を証明するには、胎盤を通過しない「IgM型抗体」を検出する必要があります。

【頻出】梅毒血清検査の2大グループ比較

項目 STS法(非特異的検査) TP抗原法(特異的検査)
代表的な検査 RPRカードテスト TPPA法、FTA-ABS法
使用する担体 炭素(カーボン)粒子 ゼラチン粒子(TPPA法)
BFP(偽陽性) あり(SLE、妊娠など) 極めて少ない
治療後の陰性化 しやすい(治療効果の判定に有用) しにくい(治癒後も長期間陽性)

暗記方法・覚え方のコツ(担体の違い)

  • TPPA法:「タッパー(TPPA)ゼラチン(ゼリー)を入れる」と身近なものに置き換えて👍。
  • RPR法:別名「RPRカードテスト」です。白いカードの上で「黒い炭素(カーボン)」のツブツブ(凝集)を見る、という実際の検査風景と結びつけるのが一番確実です。
さい
さい
梅毒の検査は、まず安価で感度の高い「STS法」でスクリーニングし、陽性なら特異度の高い「TP抗原法」で確定診断をする、という2段階構えで行うのが基本です。この流れを意識するとそれぞれの役割が理解しやすくなります。

さいの補足(弱点補強:プロゾーン現象)

RPR法では、患者の血清中に抗体が「多すぎる」と、かえって凝集が弱くなったり陰性に見えたりする「プロゾーン現象(抗体過剰)」が起きることがあります。HIVとの重複感染や2期梅毒などで抗体価が異常に高い場合に起こりうるため、検査技師として注意すべきポイントです。

問83:抗核抗体(ANA)の蛍光染色パターンと自己抗体

【問題】
HEp-2細胞を核材に用いた間接蛍光抗体法による抗核抗体の染色パターン(別冊No. 15)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

  • 1.抗Jo-1抗体
  • 2.抗RNP抗体
  • 3.抗dsDNA抗体
  • 4.抗セントロメア抗体
  • 5.抗ミトコンドリア抗体
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正答:2

【読影のポイント】分裂期細胞の「染色体」に注目する

提示された画像を見ると、間期細胞(分裂していない丸い核)全体が細かいツブツブ状に染まる「斑点型(Speckled pattern)」を示しています。さらに決定的な所見として、画像左上にある「分裂期細胞」の中央部分(凝縮した染色体)が黒く抜けて陰性になっています。これが斑点型を強く支持する重要所見です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(抗Jo-1抗体は細胞質型)
    多発性筋炎・皮膚筋炎で見られる抗Jo-1抗体は、核ではなく「細胞質」が微細な顆粒状に染まります。(細胞質微細斑紋型)
  • 2.正しい(抗RNP抗体は斑点型)
    混合性結合組織病(MCTD)やSLEで陽性となる抗U1-RNP抗体(および抗Sm抗体)は、典型的な「斑点型」を示します。分裂期細胞の染色体領域が染まらない(陰性になる)ことが最大の特徴です。
  • 3.誤り(抗dsDNA抗体は均質型)
    SLEに特異的な抗dsDNA抗体は、核全体がベタ塗りに近い「核均質型(Homogeneous)」を示します。最大の鑑別点は、分裂期細胞の染色体領域が陽性(強く光る)になる点です。
  • 4.誤り(抗セントロメア抗体はセントロメア型)
    強皮症(CREST症候群)で見られる抗セントロメア抗体は、核内に40〜60個の明瞭なドットが見え、分裂期には染色体の赤道面上にドットが1列に整列します。
  • 5.誤り(抗ミトコンドリア抗体は細胞質型)
    原発性胆汁性胆管炎(PBC)で見られる抗ミトコンドリア抗体は、核は染まらず、細胞質が粗い顆粒状に染まります。(細胞質網状型)

【頻出】HEp-2細胞:抗核抗体パターンの見分け方

染色パターン 間期細胞の核 分裂期細胞の染色体 対応する主な自己抗体
均質型 (Homogeneous) 均一に染まる 陽性(光る) 抗dsDNA抗体、抗ヒストン抗体
斑点型 (Speckled) ツブツブ(斑点) 陰性(黒く抜ける) 抗U1-RNP抗体、抗Sm抗体
セントロメア型 40〜60個の点 赤道面にドットが並ぶ 抗セントロメア抗体
核小体型 (Nucleolar) 核小体のみ染まる 陰性 抗Scl-70抗体、抗RNAポリメラーゼIII

抗核抗体の見方

蛍光抗体の写真が出たら、全体をぼんやり見るのではなく「分裂している細胞」を真っ先に1つ探してください。

  • ① 真ん中の染色体が「ベタッと光っている」 ⇒ 均質型(抗dsDNA)
  • ② 真ん中の染色体が「真っ黒に抜けている」 ⇒ 斑点型(抗RNP)
さい
さい
この「分裂期細胞を見る」というテクニックを知っているだけで、割と鑑別しやすくなります。今回の別冊写真でも、左中央寄りの大きい細胞に『黒い帯(染色体)』を挟んだ細胞がはっきり写っています。

さいの補足(疾患との結びつき)

抗U1-RNP抗体が極めて高い力価で単独陽性になる疾患といえば「混合性結合組織病(MCTD)」です。SLE、全身性強皮症、多発性筋炎の3つの症状が混ざり合う病気ですね。染色パターン(斑点型)と抗体名と疾患名を頭に入れましょう。

問84:血液型抗原の生化学的性状(糖鎖と蛋白)

【問題】
糖鎖系抗原はどれか。

  • 1.ABO
  • 2.Diego
  • 3.Kidd
  • 4.MNS
  • 5.Rh
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正答:1

【解説】抗原の本体が「糖」か「タンパク質」か

赤血球の膜表面にある血液型抗原は、その構造から「糖鎖抗原(赤血球膜から生えた糖の鎖)」と「蛋白抗原(赤血球膜を貫通したり埋もれたりしているタンパク質)」の2つに大別されます。国家試験では、数が少ない「糖鎖抗原」を確実に暗記し、消去法で解くのが楽です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.正しい(糖鎖抗原)
    ABO式血液型は、赤血球膜の糖脂質や糖タンパク質の末端に結合した「糖鎖」が抗原の本体です(A型はN-アセチルガラクトサミン、B型はD-ガラクトースなど)。
  • 2.誤り(蛋白抗原)
    Diego(ディエゴ)血液型は、赤血球膜の主要な膜貫通タンパクである「バンド3(陰イオン交換輸送タンパク)」上に存在するため、蛋白抗原です。
  • 3.誤り(蛋白抗原)
    Kidd(キッド)血液型は、尿素輸送タンパク質上に存在する蛋白抗原です。
  • 4.誤り(蛋白抗原)
    MNS血液型は、赤血球膜の「グリコフォリンAおよびB」というタンパク質上に存在する蛋白抗原です。
  • 5.誤り(蛋白抗原)
    Rh血液型は、赤血球膜を12回貫通するRhポリペプチドというタンパク質上に存在する、代表的な蛋白抗原です。

【頻出】糖鎖抗原と蛋白抗原の分類まとめ

分類 該当する血液型 産生される主な抗体の性質
糖鎖抗原 ABO、P、I、Lewis(ルイス) 自然抗体が多い、主にIgM型(冷式)
蛋白抗原 Rh、Kidd、Duffy、Diego、MNS、Kellなど多数 免疫抗体が多い、主にIgG型(温式)

ポイント(糖鎖抗原)

  • 糖鎖抗原は種類が少ないため、ゴロでまとめて暗記し、それ以外は「蛋白抗原」と判断しましょう。
  • 『アピールする糖鎖!』
  • ・ア:ABO型
  • ・ピ:P型
  • ・ー:I(アイ)型
  • ・ル:Lewis(ルイス)型
さい
さい
MNS型は名前に「S(エス)」が入っているので糖鎖と勘違いしやすいですが、蛋白抗原なので引っかからないように注意!

さいの補足(弱点補強:抗体のクラスとの関係)

糖鎖抗原に対する抗体は、低温で反応しやすい「IgM型(自然抗体・冷式抗体)」になることが多いです。一方、蛋白抗原に対する抗体は、輸血や妊娠などの免疫刺激によって作られ、37℃で反応する「IgG型(免疫抗体・温式抗体)」になることが多いという法則があります。

問85:カラム凝集法による血液型判定と追加検査

【問題】
ABO・RhD血液型検査のカラム凝集像(別冊No. 16)を別に示す。必要な追加検査はどれか。

  • 1.スライド法
  • 2.抗体解離試験
  • 3.D陰性確認試験
  • 4.不規則抗体同定検査
  • 5.直接抗グロブリン試験
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正答:3

【読影のポイント】ABOの判定とRhDの落とし穴

まずはカラム凝集法(ゲル法)の画像から血液型を判定します。ゲルの上に赤血球が残っていれば「陽性」、底に沈んでいれば「陰性」です。

  • ① オモテ試験(抗原の確認):抗A、抗Bともに赤血球が底に沈んでいるため「陰性」= O型
  • ② ウラ試験(抗体の確認):A1赤血球、B赤血球ともに上に留まっているため「陽性」= O型
  • ③ オモテ・ウラの一致:矛盾がないため、ABO血液型は「O型」で確定です。
  • ④ RhD試験:抗Dが底に沈んでいるため、一見すると「RhD陰性」に見えます。ここがこの問題の最大のポイントです。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(感度低下)
    スライド法はカラム凝集法よりも感度が低く、客観的な判定にも劣るため、カラム法で保留となった結果の追加検査としては不適切です。
  • 2.誤り(オモテが陰性のため)
    抗体解離試験は、赤血球に自己抗体などが結合してオモテ試験が「偽陽性」になるような場合に行い、結合している抗体を引き剥がして調べる検査です。本症例はオモテ陰性なので不要です。
  • 3.正しい(D陰性確認試験)
    通常の抗D試薬(直接凝集反応)で陰性であっても、D抗原の量が極端に少ない「Weak D」や、D抗原の一部を欠損している「Partial D」である可能性が否定できません。これらを見逃さないため、間接抗グロブリン試験を用いた「D陰性確認試験」を必ず実施する必要があります。
  • 4.誤り(不一致がないため)
    不規則抗体同定検査は、ウラ試験で本来反応しないはずの血球が凝集する(オモテ・ウラ不一致)などの異常が見られた場合に行います。本症例は綺麗なO型を示しており不要です。
  • 5.誤り(自己凝集がないため)
    直接抗グロブリン試験(DAT)は、生体内で赤血球に抗体が感作しているか(くっついているか)を調べる検査です。コントロールが陰性であり自己凝集も疑われないため、必須の追加検査ではありません。

学習のポイント(Weak DとPartial D)

D抗原の変異型には以下の2種類があり、これらを見つけるのがD陰性確認試験の目的です。

  • Weak D:D抗原の形は正常だが、「数」が極端に少ない状態。
  • Partial D:D抗原の数はあるが、「形(エピトープ)」の一部が欠損している状態。
さい
さい
RhD型の検査で「陰性」が出た場合、輸血検査の世界では即座に「本当の陰性か?それともWeak Dか?」と疑うのが鉄則です。

さいの補足(受血者と供血者の違い)

実は、Weak DやPartial Dの患者さんが「輸血を受ける側(受血者)」の場合は、抗D抗体を作ってしまうリスクを避けるため、原則として「RhD陰性」として扱い、D陰性血を輸血します。逆に「献血する側(供血者)」の場合は、受血者にD抗原を入れてしまうことになるため「RhD陽性」として扱います。この立場の違いもよく出題されます。

問86:交差適合試験(主試験と副試験)の原理

【問題】
交差適合試験の主試験が陽性になる原因はどれか。2つ選べ。

  • 1.患者赤血球の汎赤血球凝集反応。
  • 2.患者が直接抗グロブリン試験陽性。
  • 3.患者が不規則抗体を保有している。
  • 4.供血者が不規則抗体を保有している。
  • 5.患者と供血者のABO血液型が異なる。
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正答:3、5

【解説】主試験と副試験の「組み合わせ」を死守する

交差適合試験(クロスマッチ)は、輸血前に患者と供血者(ドナー)の血液が適合するかを確認する最後の砦となる検査です。どちらの血清と血球を混ぜ合わせるのか、その組み合わせを理解しなければなりません。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(副試験に影響)
    患者赤血球が自己抗体や補体で感作され自己凝集性を示す場合、副試験や自己対照で陽性となることがあるが、主試験陽性の直接原因とはならないです。
  • 2.誤り(副試験に影響)
    直接抗グロブリン試験(DAT)陽性とは、患者自身の赤血球に抗体が結合している状態です。DAT陽性例では患者赤血球がすでにIgGや補体で感作されているため、副試験や自己対照の判定に影響することがあります。
  • 3.正しい(主試験が陽性)
    主試験は「患者の血清」と「供血者の赤血球」を反応させます。患者の血清中に不規則抗体(同種抗体)が存在し、それが供血者の赤血球上の抗原と反応した場合、主試験は陽性(不適合)となります。
  • 4.誤り(副試験に影響)
    供血者側の血清中に不規則抗体がある場合は、供血者の血清と患者の赤血球を反応させる「副試験」が陽性になります。
  • 5.正しい(主試験が陽性)
    ABO血液型が不適合の場合、患者の血清中に存在する自然抗体(抗Aや抗B)が、供血者の赤血球のABO抗原を激しく攻撃するため、主試験は強陽性となります。

【頻出】主試験と副試験のまとめ

試験名 反応させる組み合わせ 陽性になる主な原因
主試験 患者の血清 × 供血者の赤血球 患者の不規則抗体、ABO不適合
副試験 患者の赤血球 × 供血者の血清 供血者の不規則抗体、患者のDAT陽性

暗記方法・覚え方のコツ

  • 「輸血の主役は患者さん」と覚えましょう。主役(主試験)は患者さんのメインの武器である「血清(抗体)」を使います。
  • 逆に副試験は、脇役(供血者)の血清を使います。
さい
さい
主試験で陽性が出た血液は「絶対に輸血してはいけない血液」です。体内で溶血反応が起き、命に関わる重大な副作用(不適合輸血)を引き起こすため、この検査の原理は臨床検査技師として最も重要な知識の一つです。

さいの補足(実務における副試験の省略)

国試では主試験と副試験の両方が問われますが、現在の実際の臨床現場では、事前の不規則抗体スクリーニングが陰性であれば、交差適合試験の「副試験」は省略可能とされています(コンピュータクロスマッチなどの導入による)。ただし、主試験の重要性は今も昔も変わりません。

問87:献血の採血基準と問診項目(輸血検査学)

【問題】
日本国内の献血時に使用する問診票の質問事項に含まれないのはどれか。

  • 1.妊娠回数
  • 2.海外渡航歴
  • 3.予防接種歴
  • 4.発熱を伴う下痢
  • 5.出血を伴う歯科治療
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正答:1

【解説】安全な血液を確保するための制限基準

献血の問診票は、輸血を受ける患者さんを感染症から守ることと、献血者自身の健康を守ることの2つの目的があります。国家試験では「何日(何ヶ月)経てば献血できるか」という基準とセットで出題されます。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.含まれない(正解)
    問診票では「現在妊娠・授乳中か」「6ヶ月以内に出産・流産をしたか」および「過去に妊娠歴があるか(TRALI対策)」は確認しますが、過去の具体的な「妊娠回数」までは質問事項に含まれていません。
  • 2.含まれる
    海外からの未知の感染症(マラリアやデング熱など)の流入を防ぐため、帰国(入国)後4週間以内は献血ができません。
  • 3.含まれる
    ワクチンの種類によって制限があります。インフルエンザ等の不活化ワクチンは接種後24時間、麻疹等の弱毒生ワクチンは接種後4週間などの基準が設けられています。
  • 4.含まれる
    感染性腸炎などにより、病原体が血液中に移行している可能性(菌血症)があるため、症状消失後から一定期間(3日間など)は献血ができません。
    (発熱や下痢など感染症を疑う症状がある場合は献血できない)
  • 5.含まれる
    抜歯や歯石除去など出血を伴う歯科治療を行うと、口の中の常在菌が血液中に入る「一過性菌血症」を起こすリスクがあるため、治療後3日間は献血が制限されます。

【頻出】献血ができない期間の目安まとめ

事象 献血見合わせ期間の基準
出血を伴う歯科治療 治療後3日間
海外からの帰国 帰国後4週間(※国・地域により例外あり)
不活化ワクチン(インフルエンザ等) 接種後24時間
弱毒生ワクチン(麻疹、風疹など) 接種後4週間
ピアスの穴あけ(医療機関以外) 施術後6ヶ月間(※医療機関は1ヶ月)
さい
さい
歯科治療の「3日間」は国試でとてもよく狙われます。ただの虫歯治療ではなく「出血を伴う(=血管内に菌が入る)」という点がポイントです。歯石除去(スケーリング)も出血を伴うため制限の対象になります。

さいの補足(弱点補強:妊娠歴とTRALI)

問診票で「妊娠歴の有無」を聞く理由は、輸血関連急性肺障害(TRALI)を防ぐためです。妊娠経験のある女性は、胎児の白血球に感作されて「抗HLA抗体」を保有している確率が高くなります。この抗体が混入した血漿製剤を輸血するとTRALIを引き起こすリスクがあるため、日本赤十字社では妊娠歴のある女性からの血液は、FFP(新鮮凍結血漿)などの血漿製剤には使用しないという安全対策をとっています。

問88:血管内溶血と血管外溶血の鑑別(輸血検査学)

【問題】
輸血後の血管外溶血で正しいのはどれか。

  • 1.補体が関与する。
  • 2.ヘモグロビン尿を認める。
  • 3.ABO不適合輸血で起こる。
  • 4.間接ビリルビンが上昇する。
  • 5.血中ハプトグロビンが低下する。
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正答:4

【解説】赤血球が「どこで」壊されるかの違い

輸血副作用である溶血反応は、赤血球が破壊される場所によって「血管内溶血」と「血管外溶血」に分けられます。それぞれの原因と、破壊された後に現れる検査値の特徴(マーカー)を対比して覚えることが必須です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(血管内溶血)
    補体が最後まで活性化して膜攻撃複合体(MAC)を作り、赤血球を直接破壊するのは「血管内溶血」の特徴です。血管外溶血は主にマクロファージによる貪食がメインです。
  • 2.誤り(血管内溶血)
    血管の中で赤血球が壊れ、大量のヘモグロビンが血中に溢れ出して尿に混じる「ヘモグロビン尿」は、血管内溶血の典型的なサインです。
  • 3.誤り(血管内溶血)
    ABO不適合輸血は、IgM抗体と補体の強力な活性化によって、激しい「血管内溶血」を引き起こします。
  • 4.正しい(血管外溶血)
    血管外溶血では、脾臓や肝臓のマクロファージに食べられた赤血球の中でヘモグロビンが代謝され、「間接ビリルビン」となって血中に放出されるため値が上昇します。
  • 5.誤り(主に血管内溶血)
    遊離したヘモグロビンと結合して処理する「ハプトグロビン」が著明に低下(枯渇)するのは血管内溶血の最大の特徴です。

【頻出】血管内溶血と血管外溶血の比較

項目 血管内溶血 血管外溶血
破壊される場所 血管の中 脾臓や肝臓(マクロファージ)
主な原因 ABO不適合(IgM抗体) Rh等の不規則抗体(IgG抗体)
特徴的な検査所見 ヘモグロビン尿、ハプトグロビン著減 間接ビリルビン上昇

暗記方法・覚え方のコツ(イメージ付け)

  • 血管内溶血:「血管の中で爆発!」⇒中身(ヘモグロビン)が直接血中にバラまかれるので、尿が赤くなり、掃除役のハプトグロビンが使い果たされる。
  • 血管外溶血:「脾臓でひっそり解体」⇒マクロファージの中で丁寧に分解されるので、最終産物である間接ビリルビンが増える。
さい
さい
ABO不適合は「即時型(すぐ起きる・激しい・血管内)」、Rhなどの不適合は「遅発型(数日後に起きる・マイルド・血管外)」という時間軸のイメージを持っておくことも実務において非常に重要です。

さいの補足(選択肢5のひっかけ)

ハプトグロビンの低下は「血管内溶血」の非常に強いサインですが、実は血管外溶血でも少し低下することがあります。そのため「血管外溶血で正解を1つ選べ」と言われた場合は、より確実な『間接ビリルビンの上昇』を選ぶのが国家試験のセオリーとなります。

問89:非溶血性輸血反応と原因の鑑別

【問題】
非溶血性輸血反応と原因の組合せで正しいのはどれか。

  • 1.高カリウム血症 クエン酸
  • 2.輸血関連循環過負荷 抗白血球抗体
  • 3.アナフィラキシー反応 不規則抗体
  • 4.輸血後移植片対宿主病 供血者由来リンパ球
  • 5.非溶血性発熱性輸血反応 規則抗体
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正答:4

【解説】重大な輸血副作用のターゲットを見極める

赤血球が壊れる「溶血性」以外の輸血副作用(非溶血性輸血反応)は、アレルギーや白血球、保存液など様々な要因で引き起こされます。それぞれの副作用が「何によって」引き起こされるのかを正確に紐付けることが重要です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.誤り(低カルシウム血症の原因)
    血液の保存液であるクエン酸は、血液中のカルシウムと結合して「低カルシウム血症」を引き起こします。高カリウム血症は、古くなった赤血球からカリウムが漏れ出すことが原因です。
  • 2.誤り(容量負荷が原因)
    輸血関連循環過負荷〈TACO〉は、心機能が低下した患者などに急速かつ大量の輸血を行うことで、血液量がパンクして(容量過負荷)起こります。抗白血球抗体が原因となるのは輸血関連急性肺障害〈TRALI〉です。
  • 3.誤り(抗IgA抗体などが原因)
    アナフィラキシーは、IgA欠損症の患者が持つ「抗IgA抗体」が、輸血された血漿中のIgAと反応して起こる重篤なアレルギー反応です。不規則抗体は「溶血性輸血反応」の原因になります。
  • 4.正しい(供血者のTリンパ球)
    輸血後移植片対宿主病〈PT-GVHD〉は、輸血血液に含まれる「供血者由来のTリンパ球」が患者の体を攻撃する致死率の高い副作用です。
  • 5.誤り(抗白血球抗体やサイトカインが原因)
    非溶血性発熱性輸血反応〈FNHTR〉は、患者の持つ抗白血球抗体や、保存中に白血球から放出されたサイトカインが原因で発熱します。規則抗体(抗A、抗B)は「急性溶血性輸血反応」の原因です。

【頻出】非溶血性輸血反応と予防策まとめ

副作用名 主な原因 有効な予防策
PT-GVHD 供血者のTリンパ球 放射線照射(15〜50Gy)
FNHTR(発熱) 抗白血球抗体、サイトカイン 白血球除去処理(LR)
TRALI(肺障害) 供血者血漿中の抗HLA抗体・抗HNA抗体 男性または妊娠歴のない女性からの採血
TACO(循環過負荷) 容量負荷(輸血量や速度が過剰) 輸血速度の調整、利尿薬
アナフィラキシー 抗IgA抗体など 洗浄赤血球の使用

暗記方法・覚え方のコツ(TACOとTRALI)

名前が似ていて間違えやすい2つの呼吸器系副作用は、英語のニュアンスで区別しましょう。

  • TACOの「O」はOverload(オーバーロード=過負荷・パンク)のO。水が多すぎるイメージ。
  • TRALIの「I」はInjury(インジュリー=傷害)のI。抗体によって肺が直接傷つけられるイメージ。
さい
さい
血液バッグに「放射線」を当てるのはPT-GVHDを防ぐため、「フィルター(LR)」を通すのはFNHTRを防ぐためです。

さいの補足(PT-GVHDのリスク)

PT-GVHDは、免疫が低下している患者だけでなく、実は「免疫が正常な人」でも起こります。特に「血縁者(親族)からの輸血」は、HLAの型が中途半端に似ているため、患者の免疫細胞が供血者のリンパ球を「敵」と認識できず見逃してしまい、結果的にPT-GVHDの発生リスクが高くなるという恐ろしい特徴があります。そのため、現在では親族間の輸血は推奨されていません。

臨床免疫学(午後)の解説まとめは以上です

第72回の午後問題、お疲れ様でした!
一歩踏み込んだ応用力や画像読影力が試される内容でした。

特に輸血検査分野は、血液型抗原の分類や副作用のメカニズムなど、一度理論とルールを理解してしまえば得点源になります。丸暗記に頼らず、なぜその反応が起きるのかという流れに目を向けて復習を進めてみてください。

さい
さい
免疫や輸血は覚える略語が多くて大変ですが、それぞれの言葉の由来や意味を理解することが大切と思います。焦らず一つずつマスターしていきましょう!

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