同じ問題が出ずとも、問題を理解すれば消去法が使えるようになるので、まずはそこを目指しましょう。
呼吸機能の国家試験出題数と傾向
- フローボリューム曲線を選ばせる問題
- フローボリュームの見方
- 曲線から病名を選ばせる問題
- 血液ガスの結果を選ばせる問題
- 肺機能分画における、各分画を聞いてくる問題
単純にパターン認識で解ける問題ではないようです。データの解釈と理解がないと難しいですが、覚える内容はさほど多くはないのでしっかり覚えていきましょう。
では、実際の問題と解答をご覧ください。
国家試験に出題された呼吸機能の画像問題と解答
出典:画像問題は厚労省ホームページより引用しています
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html)
第56回AM21.22 フローボリューム
71歳の男性。20歳から40本/日の喫煙歴がある。5年前から出現した労作時の息切れが徐々に増強し、平地歩行も困難である。スパイロメトリーでは%肺活量92%、1秒率29%であった。
フローボリューム曲線を下に示す。
問21(①~⑤)この患者の曲線はどれか。
問22この患者の室内吸入下での動脈血ガス分析はどれか。
- Pao2 85mmHg、Paco2 45mmHg、pH7.25
- Pao2 70mmHg、Paco2 25mmHg、pH7.45
- Pao2 60mmHg、Paco2 30mmHg、pH7.20
- Pao2 50mmHg、Paco2 50mmHg、pH7.30
- Pao2 55mmHg、Paco2 110mmHg、pH7.25
問21:
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答え3
問22:
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答え4
第59回AM20 肺気量分画
肺気量分画の図を示す。各肺気量分画で正しいのはどれか。二つ選べ。
- ①:最大吸気量〈inspiratory capacity:IC〉
- ②:1回換気量〈tidal volume:Vt〉
- ③:肺胞換気量〈alveolar ventilation volume:VA〉
- ④:機能的残気量〈functional residual capacity:FRC〉
- ⑤:全肺気量〈total lung capacityTLC〉
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答え1と4
第59回PM22 フローボリューム
78 歳の男性。息切れの悪化と意識障害とを認め入院した。室内吸入時の動脈
血ガス分析の結果を以下に示す。
pH 7.24、PaO2 52 Torr、PaCO2 64 Torr、HCO3– 25 mEq/L
入院6か月前の安定期のフローボリューム曲線を示す。
正しいのはどれか。2つ選べ。
- 炭酸ガス分圧は正常である。
- 代謝性アシドーシスの状態である。
- このアシドーシスは代償が働いている。
- フローボリューム曲線は下に凸である。
- 慢性閉塞性肺疾患の増悪が疑われる。
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答え4と5
第60回PM22 フローボリューム
72 歳の男性。40 本/日の喫煙を 50 年近く続けている。4 ~ 5 年前から咳、痰お
よび階段を昇るときの息切れがあり、最近悪化したため受診した。呼吸機能検査の
結果を以下に示す。
動脈血ガス分析(室内気):pH 7.37、PaO2 58 Torr、PaCO2 56 Torr、HCO3–38mEq/L〈mmol/L〉
強制努力呼出でのフローボリューム曲線を示す。
考えられる疾患はどれか。
- 間質性肺炎
- 気管支端息(非発作時)
- 睡眠時無呼吸症候群
- 甲状腺癌による気管狭窄
- 慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉
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答え5
第61回PM22 フローボリューム
70 歳の男性。約 1 年前から続く労作時息切れのため来院した。胸部エックス線写
真で両肺野の網状陰影と肺の容量減少を認めた。呼吸機能検査で 1 秒率〈FEV1%〉
82%、%肺活量〈%VC〉62%であった。
別に示すフローボリューム曲線のうち、この患者に予想されるのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
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答え3
第63回AM20 肺気量分画
スパイログラムを別に示す。
A が示すのはどれか。
- 残気量
- 一回換気量
- 最大吸気量
- 予備呼気量
- 機能的残気量
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答え4
第63回AM21 フローボリューム
フローボリューム曲線を別に示す。
考えられるのはどれか。
- 肺線維症
- 気管支腫瘍
- 気管支喘息
- 慢性閉塞性肺疾患
- びまん性汎細気管支炎
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答え1
第63回PM20 クロージングボリューム
クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を別に示す。
クロージングボリュームはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
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答え5
第64回PM21 フローボリューム
フローボリューム曲線を示す。
考えられる疾患はどれか。
- 脊椎後弯
- 特発性肺線維症
- 肥満低換気症候群
- 慢性閉塞性肺疾患
- 筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉
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答え4
第65回AM20 フローボリューム
フローボリューム曲線を示す。
測定項目と検査結果の組合せで誤っているのはどれか。
- V25 3.0 L/秒
- V50 0.9 L/秒
- 最大吸気量 2.8 L
- 努力肺活量 4.5 L
- ピークフロー 9.4 L/秒
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答え1
第65回PM21 フローボリューム
フローボリューム曲線を示す。
肺線維症はどれか。
- A
- B
- C
- D
- E
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答え3
第67回AM21 フローボリューム
吸気および呼気ともに最大努力で得られたフローボリューム曲線を示す。
考えられるのはどれか。
- 気管狭窄
- 間質性肺炎
- 気管支喘息
- 胸椎後側弯症
- 慢性閉塞性肺疾患
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答え1
第67回PM22 フローボリューム
フローボリューム曲線を示す。
この症例で低下するのはどれか。
- 1秒率
- 残気量
- 全肺気量
- 機能的残気量
- 静肺コンプライアンス
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答え1
第68回AM18 クロージングボリューム
クロージングボリューム測定における単一窒素呼出曲線を示す。
クロージングボリュームはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
- ⑤
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答え3
第68回PM19 最大呼気曲線
最大呼気曲線を示す。
考えられるのはどれか。
- 間質性肺炎
- 胸椎後側弯症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 筋萎縮性側索硬化症
- 睡眠時無呼吸症候群
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答え3
各呼吸機能の詳細と覚えるべきポイント
肺機能画像まとめ
血ガスの見方
まずは、国家試験過去問で使った箇所の基準値を。
- pH(基準値7.4±0.05)
- PaCO2(基準値:40±5)
- HCO3-(基準値:24±2)
まずはpHをみる。7.35未満であればアシデミア、7.46以上でアルカレミア。酸性に行くことをアシドーシス、アルカリに行くことをアルカローシス。
次に呼吸性か代謝性を見る。PaCO2とHCO3-の値を見てみよう。アシドーシスなら、PaCO2が上昇(呼吸性アシドーシス)かHCO3-が低下(代謝性アシドーシス)しているはず。アルカローシスならPaCO2が低下(呼吸性アルカローシス)かHCO3-が上昇(代謝性アルカローシス)しているはず。
それらアシドーシス、アルカローシスから戻ろうとする状態を「代償性」と呼ぶ。呼吸性アシドーシスであれば、HCO3-が基準値よりも高い数値になることが代償性だよ。
画像過去問を解く限り、このくらいの知識で大丈夫なはずです。
最後に
過去問を解いていて気づいたのですが、かなり使いまわしの問題が多いです。
特にCOPD、肺線維症を答えさせるフローボリュームの問題が多かった。
血ガスを読めないと、難しい問題もありますが、AG(アニオンギャップ)や代償性の深ぼった内容もなく、素直に答えていけば解けるかなっていう印象でした。
学生の頃は、呼吸機能検査はややこしくて、若干諦めていましたが、これは諦めずに得点源にした方が良いと思います。
個人的な主観で解いて解説文を書いていますので、指摘がある場合は教えてくださいませ。