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国家試験臨床検査医学総論AM問11~15です。
過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
国家試験の過去問解説のまとめページです
第69回臨床検査総論AM問11~15
11:WPW症候群に合併しやすいのはどれか。
- 心室頻拍
- 心房細動
- 心房粗動
- 房室ブロック
- 発作性上室頻拍
解説:WPW症候群とは何か、なぜ合併しやすいものがあるのかをまとめました。
★WPW症候群とは
- 副伝導路を介する心房から心室への興奮の異常電動によって発症する疾患。通常の房室伝導路を興奮が伝わらず、ケント束という副伝導路を興奮が伝ってくるため、心電図上ではデルタ波が観察される。(QRS波が⊿のような形になる)また、PQ時間の短縮QRS時間の延長が認められる。P波はみられるが、発作性上室頻拍を合併した場合は、QRSの直後に陰性P波がみられる。
- WPW症候群の人は、正常房室伝導路の刺激がケント束を逆走してしまい、リエントリーとなってしまうことがある。このリエントリーにより、発作性上室頻拍が合併されやすくなっている。
- (参考)LGL症候群とは、PQ時間の短縮はあるが、デルタ波を認めずQRSの形は正常。房室接合部をバイパスとするJames束と呼ばれる副伝導路が存在する。
答え5
12:BRCA1/2の病的変異が検出されるのはどれか。
- Lynch症候群
- 家族性大腸腺腫症
- Li-Fraumeni病
- von Hippel-Lindau病
- 遺伝性乳がん卵巣がん症候群
解説:がんと遺伝子的な要因にまつわる問題です。設問の範囲でまとめました。
- Lynch症候群:遺伝的にがんになりやすい体質の1つ。リンチ症候群で特に発症しやすい癌は、大腸癌と子宮内膜癌。
- 家族性大腸腺腫症Familial Adenomatous Polyposis(FAP):大腸の中にたくさんのポリープができ、そこから大腸がんを発症する疾患。 一般の大腸がんに比べて、若い年齢で大腸癌になるのが特徴。
- Li-Fraumeni病(リーフラウメ二症候群):がん抑制遺伝⼦であるTP53の⽣殖細胞系列病的バリアントを保持する⼈に発症する、常染⾊体優性遺伝形式を呈する遺伝性腫瘍。
- フォン・ヒッペル・リンドウ病 (Von Hippel–Lindau disease:VHL病)とは、中枢神経や網膜での血管芽腫や腎臓での明細胞癌、褐色細胞腫などの腫瘍が多発する常染色体優性の遺伝性疾患。第3染色体にあるVHL遺伝子の変異が原因。
- 乳がんの約5-10%、卵巣がんの約10%は遺伝性と考えられ、そのひとつがBRCA1/2遺伝子の病的な変異を原因とする「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」。
答え5
13:汎血球減少症を呈するのはどれか。2つ選べ。
- 腎性貧血
- 鉄欠乏性貧血
- 巨赤芽球性貧血
- 再生不良性貧血
- 自己免疫性溶血性貧血
解説 汎血球減少を示す疾患を一覧にしています。
★汎血球減少症を呈する疾患
- 再生不良性貧血
- 骨髄異形成症候群(MDS)
- 発作性夜間ヘモグロビン尿症
- 巨赤芽球性貧血
- 脾臓機能亢進
- SLE
- 血球貪食症候群
- 感染症
- 急性白血病や多発性骨髄腫などの骨髄組織の置換のある疾患
上記より、該当するものは再生不良性貧血と巨赤芽球性貧血です。
答え3と4
14:末期慢性腎不全で認められるのはどれか。2つ選べ。
- 低リン血症
- 低カリウム血症
- 低カルシウム血症
- 低ナトリウム血症
- 低マグネシウム血症
解説:慢性腎不全の電解質の問題です。
よく出題されるので覚えておきましょう。
★慢性腎不全における電解質の変化
上昇:K、Mg、IP
低下:Na(末期で低下)、Ca
答え3と4
15:メタボリックシンドロームの診断基準に含まれるのはどれか。2つ選べ。
- 総コレステロール220mg/dL以上
- トリグリセライド150mg/dL以上
- HDLコレステロール40mg/dL未満
- LDLコレステロール140mg/dL以上
- Non-HDLコレステロール170mg/dL以上
解説:メタボリックシンドロームの診断基準を以下の図に示します。

この中で該当する者はTGとHDLですね。
答え2と3
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