過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
第69回臨床微生物学AM68~78
68:世代時間が最も長いのはどれか。
- Bacillus cereus
- Escherichia coli
- Mycobacterium tuberculosis
- Staphylococcus aureus
- Vibrio parahaemolyticus
解説:世代時間の長いMycobacterium属を見つけると簡単です。知っているか知らないかの違いで簡単に解けます。
★世代時間とは
- 細菌や細胞が1回の分裂にかかる時間を世代時間(generation time)
- Mycobacterium tuberculosis(結核菌)は1回の細胞分裂に1日程度(20~22時間)かかるが、一般的な細菌は2~30分で終わる。
培養時間にも繋がってきます。抗酸菌(結核菌群、非結核性抗酸菌群)培養は特に時間がかかるので覚えておきましょう。
答え:3
69:多剤耐性結核菌の判定に用いないのはどれか。
- アミカシン
- イソニアジド
- リファンピシン
- レボフロキサシン
- ストレプトマイシン
解説:多剤耐性結核菌の分類をまとめました。超多剤耐性結核菌の分類を知っておきましょう。
答え:5
70:腸管感染症患者の下痢便の Gram 染色標本(別冊No. 12)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
- Aeromonas hydrophila
- Campylobacter jejuni
- Helicobacter pylori
- Vibrio parahaemolyticus
- Yersinia enterocolitica
解説:Gram陰性(赤色)らせん状の桿菌が観察できる。
この時点でCampylobacter jejuniとHelicobacter pyloriの二択となるが、「下痢」の症状をもたらすのは食中毒のカンピロバクターです。
ヘリコバクターは胃潰瘍や十二指腸潰瘍を起こす。
Aeromonas hydrophila、Vibrio parahaemolyticus、Yersinia enterocolitica は下痢症の原因菌となるが、全てらせん状ではなくGram陰性桿菌です。
答え:2
71:カルバペネム系抗菌薬が有効なのはどれか。
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)
- バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)
- 多剤耐性緑膿菌(MDRP)
- 多剤耐性アシネトバクター(MDRA)
- 基質拡張型 β-ラクタマーゼ(ESBL)産生大腸菌
解説:薬剤耐性菌の知識を問う問題です。全て把握するのは難しいですが、一般的な知識を頭に入れておけば解くことができます。
答え:5
72:真菌に分類されるのはどれか。 2 つ選べ。
- Chlamydia trachomatis
- Cryptococcus neoformans
- Nocardia asteroides
- Pneumocystis jirovecii
- Treponema pallidum
解説:真菌を選ぶ問題です。知っておけば解けるので覚えておきましょう。
- Chlamydia trachomatis(偏性細胞寄生性菌)
- Nocardia asteroides
- Treponema pallidum (梅毒)
これらは全て細菌です。
答え:2と4
73:培地と使用目的の組合せで正しいのはどれか。 2 つ選べ。
- Bordet-Gengou 培地 選択分離
- Cary-Blair 培地 性状確認
- King A 培地 検体輸送
- LIM 培地 選択増菌
- Mueller-Hinton 寒天培地 薬剤感受性検査
解説:設問の培地をそれぞれ正しい形に直しました。
- Bordet-Gengou 培地 → 分離用
- Cary-Blair 培地 → 検体輸送用
- King A 培地 → 性状確認用
- LIM 培地 → 腸内細菌目の性状確認用
- Mueller-Hinton 寒天培地 → 薬剤感受性検査
答え:不適問題だが、厚労省的には1と5
74:WHO が提唱している手指衛生のタイミングに含まれないのはどれか。
- 無菌操作の前
- 患者に触れる前
- 患者に触れた後
- 患者周辺の物品に触れる前
- 体液に曝露された可能性のある場合
解説:WHOが提唱している手指衛生の5つのタイミングを知っておきましょう。
- 無菌操作の前
- 患者に触れる前
- 患者に触れた後
- 患者環境に触れた後
- 体液暴露リスクの後
答え:4
75:細菌と毒素の組合せで誤っているのはどれか。
- Clostridium tetani - 神経毒素
- Enterohemorrhagic Escherichia coli(EHEC)- ベロ毒素
- Staphylococcus aureus - エンテロトキシン
- Streptococcus pyogenes - 毒素性ショック症候群毒素
- Vibrio parahaemolyticus - 耐熱性溶血毒
解説:Streptococcus pyogenes(化膿性連鎖球菌)が産生する毒素には、溶血毒素のストレプトリジンOとストレプトリジンS、発赤毒のディック毒素(SpeA、SpeB、SpeC)がある。
毒素性ショック症候群毒素(TSST-1)を産生するのも、Staphylococcus aureus(黄色ブドウ球菌)です。
答え:4
76:ハートインフュージョンブイヨンで培養した菌の染色標本(別冊No. 13)を別に示す。染色法はどれか。
- Giménez 染色
- Hiss 法
- Leifson 法
- Neisser 法
- Wirtz 法
解説:各種染色の目的を覚えましょう。
赤色の菌体と赤色の鞭毛が観察されるので、鞭毛を染める染色はどれか?という問題です。
- Giménez染色(ヒメネス染色)はLegionella属菌を目的にする
- Hiss法は莢膜を染色する
- Leifson法は鞭毛を染色する
- Neisser法はジフテリア菌の異染小体を染色する
- Wirtz法は芽胞の染色する
答え:3
77:血中薬物濃度測定による治療薬物モニタリング(TDM)の対象となるのはどれか。
- アンピシリン
- イミペネム
- エリスロマイシン
- ゲンタマイシン
- セファゾリン
解説:
答え:4
78:ウイルスと疾患の組合せで正しいのはどれか。
- コクサッキーウイルス - 尿道炎
- サイトメガロウイルス - 手足口病
- デングウイルス - 肺炎
- ヒトパルボウイルス - 伝染性紅斑
- ヒト RS ウイルス - 脳炎
解説:よく出る問題パターンです。
- コクサッキーウイルスは手足口病、ヘルパンギーナ、無菌性髄膜炎
- サイトメガロウイルスは間質性肺炎、脳炎、網膜炎、肝炎
- デングウイルスは蚊に媒介されるデング熱(熱性疾患)やデング出血熱
- ヒトパルボウイルスは伝染性紅斑
- ヒトRSウイルスは急性呼吸器感染症
答え:4