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【臨床検査技師国家試験】第68回AM臨床検査総論【解説】

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国家試験臨床検査総論AM問1~10です。

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集 

第68回臨床検査総論AM問1~10

1 臨床検査室の品質と能力に関する国際規格はどれか。

  1. ISO9001
  2. ISO13485
  3. ISO15189
  4. ISO17025
  5. ISO22870

解説:国際規格(ISO)の問題です。近年取得施設も増えていますし、実際に仕事に就いてからもISOには悩まされるところが多いので、知っておきましょう笑
設問のISO規格をまとめました。

  • ISO9001 品質マネジメントシステムに関する国際規格
  • ISO13485 医療機器-品質マネジメントシステム
  • ISO15189 臨床検査室の品質マネジメントシステムと臨床検査の技術能力を求める国際規格
  • ISO17025 試験所・校正機関が正確な測定/校正結果を生み出す能力があるかどうかを、権威ある第三者認定機関が認定する規格
  • ISO22870 POCTの品質・能力に関する要求事項
ISO(国際規格)は大きい施設、会社であればほとんどが取得しています。聞きなれない数字の羅列で覚えにくいですが、最低でもISO15189は覚えておきましょう。

答え3

2 分析前プロセスの品質管理はどれか。2つ選べ。

  1. 検体量の確認
  2. 精度管理試料の測定
  3. 精度管理成績の保存
  4. 分析装置導入前の性能評価
  5. 検体採取から測定開始までの時間の確認

解説:分析における品質管理についての問題です。下に表を示していますので参考にしてください。

この表から検体量の確認が該当しますが、精度管理試料の測定が分析前に確認することだろ!と思う人も多いかもしれません。しっかり把握しておきましょう。

答え1と5

3 採血した全血検体をそのまま室温で一晩放置した。値の低下が予想されるのはどれか。

  1. カリウム
  2. 無機リン
  3. アンモニア
  4. グルコース
  5. クレアチニン

解説:全血放置での経時的な変化を聞いている問題です。

溶血や、解糖系、pHの変化などでデータに影響が出る項目があります。下の表に設問の変化をまとめてみました。

★全血放置での変動(設問)

  • カリウム(溶血で↑↑)
  • 無機リン(不変)
  • アンモニア(溶血で↑↑)
  • グルコース(↓↓)
  • クレアチニン(不変)

Gluが下がる理由:全血放置により、血糖が赤血球の代謝に使われるため、血糖値(グルコース)は低下する
これを防ぐために血糖測定ではNaF採血管を用いる
(NaFは解糖系酵素のエノラーゼを失活させる)

全血放置で低下するのは④のGluです。理由は表のとおり、解糖系がすすむため。参考までにですが、細菌汚染がある場合、遠心分離をしていても低下します。

プール血清を作るときに、メンブレンフィルターで細菌を除去しますが、甘かった場合細菌汚染が起こり、Gluの値が0に等しくなることもあります

答え4

4 尿沈渣の無染色標本別冊No. 1 を別に示す。この構造物の成分はどれか。

  1. 尿 酸
  2. シスチン
  3. ビリルビン
  4. リン酸カルシウム
  5. シュウ酸カルシウム

解説:写真には正八面体を示す結晶が写されています。これはシュウ酸カルシウム結晶で非常に特徴的な結晶であり、ルーチンでもよく見る結晶です。必ず覚えておきましょう。またビスケット状など様々な形態もとります。

国家試験に出題された尿沈渣一覧をまとめています。確実に覚えておきましょう。

答え5

5 Miller &Jones喀痰の肉眼的品質評価 分類で、膿性部分が1/2の痰の分類はどれか。

  1. M1
  2. M2
  3. P1
  4. P2
  5. P3

解説::喀痰の分類をまとめた表です。

膿性成分が1/2なので、P2(1/3~2/3)に当てはまります。Gecklerの分類も併せて覚えておくといいと思います。

答え:4

6 化膿性髄膜炎を疑う髄液所見として誤っているのはどれか。

  1. 混 濁
  2. LDの上昇
  3. 蛋白濃度の上昇
  4. 多形核球比率の上昇
  5. 髄液糖/血糖比の上昇

解説:髄膜炎の所見をまとめた表です。化膿性髄膜炎すなわち、細菌性(感染性)の髄膜炎ですね。それらの特徴を探して考えてみましょう。

表を見ると②のLDH以外は当てはめて考えることができます。

髄液の糖は減少するので、⑤の髄液糖/血糖比の上昇が誤っているのがわかります。

LDHの変化も表に加えておきます(汗)

答え5

7 幼虫移行症をきたすのはどれか。

  1. 小形条虫
  2. 無鉤条虫
  3. 日本海裂頭条虫
  4. マンソン裂頭条虫
  5. クジラ複殖門条虫大複殖門条虫

解説:幼虫移行症をきたす寄生虫を覚えておきましょう。

★幼虫移行症とは

幼虫移行症とは、本来ヒト以外の生き物を宿主とする寄生虫の幼虫にヒトが感染すると、その幼虫がヒトの体内を移動することによって様々な症状を引き起こすことをいう。

★幼虫移行症をきたす寄生虫

  • アニサキス
    生の魚を食べた6~9時間後に嘔吐や腹痛。10日くらいで、胃壁や腸壁に好酸球性肉芽腫ができる
  • 広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)
    好酸球性髄膜脳炎や好酸球性髄膜炎を誘起し、髄液の好酸球増多が特徴
  • 顎口虫(がっこうちゅう)
    幼虫が皮下組織に移行することにより皮膚のかゆみや腫れを呈する
  • マンソン孤虫(こちゅう)(マンソン裂頭条虫の幼虫のこと)
    大部分が移動する無痛や性皮下腫摺りまたは硬結のような像を呈する
  • 有鉤条虫(ゆうこうじょうちゅう)(テニア症)
    汚染された豚肉の摂取後に発生する条虫の成虫による腸感染症
  • 単包虫、多包条虫
    エキノコックス症が有名。人体各臓器、特に肝臓、肺、腎臓、脳などで包虫が発生する

表より、④のマンソン裂頭条虫が該当する。

医動物は覚えるのが大変です。過去問をしっかり解いて関連したことも覚えていき知識を増やしていきましょう。

答え4

8 マラリア患者の血液塗抹標本のGiemsa染色に適するバッファーのpHはどれか。

  1. 6.2
  2. 6.8
  3. 7.4
  4. 8.0
  5. 8.6

解説:ギムザ染色の緩衝液(リン酸緩衝液)についての問題です。

通常の染色ではpHが6.4になるように調整しますが、マラリアを対象とした染色の場合はpHを7.4に調整します。

★ギムザ染色のリン酸緩衝液のpH

  • 通常のpH6.4
  • マラリア標本pH7.4
    ※pHを7.4に調整するとマラリア原虫や斑点の検出・鑑別がしやすくなるため
ひっかけ問題ですね。マラリア標本なんぞルーチンでまず見ないのに笑

答え3

9 慢性骨髄性白血病で高頻度にみられる染色体の構造異常はどれか。

  1. 逆位
  2. 欠失
  3. 挿 入
  4. 重 複
  5. 転座

解説:白血病と染色体異常構造の問題です、ここでは臨床検査総論の問題で出題されていますが、臨床血液学でもよく見る問題です。

染色体異常では、逆位、欠失、挿入、重複、転座があります。CML(慢性骨髄性白血病)では転座(9;22)(q34;q11)が見られるのでtの転座が答えとなります。

答え5

10 遺伝性乳がん卵巣がん症候群HBOCの原因遺伝子はどれか。

  1. APC
  2. RB1
  3. MEN1
  4. MSH2
  5. BRCA1/2

解説:癌の原因遺伝子の問題です。設問の遺伝子と、癌の関係を正しく直します。

★がんと原因遺伝子

  • APC
    家族性大腸ポリポーシス
  • RB1
    家族性網膜芽腫
  • MEN1
    多発性内分泌腫瘍症
  • MSH2
    大腸癌、胃癌、子宮内膜癌を若年で発症する常染色体優性遺伝形式のリンチ症候群
  • BRCA1/2
    巣卵癌、胆道癌、乳癌
癌と原因遺伝子は組み合わせも種類も多いです。過去問でもよく出ているので、色々なパターンを関連付けて覚えておくといいです。

答え5

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