こんにちは!臨床検査技師のさいです。
今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題から、「病理組織細胞学」の解説をまとめてみました!
脱灰やPAS反応・酵素抗体法といった重要な染色技術から、染色体異常や遺伝性腫瘍・肉芽組織といった病態の理解、さらには肺の組織像や甲状腺・喀痰・子宮頸部(HSIL)の細胞診画像まで、実戦的で形態学の知識がたっぷり詰まった出題でした。
覚えることが多くて壁にぶつかることもあるかもしれませんが、病理は「ミクロの構造から原因を突き止める」という分野です。「なぜこの前処理が必要なのか?」「なぜこの細胞の核が変形しているのか?」というメカニズムから覚えるようにすると、暗記が楽になったりもします。
間違いがあったらSNSのDMなどで教えてください!
僕が受験生の頃、教科書や参考書の文字だけではどうしても「実際の顕微鏡画像」をどう読めばいいのかわからずに悩んでいました。試験本番でも迷わないための「見え方のコツ」を文字化して作成しています。少しでもみなさんの国試勉強の役に立てれば幸いです。
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床検査技師国試 午後【病理組織細胞学】
全選択肢の正誤理由と覚え方まとめ(問45〜58)
午後 問45:組織の脱灰法
【問題】
脱灰で誤っているのはどれか。
- 1.温度が高いほど脱灰速度が速い。
- 2.組織は脱灰液の上層ないし中層に置く。
- 3.プランク・リクロ液には硫酸が含まれる。
- 4.脱灰後の中和には硫酸ナトリウムを用いる。
- 5.EDTA液は免疫組織化学染色を目的とした場合に用いる。
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正答:3
【解説】骨を切るための必須工程「脱灰」
「脱灰(だっかい)」とは、骨や歯などの硬い組織からカルシウムを抜き取り、ミクロトームの刃で薄く切れるように柔らかくする工程です。強力な「酸」を使う方法と、マイルドな「キレート剤」を使う方法があり、国試ではそれぞれの特徴と成分がよく問われます。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.正しい
化学反応なので、温度が高いほどカルシウムの溶出は早くなります。しかし、温度を上げすぎると組織がボロボロになってしまうため、通常は室温(または冷蔵)で時間をかけて行います。 - 2.正しい
組織から溶け出したカルシウムは重いため、液の底に沈んでいきます。そのため、組織を液の「上層〜中層」に吊るしておくと、常に新鮮な液が組織に触れて効率よく脱灰できます。 - 3.誤り(正解)
代表的な酸脱灰液である「プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液」の主成分は、塩化アルミニウムと塩酸です。硫酸は含まれません。 - 4.正しい
プランク・リクロ液などの強い酸を使った後は、組織が酸性に傾いて染色性が悪くなるため、「硫酸ナトリウム」などの弱アルカリ性水溶液で中和(水洗)する必要があります。 - 5.正しい
EDTAはカルシウムだけを優しく引き抜く「キレート剤」です。酸と違って組織のタンパク質(抗原)を壊さないため、脱灰後に免疫組織化学染色をしたい場合の第一選択となります。
暗記方法・覚え方のコツ
- プランク・リクロ液:「プランク(プランク・リクロ)中に、塩酸とアルミで筋肉痛!」と覚えましょう(硫酸は出てきません)。
- EDTA脱灰:「免疫染色には、え(E)ぇで(D)〜!た(TA)まらん優しさ!」でマイルドさを暗記。
さいの補足
脱灰が「終わったかどうか(終末判定)」を見極める方法も知っておくべきです。針を刺して硬さを確かめる物理的判定(組織が傷むの可能性あり)、レントゲンでカルシウムの影を見るX線判定(最も確実だが手間)、液中のカルシウム濃度を測る化学的判定の3つがあります。
午後 問46:PAS反応の特徴とシッフ試薬
【問題】
PAS反応で正しいのはどれか。
- 1.シッフ試薬の作製には濃硫酸を用いる。
- 2.シッフ試薬には酸性フクシンが含まれる。
- 3.シッフ試薬の効力の確認には95%エタノールを用いる。
- 4.グリコーゲン検出の場合セロイジン被膜法が有効である。
- 5.ボイルドシッフ試薬に比べコールドシッフ試薬は染色性が弱い。
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正答:4
【解説】グリコーゲンは水に溶けやすい!
PAS反応は、多糖類(グリコーゲンや真菌の細胞壁など)を赤紫色に染め出す超重要染色です。過ヨウ素酸でアルデヒド基を生じさせ、そこに無色の「シッフ試薬」が結合して発色します。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
シッフ試薬の作製には「塩酸」と、還元剤である「亜硫酸水素ナトリウム」などを用います。濃硫酸は使用しません。 - 2.誤り
シッフ試薬に含まれる色素は「塩基性フクシン」です。酸性フクシンはマッソントリクローム染色(筋線維を赤く染める)などで使われます。 - 3.誤り
シッフ試薬が古くなっていないか(効力)を確認するには「ホルマリン」を1滴垂らします。ホルマリンのアルデヒド基と瞬時に反応して赤紫色になれば、試薬は有効と判断できます。 - 4.正しい
ターゲットとなるグリコーゲンは「水溶性」です。染色液に浸している間に水に溶けて逃げてしまわないよう、切片の表面を「セロイジン」という薄い膜でコーティングして蓋をする方法が非常に有効です。 - 5.誤り
シッフ試薬には加熱して作るボイルドと、常温で作るコールドがあります。一般的に「コールドシッフ試薬」の方が染色性が強いという特徴があります。
暗記方法・覚え方のコツ
- シッフ試薬の基本:「塩基(塩基性フクシン)が基本!確認はホルマリンで!」
- グリコーゲンの性質:「水に溶けちゃうから、セロハンテープ(セロイジン被膜)で保護!」と視覚的イメージで暗記補助👍
さいの補足
もしPAS反応で組織が赤紫色に染まった時、「これが本当にグリコーゲンなのか、それとも別の多糖類なのか?」を確かめる方法があります。
それが「ジアスターゼ消化試験」です。ジアスターゼという酵素はグリコーゲンだけを分解するので、この酵素をかけた後に染まらなくなったら「あ、これはグリコーゲンだったんだな」と確定することができます。
午後 問47:酵素抗体法(免疫染色)の前処理
【問題】
ホルマリン固定パラフィン包埋標本を用いた酵素抗体法の内因性ペルオキシダーゼをブロックする試薬はどれか。
- 1.EDTA
- 2.カゼイン溶液
- 3.正常動物血清
- 4.クエン酸緩衝液
- 5.過酸化水素加メタノール
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正答:5
【解説】綺麗な免疫染色は「前処理」で決まる!
免疫染色(IHC)は、抗体を使って目的のタンパク質(抗原)を茶色く染め出す技術です。しかし、組織の中には最初から「発色剤(DAB)を茶色くしてしまう酵素」や、「抗体がベタベタくっつきやすい場所」が存在します。これらを事前にブロックしたり、ホルマリンで隠れた抗原を叩き起こしたりする「前処理」が非常に重要になります。
| 前処理の目的 | 使用する主な試薬 | 理由・メカニズム |
|---|---|---|
| 酵素のブロッキング | 過酸化水素加メタノール | もともと組織にあるペルオキシダーゼ(赤血球など)を破壊し、誤発色を防ぐ。 |
| タンパクのブロッキング | 正常動物血清、カゼイン、スキムミルク | 抗体が関係ない場所に吸着するのを防ぐため、あらかじめ無害なタンパク質でコーティングする。 |
| 抗原賦活化(熱処理) | クエン酸緩衝液、EDTA液 | ホルマリン固定でガチガチに固まったタンパク質の立体構造を、熱と液の力で元に戻す(露出させる)。 |
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
EDTAは、電子レンジやオートクレーブで熱をかけて「抗原賦活化」を行うためのアルカリ性(pH8〜9)のバッファーです。 - 2.誤り
カゼイン溶液は、非特異的な反応(バックグラウンドの汚れ)を防ぐための「タンパクブロッキング」に使われます。 - 3.誤り
正常動物血清も、二次抗体が余計な場所にくっつくのを防ぐ「タンパクブロッキング」の主役です。 - 4.誤り
クエン酸緩衝液は、EDTAと同様に「抗原賦活化」に用いる酸性(pH6)のバッファーです。 - 5.正しい
赤血球や好中球が持っている「内因性ペルオキシダーゼ」の働きを完全に失活させるため、過酸化水素(H2O2)を加えたメタノールで処理します。
暗記方法・覚え方のコツ
- 内因性ペルオキシダーゼ阻止:「ペルオキシダーゼは『過酸化水素(H2O2)』でやっつける!」と同じ物質名でリンク。
- 抗原賦活化:「クエン酸とEDTAは、熱湯風呂(加熱処理)の入浴剤!」
さいの補足
血が多すぎる組織(骨髄や血栓など)では、過酸化水素で処理しても内因性ペルオキシダーゼを抑えきれないことがあります。そんな時は、酵素を「ペルオキシダーゼ(HRP)」から「アルカリフォスファターゼ(AP)」に変更して、DABの茶色ではなく「赤色(Fast Redなど)」で発色させるという裏技もあったりします。
午後 問48:染色体異常と遺伝子疾患
【問題】
染色体数の異常を伴うのはどれか。
- 1.Wilson病
- 2.Marfan症候群
- 3.Klinefelter症候群
- 4.von Hippel-Lindau病
- 5.Duchenne型筋ジストロフィ
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正答:3
【解説】「数の異常」か「遺伝子の異常」かを見極めよう!
遺伝性疾患の問題は、染色体そのものの「数」が違うのか、染色体の中にある「遺伝子(DNAの配列)」がおかしいのかを区別することが最も重要です。国試で問われる「数の異常」は限られているので、確実に押さえておきましょう!
【各選択肢の正誤理由】
- 1.誤り
Wilson(ウィルソン)病は「銅」の代謝異常をきたす常染色体劣性遺伝疾患です。第13染色体にあるATP7B遺伝子の変異であり、数は46本で正常です。 - 2.誤り
Marfan(マルファン)症候群は結合組織の異常(高身長や大動脈解離など)をきたす常染色体優性遺伝疾患です。第15染色体の遺伝子変異です。 - 3.正しい
Klinefelter(クラインフェルター)症候群は、男性なのにX染色体が1本(またはそれ以上)多い「47, XXY」となる、性染色体の「数的異常」です。 - 4.誤り
von Hippel-Lindau(フォン・ヒッペル・リンドウ)(VHL)病は、網膜や中枢神経に血管腫ができる常染色体優性遺伝疾患です。第3染色体の遺伝子変異です。 - 5.誤り
Duchenne(デュシェンヌ)型筋ジストロフィは、伴性(X連鎖)劣性遺伝疾患です。X染色体上のDMD遺伝子の変異であり、染色体の数自体は正常です。
暗記方法・覚え方のコツ
- 染色体の「数」の異常ベスト3:ダウン症候群(21トリソミー)、ターナー症候群(45, X)、クラインフェルター症候群(47, XXY)
- クラインフェルターの覚え方:「暗い(クライン)男(Y)が、バツ(X)2つ!」(XXYなので男性だけど女性化乳房などが見られる)
さいの補足
クラインフェルター症候群に関連して、細胞診や病理でよく問われるのが「バー小体(Barr body)」です。バー小体は「休んでいるX染色体」のことで、(X染色体の数-1)個だけ細胞の核に見られます。正常男性(XY)は0個ですが、クラインフェルター症候群(XXY)の患者さんは男性なのにバー小体が「1個」見られるのが特徴です。
午後 問49:喀痰細胞診(小細胞癌の同定)
【問題】
喀痰のPapanicolaou染色標本(別冊No. 9)を別に示す。出現している細胞はどれか。
- 1.塵埃細胞
- 2.腺癌細胞
- 3.小細胞癌細胞
- 4.気管支上皮細胞
- 5.扁平上皮癌細胞
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正答:3
【解説】細胞質が少ないく、核が押し合っている。
画像を見ると、青紫色に濃く染まった「核」だけがゴロゴロと集まっており、細胞の「体」である細胞質がほとんど見えません(裸核状)。さらに、核同士がピッタリとくっつき、お互いを押し潰し合って形が変形しています。これを「核相互圧排(molding:モールディング)」と呼び、小細胞癌の特徴です。
【各選択肢の解説と鑑別ポイント】
- 1.誤り
塵埃細胞(肺胞マクロファージ)は、外から吸い込んだゴミを食べる掃除屋です。豊かな細胞質の中に、黒い炭粉(カーボン)などを豊富に含んでいるのが特徴です。 - 2.誤り
腺癌細胞は、細胞質が立体的(ボール状や乳頭状など)に集まり、核の中に目立つ「核小体」を持つことが多いです。 - 3.正しい
小細胞癌細胞です。「裸核状(細胞質が乏しい)」「小型の細胞」「核相互圧排(molding)」「塩コショウ状クロマチン」が四大特徴です。 - 4.誤り
気管支上皮細胞は、細胞の頭にホウキのような「線毛」が生えている円柱状の正常細胞です。 - 5.誤り
扁平上皮癌細胞は、細胞質がオレンジ色(角化)に染まることが多く、オタマジャクシのような奇抜な形(多角形や線維型)になります。
暗記方法・覚え方のコツ
- 小細胞癌:「服(細胞質)を着てない裸の核たちが、満員電車でギューギュー詰め(核相互圧排)!」と覚えましょう。
- 塵埃細胞:「肺のルンバ!お腹(細胞質)の中に黒いゴミ(炭粉)がいっぱい!」
さいの補足
喀痰の細胞診標本で「小細胞癌」を見分ける時、一番間違えやすいのが「リンパ球」の集まりです。リンパ球も細胞質が少なく核が丸いからです。しかし、リンパ球はお互いの核を押し潰し合うような「molding(圧排)」は絶対にしません。細胞同士がめり込んでいるかどうかが、良性と悪性を見分ける超重要なポイントになります!
午後 問50:肉芽腫性炎と代表疾患
【問題】
類上皮細胞肉芽腫を形成する疾患はどれか。
- 1.化膿性肺炎
- 2.間質性肺炎
- 3.偽膜性腸炎
- 4.サルコイドーシス
- 5.線維素性心外膜炎
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正答:4
【解説】マクロファージの最終形態「肉芽腫」!
病理学における「肉芽腫(にくげしゅ)」とは、処理しきれない異物や病原体に対して、マクロファージが「類上皮細胞」や「多核巨細胞」に変身して包み込んだ結節(かたまり)のことです。このような慢性炎症を「特異性炎(肉芽腫性炎)」と呼び、国試では原因疾患の暗記が必要となります。
| 肉芽腫の種類 | 特徴 | 代表的な疾患 |
|---|---|---|
| 非乾酪性肉芽腫 | 中心部に壊死を伴わない。細胞が綺麗に詰まっている。 | サルコイドーシス、クローン病 |
| 乾酪性肉芽腫 | 中心部がチーズ状(乾酪状)にドロドロに壊死する。 | 結核、梅毒(ゴム腫) |
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り
化膿性肺炎は、好中球が大量に集まって膿を作る「化膿性炎」です。 - 2.誤り
間質性肺炎は、肺胞の壁(間質)にリンパ球やマクロファージが浸潤し線維化する病態です。類上皮細胞肉芽腫を特徴とするわけではありません。 - 3.誤り
偽膜性腸炎は、抗菌薬の影響でクロストリジウム・ディフィシルが異常増殖し、腸の粘膜に偽膜(線維素や壊死物質)を形成する「線維素性炎」の一種です。 - 4.正しい
サルコイドーシスは、全身の臓器(肺や眼、心臓など)に「非乾酪性類上皮細胞肉芽腫」を形成する原因不明の疾患です。 - 5.誤り
線維素性心外膜炎は、心臓の表面に線維素(フィブリン)が析出する「線維素性炎」です。絨毛心とも呼ばれます。
暗記方法・覚え方のコツ
- 肉芽腫の代表疾患:「サル(サルコイドーシス)と犬(結核)が、苦労(クローン病)してハンコ(ハンセン病)押す梅(梅毒)」と呪文のように覚えましょう!
- 非乾酪性(壊死なし)のツートップは「サルとクローン」です!
さいの補足
類上皮細胞は、マクロファージが敵を食べきれずに「靴の裏」みたいに平べったく変身した姿です。さらにそれらが合体して巨大化すると「多核巨細胞」になります。結核で見られる「ラングハンス巨細胞」や、異物の周りにできる「異物巨細胞」も、元を辿ればマクロファージ(掃除屋)たちなんですよ!
午後 問51:組織像の同定(肺組織の動脈)
【問題】
H-E染色標本(別冊No. 10)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
- 1.神経
- 2.動脈
- 3.肺胞
- 4.気管支
- 5.リンパ管
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正答:2
【解説】分厚い「ピンクの壁」が動脈の特徴!
画像を見ると、全体に網目状のスカスカな構造(肺胞)が広がっており、これが「肺の組織」であることが分かります。矢印が指しているのは、中心に空洞(管腔)があり、その周りを分厚いピンク色の壁が囲んでいる構造物です。この厚い壁は「平滑筋」であり、高い血圧に耐えるための動脈特有の構造です。
【各選択肢の組織学的特徴】
- 1.誤り
神経は中身が詰まった束状の構造をしています。今回のようなストロー状の空洞(管腔)はありません。 - 2.正しい
動脈です。中膜と呼ばれる部分に平滑筋が分厚く発達しており、H-E染色では鮮やかなピンク色の輪っかとして観察されます。 - 3.誤り
肺胞は、動脈の周りに無数に広がっている、非常に薄い壁(単層扁平上皮)で囲まれた「空気の袋」の部分です。 - 4.誤り
気管支も管腔構造ですが、内側が線毛を持った上皮細胞で覆われており、さらに周囲に「軟骨」などの硬い組織を伴うのが特徴です。 - 5.誤り
リンパ管も管腔構造ですが、壁が非常に薄く、動脈のような分厚い平滑筋層は持ちません。
暗記方法・覚え方のコツ
- 動脈:「分厚いピンクのちくわ(平滑筋)!」
- 静脈・リンパ管:「壁がペラペラなストロー!」
さいの補足
心臓からドクン!と強い圧で送り出される血液を受け止めるため、動脈はゴムホースのように分厚い平滑筋の壁を持っています。一方、心臓にゆっくり戻る静脈は、血圧が低いため壁がペラペラです。病理標本を作る過程で、分厚い動脈は綺麗な「丸い輪っか」を保ちますが、ペラペラの静脈はペシャンコに潰れた形で見えることが多いのも、鑑別の重要なポイントです!
午後 問52:甲状腺穿刺吸引細胞診(乳頭癌の同定)
【問題】
甲状腺穿刺吸引細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 11)を別に示す。考えられるのはどれか。
- 1.正常甲状腺濾胞細胞
- 2.橋本病
- 3.亜急性甲状腺炎
- 4.乳頭癌
- 5.リンパ腫
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正答:4
【解説】核の「顔つき」で一発!?
甲状腺細胞診でこの画像が出たら、サービス問題かも!?
細胞が集まっているだけでなく、一つひとつの「核」に注目してください。核に縦の切れ込みが入った「核溝(コーヒー豆のような形)」や、核の中に細胞質が入り込んで丸く抜けて見える「核内細胞質封入体(目玉焼きのような形)」がはっきりと観察できます。これらは甲状腺乳頭癌の特徴です。
【各選択肢の解説と鑑別ポイント】
- 1.誤り
正常な甲状腺濾胞細胞は、秩序を保って集まっている状態であり、このような核の異常は見られません。 - 2.誤り
橋本病(慢性甲状腺炎)は、背景に大量のリンパ球が出現し、細胞質が好酸性(ピンク色)で顆粒状の「好酸性細胞(ハースル細胞)」が見られるのが特徴です。 - 3.誤り
亜急性甲状腺炎は、炎症細胞に加えて、巨大な「多核巨細胞」が出現するのが細胞診での大きな特徴です。 - 4.正しい
乳頭癌です。核内細胞質封入体、核溝、すりガラス様核、そして細胞が三次元的に重なり合う乳頭状集塊が特徴です。 - 5.誤り
リンパ腫は、上皮細胞のようにくっついて集塊(クラスター)を作ることはなく、バラバラ(孤立散在性)に出現します。
暗記方法・覚え方のコツ
- 乳頭癌のサイン:「コーヒー豆(核溝)と目玉焼き(核内封入体)の朝食セットが出たら乳頭癌!」
- 橋本病:「橋本さんはリンパがいっぱい!」
さいの補足
「核内細胞質封入体」という長ったらしい名前ですが、これは別に核の中に新しい物体ができたわけではありません。細胞質が核の膜をググッと押し込んで、まるで核の中に袋のように入り込んでしまった状態のことです。だから「核内」に「細胞質」が「封入」された体、と呼びます。
問53:銀染色と使用する銀液の分類
【問題】
プロテイン銀を使用するのはどれか。
- 1.PAM染色
- 2.Kossa反応
- 3.Bodian染色
- 4.Grocott染色
- 5.Grimelius染色
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正答:3
【解説】神経を染め出すBodian染色
銀染色は数多くの種類がありますが、国家試験では「目的の組織」と「使用する銀液の種類」の組み合わせがよく問われます。選択肢の中で「プロテイン銀(還元銀)」を使用するのは、神経線維(軸索)や神経原線維を黒褐色に染め出す「Bodian(ボディアン)染色」です。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(メセナミン銀液)
PAM染色は「メセナミン銀液」を使用し、腎臓の糸球体基底膜などを黒色に染め出します。 - 2.誤り(硝酸銀水溶液)
Kossa(コッサ)反応は「硝酸銀水溶液」を使用し、組織中のカルシウム塩(リン酸カルシウムなど)を黒褐色に証明します。 - 3.正しい(プロテイン銀)
上記の通り、Bodian染色はプロテイン銀を使用し、神経組織を染め出します。 - 4.誤り(メセナミン銀液)
Grocott(グロコット)染色はPAM染色と同じく「メセナミン銀液」を使用し、真菌(カビ)の細胞壁を黒色に染め出します。 - 5.誤り(硝酸銀系の銀液)
Grimelius(グリメリウス)染色は硝酸銀を主成分とする銀液を使用し、神経内分泌顆粒(アルギロフィル顆粒)を証明します。
【頻出】銀染色の「使用する銀液」分類表
| 使用する銀液 | 該当する染色法 | 染め出す対象 |
|---|---|---|
| プロテイン銀 | Bodian染色 | 神経線維 |
| メセナミン銀 | PAM染色、Grocott染色 | 基底膜、真菌 |
| 硝酸銀 | Kossa反応 | カルシウム |
| 硝酸銀系 | Grimelius染色 | 内分泌顆粒 |
| アンモニア銀 | Masson-Fontana染色 | メラニン |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】プロのボディは神経が研ぎ澄まされている!
【解説】プロ=プロテイン銀、ボディ=Bodian染色、神経=神経線維・神経原線維(目的)をそれぞれ表しています。
さいの補足(GrimeliusとMasson-Fontanaの違い)
銀染色を学ぶ際、よく混同するのが「Grimelius染色(アルギロフィル反応)」と「Masson-Fontana染色(アルゼンタフィン反応)」の違いです。
アルギロフィル(好銀)反応であるGrimelius染色は、自ら銀を還元する力がないため、外部から還元剤を添加して初めて黒く染まります(硝酸銀系の銀液を使用)。一方、アルゼンタフィン(親銀)反応であるMasson-Fontana染色は、組織自身(メラニン、セロトニンなど)が還元力を持っているため、還元剤がなくても自ら黒く染まります(アンモニア銀液を使用)。この「還元剤が必要かどうか」と「使用する銀液の違い」は重要ポイントです。
問54:透過型電子顕微鏡(TEM)標本作製法
【問題】
透過型電子顕微鏡標本作製法で正しいのはどれか。
- 1.エポキシ樹脂は酸で重合する。
- 2.観察前に金属イオン蒸着を行う。
- 3.1mm3大の細切は後固定液中で行う。
- 4.光顕用切片はVictoria blue染色を行う。
- 5.超薄切片はグリッドメッシュに貼り付ける。
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正答:5
【解説】TEM標本作製の全体プロセス
電子顕微鏡標本作製は、通常の光学顕微鏡の作製工程(パラフィン包埋など)とは全く異なる専用のプロセスをたどります。特に「二重固定(グルタルアルデヒドとオスミウム酸)」や「エポキシ樹脂包埋」といったTEM特有のキーワードは国試でよく狙われます。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(熱重合)
包埋剤であるエポキシ樹脂は、専用のオーブン等を用いて「熱(熱重合)」によって硬化させます。酸ではありません。 - 2.誤り(金属蒸着は主にSEM)
金属蒸着(金や白金など)は主に走査型電子顕微鏡(SEM)の試料表面処理として行います。TEMの通常標本作製では、観察前に重金属染色(酢酸ウラニル・クエン酸鉛)を行います。 - 3.誤り(細切は前固定液)
採取した組織は速やかに約1mm角に細切し、通常は前固定液(グルタルアルデヒド)中で固定します。後固定液(オスミウム酸)中で細切するわけではありません。 - 4.誤り(トルイジンブルー染色)
電顕観察の前に目的の細胞を探すために作る「光顕用切片(準超薄切片)」は、トルイジンブルー染色で青く染めて光学顕微鏡で確認します。 - 5.正しい(グリッドメッシュ)
TEMは電子線を「透過」させて内部を観察するため、スライドガラスではなく、網目状の小さな金属板(グリッドメッシュ)に超薄切片を載せます。
【頻出】TEM標本作製の主要工程まとめ
| 工程 | 使用試薬・器具 | 目的・特徴 |
|---|---|---|
| 前固定 | グルタルアルデヒド | タンパク固定 |
| 後固定 | オスミウム酸 | 脂質固定・膜構造保持 |
| 脱水 | エタノール・アセトン | 水除去 |
| 包埋 | エポキシ樹脂 | 熱重合で硬化 |
| 準超薄切 | ガラスナイフ(0.5〜1μm) | トルイジンブルー染色 |
| 超薄切 | ダイヤモンドナイフ(50〜100nm) | グリッドへ貼付 |
| 電子染色 | 酢酸ウラニル・クエン酸鉛 | コントラスト付与 |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】前はグルグル、後ろはオス!
【解説】前=前固定、グルグル=グルタルアルデヒド、後ろ=後固定、オス=オスミウム酸、をそれぞれ表しています。電顕特有の二重固定の順序はこれで完璧です。
さいの補足(弱点補強:TEMとSEMの比較)
電子顕微鏡には大きく2種類あり、それぞれ目的と処理が異なります。今回出題された「TEM(透過型)」は、細胞の「内部(断面)」を見るため、電子線を透過させる極薄の切片(超薄切片)を作り、重金属で染める(電子染色)必要があります。一方、「SEM(走査型)」は、細胞の「表面(立体構造)」を見るため、切片にはせずブロック表面に金属イオンを吹き付けてコーティング(金属蒸着)するのが一般的です。選択肢2のようにこれらを混同させる問題が定番ですので、対比して覚えておきましょう。
問55:微生物・寄生虫の特殊染色(アメーバ赤痢)
【問題】
アメーバ赤痢が感染した大腸組織の染色標本(別冊No. 12)を別に示す。用いられている染色法はどれか。
- 1.H-E染色
- 2.PAS反応
- 3.Grocott染色
- 4.mucicarmine染色
- 5.Warthin-Starry染色
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正答:2
【解説】グリコーゲンを染め出すPAS反応
設問の写真(別冊No. 12)を見ると、壊死を伴う大腸組織を背景に、歪な円形の構造物が鮮やかな赤紫色(マゼンタ)に濃染されています。アメーバ赤痢を引き起こす赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の栄養体は、細胞質内にグリコーゲンを含有するため、PAS反応で強陽性(赤紫色)を示します。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(H-E染色)
組織観察の基本染色です。H-E染色でも赤痢アメーバの栄養体は観察可能ですが、細胞質内グリコーゲンの描出が不明瞭なため、PAS反応のほうが同定しやすくなります。 - 2.正しい(PAS反応)
上記の通り、グリコーゲンなどの多糖類を赤紫色に染める反応であり、赤痢アメーバの栄養体内グリコーゲンを明瞭化し、組織診断の補助として有用な染色です。 - 3.誤り(Grocott染色)
主に真菌(アスペルギルス、カンジダ、ニューモシスチスなど)の細胞壁を黒色に染め出すための銀染色法です。 - 4.誤り(mucicarmine染色)
上皮性の酸性粘液や、真菌の一種であるクリプトコックスの莢膜(きょうまく)を赤く染めるための染色法です。 - 5.誤り(Warthin-Starry染色)
梅毒トレポネーマやピロリ菌(Helicobacter pylori)などの病原性細菌を黒色に染め出すための銀染色法です。
【頻出】病原体と特殊染色の組み合わせまとめ
| 対象となる病原体 | 有効な特殊染色 | 染色態度(染まる要素) |
|---|---|---|
| 赤痢アメーバ | PAS反応 | 赤紫色(グリコーゲン) |
| 真菌全般(アスペルギルス等) | Grocott染色、PAS反応 | 黒色(細胞壁)、赤紫色 |
| クリプトコックス(真菌) | mucicarmine、アルシアン青 | 赤色、青色(莢膜の酸性粘液) |
| ピロリ菌、梅毒トレポネーマ | Warthin-Starry染色(銀染色) | 黒色(菌体) |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】パスしたアメちゃん、栗をムチ打ち、悪チンでピロリ!
【解説】パス(PAS)=アメちゃん(アメーバ)、栗(クリプトコッカス)=ムチ打ち(mucicarmine)、悪チン(Warthin-Starry)=ピロリ(ピロリ菌)、をそれぞれ表しています。
さいの補足(アメーバ赤痢の形態所見と肉眼所見)
アメーバ赤痢を診断する際、PAS反応以外にも重要な所見が2つあります。1つ目は細胞レベルの形態所見である「赤血球貪食」です。赤痢アメーバの栄養体は、ヒトの赤血球を貪食する性質があるため、虫体内に取り込まれた赤血球が観察されればマクロファージとの鑑別ポイントになります。2つ目は大腸の肉眼所見である「フラスコ状潰瘍(flask-shaped ulcer)」です。粘膜下層へ向かってフラスコのように入り口が狭く奥が広い特徴的な潰瘍を形成します。
問56:消化管を栄養する腹部大動脈の分枝
【問題】
栄養血管が腹腔動脈に由来するのはどれか。2つ選べ。
- 1.胃
- 2.回腸
- 3.結腸
- 4.直腸
- 5.十二指腸
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正答:1、5
【解説】腹部大動脈の3つの大きな枝
腹部大動脈から消化管に向かって前方に飛び出す太い動脈は、上から順に「腹腔動脈」「上腸間膜動脈」「下腸間膜動脈」の3本です。一番上にある腹腔動脈は、主に発生学上の「前腸」に由来する臓器(胃、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、十二指腸近位部(ファーター乳頭より口側))を栄養します。したがって正解は胃と十二指腸になります。
腹部エコーを習得する際に必要不可欠な知識なので、絶対覚えておきましょう。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.正しい(腹腔動脈)
胃は、左胃動脈(腹腔動脈から直接分岐)や、右胃動脈(総肝動脈経由)、左胃大網動脈(脾動脈経由)など、すべて腹腔動脈の系統によって栄養されます。 - 2.誤り(上腸間膜動脈)
回腸は中腸に由来するため、腹腔動脈の下から出る上腸間膜動脈(SMA)の枝によって栄養されます。 - 3.誤り(上・下腸間膜動脈)
結腸は部位によって担当が分かれます。盲腸から横行結腸近位2/3までは上腸間膜動脈、横行結腸遠位1/3から下行結腸、S状結腸までは下腸間膜動脈(IMA)によって栄養されます。 - 4.誤り(下腸間膜動脈など)
直腸の上部は下腸間膜動脈の終枝(上直腸動脈)によって栄養されます。なお、中部・下部は腹部大動脈の系統ではなく、内腸骨動脈 the branch(中・下直腸動脈)が担当します。 - 5.正しい(腹腔動脈と上腸間膜動脈)
十二指腸は前腸と中腸の境界にあるため、腹腔動脈(上膵十二指腸動脈)と上腸間膜動脈(下膵十二指腸動脈)の両方から二重の血液供給を受けます。腹腔動脈に由来する血管を持つため正解となります。
【頻出】消化管を栄養する3大動脈まとめ
| 動脈名(上から順) | 発生由来 | 栄養する主な臓器 |
|---|---|---|
| 腹腔動脈 | 前腸 | 胃、十二指腸近位部(ファーター乳頭より口側)、肝・胆・膵、脾 |
| 上腸間膜動脈(SMA) | 中腸 | 十二指腸遠位部、空・回腸、盲腸〜横行結腸近位2/3 |
| 下腸間膜動脈(IMA) | 後腸 | 横行結腸遠位1/3〜直腸(上部) |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】悲観的な左の腹心!
【解説】悲=脾動脈、観=総肝動脈、左=左胃動脈、腹心=腹腔動脈をそれぞれ表しています。腹腔動脈から直接分かれるこの「3大分枝」は国家試験でもよく対象になるため、整理しておきましょう。
さいの補足(弱点補強:動脈の「境界線」の目印)
どこからどこまでがどの動脈の担当なのか、その「境界線」となる解剖学的な目印を知っておくと知識が立体的になります。腹腔動脈と上腸間膜動脈の境界(十二指腸の途中)は、胆汁や膵液の出口である「ファーター乳頭」が目印です。
また、上腸間膜動脈と下腸間膜動脈の境界(横行結腸の途中)は、「キャノン・ベーム点」と呼ばれます。これらの境界部分は分水嶺領域(watershed area)であり、脾彎曲部(Griffith point)や直腸S状結腸移行部(Sudeck point)が代表例として挙げられ、虚血になりやすい特徴があります。
さらに、直腸も上部は下腸間膜動脈ですが、中・下部は内腸骨動脈の枝(中・下直腸動脈)に切り替わります。これらの境界部分は虚血性腸炎などの病態とも深く結びついているため、腹部エコーでも重要なポイントです。
問57:腫瘍ウイルスと関連疾患(HPV)
【問題】
ヒトパピローマウイルスが関与する悪性腫瘍はどれか。
- 1.胃癌
- 2.肝臓癌
- 3.膀胱癌
- 4.子宮頸癌
- 5.子宮体癌
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正答:4
【解説】HPVと子宮頸癌の関連
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、特定の悪性腫瘍の発症に深く関与するDNAウイルスです。特にHPVの高リスク型(16型・18型など)が産生するE6・E7タンパクが、がん抑制タンパク質であるp53およびRbの機能を阻害し、細胞周期の制御異常から発癌に至ることが広く知られています。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(胃癌)
胃癌の主因はヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)感染であり、一部(約10%)ではEBウイルス関連胃癌が存在します。 - 2.誤り(肝臓癌)
原発性肝癌(肝細胞癌)の多くは、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)の持続感染から慢性肝炎、肝硬変を経て発症します。 - 3.誤り(膀胱癌)
膀胱癌(主に尿路上皮癌)の主な危険因子は喫煙や芳香族アミンなどへの曝露であり、HPVとの関連は一般的ではありません。 - 4.正しい(子宮頸癌)
上記の通り、高リスク型HPVの持続感染が主要な原因です。子宮頸部の中でも、扁平上皮と円柱上皮の境界線であるSCJ(扁平円柱接合部)およびその周囲の移行帯(Transformation Zone:TZ)が好発部位となります。 - 5.誤り(子宮体癌)
子宮体癌(子宮内膜癌)の多くは、エストロゲン(卵胞ホルモン)の長期的な過剰刺激が主な要因とされており、ウイルス感染との関連性は指摘されていません。
【頻出】腫瘍ウイルスと関連疾患まとめ
| ウイルス名 | 関連する主な悪性腫瘍 |
|---|---|
| ヒトパピローマウイルス(HPV) | 子宮頸癌、中咽頭癌、外陰癌など |
| B型・C型肝炎ウイルス(HBV・HCV) | 肝細胞癌 |
| EBウイルス(EBV) | Burkittリンパ腫、上咽頭癌、EBウイルス関連胃癌など |
| ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1) | 成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL) |
| ヒトヘルペスウイルス8型(HHV-8) | カポジ肉腫 |
| Merkel cell polyomavirus | Merkel細胞癌 |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】パピローマは子宮頸部が好き!
【解説】ヒトパピローマウイルス(HPV)=子宮頸癌。
さいの補足(SCJとコイロサイト、HPVワクチン)
子宮頸癌の病理・細胞診対策において、HPVに関連する重要なキーワードが2つあります。
1つ目は好発部位である「SCJ(扁平円柱接合部)」およびその周囲の「移行帯(Transformation Zone:TZ)」です。細胞増殖が活発な領域であるためHPVの感染を受けやすい特徴があります。
2つ目は、HPV感染の細胞指標となる「コイロサイト(空胞化細胞)」です。感染した細胞は核の周囲が明るく白く抜ける(核周明庭)特徴的な形態を示し、異形成などの前癌病変を経て癌化していく過程のサインとして扱われます。なお、近年ではHPVワクチン(2価・4価・9価)により高リスク型HPV感染を予防し、子宮頸癌の発症を防ぐことが有効とされています。
問58:病理検査で使用する化学物質の法規制
【問題】
劇物はどれか。2つ選べ。
- 1.アセトン
- 2.キシレン
- 3.メタノール
- 4.過マンガン酸カリウム
- 5.イソプロピルアルコール
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正答:2、3
【解説】毒物及び劇物取締法による分類
固定法や病理組織標本作製など、臨床検査の現場で使用される化学物質は、その性質に応じて複数の法律で規制されています。設問で問われている「劇物」は、「毒物及び劇物取締法」によって指定されている物質を指します。選択肢の中ではキシレンとメタノールが該当します。
【各選択肢の解説と正誤理由】
- 1.誤り(アセトン)
有機溶剤(有機則)の対象ですが、劇物には指定されていません。脱水や固定液の成分として使われます。 - 2.正しい(キシレン)
組織標本作製における透徹や脱パラフィンに用いられる有機溶剤であり、「劇物」に指定されています。 - 3.正しい(メタノール)
血液塗抹標本の固定や各種固定液の溶媒に用いられます。アルコール類の中で唯一「劇物」に指定されています。 - 4.誤り(過マンガン酸カリウム)
アミロイド染色前の酸化剤などに用いられます。強力な酸化剤として取り扱いに注意が必要ですが、本問で問われる「劇物」には該当しません。 - 5.誤り(イソプロピルアルコール)
エタノールの代替として脱水工程で使われます。有機溶剤(有機則)の対象ですが、劇物ではありません。
【頻出】病理・化学物質の法規制分類まとめ
| 分類(根拠法) | 対象となる主な試薬・物質 |
|---|---|
| 毒物(毒劇法) | 塩化第二水銀(昇汞)、シアン化カリウムなど |
| 劇物(毒劇法) | キシレン、メタノール、ホルムアルデヒド、フェノールなど (※ホルムアルデヒドは「特定化学物質」にも指定されています) |
| 有機溶剤 / 有機則(安衛法) | アセトン、イソプロピルアルコール、エタノールなど |
| 特定化学物質 / 特化則(安衛法) | ホルムアルデヒド、オルト-トルイジン、クロム酸、ニッケル化合物など |
暗記方法・覚え方のコツ(ゴロ合わせ)
【ゴロ】劇的なキメポーズ!
【解説】劇的=劇物、キ=キシレン、メ=メタノール、をそれぞれ表し
さいの補足(弱点補強:法律ごとの目的の違い)
化学物質の法規制を学ぶ際、根拠となる法律の「目的」を知っておくと知識が整理しやすくなります。
『毒物及び劇物取締法(毒劇法)』は、毒物・劇物の製造、販売、表示、保管などを規制し、危害の発生を防止することを目的とした法律です。
一方で、『労働安全衛生法』から派生する有機則や特化則は、局所排気装置の設置などを義務付け、労働者の健康障害防止を目的としています。
法律の目的が異なるため、同じホルムアルデヒドが複数の規制にまたがったり、有害なアセトンが劇物には指定されなかったりします。
お疲れ様でした!病理組織細胞学(午後)の復習はバッチリですか?
第72回の病理組織細胞学(午後問題)、お疲れ様でした!脱灰の条件やPAS反応・酵素抗体法といった前処理の知識から、染色体異常の分類、さらには甲状腺乳頭癌や小細胞癌などの細胞診画像判定まで、単なる丸暗記では難しい「メカニズムと形態の繋がり」を問う問題が多く出題されていました。年々難しくなっている気がします。でも、ここをしっかり理解しておけば、範囲が広いぶん他の科目(解剖学や臨床医学など)の点数アップや、現場で顕微鏡を覗く時、報告書を見るときの「基礎力UP」に繋がります👍
一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「肉芽腫の語呂合わせ」や「核の顔つきのイメージ(コーヒー豆など)」を思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください📓
さいのSNSでも国試対策を発信中!
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