こんにちは!臨床検査技師のさいです。
今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題から、「臨床化学・生化学」の解説まとめをお届けします!
糖・脂質代謝の基本やアンモニアの生理から、JSCC勧告法の測定原理、イオン選択電極の組み合わせ、さらにはBNPや便中カルプロテクチンといった臨床で活躍する重要マーカーまで、昔ながらの内容から最近注目の項目(カルプロ)まで目白押しの範囲です。
アルファベットや数字が多くて丸暗記が辛く感じるかもしれませんが、「なぜその数値が変動するのか」「どうやって測定しているのか」を理解しやすいよう、語呂合わせや表、図を交えて作成しました。
国試勉強も筋トレと同じで、正しいフォーム(理解)で反復すれば必ず脳にマッスルメモリーとして定着します!(すみません、最近筋トレにハマっているもので笑)
間違いがあったらSNSのDMなどで教えてください!
僕が受験生の頃、参考書の解説だけではわかりにくいと思った経験があり、そういった悩みにフォーカスを当てて作成するようにしています。少しでも国試勉強の役に立てられれば幸いです。
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床化学:午後問題の正誤理由まとめ
(問29〜44)
午後 問29:細胞内小器官の役割
【問題】
細胞内小器官で糖鎖の付加を行うのはどれか。
- 1.核
- 2.中心体
- 3.ゴルジ装置
- 4.リソソーム
- 5.ミトコンドリア
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正答:3
【解説】細胞内小器官の働きを整理しよう!
細胞の中には、それぞれ特有の役割を持つ「細胞内小器官(オルガネラ)」が存在します。それぞれの機能と代表的なマーカー酵素を覚えるのが良いと思います。
| 細胞内小器官 | 主な役割(国試頻出ポイント) | マーカー酵素等 |
|---|---|---|
| 核 | 遺伝情報(DNA)の保管、DNAからmRNAへの「転写」。 | DNAポリメラーゼ |
| ミトコンドリア | 電子伝達系・TCA回路でのエネルギー(ATP)産生、脂肪酸のβ酸化。 | シトクロムオキシダーゼ |
| ゴルジ装置 | 合成されたタンパク質への糖鎖・脂質修飾(付加)、細胞外への分泌。 | グリコシルトランスフェラーゼ |
| リソソーム | 加水分解酵素による不要物の消化・分解。 | 酸性ホスファターゼ |
| 粗面小胞体(リボソーム) | mRNAの情報をもとにしたタンパク質の合成(翻訳)。 | グルコース-6-ホスファターゼ |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.核(誤り)
遺伝情報であるDNAの保管と、RNAの合成(転写)を行う場所です。 - 2.中心体(誤り)
細胞が分裂(有糸分裂)する際に、染色体を引っ張る「紡錘糸」を形成する起点となる器官です。 - 3.ゴルジ装置(正解)
リボソームで作られたタンパク質を受け取り、糖鎖を付け足すなどの「修飾(加工)」を行い、細胞の外へ分泌するためのパッケージングを行う器官です。 - 4.リソソーム(誤り)
細胞内の「ゴミ処理場」です。加水分解酵素を用いて、古くなった器官や外部から取り込んだ異物を消化・分解します。「リボソーム(タンパク質合成)」と名前が似ているので引っかけに注意しましょう。 - 5.ミトコンドリア(誤り)
細胞の「発電所」です。TCA回路や電子伝達系を回して、生体のエネルギー通貨であるATPを大量に産生します。
暗記方法・覚え方のコツ
タンパク質ができるまでの一連の流れを工場に例えて暗記しましょう!
核(設計図をコピー)→ リボソーム(部品の組み立て)→ ゴルジ装置(飾り付け・出荷)。ゴルジ装置は工場の「最終仕上げ&出荷部門」です。
さいの補足
「細胞内小器官のマーカー酵素」も、臨床化学の分野で出題されます。例えば、今回の正解であるゴルジ装置のマーカーは「グリコシルトランスフェラーゼ」です。「グリコ(糖)」を「トランスファー(転移・付加)」する酵素、という意味なので、ゴルジ装置の「糖鎖の付加」という役割と完全に名前が一致しています。役割と酵素の名前を覚えると暗記が楽になると思います。
午後 問30:グリコーゲンの貯蔵組織
【問題】
グリコーゲンを貯蔵する主な組織はどれか。
- 1.脳
- 2.筋肉
- 3.脂肪
- 4.小腸
- 5.腎臓
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正答:2
【解説】グリコーゲンの貯蔵庫は「肝臓」と「筋肉」の2トップ!
食事から摂取した糖質(グルコース)は、いざという時のエネルギー源として「グリコーゲン」という大きな塊に合成され、主に「肝臓」と「筋肉(骨格筋)」に貯蔵されます。国試ではこの2つの役割の違いが頻出です。
| 貯蔵場所 | 主な役割と目的 | 血糖値の上昇 |
|---|---|---|
| 肝臓 (肝グリコーゲン) |
全身にグルコースを供給し、空腹時の血糖値を一定に維持するため。 | できる |
| 筋肉 (筋グリコーゲン) |
筋肉が収縮(運動)するための自分専用のエネルギー源として消費する。 | できない |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.脳(誤り)
脳はエネルギーとして大量のグルコースを消費しますが、自前でグリコーゲンを貯蔵する能力はほとんどありません。そのため、常に血液からの糖の供給に依存しています。 - 2.筋肉(正解)
骨格筋は体内で最も多くのグリコーゲンを貯蔵している組織です。筋収縮のエネルギーとして消費されます。 - 3.脂肪(誤り)
脂肪組織はエネルギーをグリコーゲンではなく、「トリグリセライド(中性脂肪)」という形で大量に貯蔵しています。 - 4.小腸(誤り)
小腸は消化吸収を行う器官であり、エネルギーの長期貯蔵組織ではありません。 - 5.腎臓(誤り)
腎臓の皮質は糖新生(新しく糖を作る機能)を持っていますが、グリコーゲンを大量に貯蔵する組織ではありません。
暗記方法・覚え方のコツ
余った糖分は「肝臓と筋肉に貯める!」が糖代謝の基本ルールです。
全身のために尽くす「肝臓」と、自分のためにしか使わない「筋肉」と分けて覚えておくといいと思います👍
さいの補足
なぜ筋肉のグリコーゲンは「血糖値の上昇」に貢献できないのでしょうか?
それは筋肉に「グルコース-6-ホスファターゼ」という酵素が存在しないからです。グリコーゲンを分解してできたグルコース-6-リン酸から、リン酸を外して純粋なグルコース(糖)にして血液中に放り投げるためには、この酵素が絶対に必要です。筋肉はこの酵素を持たないため、分解した糖を外(血液)に出すことができず、自分で細胞内のエネルギー(解糖系)として使い切るしかないという構造になっています。
午後 問31:ホルモン検査と測定試料(検体)
【問題】
血清を試料として定量可能なのはどれか。
- 1.ACTH
- 2.ADH
- 3.BNP
- 4.PTH
- 5.TSH
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正答:5
【解説】「血清NG=すぐ壊れるホルモン」を覚えよう!
血液検査の検体には主に「血清」と「血漿」がありますが、ホルモンの種類によっては血清になるのを待っている間(凝固・遠心分離の待ち時間)に、血液中の酵素によって分解されて無くなってしまうものがあります。国試ではこの「不安定で血清では測れない項目」が頻出です。
| 測定試料 | 特徴と理由 | 該当する主な項目 |
|---|---|---|
| EDTA加血漿 (血清はNG) |
採血後すぐにタンパク分解酵素に壊されてしまう不安定なペプチドホルモン。分解を防ぐためにEDTAが必要。 | ACTH、ADH、BNP、PTH、レニン活性、グルカゴン など |
| 血清 (一般用) |
血中での安定性が比較的高く、血清分離の待ち時間でも壊れにくいホルモン。 | TSH、甲状腺ホルモン(FT3, FT4)、各種ステロイドホルモン など |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.ACTH(誤り)
非常に不安定ですぐに分解されるため、酵素を阻害する「EDTA加血漿」を使用し、さらに遠心分離後に上清を凍結保存する必要があります。 - 2.ADH(誤り)
抗利尿ホルモン(バソプレシン)もペプチドホルモンであり不安定なため、「EDTA加血漿」で測定します。 - 3.BNP(誤り)
心不全マーカーのBNPも室温ですぐに分解されてしまうため、「EDTA加血漿」の採血管が必要です。 - 4.PTH(誤り)
副甲状腺ホルモン(インタクトPTH)も血清中では分解が進むため、安定して測定するには「EDTA加血漿」を用います。
以前は血清で測定もしていましたが、いつぞや(10年くらい前?)の論文にて血清では有意に低下するという報告があり、EDTA血漿にて測定するようになりました。 - 5.TSH(正解)
甲状腺刺激ホルモンは糖タンパクホルモンであり、比較的安定しているため一般的な「血清」で測定が可能です。
暗記方法・覚え方のコツ
血清で測れるものを覚えるより、「すぐ壊れるからEDTA血漿(紫色のスピッツ)が必要なヤツら」を暗記して消去法で解くのが国試の王道です!「ACTH・BNP・PTH・レニン」はEDTA四天王として絶対に覚えておきましょう。
さいの補足
なぜ不安定なホルモンには「EDTA」が必要なのか?
血液中にはペプチド(タンパク質)をバラバラに壊してしまう「タンパク分解酵素(プロテアーゼ)」がたくさん存在しています。この酵素が働くためには、補酵素としてカルシウム(Ca)やマグネシウム(Mg)などの金属イオンが必要です。
EDTAには、血液中のカルシウムやマグネシウムをガッチリと掴んで奪い取る強力な作用(キレート作用)があります。金属イオンを奪われた分解酵素は働くことができなくなるため、結果としてホルモンが壊されずに安定して測定できるようになる、というメカニズムがが利用されています。
午後 問32:光の波長と補色(余色)
【問題】
500nmの余色〈補色〉はどれか。
- 1.青
- 2.赤
- 3.橙
- 4.緑
- 5.紫
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正答:2
【解説】吸光光度計の原理!吸収する色と見える色は「逆」になる
物質に光を当てたとき、その物質が特定の波長(色)の光を吸収すると、人間の目には「吸収されずに通り抜けた(反射した)残りの光」が見えます。この「吸収された色」と「目に見える色」の関係を「補色(余色)」と呼びます。
今回は補色についての問題なので、吸収される色と補色をまとめました。
| 波長(nm) | 吸収される色 | 目に見える色(補色) |
|---|---|---|
| 400〜480付近 | 青 | 黄 |
| 480〜500付近 | 青緑 | 赤 |
| 500〜560付近 | 緑 | 赤紫 |
| 560〜595付近 | 黄緑〜黄 | 紫〜青 |
| 595〜750付近 | 橙〜赤 | 青緑 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.青(誤り)
青色(約435〜480nm)の補色は「黄」です。黄色の物質(ビリルビンなど)は青色の波長を吸収します。 - 2.赤(正解)
500nm付近の光(青緑〜緑)を吸収する物質は、私たちの目にその補色である「赤」として見えます。 - 3.橙(誤り)
橙色(オレンジ)の補色は「緑青(約480〜490nm)」付近です。 - 4.緑(誤り)
緑色の補色は「赤紫(約500〜560nm)」です。 - 5.紫(誤り)
紫色の補色は「黄緑(約560〜580nm)」です。
暗記方法・覚え方のコツ
すべてを暗記するのは大変なので、国試でよく出る組み合わせをペアで覚えましょう!
・赤色の試薬を測る波長 = 約500nm(緑)
・黄色の試薬を測る波長 = 約450nm(青)
まずはこの2つのペアを優先して頭に入れてください。
さいの補足
なぜ「目に見える色」ではなく「吸収される色(補色)」の波長を機械で測定するのでしょうか?
それは、物質の濃度を正確に測るためには、その物質が「最も光をよく吸収する波長(極大吸収波長)」の光を当てるのが一番感度が高いからです。
赤いセロハンに赤い光を当てても素通りしてしまいますが、補色である緑の光を当てると真っ黒に吸収されます。この「どれくらい光を吸収して暗くなったか(吸光度)」を計算することで、血液の中の成分の濃度を割り出しているのが、自動分析装置(吸光光度計)の原理です!
午後 問33:アンモニアの生理と測定法
【問題】
アンモニアで正しいのはどれか。
- 1.腎臓で無毒化される。
- 2.核酸から生合成される。
- 3.血漿中では蛋白に結合して存在する。
- 4.ウレアーゼ-GLDH法によって測定される。
- 5.臨床検査ではアンモニア窒素濃度として表示する。
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正答:5
【解説】アンモニアは「BUN(尿素窒素)」との引っかけに注意!
アンモニアは非常に有毒な物質であるため、体内で安全な物質(尿素)へ変換されてから捨てられます。国試では、この「アンモニア」と「BUN(尿素窒素)」の性質や測定法をわざと入れ替えた引っかけ選択肢が頻出します。
| 比較項目 | アンモニア(NH3) | BUN(尿素窒素) |
|---|---|---|
| 由来・生成元 | アミノ酸(タンパク質)の代謝産物 | アンモニアが肝臓で変換されたもの |
| 無毒化する臓器 | 肝臓(尿素回路)で無毒な尿素へ | (すでに無毒)腎臓から排泄される |
| 測定する酵素 | GLDH(グルタミン酸デヒドロゲナーゼ) | ウレアーゼ・GLDH法 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.腎臓で無毒化される。(誤り)
アンモニアは「肝臓」にある尿素回路(オルニチンサイクル)によって無毒な尿素に変換されます。 - 2.核酸から生合成される。(誤り)
アンモニアは「アミノ酸(タンパク質)」が分解される過程で生じるゴミ(代謝産物)です。ちなみに核酸の代謝産物は「尿酸」です。 - 3.血漿中では蛋白に結合して存在する。(誤り)
血液中ではタンパク質とは結合せず、大部分がアンモニウムイオン(NH4+)という遊離した状態で存在しています。 - 4.ウレアーゼ-GLDH法によって測定される。(誤り)
ウレアーゼ-GLDH法は「BUN(尿素窒素)」を測る方法です。尿素をウレアーゼでわざとアンモニアに分解してから、GLDHで測ります。最初からアンモニアを測る場合は「GLDH」だけを使用します。 - 5.臨床検査ではアンモニア窒素濃度として表示する。(正解)
臨床の現場では、アンモニア(NH3)の中に含まれる「窒素(N)」の量として濃度を表示するのが一般的です(NH3-Nとして表記されます)。
暗記方法・覚え方のコツ
「アンモニアはタンパク質(アミノ酸)のゴミ!肝臓で無毒化!」と覚えます。また、「ウレアーゼは尿素(Urea)を壊す酵素」と英語に変換できれば、アンモニア測定に使う酵素ではないと見抜けます。
さいの補足
肝硬変などの重い肝臓病になると、尿素回路が働かなくなるため、アンモニアが無毒化されずに血液中に溢れ出します。
有毒なアンモニアが脳にまで到達すると「肝性脳症」という深刻な意識障害を引き起こし、特徴的な「羽ばたき振戦(手がパタパタと震える症状)」が現れます。
午後 問34:脂質代謝の基本
【問題】
脂質代謝で誤っているのはどれか。
- 1.ケトン体は胆汁酸の原料となる。
- 2.リン脂質は細胞膜の構成成分である。
- 3.血漿中のコレステロールはエステル型が多い。
- 4.血漿中の遊離脂肪酸はアルブミンと結合している。
- 5.トリグリセライドはカイロミクロンの主要な脂質である。
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正答:1
【解説】各種脂質の「役割」と「運ばれ方」を整理しよう!
血液中を流れる脂質には、コレステロール、トリグリセライド(中性脂肪)、リン脂質、遊離脂肪酸などがあり、それぞれ役割を持っています。
| 脂質の種類 | 体内での主な役割・特徴 |
|---|---|
| コレステロール | ・細胞膜の構成成分 ・胆汁酸、ステロイドホルモン、ビタミンDの原料 ・血中では約70%がエステル型 |
| リン脂質 | ・細胞膜(脂質二重層)の主要な構成成分 |
| トリグリセライド(TG) | ・エネルギーの貯蔵庫 ・カイロミクロン(食事由来)やVLDL(肝臓由来)の主成分 |
| 遊離脂肪酸(FFA) | ・全身の組織ですぐに使えるエネルギー源 ・水に溶けないためアルブミンと結合して運ばれる |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.ケトン体は胆汁酸の原料となる。(誤り)
胆汁酸の原料になるのは「コレステロール」です。ケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン)は、絶食時や糖尿病などで糖がうまく使えない時に、脂肪が分解されて作られる「代替エネルギー源」です。 - 2.リン脂質は細胞膜の構成成分である。(正しい)
リン脂質は水に馴染む頭と脂に馴染む尾を持ち、向かい合って二重層を作ることで細胞膜の壁として働いています。 - 3.血漿中のコレステロールはエステル型が多い。(正しい)
血液中のコレステロールは、脂肪酸とくっついた「エステル型」が約70〜75%、そのままの「遊離型」が約25〜30%の割合で存在しています。 - 4.血漿中の遊離脂肪酸はアルブミンと結合している。(正しい)
遊離脂肪酸はそのままでは血液(水)に溶けないため、「アルブミン」と結合して全身に運ばれます。 - 5.トリグリセライドはカイロミクロンの主要な脂質である。(正しい)
カイロミクロンは食事から吸収した脂質を運ぶ巨大な船のようなリポタンパク質で、その約90%はトリグリセライド(中性脂肪)です。
暗記方法・覚え方のコツ
コレステロールの使い道は「細胞の膜!ステロイドホルモン!胆汁酸!」の3つをセットで暗記です!
さいの補足
選択肢3にある「コレステロールのエステル型と遊離型」の割合も臨床化学の頻出ポイントです。
肝臓で作られたり食事から吸収されたりしたばかりのコレステロールは「遊離型」ですが、血液中を流れる間に「LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)」という酵素の働きによって脂肪酸がくっつけられ、より安定した「エステル型」へと変換されます。健康な人では常にエステル型が約7割を占めていますが、重症の肝障害などでLCATという酵素が作れなくなると、エステル化ができなくなり「エステル型コレステロールの割合が低下(エステル比の低下)」します。
午後 問35:JSCC勧告法(酵素活性測定)
【問題】
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法による酵素活性測定で340nmの吸光度増加を測定するのはどれか。
- 1.ALP
- 2.AST
- 3.ChE
- 4.CK
- 5.γ-GT
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正答:4
【解説】「340nm」の正体はNADH(NADPH)の増減!
JSCC勧告法で「340nm(紫外部)」という数字が出たら、それは補酵素であるNADHまたはNADPHの吸光度を測っているというサインです。反応によってこれらが「作られる(増える)」のか「使われる(減る)」のかを覚えるのが重要です。
| 酵素項目 | 測定波長 | 吸光度の変化 | 変化の理由 |
|---|---|---|---|
| CK | 340nm | 増加 | 最終的にNADPHが産生されるため。 |
| AST、ALT、ChE | 340nm | 減少 | 反応の過程でNADHが消費されるため。 |
| ALP | 405nm付近 | 増加 | 黄色い物質(p-ニトロフェノール)が発生するため。 |
| γ-GT | 410nm付近 | 増加 | 黄色い物質(p-ニトロアニリン)が発生するため。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.ALP(誤り)
基質から黄色い「p-ニトロフェノール」が遊離する反応を利用し、約405nm(可視部)の吸光度増加を測定します。 - 2.AST(誤り)
340nmを測定しますが、反応にNADHを消費してNAD+に変わるため、吸光度は「減少」します。ALTも同様に減少します。 - 3.ChE(誤り)
JSCC勧告法では、最終的にp-ヒドロキシ安息香酸水酸化酵素という酵素の働きでNADHが消費されるため、340nmの吸光度は「減少」します。 - 4.CK(正解)
CKの反応に別の酵素(HKやG6PD)を連携させることで、最終的にNADPHが大量に作られます。NADPHが増えるため、340nmの吸光度は「増加」します。 - 5.γ-GT(誤り)
基質から黄色い「p-ニトロアニリン」が遊離する反応を利用し、約410nm(可視部)の吸光度増加を測定します。
暗記方法・覚え方のコツ
340nmの増減は「CKだけが増加!AST・ALT・ChEは減少!」と、グループ分けして暗記してしまうのが最も効率的です。また、ALPとγ-GTは黄色い物質(p-ニトロ〜)を測るため400nm台(青色の補色)を使う点も頻出です。
さいの補足
なぜ「340nm(紫外部)」という中途半端な波長を使うのでしょうか?
それは、NADHやNADPH(還元型)は340nmの光をよく吸収しますが、NAD+やNADP+(酸化型)は340nmの光を「まったく吸収しない」という非常に都合の良い性質を持っているからです。
この性質のおかげで、他の物質に邪魔されることなく、「NADHがどれくらい作られたか(または使われたか)」だけをピンポイントで正確に測ることができます。
午後 問36:ビタミンの分類と別名
【問題】
脂溶性ビタミンはどれか。
- 1.チアミン
- 2.コバラミン
- 3.リボフラビン
- 4.アスコルビン酸
- 5.カルシフェロール
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正答:5
【解説】脂溶性ビタミンは「DAKE(だけ)」!
ビタミンは、水に溶けやすい「水溶性」と油に溶けやすい「脂溶性」に大別されます。国試では「別名(化学名)」で出題されることもあります。
まずは脂溶性ビタミンの代表格を別名とセットで暗記しましょう。
| 分類 | ビタミン | 別名(化学名) |
|---|---|---|
| 脂溶性 | ビタミンD | カルシフェロール |
| ビタミンA | レチノール | |
| ビタミンK | メナキノン、フィロキノン | |
| ビタミンE | トコフェロール | |
| 水溶性 | ビタミンB1 | チアミン |
| ビタミンB2 | リボフラビン | |
| ビタミンB12 | コバラミン | |
| ビタミンC | アスコルビン酸 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.チアミン(誤り)
ビタミンB1のことです。水溶性ビタミンに分類されます。 - 2.コバラミン(誤り)
ビタミンB12のことです。水溶性ビタミンに分類されます。 - 3.リボフラビン(誤り)
ビタミンB2のことです。水溶性ビタミンに分類されます。 - 4.アスコルビン酸(誤り)
ビタミンCのことです。水溶性ビタミンに分類されます。 - 5.カルシフェロール(正解)
ビタミンDのことです。脂溶性ビタミンに分類されます。
暗記方法・覚え方のコツ
脂溶性ビタミンは「DAKE(だけ)」と覚えましょう!
D・A・K・Eの4つが脂溶性で、それ以外(B群やCなど)はすべて水溶性です。まずはこの4つを別名とセットで完璧に暗記し、消去法で解けるようにするのがベストです。
さいの補足
脂溶性と水溶性の違いは、体内での「蓄積のしやすさ」に直結します。水溶性ビタミン(B群やC)は過剰に摂取しても尿と一緒に体の外へ排出されやすいですが、脂溶性ビタミン(DAKE)は油に溶ける性質があるため、肝臓や脂肪組織に蓄積しやすく、摂りすぎると「過剰症」を引き起こす危険性があります。
過剰症も、国試でよく出題されます。(覚えること多すぎぃ)
午後 問37:イオン選択電極の組み合わせ
【問題】
ナトリウムを測定する電極はどれか。2つ選べ。
- 1.ガラス
- 2.クラウンエーテル
- 3.酵素
- 4.第4級アンモニウム塩
- 5.バリノマイシン
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正答:1、2
【解説】電解質とイオン選択電極は「ペア」で丸暗記!
日常検査でナトリウム(Na)、カリウム(K)、クロール(Cl)などの電解質を測定する際、多くの自動分析装置では「イオン選択電極(ISE)法」が用いられています。どのイオンをどの電極(膜)で測るのかは、国試の超頻出・絶対暗記ポイントです。
| 測定対象イオン | 使用される電極・感応膜 |
|---|---|
| ナトリウム(Na+) | ガラス電極、クラウンエーテル電極 |
| カリウム(K+) | バリノマイシン電極 |
| クロール(Cl-) | 第4級アンモニウム塩電極 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.ガラス(正解)
ナトリウムイオン(Na+)を選択的に通す特殊なガラス膜を用いた電極です。古くからNa測定の主流です。 - 2.クラウンエーテル(正解)
王冠(クラウン)のような形をした分子の穴に、ナトリウムイオンがぴったりとハマる性質を利用した電極です。 - 3.酵素(誤り)
酵素電極は、グルコース(血糖)や尿酸などの測定に用いられます。 - 4.第4級アンモニウム塩(誤り)
クロール(Cl-)など、マイナスの電気を持った陰イオンの測定に用いられます。 - 5.バリノマイシン(誤り)
カリウム(K+)専用の電極です。Naの電極よりもさらに国試での出題頻度が高い超重要キーワードです。
暗記方法・覚え方のコツ
「ガラスの王冠(クラウン)をかぶったナトリウム」と語呂合わせで暗記しましょう!また、「カリウム=バリノマイシン」を覚えて知っているだけで消去法がとても楽になります。
さいの補足
なぜ電解質の測定に「吸光光度法(色の濃さ)」ではなく「イオン選択電極法」がよく使われるのでしょうか?
それは、血液の濁り(乳び)や溶血など、光を邪魔する物質の影響を受けずに正確に測ることができるからです。また、色の反応を待つ必要がなく、電極を検体に触れさせるだけですぐに結果が出るからです🕰️
午後 問38:アルブミンの生理と測定法
【問題】
アルブミンで正しいのはどれか。
- 1.血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。
- 2.Rapid Turnover Protein〈RTP〉に分類される。
- 3.尿中微量アルブミン濃度は色素結合法で測定する。
- 4.ブロムクレゾールパープル〈BCP〉法はα-グロブリンとの反応性が高い。
- 5.ブロムクレゾールグリーン〈BCG〉改良法が血清中濃度測定で使用されている。
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正答:1
【解説】アルブミンの「測定法」と「半減期」を整理!
血清総蛋白の約60%を占めるアルブミンは、臨床化学検査の主役とも言える項目です。国試では「採血時の体位による変動」「栄養指標としての分類」「BCG法とBCP法の違い」の3本柱が非常によく狙われます。
| 測定法(色素結合法) | 特徴と特異性 |
|---|---|
| BCP法 (ブロムクレゾールパープル) |
アルブミンに対する特異性が高い。 現在、日常検査の主流(改良BCP法)として広く普及している。 |
| BCG法 (ブロムクレゾールグリーン) |
アルブミン以外のグロブリンとも反応してしまう(特異性が低い)。 見かけ上の値が高く出やすい欠点がある。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.血清中濃度は座位よりも臥位で低くなる。(正解)
横になった状態(臥位)から座る・立つと、重力により血管内の水分が組織間へ移動し、血液が濃縮されてタンパク濃度が見かけ上高く出ます。逆に臥位では水分が血管内に戻るため、濃度は低くなります。 - 2.Rapid Turnover Protein〈RTP〉に分類される。(誤り)
アルブミンの半減期は約14〜21日と長いため、RTP(半減期が短く、短期間の栄養状態を反映するタンパク質)には分類されません。RTPの代表は「プレアルブミン」「レチノール結合蛋白」「トランスフェリン」です。 - 3.尿中微量アルブミン濃度は色素結合法で測定する。(誤り)
文字通り「微量」なため、感度の低い色素結合法では正確に測定できません。抗原抗体反応を利用した高感度な「免疫学的測定法(TIA法やNPIA法など)」を用います。 - 4.ブロムクレゾールパープル〈BCP〉法はα-グロブリンとの反応性が高い。(誤り)
α-グロブリンなどの急性相反応物質と反応性が高く、偽高値になりやすいのは「BCG法」の欠点です。BCP法はグロブリンとはほとんど反応しません。 - 5.ブロムクレゾールグリーン〈BCG〉改良法が血清中濃度測定で使用されている。(誤り)
現在の日常検査で広く使用されているのは、特異性を高めた「BCP改良法」です。
暗記方法・覚え方のコツ
「BCP=パーフェクト(Perfect)なアルブミン測定法!」と覚えましょう!Pがつく方が特異性が高く優秀(現在の主流)と暗記すれば、BCG法との引っかけに迷わなくなります。
さいの補足
採血時の体位による濃度の変動は、アルブミンや総蛋白などの「分子量が大きい成分(血管の壁を通り抜けられない成分)」に顕著に現れます。患者さんがベッドで寝ている状態(臥位)で採血したデータと、外来の椅子に座った状態(座位)で採血したデータでは、全く同じ人の血液でも座位の方がアルブミン値が「約0.2〜0.4 g/dL」ほど高く出ることがあります。
何気によく出題されているので、覚えておきましょう。
午後 問39:カルシウムとPTHの変動
【問題】
血漿カルシウム高値かつPTH低値となる疾患はどれか。
- 1.慢性腎臓病
- 2.悪性腫瘍の骨転移
- 3.ビタミンD欠乏症
- 4.偽性副甲状腺機能低下症
- 5.原発性副甲状腺機能亢進症
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正答:2
【解説】CaとPTHの「組み合わせ表」は国試の超頻出!
血中のカルシウム(Ca)濃度は、副甲状腺ホルモン(PTH)によって厳密にコントロールされています。Caが上がればPTHは下がり、Caが下がればPTHは上がるという「ネガティブフィードバック」の基本原則と、それが破綻する疾患をセットで覚えましょう。
| カルシウム(Ca) | PTH(副甲状腺ホルモン) | 代表的な疾患 |
|---|---|---|
| 高値 | 低値 | 悪性腫瘍(骨転移、PTHrP産生)、サルコイドーシス、ビタミンD過剰症 |
| 高値 | 高値 | 原発性副甲状腺機能亢進症 |
| 低値 | 高値 | 慢性腎臓病(CKD)、ビタミンD欠乏症、偽性副甲状腺機能低下症 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.慢性腎臓病(誤り)
ビタミンDの活性化ができなくなり「低Ca血症」になります。それを補うためにPTHが過剰分泌されるため「低Ca・高PTH(二次性副甲状腺機能亢進症)」となります。 - 2.悪性腫瘍の骨転移(正解)
腫瘍が骨を溶かしたり、腫瘍からPTHrP(PTH関連タンパク)が分泌されたりすることで「高Ca血症」になります。正常な副甲状腺は高いCaを感知してPTHの分泌をサボる(フィードバック機構)ため、「高Ca・低PTH」となります。 - 3.ビタミンD欠乏症(誤り)
腸管からのCa吸収が低下して「低Ca血症」になります。結果としてPTHが上がるため「低Ca・高PTH」となります。 - 4.偽性副甲状腺機能低下症(誤り)
PTHは出ているのに、腎臓や骨の受容体が反応してくれない病気です。PTHが効かないため「低Ca」になり、なんとかしようとPTHをさらに出すため「低Ca・高PTH」となります。 - 5.原発性副甲状腺機能亢進症(誤り)
副甲状腺そのものに腫瘍などができ、自律的にPTHを過剰分泌し続ける病気です。当然「高Ca・高PTH」となります。
暗記方法・覚え方のコツ(最強の語呂合わせ)
- 【高Ca・低PTH】
「悪の皇帝」 = 悪(悪性腫瘍)の 高(高Ca)帝(低PTH) - 【高Ca・高PTH】
「原発高校」 = 原発(原発性副甲状腺〜) 高(高Ca)校(高PTH) - 【低Ca・高PTH】
「腎不全に抵抗」 = 腎不全(慢性腎臓病) 抵(低Ca)抗(高PTH)
さいの補足
この問題の最大のポイントは「ネガティブフィードバック」が正常に働いているか、破綻しているかを見極めることです。
悪性腫瘍(高Ca)や慢性腎臓病(低Ca)のときは、副甲状腺自体は正常なので、Caの異常を感知して「PTHを減らそう」「PTHを増やそう」と健気に頑張って対応しています。しかし、原発性副甲状腺機能亢進症だけは副甲状腺そのものが暴走しているため、Caが高いのにPTHを出し続けるという「フィードバックの破綻」が起きています。このメカニズムを知っておくことが大切です。
午後 問40:脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)
【問題】
脳性ナトリウム利尿ペプチド〈BNP〉で正しいのはどれか。
- 1.血管を収縮させる。
- 2.心室で合成される。
- 3.100個のアミノ酸で構成される。
- 4.ナトリウムの再吸収を促進する。
- 5.採血後の血漿中濃度は室温で安定である。
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正答:2
【解説】BNPは「心臓の負担を減らそうと頑張るホルモン」!
BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)は、名前に「脳」とついていますが、実際には主に心臓の「心室」から分泌されるホルモンであり、心不全の重症度を評価する最重要マーカーです。BNPの働きを「心臓を休ませるための作用」という視点で整理しましょう。
| 項目 | BNPの特徴・作用 |
|---|---|
| 分泌される場所 | 主に心室(心臓の壁が引き伸ばされるストレスに反応して分泌) |
| 血管への作用 | 血管を拡張させる(血圧を下げて心臓の負担を減らす) |
| 腎臓への作用 | ナトリウムと水の再吸収を抑制し、尿として排泄する(利尿作用) |
| 検体の取り扱い | 非常に不安定なため、EDTA加血漿を用い、冷却保存(氷冷)が必須 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.血管を収縮させる。(誤り)
血管を「拡張」させて血圧を下げ、血液を送り出す心臓の負担(後負荷)を軽くします。 - 2.心室で合成される。(正解)
心不全などで心室に負担がかかると分泌されます。ちなみに、名前が似ている「ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)」は主に「心房」から分泌されます。 - 3.100個のアミノ酸で構成される。(誤り)
ヒトのBNPはわずか32個のアミノ酸からなる小さなペプチドホルモンです。 - 4.ナトリウムの再吸収を促進する。(誤り)
名前の通り「ナトリウム利尿(尿として外へ出す)」ペプチドです。体内の余分な水分とナトリウムを排泄し、血液の量を減らすことで心臓の負担(前負荷)を軽くします。 - 5.採血後の血漿中濃度は室温で安定である。(誤り)
室温ではタンパク分解酵素によってすぐに分解されてしまいます。
暗記方法・覚え方のコツ
BNPとANPの違いは頭文字で暗記!
・BNP = Ventricle(心室)のVとBの形が似ている!
・ANP = Atrium(心房)のAで一致!
さいの補足
なぜ心室から分泌されるのに「脳性(Brain)」という名前がついているのでしょうか?
それは、BNPが1988年に日本人の研究者(松尾壽之博士らのグループ)によって「ブタの脳」から世界で初めて発見されたからです。
その後、人間の体内では脳よりも「心室」で大量に作られていることが判明しましたが、最初に名付けられた「脳性」という名前がそのまま残っているという、歴史的背景があるんです。
ややこしいですよね笑
午後 問41:酵素の分類
【問題】
転移酵素はどれか。2つ選べ。
- 1.ALT
- 2.ChE
- 3.CK
- 4.LD
- 5.LIP
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正答:1、3
【解説】酵素の6大分類!国試で狙われるトップ3を整理
酵素はその働き(どんな化学反応を起こすか)によって6つのグループに分類されています。よく出題されるのは「酸化還元酵素」「転移酵素」「加水分解酵素」の3つです。
| 酵素の分類 | 特徴と見分け方 | 代表的な酵素 |
|---|---|---|
| 転移酵素 | アミノ基やリン酸基などを別の物質へ移す(トランスファーする)。 | AST、ALT、γ-GT、CK |
| 加水分解酵素 | 水分子を加えて物質をバラバラに分解する(消化酵素に多い)。 | AMY、LIP、ChE、ALP、ACP |
| 酸化還元酵素 | 水素(H)や酸素(O)のやり取りを行う。名前に「デヒドロゲナーゼ」とつく。 | LD、GLDH |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.ALT(正解)
正式名称は「アラニンアミノトランスフェラーゼ」です。名前に「トランス(移動・転移)」が入っているので、転移酵素です。 - 2.ChE(誤り)
コリンエステラーゼは、エステル結合を「加水分解」する酵素です。 - 3.CK(正解)
クレアチンキナーゼのように名前に「キナーゼ」がつく酵素は、ATPのリン酸基を相手に渡す(転移する)働きを持つたこれは引っかけとして超頻出です! - 4.LD(誤り)
乳酸デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)は、水素をやり取りするため「酸化還元酵素」に分類されます。 - 5.LIP(誤り)
リパーゼは、中性脂肪を脂肪酸とグリセリンに「加水分解」する消化酵素です。
暗記方法・覚え方のコツ
英語の名称から推理するのが一番簡単です!
・トランスフェラーゼ、キナーゼ = 転移酵素
・デヒドロゲナーゼ(脱水素) = 酸化還元酵素
・アミラーゼ、リパーゼ(消化系) = 加水分解酵素
さいの補足
ALTやASTの「T」はトランスフェラーゼ(Transferase)のTです。トランスファー(Transfer)は「乗り換える・移動する」という意味の英語なので、名前を見るだけで「転移酵素だ!」と一瞬で見抜くことができます。
また、γ-GT(ガンマグルタミルトランスペプチダーゼ)にも「トランス」が入っていますよね。このように、アルファベットの略称の元の意味を知っておくと、丸暗記しなくても解ける様になります。
午後 問42:便中カルプロテクチン
【問題】
便中カルプロテクチンで正しいのはどれか。
- 1.抗腫瘍効果を有する。
- 2.食事の影響を受ける。
- 3.室温では不安定である。
- 4.腸内細菌から分泌される。
- 5.潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。
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正答:5
【解説】腸の炎症をリアルタイムに反映する優秀な便マーカー!
カルプロテクチンは、主に「好中球(白血球の一種)」の中に大量に含まれているカルシウム結合タンパク質です。腸に炎症が起きると、そこに集まってきた好中球からこのタンパク質が便中に漏れ出すため、便を調べるだけで腸の炎症のひどさを知ることができます。
| 項目 | カルプロテクチンの特徴 |
|---|---|
| 由来 | 好中球(腸管粘膜に浸潤した白血球) |
| 対象疾患 | 潰瘍性大腸炎、クローン病(炎症性腸疾患:IBD) |
| 安定性 | 非常に高い。室温で3日間放置しても安定している。 |
| 食事の影響 | 受けない |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.抗腫瘍効果を有する。(誤り)
カルプロテクチンは炎症の指標となるタンパク質であり、抗がん作用などの抗腫瘍効果は持っていません。 - 2.食事の影響を受ける。(誤り)
便潜血検査(免疫法)などと同様に、食事内容(肉類や野菜など)の影響を受けないため、検査前の食事制限は不要です。 - 3.室温では不安定である。(誤り)
タンパク分解酵素による影響を受けにくく、便中において室温で3日間は安定という、非常に扱いやすい特徴を持っています。 - 4.腸内細菌から分泌される。(誤り)
腸内細菌ではなく、患者さん自身の「好中球(やマクロファージ)」から分泌・漏出する成分です。 - 5.潰瘍性大腸炎の病勢の評価として測定される。(正解)
潰瘍性大腸炎やクローン病などの「炎症性腸疾患(IBD)」において、炎症の強さ(病勢)を評価したり、薬が効いているかを判定したりするために測定されます。
暗記方法・覚え方のコツ
カルプロテクチンの特徴は「室温安定!食事制限なし!好中球由来!」の3点セットで暗記です。患者さんにとっても検査室にとっても非常に「優しい(扱いやすい)」検査項目だとイメージしておきましょう。
しかし、この便検査の登場によって、痛い思いをせずに(非侵襲的に)炎症の度合いをモニタリングできるようになりました
さいの補足
カルプロテクチンは、炎症性腸疾患(IBD)と、ストレスなどが原因で下痢や便秘を繰り返す「過敏性腸症候群(IBS)」を見分けるのにも大活躍します。
IBDは腸に実際の炎症があるためカルプロテクチンが大きく上昇しますが、IBSは炎症を伴わないため基準値内に収まります。
午後 問43:ゲル濾過クロマトグラフィとリポ蛋白
【問題】
ゲル濾過クロマトグラフィで溶出の順番が最も遅いリポ蛋白はどれか。
- 1.カイロミクロン
- 2.高比重リポ蛋白〈HDL〉
- 3.中間比重リポ蛋白〈IDL〉
- 4.低比重リポ蛋白〈LDL〉
- 5.超低比重リポ蛋白〈VLDL〉
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正答:2
【解説】ゲル濾過は「大きいものから順に出てくる」!
ゲル濾過クロマトグラフィは、小さな穴(細孔)が無数に空いたビーズを使って物質をサイズごとに分ける分析法です。穴に入れない「大きな分子」はビーズの隙間を素通りして早く出てきますが、穴に入り込める「小さな分子」は内部で寄り道をするため遅く出てきます。リポ蛋白は「比重が高いほどサイズが小さい」という特徴を持つため、これらを組み合わせた出題が国試の定番です。
| リポ蛋白の種類 | 粒子サイズ | 比重 | 溶出の順番 |
|---|---|---|---|
| カイロミクロン(CM) | 最も大きい | 最も低い | 1番目(最速) |
| VLDL | 大きい | 低い | 2番目 |
| IDL | 中くらい | 中くらい | 3番目 |
| LDL | 小さい | 高い | 4番目 |
| HDL | 最も小さい | 最も高い | 5番目(最遅) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.カイロミクロン(誤り)
リポ蛋白の中で最もサイズが大きいため、ゲルの穴を素通りして「一番最初」に溶出します。 - 2.高比重リポ蛋白〈HDL〉(正解)
リポ蛋白の中で最もサイズが小さいため、ゲルの穴に深く入り込み、通り抜けるのに最も時間がかかります(一番遅く溶出する)。 - 3.中間比重リポ蛋白〈IDL〉(誤り)
VLDLとLDLの中間のサイズであり、3番目に溶出します。 - 4.低比重リポ蛋白〈LDL〉(誤り)
HDLの次にサイズが小さいため、4番目に遅く溶出します。 - 5.超低比重リポ蛋白〈VLDL〉(誤り)
カイロミクロンの次にサイズが大きいため、2番目に早く溶出します。
暗記方法・覚え方のコツ
リポ蛋白は「比重が重いものほどサイズは小さい」という逆転現象が最大のポイントです。比重がHigh(高い)なHDLは、サイズとしては一番コンパクトだと覚えておきましょう。
さいの補足
そもそも、なぜ「タンパク質が多い」と「比重が重く」なるのでしょうか?
ラーメンのスープに浮く油やチャーシューを想像してみてください。中性脂肪(スープ油)などの脂質は水より「軽く(浮く)」、逆にタンパク質(チャーシュー)は水より「重い(沈む)」という性質があります。カイロミクロンやVLDLは中身のほとんどが中性脂肪(油の塊)なので巨大でフワフワと軽く、逆にHDLは成分の約半分がタンパク質で構成されているため、ギュッと高密度で重く(高比重)なっています🍜
午後 問44:ATP産生と代謝経路
【問題】
ATP産生に関与しないのはどれか。
- 1.β 酸化
- 2.嫌気的解糖
- 3.電子伝達系
- 4.クエン酸回路
- 5.尿素サイクル
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正答:5
【解説】代謝の「目的」でグループ分けしよう!
体内の代謝経路には、大きく分けて「エネルギー(ATP)を獲得するための経路」と、「物質の合成や解毒を行うための経路」の2種類があります。この目的を整理しておくと、丸暗記しなくても正解を導き出せます。
| 代謝の目的 | 該当する主な経路 | ATPの増減 |
|---|---|---|
| エネルギー(ATP)の獲得 | 解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、β酸化 | 産生する(+) |
| 解毒や物質の合成 | 尿素サイクル、ペントースリン酸回路、糖新生 | 消費・産生なし(−) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.β 酸化(誤り)
脂肪酸を分解してアセチルCoAを作り出す過程で、大量のエネルギーの元(NADH、FADH2)を産生するため、ATP産生に関与します。 - 2.嫌気的解糖(誤り)
酸素を使わずにグルコースを乳酸まで分解し、直接的にATPを産生します。 - 3.電子伝達系(誤り)
ミトコンドリア内で行われる、生体内で最大のATP産生工場です。 - 4.クエン酸回路(誤り)
アセチルCoAを分解し、GTP(ATPと同等のエネルギー)やNADHなどを産生する重要なエネルギー獲得経路です。 - 5.尿素サイクル(正解)
有毒なアンモニアを無毒な尿素へ変換する「解毒」のための経路です。この処理工程を動かすためにATPを「消費」するため、産生はしません。
暗記方法・覚え方のコツ
国試で「ATPを産生しない経路」と聞かれたら、「尿素サイクル」と「ペントースリン酸回路」の2つを最優先で思い出せるように覚えておきましょう!
さいの補足
解説にあるもう一つの重要経路「ペントースリン酸回路」もATPを産生しません。こちらはエネルギーを作るのではなく、核酸(DNAやRNA)の材料となる「リボース-5-リン酸」や、脂肪酸の合成・赤血球の酸化防止に必須となる「NADPH」を作り出すための、『物質合成のための専用ライン』として働いています。
お疲れ様でした!臨床化学・生化学の復習はバッチリですか?
第72回の臨床化学・生化学(午後問29〜44)、本当にお疲れ様でした!
ホルモン測定の採血管の違い(EDTA四天王)や、カルシウムとPTHのネガティブフィードバック、JSCC勧告法の340nmの増減など、今回は丸暗記では太刀打ちできない「メカニズム」を問う問題が多く出題されていました。
年々難しくなっている気がします。
でも、ここをしっかり理解しておけば、範囲が広いぶん他の科目(生理学や免疫学など)の点数アップや、現場に出た時の「基礎力UP」に必ず繋がります👍
一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「疾患の語呂合わせ(悪の皇帝など)」や「代謝の目的別グループ分け」などを思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください📓
さいのSNSでも国試対策を発信中!
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「この問題がどうしても分からない!」という質問があれば、SNSのコメント欄で気軽に教えてくださいね。
それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!
