過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
第69回臨床化学PM29~44
問題29 ステロイド骨格を持つのはどれか。
- アドレナリン
- アルドステロン
- インスリン
- オキシトシン
- ガストリン
解説:ステロイド骨格とはミネラルコルチコイドをもつもの。
★ステロイド骨格をもつもの
- アルドステロン(副腎皮質:血圧調整)
- グルココルチコイド(副腎皮質ホメオスタシス)
- エストロゲン(卵巣:卵胞ホルモン)
- プロゲステロン(卵巣:黄体ホルモン)
答え2
問題30 BNPについて誤っているのはどれか。
- 血清で測定する
- 心室で合成される
- 腎不全で増加する
- 環状構造部分を持つ
- Na+再吸収を抑制する
解説:BNPの基礎知識を問う問題です。
答え1
問題31 尿酸について誤っているのはどれか。(不適問題)
- 還元力がある
- 基準範囲に性差がある
- 尿塩酸は組織に沈着する
- ヘモグロビンの最終代謝産物である
- 血中の飽和溶解濃度は7mg/dL程度である
解説:尿酸の基礎知識を問う問題です。
答え4
問題32 非抱合ビリルビンについて正しいのはどれか。
- 腸肝循環する
- 尿中に排泄される
- ジアゾ試薬と直接反応する
- 血中でアルブミンと結合する
- グロブリンと結合しδビリルビンが生成される
解説:ビリルビンの基礎知識を問う問題です。非抱合ビリルビンとは、肝で処理される前のビリルビンのことです。(間接ビリルビン)それを踏まえて下の図を見て整理してみましょう。
- 腸肝循環する→直接ビリルビン
- 尿中に排泄される→直接ビリルビン
- ジアゾ試薬と直接反応する→直接ビリルビン
- 血中でアルブミンと結合する→間接ビリルビン
- グロブリンと結合しδビリルビンが生成される→抱合ビリルビンがアルブミンと共有結合するとδビリルビンとなる
答え4
問題33 酵素反応で過酸化水素を発生しないのはどれか。
- グルコースオキシダーゼ
- サルコシンオキシダーゼ
- アシルCoAオキシダーゼ
- グリセロールオキシダーゼ
- アスコルビン酸オキシダーゼ
解説:覚えてしまうのが手っ取り早いです。
- オキシダーゼは基本的に基質に作用し、過酸化水素(H2O2)を発生するが、アスコルビン酸オキシダーゼは過酸化水素を発生しない。
- アスコルビン酸オキシダーゼはアスコルビン酸をデヒドロアスコルビン酸に酸化する際に水を生成する
答え5
問題34 カルシウムについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- EDTA加血漿では高値となる
- 生理活性があるのはイオン型である
- アシドーシスではイオン型の割合が増加する
- 血清中ではトランスフェリンと結合している
- 細胞内液に最も多く含まれる陽イオンである
解説:設問を正しい形でまとめます。
★Caについて
- EDTAでは、キレートを作製し低値となる(極低値となります)
- 生理活性があるのはイオン型です
- アシドーシスではアルブミンとの結合が切れるため、イオン型が増加する
(アルカローシスではアルブミン結合型が増加する) - 血清中ではアルブミンと結合している
- 細胞内液に最も多く含まれるのはKイオンです
答え2と3
問題35 ポルフィリン環を含むのはどれか。2つ選べ。
- ヘム
- ビタミンB12
- アラキドン酸
- クレアチニン
- ヒドロキシ酪酸
解説:ポルフィリン環のイメージを付けるために化学構造式を下に示します。
さらに、ポルフィリンはヘモグロビンの前駆物質であることを知っておきましょう。
ヘモグロビンの前駆物質であることから、①のヘムが当てはまります。そしてビタミンB12(シアノコバラミン)もポルフィリン環を持つ物質であることを覚えておきましょう。
★ポルフィリン環を持つもの
- ヘム
- シアノコバラミン(ビタミンB12)
答え1と2
問題36 Michaelis-Mentenの式に従う酵素反応で、反応速度がVmaxの75%となる基質濃度はKm値の何倍か。ただし、Vmaxは最大反応速度、KmはMichaelis定数とする。
- 0.5
- 1
- 2
- 3
- 5
解説:ミカエリス・メンテンの式を使って解く問題です。
この式を元に考えていきます。
v=Vmaxの75%なので0.75Vmaxをvに代入します。
Vmaxを打ち消して
0.75=S/Km+S
両辺に(Km+S)をかけて、整理していきます
0.75(Km+S)=S
0.75Km+0.75S=S
0.75Km=S-0.75S
0.75km=0.25S
S=0.75/0.25 Km
S=3Km
答え4
問題37 鉄代謝で正しいのはどれか。
- 血清鉄は朝低い
- 食事による摂取では小腸で吸収される
- 血清ではセルロプラスミンと結合している
- ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である
- 鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能(UIBC)が低下する
解説:設問を正しく直してまとめました。
★鉄まとめ
- 血清鉄は朝に高値となる
(活動時に鉄が無いと貧血になりそうってイメージです) - 食事による摂取で鉄は小腸で吸収される
(鉄欠乏性貧血がひどい人で、鉄剤を飲むと吐き気などの消化器症状がでるのはこのためとも言われています) - 血清中ではトランスフェリンと結合している
(セルロプラスミンは銅です) - ヘモグロビンは2価鉄(Fe2+)、トランスフェリンが3価鉄(Fe3+)と結合している
- 鉄欠乏性貧血ではUIBCは増加する。
※UIBC:不飽和鉄結合能(鉄と結合していないトランスフェリン)
(低下するのはFeとフェチチン)
- ヘモグロビンと結合しているのは3価の鉄である。→ヘモグロビンは2価鉄、トランスフェリンとフェリチンは3価鉄として結合しています。
-
鉄欠乏性貧血では不飽和鉄結合能 <UIBC> が低下する。→UIBCとは、鉄と結合していないトランスフェリンのことです。鉄欠乏状態では、貧血を改善しようと、肝臓でトランスフェリンの合成を促進し、鉄を集めようとします。しかし、鉄が足りない状態ではUIBCが増加するのです。
答え2
問題38 コレステロールの含有率が最も高いのはどれか。
- HDL
- IDL
- LDL
- VLDL
- カイロミクロン
解説:リポ蛋白はよく出る問題です。下の表を覚えておけば簡単に解くことができます。
答え3
問題39 血清中の半減期が最も短いのはどれか。
- IgM
- アルブミン
- トランスフェリン
- トランスサイレチン
- レチノール結合蛋白
解説:よく出る半減期の項目をまとめました。
答え5
問題40 血 中(1 →3 )- β-D-グルカンが高値となるのはどれか。
- ムコール症
- 溶連菌感染症
- アスペルギルス症
- リケッチア感染症
- 新型コロナウイルス感染症
解説:β-Dグルカンは真菌感染症(アスペルギルス、カンジダ、クリプトコッカス症)で上昇しますがムコール症では上昇しません。
理由は1→3βDグルカンは真菌の細胞壁成分であり、これを持っていないからです。
答え3
問題41 肝臓の解毒機能の評価に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- ICG試験
- 血清ALT
- 血中アンモニア
- プロトロンビン時間
- 血清コリンエステラーゼ
解説:肝機能の検査分類です。
★肝機能検査の分類
- 肝代謝能
ALT - 肝合成能
PT、ChE - 肝解毒
ICG試験、アンモニア
答え1と3
問題42 下垂体後葉から分泌されるのはどれか。
- 成長ホルモン
- バソプレシン
- プロラクチン
- ゴナドトロピン
- 甲状腺刺激ホルモン
解説:下垂体から分泌されるホルモンをまとめました。
答え2
問題43 生化学自動分析装置の終点分析法における2 ポイント法で、影響を回避できるのはどれか。
- 検体の色調
- 校正のずれ
- 第2試薬の着色
- 光源ランプの劣化
- 第1試薬の分注量不足
解説:2ポイント(エンドポイント法)の基礎です。汎用機でよく使われる方法で、病院なのルーチンで使う生化学の検査だと考えてるとスッキリします。
- 検体の色調→ほぼ関係ありません(人によって淡黄色~黄色調)
- 校正のズレ→キャリブレーションを失敗すると当然測定値に影響が出ます
- 第二試薬の着色→試薬の劣化や編成は確実に影響を及ぼします
- 抗原ランプの劣化→光量が少しでも不安定になるだけで、測光値がバラつき影響が出ます
- 第一試薬の分注量→試薬分注量は1試薬も1試薬も決まっています。変わると測定値に影響が出ます
答え1
問題44 濃度を窒素量として表示するのはどれか。2つ選べ。
- 尿酸
- 尿素
- アンモニア
- ビリルビン
- クレアチニン
解説:濃度を窒素量で表示するのは尿素(尿素中の窒素量)とアンモニア(アンモニア中の窒素量)
尿素(NH2)2CO の分子量は 60 で窒素量は28
尿素窒素量から尿素量を求めるには尿素窒素量に 60/28=2.14 を乗じると尿素量となる
答え2と3