こんにちは!臨床検査技師のさいです。
今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題から、「病理組織細胞学」の解説をまとめてみました!
脱灰やPAS反応・酵素抗体法といった重要な染色技術から、染色体異常や遺伝性腫瘍・肉芽組織といった病態の理解、さらには肺の組織像や甲状腺・喀痰・子宮頸部(HSIL)の細胞診画像まで、実戦的で形態学の知識がたっぷり詰まった出題でした。
覚えることが多くて壁にぶつかることもあるかもしれませんが、病理は「ミクロの構造から原因を突き止める」という分野です。「なぜこの前処理が必要なのか?」「なぜこの細胞の核が変形しているのか?」というメカニズムから覚えるようにすると、暗記が楽になったりもします。
間違いがあったらSNSのDMなどで教えてください!
僕が受験生の頃、教科書や参考書の文字だけではどうしても「実際の顕微鏡画像」をどう読めばいいのかわからずに悩んでいました。試験本番でも迷わないための「見え方のコツ」を文字化して作成しています。少しでもみなさんの国試勉強の役に立てれば幸いです。
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床検査技師国試 午後【病理組織細胞学】
全選択肢の正誤理由と覚え方まとめ(問45〜58)
午後 問45:組織の脱灰法
【問題】
脱灰で誤っているのはどれか。
- 1.温度が高いほど脱灰速度が速い。
- 2.組織は脱灰液の上層ないし中層に置く。
- 3.プランク・リクロ液には硫酸が含まれる。
- 4.脱灰後の中和には硫酸ナトリウムを用いる。
- 5.EDTA液は免疫組織化学染色を目的とした場合に用いる。
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正答:3
【解説】骨を切るための必須工程「脱灰」
「脱灰(だっかい)」とは、骨や歯などの硬い組織からカルシウムを抜き取り、ミクロトームの刃で薄く切れるように柔らかくする工程です。強力な「酸」を使う方法と、マイルドな「キレート剤」を使う方法があり、国試ではそれぞれの特徴と成分がよく問われます。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.正しい
化学反応なので、温度が高いほどカルシウムの溶出は早くなります。しかし、温度を上げすぎると組織がボロボロになってしまうため、通常は室温(または冷蔵)で時間をかけて行います。 - 2.正しい
組織から溶け出したカルシウムは重いため、液の底に沈んでいきます。そのため、組織を液の「上層〜中層」に吊るしておくと、常に新鮮な液が組織に触れて効率よく脱灰できます。 - 3.誤り(正解)
代表的な酸脱灰液である「プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液」の主成分は、塩化アルミニウムと塩酸です。硫酸は含まれません。 - 4.正しい
プランク・リクロ液などの強い酸を使った後は、組織が酸性に傾いて染色性が悪くなるため、「硫酸ナトリウム」などの弱アルカリ性水溶液で中和(水洗)する必要があります。 - 5.正しい
EDTAはカルシウムだけを優しく引き抜く「キレート剤」です。酸と違って組織のタンパク質(抗原)を壊さないため、脱灰後に免疫組織化学染色をしたい場合の第一選択となります。
暗記方法・覚え方のコツ
- プランク・リクロ液:「プランク(プランク・リクロ)中に、塩酸とアルミで筋肉痛!」と覚えましょう(硫酸は出てきません)。
- EDTA脱灰:「免疫染色には、え(E)ぇで(D)〜!た(TA)まらん優しさ!」でマイルドさを暗記。
さいの補足
脱灰が「終わったかどうか(終末判定)」を見極める方法も知っておくべきです。針を刺して硬さを確かめる物理的判定(組織が傷むの可能性あり)、レントゲンでカルシウムの影を見るX線判定(最も確実だが手間)、液中のカルシウム濃度を測る化学的判定の3つがあります。
午後 問46:PAS反応の特徴とシッフ試薬
【問題】
PAS反応で正しいのはどれか。
- 1.シッフ試薬の作製には濃硫酸を用いる。
- 2.シッフ試薬には酸性フクシンが含まれる。
- 3.シッフ試薬の効力の確認には95%エタノールを用いる。
- 4.グリコーゲン検出の場合セロイジン被膜法が有効である。
- 5.ボイルドシッフ試薬に比べコールドシッフ試薬は染色性が弱い。
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正答:4
【解説】グリコーゲンは水に溶けやすい!
PAS反応は、多糖類(グリコーゲンや真菌の細胞壁など)を赤紫色に染め出す超重要染色です。過ヨウ素酸でアルデヒド基を生じさせ、そこに無色の「シッフ試薬」が結合して発色します。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
シッフ試薬の作製には「塩酸」と、還元剤である「亜硫酸水素ナトリウム」などを用います。濃硫酸は使用しません。 - 2.誤り
シッフ試薬に含まれる色素は「塩基性フクシン」です。酸性フクシンはマッソントリクローム染色(筋線維を赤く染める)などで使われます。 - 3.誤り
シッフ試薬が古くなっていないか(効力)を確認するには「ホルマリン」を1滴垂らします。ホルマリンのアルデヒド基と瞬時に反応して赤紫色になれば、試薬は有効と判断できます。 - 4.正しい
ターゲットとなるグリコーゲンは「水溶性」です。染色液に浸している間に水に溶けて逃げてしまわないよう、切片の表面を「セロイジン」という薄い膜でコーティングして蓋をする方法が非常に有効です。 - 5.誤り
シッフ試薬には加熱して作るボイルドと、常温で作るコールドがあります。一般的に「コールドシッフ試薬」の方が染色性が強いという特徴があります。
暗記方法・覚え方のコツ
- シッフ試薬の基本:「塩基(塩基性フクシン)が基本!確認はホルマリンで!」
- グリコーゲンの性質:「水に溶けちゃうから、セロハンテープ(セロイジン被膜)で保護!」と視覚的イメージで暗記補助👍
さいの補足
もしPAS反応で組織が赤紫色に染まった時、「これが本当にグリコーゲンなのか、それとも別の多糖類なのか?」を確かめる方法があります。
それが「ジアスターゼ消化試験」です。ジアスターゼという酵素はグリコーゲンだけを分解するので、この酵素をかけた後に染まらなくなったら「あ、これはグリコーゲンだったんだな」と確定することができます。
午後 問47:酵素抗体法(免疫染色)の前処理
【問題】
ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いた酵素抗体法の内因性ペルオキシダーゼをブロックする試薬はどれか。
- 1.EDTA
- 2.カゼイン溶液
- 3.正常動物血清
- 4.クエン酸緩衝液
- 5.過酸化水素加メタノール
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正答:5
【解説】綺麗な免疫染色は「前処理」で決まる!
免疫染色(IHC)は、抗体を使って目的のタンパク質(抗原)を茶色く染め出す技術です。しかし、組織の中には最初から「発色剤(DAB)を茶色くしてしまう酵素」や、「抗体がベタベタくっつきやすい場所」が存在します。これらを事前にブロックしたり、ホルマリンで隠れた抗原を叩き起こしたりする「前処理」が非常に重要になります。
| 前処理の目的 | 使用する主な試薬 | 理由・メカニズム |
|---|---|---|
| 酵素のブロッキング | 過酸化水素加メタノール | もともと組織にあるペルオキシダーゼ(赤血球など)を破壊し、誤発色を防ぐ。 |
| タンパクのブロッキング | 正常動物血清、カゼイン、スキムミルク | 抗体が関係ない場所に吸着するのを防ぐため、あらかじめ無害なタンパク質でコーティングする。 |
| 抗原賦活化(熱処理) | クエン酸緩衝液、EDTA液 | ホルマリン固定でガチガチに固まったタンパク質の立体構造を、熱と液の力で元に戻す(露出させる)。 |
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
EDTAは、電子レンジやオートクレーブで熱をかけて「抗原賦活化」を行うためのアルカリ性(pH8〜9)のバッファーです。 - 2.誤り
カゼイン溶液は、非特異的な反応(バックグラウンドの汚れ)を防ぐための「タンパクブロッキング」に使われます。 - 3.誤り
正常動物血清も、二次抗体が余計な場所にくっつくのを防ぐ「タンパクブロッキング」の主役です。 - 4.誤り
クエン酸緩衝液は、EDTAと同様に「抗原賦活化」に用いる酸性(pH6)のバッファーです。 - 5.正しい
赤血球や好中球が持っている「内因性ペルオキシダーゼ」の働きを完全に失活させるため、過酸化水素(H2O2)を加えたメタノールで処理します。
暗記方法・覚え方のコツ
- 内因性ペルオキシダーゼ阻止:「ペルオキシダーゼは『過酸化水素(H2O2)』でやっつける!」と同じ物質名でリンク。
- 抗原賦活化:「クエン酸とEDTAは、熱湯風呂(加熱処理)の入浴剤!」
さいの補足
血が多すぎる組織(骨髄や血栓など)では、過酸化水素で処理しても内因性ペルオキシダーゼを抑えきれないことがあります。そんな時は、酵素を「ペルオキシダーゼ(HRP)」から「アルカリフォスファターゼ(AP)」に変更して、DABの茶色ではなく「赤色(Fast Redなど)」で発色させるという裏技もあったりします。
午後 問48:染色体異常と遺伝子疾患
【問題】
染色体数の異常を伴うのはどれか。
- 1.Wilson病
- 2.Marfan症候群
- 3.Klinefelter症候群
- 4.von Hippel-Lindau病
- 5.Duchenne型筋ジストロフィ
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正答:3
【解説】「数の異常」か「遺伝子の異常」かを見極めよう!
遺伝性疾患の問題は、染色体そのものの「数」が違うのか、染色体の中にある「遺伝子(DNAの配列)」がおかしいのかを区別することが最も重要です。国試で問われる「数の異常」は限られているので、確実に押さえておきましょう!
【各選択肢の正誤理由】
- 1.誤り
Wilson(ウィルソン)病は「銅」の代謝異常をきたす常染色体劣性遺伝疾患です。第13染色体にあるATP7B遺伝子の変異であり、数は46本で正常です。 - 2.誤り
Marfan(マルファン)症候群は結合組織の異常(高身長や大動脈解離など)をきたす常染色体優性遺伝疾患です。第15染色体の遺伝子変異です。 - 3.正しい
Klinefelter(クラインフェルター)症候群は、男性なのにX染色体が1本(またはそれ以上)多い「47, XXY」となる、性染色体の「数的異常」です。 - 4.誤り
von Hippel-Lindau(フォン・ヒッペル・リンドウ)(VHL)病は、網膜や中枢神経に血管腫ができる常染色体優性遺伝疾患です。第3染色体の遺伝子変異です。 - 5.誤り
Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィは、伴性(X連鎖)劣性遺伝疾患です。X染色体上のDMD遺伝子の変異であり、染色体の数自体は正常です。
暗記方法・覚え方のコツ
- 染色体の「数」の異常ベスト3:ダウン症候群(21トリソミー)、ターナー症候群(45, X)、クラインフェルター症候群(47, XXY)
- クラインフェルターの覚え方:「暗い(クライン)男(Y)が、バツ(X)2つ!」(XXYなので男性だけど女性化乳房などが見られる)
さいの補足
クラインフェルター症候群に関連して、細胞診や病理でよく問われるのが「バー小体(Barr body)」です。バー小体は「休んでいるX染色体」のことで、(X染色体の数-1)個だけ細胞の核に見られます。正常男性(XY)は0個ですが、クラインフェルター症候群(XXY)の患者さんは男性なのにバー小体が「1個」見られるのが特徴です。
午後 問49:喀痰細胞診(小細胞癌の同定)
【問題】
喀痰のPapanicolaou染色標本(別冊No. 9)を別に示す。出現している細胞はどれか。
- 1.塵埃細胞
- 2.腺癌細胞
- 3.小細胞癌細胞
- 4.気管支上皮細胞
- 5.扁平上皮癌細胞
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正答:3
【解説】細胞質が少ないく、核が押し合っている。
画像を見ると、青紫色に濃く染まった「核」だけがゴロゴロと集まっており、細胞の「体」である細胞質がほとんど見えません(裸核状)。さらに、核同士がピッタリとくっつき、お互いを押し潰し合って形が変形しています。これを「核相互圧排(molding:モールディング)」と呼び、小細胞癌の特徴です。
【各選択肢の解説と鑑別ポイント】
- 1.誤り
塵埃細胞(肺胞マクロファージ)は、外から吸い込んだゴミを食べる掃除屋です。豊かな細胞質の中に、黒い炭粉(カーボン)などを豊富に含んでいるのが特徴です。 - 2.誤り
腺癌細胞は、細胞質が立体的(ボール状や乳頭状など)に集まり、核の中に目立つ「核小体」を持つことが多いです。 - 3.正しい
小細胞癌細胞です。「裸核状(細胞質が乏しい)」「小型の細胞」「核相互圧排(molding)」「塩コショウ状クロマチン」が四大特徴です。 - 4.誤り
気管支上皮細胞は、細胞の頭にホウキのような「線毛」が生えている円柱状の正常細胞です。 - 5.誤り
扁平上皮癌細胞は、細胞質がオレンジ色(角化)に染まることが多く、オタマジャクシのような奇抜な形(多角形や線維型)になります。
暗記方法・覚え方のコツ
- 小細胞癌:「服(細胞質)を着てない裸の核たちが、満員電車でギューギュー詰め(核相互圧排)!」と覚えましょう。
- 塵埃細胞:「肺のルンバ!お腹(細胞質)の中に黒いゴミ(炭粉)がいっぱい!」
さいの補足
喀痰の細胞診標本で「小細胞癌」を見分ける時、一番間違えやすいのが「リンパ球」の集まりです。リンパ球も細胞質が少なく核が丸いからです。しかし、リンパ球はお互いの核を押し潰し合うような「molding(圧排)」は絶対にしません。細胞同士がめり込んでいるかどうかが、良性と悪性を見分ける超重要なポイントになります!
午後 問50:肉芽腫性炎と代表疾患
【問題】
類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患はどれか。
- 1.化膿性肺炎
- 2.間質性肺炎
- 3.偽膜性腸炎
- 4.サルコイドーシス
- 5.線維素性心外膜炎
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正答:4
【解説】マクロファージの最終形態「肉芽腫」!
病理学における「肉芽腫(にくげしゅ)」とは、処理しきれない異物や病原体に対して、マクロファージが「類上皮細胞」や「多核巨細胞」に変身して包み込んだ結節(かたまり)のことです。このような慢性炎症を「特異性炎(肉芽腫性炎)」と呼び、国試では原因疾患の暗記が必要となります。
| 肉芽腫の種類 | 特徴 | 代表的な疾患 |
|---|---|---|
| 非乾酪性肉芽腫 | 中心部に壊死を伴わない。細胞が綺麗に詰まっている。 | サルコイドーシス、クローン病 |
| 乾酪性肉芽腫 | 中心部がチーズ状(乾酪状)にドロドロに壊死する。 | 結核、梅毒(ゴム腫) |
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
化膿性肺炎は、好中球が大量に集まって膿を作る「化膿性炎」です。 - 2.誤り
間質性肺炎は、肺胞の壁(間質)にリンパ球やマクロファージが浸潤し線維化する病態です。類上皮細胞肉芽腫を特徴とするわけではありません。 - 3.誤り
偽膜性腸炎は、抗菌薬の影響でクロストリジウム・ディフィシルが異常増殖し、腸の粘膜に偽膜(線維素や壊死物質)を形成する「線維素性炎」の一種です。 - 4.正しい
サルコイドーシスは、全身の臓器(肺や眼、心臓など)に「非乾酪性類上皮細胞肉芽腫」を形成する原因不明の疾患です。 - 5.誤り
線維素性心外膜炎は、心臓の表面に線維素(フィブリン)が析出する「線維素性炎」です。絨毛心とも呼ばれます。
暗記方法・覚え方のコツ
- 肉芽腫の代表疾患:「サル(サルコイドーシス)と犬(結核)が、苦労(クローン病)してハンコ(ハンセン病)押す梅(梅毒)」と呪文のように覚えましょう!
- 非乾酪性(壊死なし)のツートップは「サルとクローン」です!
さいの補足
類上皮細胞は、マクロファージが敵を食べきれずに「靴の裏」みたいに平べったく変身した姿です。さらにそれらが合体して巨大化すると「多核巨細胞」になります。結核で見られる「ラングハンス巨細胞」や、異物の周りにできる「異物巨細胞」も、元を辿ればマクロファージ(掃除屋)たちなんですよ!
午後 問51:組織像の同定(肺組織の動脈)
【問題】
H-E染色標本(別冊No. 10)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
- 1.神経
- 2.動脈
- 3.肺胞
- 4.気管支
- 5.リンパ管
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正答:2
【解説】分厚い「ピンクの壁」が動脈の特徴!
画像を見ると、全体に網目状のスカスカな構造(肺胞)が広がっており、これが「肺の組織」であることが分かります。矢印が指しているのは、中心に空洞(管腔)があり、その周りを分厚いピンク色の壁が囲んでいる構造物です。この厚い壁は「平滑筋」であり、高い血圧に耐えるための動脈特有の構造です。
【各選択肢の組織学的特徴】
- 1.誤り
神経は中身が詰まった束状の構造をしています。今回のようなストロー状の空洞(管腔)はありません。 - 2.正しい
動脈です。中膜と呼ばれる部分に平滑筋が分厚く発達しており、H-E染色では鮮やかなピンク色の輪っかとして観察されます。 - 3.誤り
肺胞は、動脈の周りに無数に広がっている、非常に薄い壁(単層扁平上皮)で囲まれた「空気の袋」の部分です。 - 4.誤り
気管支も管腔構造ですが、内側が線毛を持った上皮細胞で覆われており、さらに周囲に「軟骨」などの硬い組織を伴うのが特徴です。 - 5.誤り
リンパ管も管腔構造ですが、壁が非常に薄く、動脈のような分厚い平滑筋層は持ちません。
暗記方法・覚え方のコツ
- 動脈:「分厚いピンクのちくわ(平滑筋)!」
- 静脈・リンパ管:「壁がペラペラなストロー!」
さいの補足
心臓からドクン!と強い圧で送り出される血液を受け止めるため、動脈はゴムホースのように分厚い平滑筋の壁を持っています。一方、心臓にゆっくり戻る静脈は、血圧が低いため壁がペラペラです。病理標本を作る過程で、分厚い動脈は綺麗な「丸い輪っか」を保ちますが、ペラペラの静脈はペシャンコに潰れた形で見えることが多いのも、鑑別の重要なポイントです!
午後 問52:甲状腺穿刺吸引細胞診(乳頭癌の同定)
【問題】
甲状腺穿刺吸引細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 11)を別に示す。考えられるのはどれか。
- 1.正常甲状腺濾胞細胞
- 2.橋本病
- 3.亜急性甲状腺炎
- 4.乳頭癌
- 5.リンパ腫
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正答:4
【解説】核の「顔つき」で一発!?
甲状腺細胞診でこの画像が出たら、サービス問題かも!?
細胞が集まっているだけでなく、一つひとつの「核」に注目してください。核に縦の切れ込みが入った「核溝(コーヒー豆のような形)」や、核の中に細胞質が入り込んで丸く抜けて見える「核内細胞質封入体(目玉焼きのような形)」がはっきりと観察できます。これらは甲状腺乳頭癌の特徴です。
【各選択肢の解説と鑑別ポイント】
- 1.誤り
正常な甲状腺濾胞細胞は、秩序を保って集まっている状態であり、このような核の異常は見られません。 - 2.誤り
橋本病(慢性甲状腺炎)は、背景に大量のリンパ球が出現し、細胞質が好酸性(ピンク色)で顆粒状の「好酸性細胞(ハースル細胞)」が見られるのが特徴です。 - 3.誤り
亜急性甲状腺炎は、炎症細胞に加えて、巨大な「多核巨細胞」が出現するのが細胞診での大きな特徴です。 - 4.正しい
乳頭癌です。核内細胞質封入体、核溝、すりガラス様核、そして細胞が三次元的に重なり合う乳頭状集塊が特徴です。 - 5.誤り
リンパ腫は、上皮細胞のようにくっついて集塊(クラスター)を作ることはなく、バラバラ(孤立散在性)に出現します。
暗記方法・覚え方のコツ
- 乳頭癌のサイン:「コーヒー豆(核溝)と目玉焼き(核内封入体)の朝食セットが出たら乳頭癌!」
- 橋本病:「橋本さんはリンパがいっぱい!」
さいの補足
「核内細胞質封入体」という長ったらしい名前ですが、これは別に核の中に新しい物体ができたわけではありません。細胞質が核の膜をググッと押し込んで、まるで核の中に袋のように入り込んでしまった状態のことです。だから「核内」に「細胞質」が「封入」された体、と呼びます。
お疲れ様でした!病理組織細胞学(午後)の復習はバッチリですか?
第72回の病理組織細胞学(午後問題)、お疲れ様でした!脱灰の条件やPAS反応・酵素抗体法といった前処理の知識から、染色体異常の分類、さらには甲状腺乳頭癌や小細胞癌などの細胞診画像判定まで、単なる丸暗記では難しい「メカニズムと形態の繋がり」を問う問題が多く出題されていました。年々難しくなっている気がします。でも、ここをしっかり理解しておけば、範囲が広いぶん他の科目(解剖学や臨床医学など)の点数アップや、現場で顕微鏡を覗く時、報告書を見るときの「基礎力UP」に繋がります👍
一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「肉芽腫の語呂合わせ」や「核の顔つきのイメージ(コーヒー豆など)」を思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください📓
さいのSNSでも国試対策を発信中!
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