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【臨床検査技師国家試験】第69回PM臨床免疫学【解説】

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国家試験臨床免疫学PM問79~89です

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集 

第69回臨床免疫学PM79~89

問題 79 抗原抗体反応で正しいのはどれか

  1. 温度に影響されない
  2. 非可逆的反応である
  3. 非特異反応は起こらない
  4. 地帯現象により偽陽性となる
  5. 酸性にすると抗体は解離しやすくなる

解説:設問を正しい形に直してまとめました。

  • 反応温度には最適温度があり、抗体の性質に依存する
  • 反応条件により、可逆反応となることがある
  • 非特異反応は起こる
  • 地帯現象により偽陰性となる
  • 中性付近で反応が起こりやすいため、酸性やアルカリ性に傾くと抗体は乖離しやすくなる

答え5

問題 80 RPR カードテストについて正しいのはどれか

  1. 地帯現象は起こらない
  2. 生物学的偽陽性は起こらない
  3. 被検血清は不活化しなくてよい
  4. 梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出する
  5. 1 分間に 120 回転の速さで 5 分間水平回転する

解説:RPRカードテストについてまとめました。

★RPRカードテスト法

  • カーボンにカルジオライピン-レシチン抗原を感作させた抗原液と被検血清を反応させる
  • 地帯現象は起こる(ガラス板法でも起こる)
  • 生物学的擬陽性も起こる
  • 被検血清は不活化しなくてよい
  • 100rpmで8分間水平回転後、判定する
    (設問の120rpm、5分間はガラス板法)
④の『梅毒トレポネーマに特異的な抗体を検出する』はTPHAの検査です

答え3

問題 81 フローサイトメトリで誤っているのはどれか

  1. 蛍光標識抗体を使用する
  2. 細胞質内抗原を測定できる
  3. 蛍光強度は細胞数を反映する
  4. リンパ球表面マーカーを解析できる
  5. 測定器の光源はレーザー光を使用する

解説:フローサイトメトリについて、既出問題も含めまとめてみました

答え3

問題 82 自然免疫に関与するのはどれか。2 つ選べ。
(不適問題)

  1. B 細胞
  2. T 細胞
  3. 好中球
  4. 肥満細胞
  5. マクロファージ

解説:答えが曖昧で2つ以上選択肢がある不適問題です。

★自然免疫とは

自然免疫はヒトに存在せず細菌などに多く存在するリポ多糖類や糖蛋白質末端のマンノースを認識し病原体を排除する仕組み

好中球、マクロファージ、肥満細胞など

★獲得免疫とは

獲得免疫はB細胞、T細胞が関与し特異性の高い抗原認識が行われる

答え3と4と5

問題 83 自己免疫性膵炎で上昇するのはどれか

  1. IgA1
  2. IgA2
  3. IgD
  4. IgG2
  5. IgG4

解説:似たような設問の中から自己免疫性膵炎で上昇するものを選ばせる問題ですが、IgG4であることを覚えてしまいましょう。

★IgG4関連疾患

IgG4関連疾患は、血液中にIgG4抗体が増加したり、膵臓以外に胆管、涙腺、唾液腺、腎臓などさまざまな臓器にIgG4抗体を産生する免疫細胞が浸潤して臓器の腫大や肥厚がみられる疾患

答え5

問題 84 HLA について正しいのはどれか.

  1. HLA クラスⅠは高度な多型性を示す
  2. HLA は第 6 染色体長腕上に存在する
  3. HLA クラスⅡは血小板に発現している
  4. HLA クラスⅠに DR,DQ 領域が含まれる
  5. HLA クラスⅠは体液性免疫と細胞性免疫の両方を誘導する

解説:主要組織適合性抗原遺伝子複合体(MHC)分子に関する出題です。

下表にまとめましたので、把握しておきましょう。

★主要組織適合性抗原遺伝子複合体(MHC)分子についてまとめ

  • MHCのHLA抗原を支配する遺伝子座は、第6染色体短腕上のLocus(座)A,B,C,D,Drに支配されている
  • MHCは細胞の膜上に発現する
  • ヒトのMHCのHLA-A、HlA-B、HLA-CはクラスⅠを発現する
    血小板にはHLA-A、HlA-B、HLA-CはクラスⅠを発現する
  • ヒトのMHCのHLA-D、HLA-DR、HLA-DQ、HLA-DPはクラスⅡに属する
    クラスⅡは抗原提示細胞に発現しており、B細胞が関与する体液性免疫、T細胞が関与する細胞性免疫にも関わる

答え1

問題 85 不規則抗体同定検査の結果を以下に示す.可能性の高い抗体はどれか。2 つ選べ。

  1. 抗 c
  2. 抗 C
  3. 抗 E
  4. 抗 Fyb
  5. 抗 M

解説:Sal およびIAT法それぞれで、反応が0のパネル血球の抗原が陽性のものを否定する消去法で検索する。

Sal 法では、まず黄色丸の『0』の横の行に注目して、✖をつけて『+』を除いていく
すると、抗M抗体だけが✖がなく、残る結果となる。

したがって、抗M抗体の可能性が高いといえる。

IAT法でも同様に確認していく。

その結果、抗E抗体の可能性が高いと言える。

答え3と5

問題 86 多特異性抗グロブリン試薬に含まれるのはどれか。2 つ選べ。

  1. 抗 C3
  2. 抗 C4
  3. 抗 IgD
  4. 抗 IgE
  5. 抗 IgG

解説:簡単に言うと、”抗IgGとC3”ですが、細分化すると下の通りになります。

★抗グロブリン血清には

  • 抗IgG、抗C3b、抗C3dの単特異性抗体とのみ反応するもの
  • IgG抗体と補体成分(C3b、C3d)の両方を含む多特異性抗体

の二種類がある

答え1と5

問題 87 同一患者の試験管法とカラム凝集法の反応像
(別冊 No.16)を別に示す。凝集反応の判定として正しいのはどれか。

  1. 0
  2. 1+
  3. 2+
  4. 4+
  5. 部分凝集

解説:試験管法とカラム凝集法の写真ですが、カラム凝集法の結果が特徴的です。
判定基準を下に示したので参考にしてください。

答え5

問題 88 末梢血幹細胞の採取時期の指標となるのはどれか

  1. 血小板数
  2. 好中球数
  3. 赤血球数
  4. CD34 陽性細胞数
  5. CD3 陽性リンパ球数

解説:設問から、④か⑤の二択かと思います。

⑤のCD3+細胞は、リンパ球サブセット検査のうち、CD3(成熟Tリンパ球総数)であり、幹細胞とは関係ありません。

④のCD34+細胞は”⾻髄や⾎液中に 存在する未分化な細胞”と定義されており、幹細胞を示します。
末梢血にはごくわずかしか造血幹細胞は含まれないため、造血幹細胞移植を行う場合には顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)を投与後に、骨髄から造血幹細胞が放出されるタイミングについてCD34抗原を測定して指標としている。

答え4

問題 89 間接抗グロブリン試験で使用される反応増強剤はどれか。2 つ選べ。

  1. フィシン
  2. パパイン
  3. 低イオン強度溶液(LISS)
  4. ジチオスレイトール(DTT)
  5. ポリエチレングリコール溶液(PEG)

解説:関節クームス試験を実際にやったことがある人は楽勝な問題です。

反応増強剤のPEGとLISSなので、③と⑤が一目でわかります。僕の施設ではLISSを使っております。

『反応増強剤のPEGはLISS液に比べて感度が高く臨床的意義の高い同種抗体を検出可能であるが、偽陽性反応もLISS液に比べ高い』という問題もある。

他の設問を解説します。

  • フィシンとパパインは蛋白分解酵素で、赤血球膜上のシアル糖蛋白に作用し負に荷電しているシアル酸を減少させ、赤血球表面のゼータ電位を低下させる。その結果、ある種の抗体の結合を増加させる
  • 不規則抗体検査の酵素法で使用されるDTTはIgM抗体のs-s結合を切断することでIgM抗体を不活化するために使用する

    ★DTTワンポイント

    多発性骨髄腫に対する分子標的薬であるダラツムマブDaratumumab (DARA)投与患者では、赤血球膜表面上に微弱に発現している CD38 の影響により間接クームス試験が偽陽性となり輸血前検査に影響を及ぼす
    そのため間接クームス試験に使用する赤血球はジチオスレイトール(DTT)処理を行う必要がある

答え3と5

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