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第71回臨床検査技師国試 午前【臨床化学】全選択肢の正誤理由と解説まとめ

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こんにちは、臨床検査技師のさいです。第71回国試・午前問題の「臨床化学」について、全選択肢の正誤理由をまとめました。

臨床化学のデータは、患者さんの体の中で起きている化学反応のリアルな結果です。単語をそのまま暗記するのではなく、「物質を運ぶトラックと倉庫」や「電解質のシーソー関係」のように、体内の物流や物理現象としてイメージすると理解が格段に深まります。

この解説では、教科書的な知識だけでなく、実際の検査室でデータを見る時の「現場の視点」もたっぷり盛り込んでいます。

「この解説のここが分からなかった」などの疑問があれば、SNSのDMからお気軽にご連絡ください。今後の記事作成の参考にさせていただきます。

※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第71回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。

問29:無機質(電解質)の動態と疾患

【問題】
無機質の動態で誤っているのはどれか。

  • 1.腎不全により高マグネシウム血症をきたす。
  • 2.副甲状腺機能低下症により高無機リン血症をきたす。
  • 3.代謝性アルカローシスにより高カリウム血症をきたす。
  • 4.異所性PTH産生腫瘍により高カルシウム血症をきたす。
  • 5.原発性アルドステロン症により高ナトリウム血症をきたす。
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正答:3

【解説】酸塩基平衡とホルモンによる電解質の動き

本問は「無機質(電解質)と酸塩基平衡・内分泌疾患」の関連を問う問題です。電解質異常は単純な丸暗記ではなく、メカニズムを理解することが重要です。特にカリウム(K⁺)は水素イオン(H⁺)と細胞膜を介してシーソーのように入れ替わる性質があります。また、カルシウム(Ca)やリン(P)、ナトリウム(Na)は、それぞれ特定のホルモン(PTHやアルドステロン)や腎機能によってコントロールされています。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.正しい(腎不全)
    マグネシウム(Mg)やカリウム(K)、リン(P)は主に腎臓から排泄されるため、腎不全では排泄低下により高マグネシウム血症や高カリウム血症、高リン血症をきたします。
  • 2.正しい(副甲状腺機能低下症)
    副甲状腺ホルモン(PTH)は「血中のCaを上げ、Pを下げる」ホルモンです。PTHは腎臓でのリンの再吸収を抑え、尿中への排泄を促進します。この働きが低下するため、逆に低カルシウム血症と高無機リン血症をきたします。
  • 3.誤り(代謝性アルカローシス)
    アルカローシス(血液がアルカリ性に傾く)では、血液中の水素イオン(H⁺)が不足します。これを補うため、細胞内からH⁺が血液中へ出ていき、代わりに血液中のカリウムイオン(K⁺)が細胞内へ取り込まれます。結果として、血液中のK⁺は減少して低カリウム血症となります。「高カリウム血症」とする本選択肢が誤りです。
  • 4.正しい(異所性PTH産生腫瘍)
    扁平上皮癌などがPTHに似た物質(PTHrP)を過剰に産生する病態です。PTHと同じ「Caを上げる」作用が働くため、高カルシウム血症をきたします。悪性腫瘍に伴う高Ca血症の代表的メカニズムです。
  • 5.正しい(原発性アルドステロン症)
    アルドステロンは腎臓で「Naを再吸収(貯める)し、Kを排泄(捨てる)」ホルモンです。これが過剰になるため、高ナトリウム血症と低カリウム血症をきたす方向へ働きます。

【頻出】疾患・状態と主な電解質異常のまとめ

疾患・状態 主な電解質異常 メカニズム
代謝性アルカローシス 低K血症 K⁺が細胞内へ移動
代謝性アシドーシス 高K血症 K⁺が細胞外へ移動
腎不全 高K、高Mg、高P血症 腎臓からの排泄低下
副甲状腺機能低下症 低Ca、高P血症 PTH分泌不足
原発性アルドステロン症 低K、軽度高Na血症 Na再吸収とK排泄の亢進

国試Point:ここだけ覚えればOK

  • アルカローシス = 低K血症
  • アシドーシス = 高K血症
  • 腎不全 = 捨てられない(K・Mg・P上昇)
  • アルドステロン = Naを貯めて、Kを捨てる

国家試験のひっかけポイント(すり替えに注意!)

  • アルカローシスで高K血症 → 誤り(正しくは「低K血症」です)
  • 腎不全で低Mg血症 → 誤り(排泄できず溜まるので「高Mg血症」です)
  • 副甲状腺機能低下症で低P血症 → 誤り(Pが捨てられなくなるため「高P血症」です)

暗記方法・覚え方のコツ(H⁺とK⁺のシーソー関係)

カリウムと酸塩基平衡の関係は、細胞膜を介したH⁺とK⁺の「シーソーの関係(物々交換)」で理解しましょう。

【アルカローシス】

血液 H⁺ ↓

細胞から H⁺ 出る / 代わりに K⁺ 入る

血清K⁺ ↓(低K血症)

【アシドーシス】

血液 H⁺ ↑

細胞へ H⁺ 入る / 代わりに K⁺ 出る

血清K⁺ ↑(高K血症)

さい
さい
血液と細胞は、H⁺とK⁺の「物々交換」をしています。血液中のH⁺が減る(アルカローシス)と、細胞が「俺のH⁺をあげるよ!代わりにK⁺をもらうね!」と動くので、血液中のK⁺は減ってしまうんです!

さいの補足(アルドステロンと高Na血症の温度差)

選択肢5について、少し専門的な補足をします。国試レベルでは「アルドステロン=Na再吸収=高Na血症」という理論で正解扱いになりますが、実際の臨床現場では原発性アルドステロン症で「著明な高Na血症」を見ることは稀です。なぜなら、Naが体内に貯留すると、それに伴って「水」も一緒に貯留するため、血液の濃度としては薄められ(エスケープ現象など)、正常上限〜軽度上昇にとどまるからです。臨床的には「低K血症」の方がはるかに目立つ重要なサインとなります。

問30:特殊タンパク質の機能と半減期

【問題】
蛋白で誤っているのはどれか。

  • 1.セルロプラスミンは銅を運搬する。
  • 2.フェリチンは肝臓に多く分布している。
  • 3.トランスサイレチンはビタミンAの代謝に関与する。
  • 4.レチノール結合蛋白の血中半減期は約12時間である。
  • 5.トランスフェリンは1分子に約3,000個の鉄原子を含有する。
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正答:5

【解説】「運搬」と「貯蔵」の役割を数字で区別する

本問は、鉄・銅・ビタミンAに関わる特殊タンパク質の「運搬」と「貯蔵」の役割、および半減期を問う定番問題です。血清中に存在するさまざまな特殊タンパク質の役割を問う定番問題であり、特に微量元素(鉄や銅)やビタミンに関わるタンパク質は国試で頻出です。鉄に関しては「血液中を運ぶタンパク質」と「臓器に貯蔵するタンパク質」が存在し、それぞれが抱えられる鉄の「数」が全く異なります。ここをすり替えるのが出題者の常套手段です。

【各選択肢の解説と正誤理由】

  • 1.正しい(セルロプラスミン)
    セルロプラスミンは、血液中の「銅」を運搬する主要なタンパク質です。体内の銅の90%以上がこれと結合しています。ウィルソン病ではこのタンパク質が低下し、銅が肝臓や脳に蓄積します。
  • 2.正しい(フェリチン)
    フェリチンは、体内の鉄を「貯蔵」するタンパク質です。主に肝臓、脾臓、骨髄などの網内系組織に多く分布しています。血清フェリチン値を測ることで、体内の「貯金(貯蔵鉄)」がどれくらいあるかが分かります。
  • 3.正しい(トランスサイレチン)
    別名「プレアルブミン」と呼ばれます。甲状腺ホルモン(サイロキシン)を運搬するほか、レチノール結合蛋白(RBP)と複合体を作ってビタミンA(レチノール)を運搬し、代謝に関与します。
  • 4.正しい(レチノール結合蛋白:RBP)
    ビタミンAを運ぶタンパク質です。アルブミンの半減期(約20日)に比べて極めて短く、血中半減期は約12時間(0.5日)しかありません。そのため、患者の直近の栄養状態を評価する指標(RTP)として非常に優れています。
  • 5.誤り(トランスフェリン)
    トランスフェリンは血液中で鉄を「運搬」するタンパク質です。運搬係なので身軽であり、1分子につき最大で「2個」の鉄原子(Fe³⁺)しか結合できません。「約3,000個(〜4,500個)」の鉄を含有するのは、大きな貯蔵庫である「フェリチン」の特徴です。見事なすり替え問題です。

【頻出】主な微量元素・ビタミンの運搬・貯蔵タンパク質まとめ

タンパク質名 運ぶもの・役割 国家試験ポイント
トランスフェリン 鉄を運搬 Feは最大2個結合
フェリチン 鉄を貯蔵 約3000〜4500個の鉄を貯蔵
セルロプラスミン 銅を運搬 Wilson病で低下する
トランスサイレチン
(プレアルブミン)
T4・RBPを運搬 RTP(半減期が短い)
ハプトグロビン 遊離Hbの回収 溶血性疾患で著明に低下する

国試Point:ここだけ覚えればOK

  • トランスフェリン = 鉄を「運ぶ」(2個)
  • フェリチン = 鉄を「貯蔵する」(約3000個)
  • セルロプラスミン = 銅を運ぶ
  • RBPの半減期 = 約12時間(栄養状態の指標)

国家試験のひっかけポイント(すり替えに注意!)

国試では、「トランスフェリン(運搬)」と「フェリチン(貯蔵)」の役割や鉄の結合数を入れ替えた問題が非常によく出題されます。

  • トランスフェリンは3000個の鉄を含有する → 誤り(3000個は貯蔵用の「フェリチン」です)
  • セルロプラスミンは鉄を運搬する → 誤り(セルロプラスミンは「銅」です)
  • トランスサイレチンは銅を運搬する → 誤り(甲状腺ホルモンやビタミンAです)

暗記方法・覚え方のコツ(トラックと倉庫)

鉄の動態は物流に例えましょう。トランスフェリンの「トランス」はトランスポート(輸送)のトランスです。血液という道路を走る「トラック(トランスフェリン)」なので、積載量は少なく「2個」です。一方、肝臓という巨大な「倉庫(フェリチン)」は、大量の荷物を置けるので「3000個」とイメージすれば、数字のすり替え問題で対応可能です👍

さい
さい
タンパク質の半減期は、患者さんの「いつの栄養状態」を反映しているかを知るために臨床現場でとても重要です。アルブミンは20日も残るので「昔の栄養状態」しかわかりませんが、半減期が短いRTPを使えば「いま現在の栄養状態」がわかります!

さいの補足(半減期が短いタンパク質:RTP)

選択肢4の「半減期約12時間」という知識は、臨床化学の「Rapid Turnover Protein(RTP:半減期の短いタンパク質)」という頻出テーマに直結します。NST(栄養サポートチーム)などで急性期の栄養評価を行う際、半減期が約20日もあるアルブミンでは変化が遅すぎます。そこで、数時間〜数日で半減する以下のRTPを測定します。半減期の順番は国試で頻出なので、以下の「階段図(矢印)」で視覚的に覚えてしまいましょう。

短い ← 半減期 → 長い

RBP(0.5日)

プレアルブミン(2日)

トランスフェリン(7〜10日)

アルブミン(約20日 ※RTPではない)

問31:内分泌疾患とホルモンの増減

【問題】
ホルモンで正しいのはどれか。

  • 1.TSHはBasedow病で高値を示す。
  • 2.ACTHはCushing病で低値を示す。
  • 3.C-ペプチドはインスリノーマで低値を示す。
  • 4.ガストリンはZollinger-Ellison症候群で高値を示す。
  • 5.ADHは抗利尿ホルモン不適合分泌症候群〈SIADH〉で低値を示す。
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正答:4

「どこが原因で」「何を出しすぎているか」

本問は、代表的な内分泌疾患における原因ホルモンと、それに伴うフィードバック機構による他ホルモンの増減を問う問題です。ホルモンの異常を丸暗記しようとすると必ず混乱します。「原因となっている臓器はどこか」と「脳(下垂体)からの指令はどうなるか」を論理的に考えることが正答への近道です。

【各選択肢の解説と「なぜ?」の深掘り】

  • 1.誤り(Basedow病とTSH)
    バセドウ病は、甲状腺を刺激する自己抗体(TRAb)によって甲状腺ホルモン(T3・T4)が過剰に分泌される病気です。血液中に甲状腺ホルモンが溢れるため、脳(下垂体)は「もう刺激を出さなくていい」と判断し、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌を強く抑制します(負のフィードバック)。したがって、TSHは「測定感度以下(低値)」となります。
  • 2.誤り(Cushing病とACTH)
    クッシング「病」は、脳の下垂体にできた腺腫が原因で、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰に分泌される病気です。下垂体そのものが原因で暴走しているため、ACTHは「高値」となります。
  • 3.誤り(インスリノーマとC-ペプチド)
    インスリノーマは、膵臓のβ細胞からインスリンが自律的かつ過剰に分泌される腫瘍です。プロインスリンが分解されてインスリンができる際、必ず1対1の割合で「C-ペプチド(CPR)」も生成されます。自分の膵臓からインスリンが過剰に作られているため、当然C-ペプチドも「高値」となります。
  • 4.正しい(Zollinger-Ellison症候群とガストリン)
    ゾリンジャー・エリソン症候群は、膵臓や十二指腸にできたガストリン産生腫瘍(ガストリノーマ)によって、ガストリンが過剰に分泌され「高値」となる病気です。強力な胃酸分泌亢進により難治性の消化性潰瘍を引き起こします。MEN1(多発性内分泌腫瘍症1型)に合併することがあるため、国家試験では関連疾患として問われることがあります。
  • 5.誤り(SIADHとADH)
    SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)は、体内の水分量に関わらず、ADH(抗利尿ホルモン=バソプレシン)が不適切に過剰分泌され続ける病気です。したがってADHは「高値」となります。ADHの作用で水だけが腎臓で再吸収されるため、希釈性低Na血症、血漿浸透圧の低下、尿浸透圧の上昇をきたします。

【頻出・比較まとめ表①】Cushing病と症候群の違い

「病」か「症候群」かでACTHの値が真逆になります。国試で毎年のように狙われる超重要ポイントです。

疾患 原因部位 ACTH コルチゾール
Cushing「病」 下垂体腺腫
Cushing症候群 副腎腫瘍 ↓(抑制される)
異所性ACTH産生腫瘍 肺小細胞癌など

【頻出・比較まとめ表②】インスリノーマと自己注射の違い

低血糖発作で運ばれてきた患者の鑑別です。C-ペプチドを測れば「自分の膵臓が出したものか」「外から注射したものか」が一発で分かります。

状態 血中インスリン 血中C-ペプチド
インスリノーマ ↑(道連れで上がる)
インスリン自己注射 ↓(注射薬には含まれない)

国試Point:ここだけ覚えればOK

  • Basedow病 = TSH低値
  • Cushing病 = ACTH高値
  • SIADH = ADH高値・低Na血症

国家試験のひっかけポイント(すり替えに注意!)

国試では、「過剰分泌される疾患なのに、関連ホルモンが低値である」と逆の動きにすり替えた問題が非常によく出題されます。

  • バセドウ病でTSH高値 → 誤り(TSHは「低値」です)
  • 副腎腫瘍のクッシング症候群でACTH高値 → 誤り(副腎腫瘍ならACTHは「低値」です)
  • インスリン自己注射でC-ペプチド高値 → 誤り(外因性なので「低値」です)

暗記方法・覚え方のコツ(社長と工場のフィードバック図解)

バセドウ病でTSHが下がる理由は、以下の「ネガティブ・フィードバック」の仕組みを視覚的にイメージすると絶対に忘れません。

【正常な指令ルート】

🧠 下垂体(社長)
↓ TSH(働けという指令)
🏭 甲状腺(工場)
↓ T3・T4(製品)

【Basedow病の場合】
💥 外部からの刺激(TRAb)により、工場が勝手に製品(T3・T4)を大量生産する!

🧠 社長が「もう作らなくていい!」と焦る

指令(TSH)をストップする = TSH低値

あわせて覚える関連疾患

ホルモンの増減をセットで整理しておきましょう。

疾患名 ホルモンの変化
橋本病(甲状腺機能低下) TSH ↑
Basedow病(甲状腺機能亢進) TSH ↓
SIADH ADH ↑
尿崩症 ADH ↓
Addison病(原発性副腎皮質低下) ACTH ↑
Cushing病(下垂体腺腫) ACTH ↑

さいの補足:各種項目補足説明

① C-ペプチドを測る意義:
インスリンは肝初回通過(門脈を経て肝臓を通る際)で約50%が除去・代謝されてしまいます。一方、C-ペプチドは主に腎臓で代謝されるため、肝臓の影響を受けにくく血中濃度が安定しています。そのため、膵臓の「内因性インスリン分泌能」の指標としてインスリンよりも優れています。

② SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)の最新マーカー:
国試では「SIADH=ADH高値」で正解ですが、ADHは血中で非常に不安定で測定が難しいホルモンです。そのため近年の臨床や研究では、ADHの前駆体から等モルで生成され、血中で安定している「コペプチン(copeptin)」がサロゲートマーカーとして利用され始めています。

問32:ホルモンの化学的分類

【問題】
コレステロールから生成されるのはどれか。

  • 1.黄体ホルモン
  • 2.成長ホルモン
  • 3.副甲状腺ホルモン
  • 4.卵胞刺激ホルモン
  • 5.ヒト絨毛性ゴナドトロピン
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正答:1

【問題の考え方】

ホルモンを「化学的構造(材料)」によって分類できるかを聞いています。ホルモンは材料によって「ペプチド・タンパク質」「ステロイド」「アミノ酸誘導体(アミン)」の3つに分けられます。問題文の「コレステロールから生成される」という条件は、そのまま「ステロイドホルモンを選べ」と言い換えることができます。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(黄体ホルモン)
    黄体ホルモン(プロゲステロン)は、卵巣の黄体などから分泌される性ホルモンであり、ステロイドホルモンの一種です。コレステロールを材料とし、プレグネノロンを経て合成されます。
  • 2.誤り(成長ホルモン:GH)
    脳の下垂体前葉から分泌されるペプチドホルモンです。アミノ酸が連なったタンパク質でできており、水溶性のため細胞膜上の受容体に結合して働きます。
  • 3.誤り(副甲状腺ホルモン:PTH)
    副甲状腺から分泌され、血中カルシウム濃度を上昇させるホルモンです。これもアミノ酸からなるペプチドホルモンに分類されます。
  • 4.誤り(卵胞刺激ホルモン:FSH)
    下垂体前葉から分泌される性腺刺激ホルモンです。ペプチドに糖鎖が結合した糖タンパク質ホルモンに分類されます。
  • 5.誤り(ヒト絨毛性ゴナドトロピン:hCG)
    妊娠中に胎盤の絨毛から分泌される糖タンパク質ホルモンです。LH(黄体形成ホルモン)と非常に似た構造を持ちます。

【関連知識】ホルモンの化学的分類表

ホルモンはその材料によって、血液中での運ばれ方や作用する場所(受容体)が異なります。

分類 材料 主な性質 代表的なホルモン
ステロイドホルモン コレステロール 脂溶性
細胞内受容体
コルチゾール、アルドステロン、
エストロゲン、プロゲステロン、テストステロン
ペプチド・
タンパク質ホルモン
アミノ酸の鎖 水溶性
細胞膜受容体
インスリン、成長ホルモン(GH)、
TSH、ACTH、PTH など多数
アミノ酸誘導体
(アミン)
特定のアミノ酸
(チロシン等)
水溶性と脂溶性が混在 甲状腺ホルモン(T3, T4:脂溶性
カテコールアミン(アドレナリン等:水溶性)

国試で間違えやすいポイント

同じ臓器でも、分泌される場所によって構造が異なることがあります。

  • 副腎髄質ホルモン(アドレナリン)はステロイドである → 誤り(アミノ酸誘導体です。ステロイドは副腎「皮質」です)
  • 甲状腺ホルモンはステロイドである → 誤り(脂溶性で細胞内受容体に結合しますが、コレステロール由来ではなくアミノ酸誘導体です)
  • ステロイドホルモンは細胞膜の受容体に結合する → 誤り(脂溶性で細胞膜を通過できるため「細胞内受容体」です)

覚え方のコツ(臓器の場所と名前の語尾)

ステロイドホルモンは種類が限られているため、分泌される臓器で丸ごと整理しておくのが効率的です。

【ステロイドホルモンを分泌する臓器】

体の真ん中(腹部〜骨盤)にある臓器
副腎皮質(腎臓の上)

性腺(精巣、卵巣、胎盤)

頭部(視床下部・下垂体)や頸部(甲状腺・副甲状腺)、膵臓から出るホルモンはステロイドではありません。また、ステロイドホルモンの名称には「〜ステロン」「〜ゲン」「〜ゾール」がつくことが多いのも見分けるポイントになります。

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

① ホルモンの構造と作用機序のつながり
コレステロールから作られるステロイドホルモンは「脂溶性」のため、細胞膜(脂質二重層)を自由に通過できます。そのため、細胞の中(核内)にある受容体に直接結合して遺伝子の発現を調節します。
一方、インスリンやTSHなどのペプチドホルモンは水溶性で細胞膜を通れないため、細胞膜表面の受容体に結合してセカンドメッセンジャーを介して情報を伝えます。この「材料 → 性質 → 受容体の場所」という一連の流れは、作用機序を問う問題でもよく出題されます。

② hCGの臨床での使われ方
選択肢5のhCGは、臨床では主に尿中hCGを測定する「妊娠検査薬」として広く使われています。しかし検査室ではそれだけでなく、血中hCGを定量測定することで、異所性妊娠(子宮外妊娠)の評価や、絨毛癌などの絨毛性疾患の腫瘍マーカーとしても日常的に利用しています。単なる妊娠の有無だけでなく、疾患の経過観察にも欠かせない指標です。

問33:細胞小器官の役割

【問題】
細胞小器官と機能の組合せで正しいのはどれか。

  • 1.ゴルジ体 ―― 糖蛋白質の合成
  • 2.リソソーム ―― ATPの産生
  • 3.リボソーム ―― 脂質の合成
  • 4.滑面小胞体 ―― タンパク質の合成
  • 5.ミトコンドリア ―― 異物の消化
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正答:1

【問題の考え方】

生化学および生理学からの出題です。この問題は、細胞小器官の役割を整理できているかを確認する基本問題です。国家試験では「どの小器官が何を担当しているか」を入れ替えた選択肢がよく出題されるため、役割をセットで覚えておく必要があります。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(ゴルジ体)
    ゴルジ体(ゴルジ装置)は、粗面小胞体で合成されたタンパク質に糖鎖を付加するなどの修飾を行い、分泌先ごとに仕分ける役割を担います。本問では「糖蛋白質の合成」として正答になります。
  • 2.誤り(リソソーム)
    リソソームは、細胞内の不要物処理を担当します。内部の加水分解酵素で、古くなった細胞小器官や異物を分解するほか、オートファジーにも関与します。ATPを産生するのはミトコンドリアです。
  • 3.誤り(リボソーム)
    リボソームは、mRNAの遺伝情報をもとにアミノ酸を結合させ、「タンパク質を合成(翻訳)」する器官です。脂質の合成を行うのは滑面小胞体です。
  • 4.誤り(滑面小胞体)
    表面にリボソームが付着していない小胞体です。ステロイドホルモンなどの「脂質の合成」やカルシウムイオンの貯蔵のほか、肝細胞では薬物代謝酵素(CYP)が存在し、薬物の解毒にも関与します。タンパク質を合成するのは粗面小胞体です。
  • 5.誤り(ミトコンドリア)
    ミトコンドリアは細胞のエネルギー工場であり、好気呼吸(酸化的リン酸化)によってATPを産生します。異物の消化を行うのはリソソームです。

【関連知識】細胞小器官の役割まとめ

小器官 主な役割
リボソーム タンパク質の合成(翻訳)
粗面小胞体 分泌用タンパク質の合成
滑面小胞体 脂質・ステロイドの合成、解毒
ゴルジ体 タンパク質の修飾(糖鎖付加)・分泌
ミトコンドリア ATPの産生(酸化的リン酸化)
リソソーム 不要物の処理、細胞内消化

国試で間違えやすいポイント

名前の響きが似ている器官の働きを入れ替えた選択肢が頻繁に登場します。

  • リソソームでタンパク質を合成する → 誤り(合成は「リボソーム」です)
  • 滑面小胞体でタンパク質を合成する → 誤り(タンパク質合成はリボソームを持つ「粗面」小胞体です)
  • ゴルジ体でATPを産生する → 誤り(ATP産生は「ミトコンドリア」です)

覚え方のコツ(タンパク質の工場ライン)

① 設計図のコピー
核(DNAからmRNAへ転写)

② 部品の組み立て
リボソーム / 粗面小胞体(アミノ酸を繋げてタンパク質へ)

③ 宛名書きと梱包
ゴルジ体(糖鎖を付けて分泌の準備)

タンパク質は「作る→加工する→分泌する」と流れで覚えると整理しやすくなります。

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

① 糖鎖と血液型・腫瘍マーカー
ゴルジ体で行われるタンパク質への糖鎖付加は、そのタンパク質が正しく機能するために極めて重要です。例えば、ABO式血液型の抗原(A抗原やB抗原)は、赤血球表面の糖タンパク質に付加された糖鎖の構造の違いによって決まります。また臨床検査では、糖鎖構造の違いを利用した検査もあります。代表例が肝細胞癌のマーカーであるAFP-L3分画です。

② ミトコンドリアの母系遺伝
ミトコンドリアは独自のDNA(mtDNA)を持つ数少ない細胞小器官です。精子のミトコンドリアは受精時に卵子内に入らない(あるいは分解される)ため、ミトコンドリア病は母親からのみ遺伝する「母系遺伝」を示すことが知られています。

基礎で学ぶ細胞小器官の役割は、そのまま臨床検査にもつながっています。AFP-L3のような糖鎖異常を利用した検査は、その代表例です。

問34:アルブミンと結合する物質(物質の運搬)

【問題】
血漿中でアルブミンと結合しているのはどれか。

  • 1.ケトン体
  • 2.リン脂質
  • 3.遊離脂肪酸
  • 4.コレステロール
  • 5.トリグリセライド
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正答:3

【問題の考え方】

この問題は、血液中で物質がどのように運ばれるかを理解しているかがポイントです。脂溶性物質は血漿中を単独では移動しにくいため、アルブミンやリポタンパク質などの「運び役」と結合して循環します。アルブミンが何を運んでいるかを整理しておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(ケトン体)
    ケトン体(アセト酢酸、3-ヒドロキシ酪酸、アセトン)は脂肪酸が肝臓で分解されてできるエネルギー源です。脂質由来ですが水溶性であるため、血漿中ではタンパク質と結合せず遊離型で存在します。
  • 2.誤り(リン脂質)
    リン脂質は、コレステロールやトリグリセライドとともにリポタンパク質の膜を構成する成分として運搬されます。アルブミンとは結合しません。
  • 3.正しい(遊離脂肪酸:FFA)
    脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は、アルブミンと結合して各組織へ運ばれます。
  • 4.誤り(コレステロール)
    コレステロールも強い疎水性を持つ脂質ですが、リポタンパク質の構成成分として運搬されます。
  • 5.誤り(トリグリセライド:中性脂肪)
    トリグリセライドは最も疎水性が高い脂質であり、コレステロールと同様にリポタンパク質(主にカイロミクロンやVLDL)の内部に格納されて運搬されます。

【関連知識】血液中の輸送タンパク質と荷物

物質の性質(水に溶けるか溶けないか)によって、運搬方法が異なります。

輸送タンパク質 運ぶもの(荷物) 主な性質
アルブミン 間接ビリルビン 非水溶性(肝臓まで運ぶ)
遊離脂肪酸(FFA) 疎水性(脂質の中で例外的にアルブミンが運ぶ)
カルシウムイオン 血中Caの約40〜50%がアルブミンと結合
多くの酸性薬物(ワルファリンなど) 多くの薬物はアルブミンと結合して移動する
リポタンパク質
(CM, VLDL, LDL, HDL)
コレステロール
トリグリセライド
リン脂質
疎水性が高いため、専用のカプセルで運ばれる
結合なし(遊離型) ケトン体、ブドウ糖、アミノ酸など 水溶性のため、血液中にそのまま溶けて移動

国試で間違えやすいポイント

脂質=リポタンパク質という思い込みを利用したひっかけ問題が頻出です。

  • コレステロールはアルブミンと結合する → 誤り(コレステロールは「リポタンパク質」です)
  • 遊離脂肪酸はリポタンパク質として運ばれる → 誤り(脂質ですが「アルブミン」と結合します)
  • ケトン体はアルブミンと結合する → 誤り(水溶性なので単独で移動します)

覚え方のコツ

遊離脂肪酸だけは「アルブミンタクシー」、それ以外の脂質は「リポタンパク質の船」と整理すると覚えやすくなります。

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

① カルシウムの評価とアルブミン
カルシウムイオン(Ca)の約40〜50%はアルブミンと結合しています。そのため、低アルブミン血症の患者では、実際には活性を持つ「遊離カルシウム(イオン化カルシウム)」が正常であっても、全体のカルシウム測定値が低く出てしまいます。臨床現場では、これを補正する計算式(Payneの式など)を用いて真のカルシウム状態を評価します。

② 薬物動態への影響
多くの薬物はアルブミンと結合して運搬されます。肝硬変やネフローゼ症候群などで血中アルブミンが低下すると、薬物がアルブミンと結合できずに「遊離型の薬物」が増加します。遊離型の薬物は作用が強いため、薬の効き目が強くなりすぎたり副作用が出やすくなったりします。アルブミン値は薬の用量設定などにも関わる重要なデータです。

③ 栄養評価マーカーとしての限界
アルブミンは栄養状態の指標として有名ですが、最新の栄養学(NSTなど)では、アルブミンだけで栄養評価することは少なくなっています。アルブミンは炎症や肝機能、腎機能など多くの要因で変動するうえ、半減期が約20日と長いため、直近の栄養状態を反映しにくいからです。そのため現在では、より半減期の短いトランスサイレチン(プレアルブミン)やRBPなどが併用されます。

問35:血清クレアチニンが低下する病態

【問題】
血清クレアチニンが低下するのはどれか。

  • 1.脱 水
  • 2.妊 娠
  • 3.腎不全
  • 4.先端巨大症
  • 5.うっ血性心不全
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正答:2

【問題の考え方】

この問題は、腎機能の指標である血清クレアチニン値が、病態や生理的変化によってどう変動するかを理解しているかがポイントです。クレアチニンは筋肉で作られ、腎臓の糸球体でろ過されて尿中へ捨てられます。したがって、「筋肉量の変化」と「腎臓のろ過能力(GFR)の変化」の2つの視点で考えるとスムーズに解くことができます。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(脱水)
    脱水により循環血液量が減少すると、腎臓へ流れる血液量も減ります。これにより糸球体ろ過量(GFR)が低下してクレアチニンの排泄が滞るため、血清クレアチニン値は上昇します(腎前性腎障害)。このとき、BUN(尿素窒素)も一緒に上昇し、BUN/Cr比が高くなるのが特徴です。
  • 2.正しい(妊娠)
    妊娠中は胎児を育てるために母体の循環血漿量が増加し、腎臓へ流れる血液量も増えます。その結果、糸球体ろ過量(GFR)が通常より亢進し、クレアチニンがどんどん尿中へ排泄されるため、血清クレアチニン値は低下します。
  • 3.誤り(腎不全)
    腎臓そのものの機能が低下しているため、クレアチニンをろ過して尿へ排泄できず、血液中に溜まるため血清クレアチニン値は上昇します。
  • 4.誤り(先端巨大症)
    成長ホルモンの作用で除脂肪体重や筋肉量が増加するため、筋肉でのクレアチニン産生量も増える傾向があり、血清クレアチニン値は上昇しやすくなります。
  • 5.誤り(うっ血性心不全)
    心臓のポンプ機能が低下するため、全身および腎臓への血流量が減少します。脱水と同じく腎前性のメカニズムでGFRが低下し、血清クレアチニン値は上昇します。

【関連知識】血清クレアチニン値を変動させる要因

クレアチニンは腎臓が悪い時だけでなく、筋肉量や血液量によっても変動します。

変動の方向 主な原因・病態 メカニズム
低値(低下) 妊 娠 循環血漿量増大によるGFRの亢進
筋萎縮性疾患(ALSなど) 筋肉量の減少による産生低下
長期臥床、高齢者 筋肉量の減少による産生低下
高値(上昇) 腎疾患(腎不全など) 腎機能自体の低下(腎性)
脱水、心不全 腎血流量の低下によるGFR低下(腎前性)
先端巨大症、過度な筋トレ 筋肉量の増加による産生増加

国試で間違えやすいポイント

クレアチニンは「腎臓」と「筋肉」の2つの要素に引っ張られることを意識しましょう。

  • 妊娠中はクレアチニンが上昇する → 誤り(ろ過が亢進するため「低下」します)
  • 脱水でクレアチニンが低下する → 誤り(血流が落ちて排泄できないため「上昇」します)
  • 筋肉量が減少するとクレアチニンは上昇する → 誤り(産生源が減るため「低下」します)

覚え方のコツ

クレアチニンの変動は、「筋肉で作られ、腎臓から排泄される」と整理すると、ほとんどの問題は論理的に解くことができます。

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

① 妊娠中の「正常値」の罠
妊娠中はGFRが約40〜50%増加するため、血清クレアチニン値は非妊娠時よりも低値になります。そのため、一般的な基準値内(例:0.8 mg/dLなど)であっても、妊婦にとっては「すでに腎機能が落ちて老廃物が溜まり始めているサイン(異常)」である場合があります。臨床現場では患者の背景を考慮してデータを評価することが極めて重要です。

② 筋肉量の影響とeGFR・シスタチンC
クレアチニンは筋肉量に比例するため、筋肉量が極端に少ない高齢者などでは、腎機能がかなり悪化していてもクレアチニン値が正常に見えてしまう(マスキングされる)ことがあります。そのため現在では、年齢や性別を加味した「eGFR」で腎機能を評価することが一般的です。さらに正確な評価が必要な場合は、筋肉量の影響を受けない「シスタチンC」が有用なマーカーとして利用されます。

さい
さい
国試では「妊娠=GFR↑=クレアチニン↓」のつながりがよく聞かれます。セットで覚えておきましょう!

問36:酵素活性の計算

【問題】
血清量0.05mL、試薬量3.1mL、光路長1.0cmの条件でLD活性を測定したところ、1分間当たりの吸光度変化量が0.020であった。NADHのモル吸光係数を6.3×10³ L・mol⁻¹・cm⁻¹とすると、活性値(U/L)はどれか。

  • 1.20
  • 2.50
  • 3.100
  • 4.200
  • 5.500
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正答:4

【問題の考え方】

酵素活性の計算問題はよく出題されます。公式を覚えるだけでなく、「どの数字をどこへ入れるか」を整理しておくと、落ち着いて解けます。手順どおりに計算すれば難しくありません。

【計算のステップ】

酵素活性値を求める公式は以下の通りです。

活性値 (U/L) = [ ΔA × V × 10⁶ ] / [ ε × v × l ]
  • ΔA(1分間あたりの吸光度変化量)= 0.020
  • V(総液量)= 血清量 0.05 + 試薬量 3.1 = 3.15 mL
  • 10⁶(単位をμmolに合わせるための定数)
  • ε(モル吸光係数)= 6.3 × 10³
  • v(検体・血清量)= 0.05 mL
  • l(光路長)= 1.0 cm

これらを公式に代入します。

活性値 = [ 0.020 × 3.15 × 10⁶ ] / [ (6.3 × 10³) × 0.05 × 1.0 ]

分子 = 0.063 × 10⁶
分母 = 315

活性値 = 0.063 / 315 × 10⁶
活性値 = 0.0002 × 10⁶ = 200 (U/L)

【関連知識】公式を構成する要素

記号 名称 意味・注意点
V(大文字) 総液量 検体量(血清など)と試薬量を足した全体量
v(小文字) 検体量 反応に用いた血清などの量。
ε(イプシロン) モル吸光係数 物質特有の定数。NADHの場合は通常 6.3×10³ または 6220。
l(エル) 光路長 光が通過する長さ。通常は 1.0 cm。

国試で間違えやすいポイント

公式を暗記していても、代入する数値を間違えると不正解になります。

  • 総液量(V)に試薬量(3.1mL)だけを代入する → 誤り(必ず血清量を足して3.15mLにしてください)
  • 分母と分子のVとvを逆にする → 誤り(分子が大文字のV、分母が小文字のvです)
  • 10⁶を掛け忘れる → 誤り(酵素活性の国際単位であるμmolに合わせるため、10の6乗を掛ける必要があります)

計算のコツ(Kファクターという考え方)

公式の中で、ΔA(吸光度変化量)以外の要素は、測定条件が決まればすべて変化しない固定された数字になります。この定数を「Kファクター(K-factor)」と呼びます。現場の分析装置には試薬ごとのKファクターが設定されており、本問の場合、Kファクターは [ 3.15 × 10⁶ ] / [ (6.3 × 10³) × 0.05 × 1.0 ] = 10000 となります。つまり、測定されたΔA(0.020)に、Kファクター(10000)を掛けるだけで「200」という活性値を出すことができます。

さいの補足:臨床現場と原理へのつながり

NADHの紫外部吸収法(340nm)
本問で測定しているLD(乳酸脱水素酵素)をはじめ、ASTやALTなどの多くの酵素活性測定には「NADH(またはNADPH)」という補酵素が利用されます。NADHは波長340nm付近の紫外線をよく吸収しますが、酸化型のNAD⁺になるとほとんど吸光しないという便利な特徴を持っています。

自動分析装置では、この特徴を利用し、反応液に340nmの光を当てて「吸光度がどれくらい減ったか(または増えたか)」をリアルタイムで追跡しています(レートアッセイ法)。吸光度の変化速度(ΔA)が分かれば、本問の公式を用いて酵素の働き具合(活性値)を正確に計算できるという仕組みです。

さい
さい
この計算、現場では分析装置が自動でやってくれます。国試では「なぜこの数字になるのか」が説明できるようにしておきましょう。

問37:肝細胞癌の腫瘍マーカー

【問題】
肝細胞癌に対して特異性が高いのはどれか。2つ選べ。

  • 1.AFP
  • 2.CA15-3
  • 3.PIVKA-Ⅱ
  • 4.PSA
  • 5.SLX
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正答:1、3

【問題の考え方】

腫瘍マーカーと対象臓器の組み合わせはよく出題されます。多くの腫瘍マーカーは臓器特異性が低い(様々ながんで上昇する)ですが、肝臓・前立腺・乳腺などのマーカーは特定の臓器との結びつきが強いため、優先して整理しておく必要があります。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(AFP)
    α-フェトプロテイン(AFP)は、胎児期の肝臓や卵黄嚢で作られるタンパク質です。出生後は消失しますが、肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍などで再び産生されるようになります。AFPは肝細胞癌のマーカーとして広く用いられますが、慢性肝炎や肝硬変でも上昇するため、PIVKA-Ⅱや画像検査と組み合わせて評価します。
  • 2.誤り(CA15-3)
    主に乳がんの腫瘍マーカーとして用いられます。再発のモニタリングや治療効果の判定に有用です。
  • 3.正しい(PIVKA-Ⅱ)
    正常なプロトロンビンが作れずに生じる異常プロトロンビン(前駆体)です。肝細胞癌で高値を示す代表的なマーカーです。AFPとは上昇するメカニズムが異なるため、両者をセットで測定することで肝細胞癌の発見率が上がります。
  • 4.誤り(PSA)
    前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)の略で、前立腺がんのスクリーニングに極めて有用なマーカーです。
  • 5.誤り(SLX)
    シアリルLewis X-i抗原という糖鎖抗原の一種です。主に肺がん(腺癌)や卵巣がん、膵臓がんなどで上昇します。

【関連知識】臓器特異性が高い腫瘍マーカー

主な対象疾患 代表的なマーカー 特徴・備考
肝細胞癌 AFP 肝炎や肝硬変(良性疾患)でも上昇することがある。
PIVKA-Ⅱ ビタミンK欠乏時にも上昇する異常プロトロンビン。
AFP-L3分画 良性と悪性を鑑別する特異度の高いマーカー。
前立腺がん PSA 臓器特異性が非常に高い。前立腺肥大症でも上昇。
乳がん CA15-3 主に術後の経過観察に用いる。
膵臓がん・胆道がん CA19-9 ルイス血液型陰性の人(Le a-b-)では産生されない。
(汎用マーカー) CEA 大腸がんをはじめ、消化器がん全般で広く上昇する。

国試Point:ここだけ覚えればOK

  • 肝細胞癌の基本セット = AFP + PIVKA-Ⅱ
  • 2つは上昇メカニズムが違うため互いを補完する
  • 特異度を上げるならAFP-L3分画

国試で間違えやすいポイント

腫瘍マーカーは「がん細胞だけが出す物質」ではありません。良性疾患による偽陽性に注意が必要です。

  • PSA上昇 = 確実に前立腺がんである → 誤り(前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇します)
  • CEAは胃がんに特異的である → 誤り(特異性は低く、大腸がんや肺がん、さらには喫煙でも上昇します)
  • AFPは肝がん以外では上昇しない → 誤り(慢性肝炎や妊娠後期でも上昇します)

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

① 良性と悪性を分ける「AFP-L3分画」
AFPは慢性肝炎や肝硬変といった「良性の病気」でも数値が上がってしまうため、がんとの区別が難しい場合があります。そこで臨床現場では、AFPの中でも肝細胞癌が作り出す特有の糖鎖構造を持った「AFP-L3分画(レンズ豆レクチン結合画分)」を測定します。L3分画の割合が高ければ、肝細胞癌の可能性が非常に高いと判断できます。

② PIVKA-Ⅱとワーファリンの罠
PIVKA-ⅡはビタミンKの作用が不足した時に作られる異常なタンパク質です。そのため、血栓予防薬であるワーファリン(ビタミンK拮抗薬)を服用している患者さんでは、肝がんがなくてもPIVKA-Ⅱが異常高値を示します(偽陽性)。検査室で異常値を見つけた際、患者さんの服薬歴を確認することは検査技師の重要な役割です。

さい
さい
AFPとPIVKA-Ⅱは一緒に測定されることが多い腫瘍マーカーです。画像検査と組み合わせて評価すると診断精度が高まります。

問38:血漿カルシウムの形態と測定

【問題】
血漿カルシウムで正しいのはどれか。2つ選べ。

  • 1.イオン型は電極法で測定する。
  • 2.アルカレミアではイオン型が上昇する。
  • 3.生理活性として作用するのはイオン型である。
  • 4.総カルシウム量の30%がイオン型として存在する。
  • 5.蛋白結合型の多くはα1-グロブリンと結合している。
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正答:1、3

【問題の考え方】

この問題では、「働くカルシウム」と「測定される総カルシウム」の違いを理解しているかがポイントです。カルシウムは血液中で3つの形で存在しています。この存在割合と、血液のpH変化に伴うイオン型カルシウムの変動は国家試験で非常によく狙われます。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(イオン型の測定)
    血液中のイオン化カルシウム(遊離型カルシウム)は、カルシウムイオンのみに反応する「イオン選択電極」を用いた電極法で直接測定されます。
  • 2.誤り(アルカレミアでの変動)
    アルカレミア(血液がアルカリ性に傾く状態)になると、血液中の水素イオン(H⁺)が減少します。すると、アルブミンの陰性荷電が強くなり、プラスの電荷を持つカルシウムイオン(Ca²⁺)を強く引き寄せるようになります。その結果、アルブミンと結合するカルシウムが増え、遊離している「イオン型」は低下(減少)します。
  • 3.正しい(生理活性)
    血液中のカルシウムには3つの形態がありますが、神経や筋、心筋の収縮、血液凝固などに作用する(生理活性を持つ)のは「イオン型」のみです。タンパク質と結合しているカルシウムは働くことができません。
  • 4.誤り(存在割合)
    血漿中の総カルシウムのうち、最も割合が多いのがイオン型であり、約50%(半分)を占めます。30%ではありません。
  • 5.誤り(結合タンパク質)
    蛋白結合型カルシウムの多くはアルブミンと結合しています。少量はグロブリンとも結合しますが、主役はあくまでアルブミンです。

【関連知識】血漿カルシウムの3つの存在形態

総カルシウム(一般的な血液検査で測る値)の内訳です。

形態 割合 特徴・性質
イオン型
(遊離型)
約 50% 生理活性を持つ。pHによって変動する。電極法で測定。
蛋白結合型 約 45% 主にアルブミンと結合。生理活性は持たない。
複合体型 約 5% クエン酸やリン酸などと結合。生理活性は持たない。

国試で間違えやすいポイント

「アルカレミア(アルカリ性)になるとカルシウムがどうなるか」は引っかけの定番です。

  • アルカレミアでイオン型が上昇する → 誤り(結合が促進されるため「低下」します)
  • 蛋白結合型カルシウムが生理活性を持つ → 誤り(働くのは「イオン型」だけです)
  • アルカレミアで総カルシウム量が低下する → 誤り(イオン型から蛋白結合型へ移動するだけなので、全体の「総カルシウム量」は変化しません)

覚え方のコツ(H⁺とCaのシーソー関係)

アルブミンが「H⁺」と「Ca」のどちらをつかむか、という流れで覚えると応用が利きます。

【アシドーシス】
血液中にH⁺が増える

アルブミンがH⁺を優先的につかむ

Caが追い出されて離れる

イオン型Ca 上昇
【アルカレミア】
血液中のH⁺が減る

アルブミンの手が空き、Caをつかむ

イオン型Ca 低下
さい
さい
救急外来で過呼吸の患者さんが手足のしびれを訴えるのは、この仕組みが関係しています。

問39:血清アルブミンの性質と変動要因

【問題】
血清アルブミンで正しいのはどれか。

  • 1.劇症肝炎で上昇する。
  • 2.半減期は約7日である。
  • 3.座位よりも臥位での採血で低い。
  • 4.総カルシウム濃度と負の相関がある。
  • 5.健常人では1日1g程度が尿中に排出される。
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正答:3

【問題の考え方】

アルブミンは「どこで作られるか」「何を運ぶか」「どれくらい血中に残るか」をまとめて整理しておくと解きやすい問題です。アルブミンは臨床検査で最も頻繁に測定されるタンパク質の一つであり、その性質や変動要因は国家試験で形を変えて何度も出題されています。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(劇症肝炎での変動)
    アルブミンは肝臓のみで合成されます。劇症肝炎では肝細胞が広範囲に破壊されて合成能力が著しく低下するため、血清アルブミン値は低下します。
  • 2.誤り(半減期)
    アルブミンの血中での半減期は約17〜20日(約3週間)と比較的長く、急性の栄養変化を反映しにくい特徴があります。半減期が約7日なのはトランスフェリンなどの別のタンパク質です。
  • 3.正しい(体位による変動)
    座位(座った状態)から臥位(寝た状態)になると、足に溜まっていた水分が血管内に戻りやすくなり、循環血漿量が増加します。この血液が「薄まる」効果(体位性血液希釈)により、アルブミンの濃度は相対的に低く(低下)なります。
  • 4.誤り(カルシウムとの関係)
    アルブミンは血中カルシウムの約40〜45%と結合して運搬する「運び役」です。そのため、アルブミンの量が減れば、結合しているカルシウムの量も減るため、総カルシウム濃度も一緒に低下します。このように同じ方向に動く関係を「正の相関」と呼びます。
  • 5.誤り(尿中排泄量)
    アルブミンは糸球体で少量ろ過されますが、近位尿細管でほぼ再吸収されるため、健常人の尿中排泄量は1日30mg未満とごく微量です。1日1g(1000mg)も排出されるのは、ネフローゼ症候群などを疑う明らかな病的状態です。

【関連知識】アルブミンの基本プロフィール

項目 アルブミンの特徴
合成場所 肝臓(肝細胞で1日約10〜15g合成される)
半減期 約17〜20日
主な役割① 膠質浸透圧の維持(血管内に水分を留める)
主な役割② 物質の運搬(遊離脂肪酸、間接ビリルビン、Caなど
低下する主な病態 肝硬変(合成低下)、ネフローゼ症候群(尿中への漏出)、栄養不良など

国試で間違えやすいポイント

アルブミンの低下要因や相関関係を逆にした引っかけ問題に注意しましょう。

  • 肝疾患でアルブミンが上昇する → 誤り(肝臓で作られるため、肝機能が落ちれば必ず「低下」します)
  • アルブミンと総カルシウムは負の相関 → 誤り(運搬役と荷物の関係なので、一緒に動く「正の相関」です)
  • 半減期は7日(または数時間) → 誤り(約20日と長めです。半減期の短いRTPと混同しないようにしましょう)

覚え方のコツ

採血時の体位による変動は、「寝ると水が戻ってきて血が薄まる(アルブミン濃度低下)」とイメージすると理屈で覚えられます。逆に、立ったり座ったりすると、重力で水分が血管の外(足の方)に逃げるため、血液が濃縮されてアルブミン濃度は高くなります。

さい
さい
ネフローゼ症候群で強い浮腫が出るのは、アルブミンが尿へ漏れて血管内に水を保てなくなるためです。

さいの補足:臨床現場と病態へのつながり

補正カルシウムの評価
アルブミンが低い患者さんでは、総カルシウムが低く見えても、実際に働くイオン型カルシウムは正常なことがあります。そのため、臨床現場では必要に応じて補正カルシウムやイオン型カルシウムを確認します。

微量アルブミン尿と糖尿病性腎症
健常人ではアルブミンはほとんど尿に排泄されませんが、糖尿病の患者さんなどで腎臓(糸球体)のフィルターが少し傷み始めると、通常の尿蛋白検査では検出できないごく微量(30〜299mg/g・Cr)のアルブミンが尿中に漏れ出します。これを「微量アルブミン尿」と呼びます。臨床現場では、糖尿病性腎症を早期に発見し、透析へ進行するのを食い止めるための極めて重要なマーカーとして測定されています。

問40:Michaelis-Mentenの式の計算

【問題】
酵素のKm値が10mmol/Lの場合、最大反応速度の95%で反応させるための基質濃度(mmol/L)はどれか。ただし、酵素反応速度はMichaelis-Mentenの式に従うものとする。

  • 1.70
  • 2.95
  • 3.110
  • 4.145
  • 5.190
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正答:5

【問題の考え方】

ミカエリス・メンテン(Michaelis-Menten)の式を用いた計算問題です。難しそうに見えますが、指定された公式に数値を代入して方程式を解くだけの問題です。「Vmax」は両辺にあるので途中で消えます。数字だけの計算になるので落ち着いて進めましょう。

【計算のステップ】

ミカエリス・メンテンの式は以下の通りです。
v = ( Vmax × [S] ) / ( Km + [S] )

  • v(現在の反応速度)= 最大反応速度の95%なので 0.95 Vmax
  • Km(ミカエリス定数)= 10
  • [S](基質濃度)= これから求める答えの数字

これらの数値を公式に代入し、[S]について解いていきます。

① 式に代入する
0.95 Vmax = ( Vmax × [S] ) / ( 10 + [S] )② 両辺を Vmax で割って消す
0.95 = [S] / ( 10 + [S] )③ 分母の ( 10 + [S] ) を両辺に掛ける
0.95 × ( 10 + [S] ) = [S]④ カッコを外す
9.5 + 0.95[S] = [S]⑤ [S] を右辺にまとめる
9.5 = 1.0[S] − 0.95[S]
9.5 = 0.05[S]⑥ [S] を求める
[S] = 9.5 / 0.05
[S] = 190 (mmol/L)

【裏技】一瞬で解けるショートカット表

計算過程を理解した後は、以下の関係を知っていると本番で一瞬で答えが出せます。

反応速度 必要な基質濃度 [S]
50% Vmax 1 Km
90% Vmax 9 Km
95% Vmax 19 Km
99% Vmax 99 Km

本問は「95%」で「Km=10」なので、19 × 10 = 190 と一瞬で導き出せます。

【関連知識】KmとVmaxの意味

計算だけでなく、この式を構成する用語の意味も頻出です。

用語 意味 国家試験ポイント
Km
(ミカエリス定数)
酵素と基質の「親和性(くっつきやすさ)」を示す。 Km値が小さいほど、親和性が高い
(=少ない基質ですぐに反応する)
Vmax
(最大反応速度)
酵素がフル稼働している状態の速度。 基質濃度を無限に増やしても、これ以上速くならない限界の速度。
KmとVmaxの関係 Kmは「反応速度がVmaxの半分(1/2)」になる時の基質濃度である。 ※この定義は文章問題で非常によく出題されます。

国試で間違えやすいポイント

Km(親和性)の定義を逆にした引っかけ問題に注意しましょう。

  • Km値が大きいほど酵素と基質の親和性が高い → 誤り(小さいほど親和性が高いです)
  • Kmは反応速度が最大(Vmax)に達したときの基質濃度である → 誤り(Vmaxの「半分」に達したときの濃度です)

さいの補足:なぜ95%や99%なのか?

臨床化学の酵素活性測定では、基質濃度をKmより十分高く設定し、酵素量だけが反応速度に影響する条件で測定しています。もしKm付近の濃度で測定すると、反応中に基質が不足して速度が変わってしまい、正確な酵素活性が測れないからです。

さい
さい
酵素活性を測る試薬は、基質が不足しないようKmより十分高い濃度で作られています。それによって酵素量の違いだけを正しく比べられます。科学の力ですね。

問41:ビタミンと欠乏症の組合せ

【問題】
ビタミンと欠乏症の組合せで正しいのはどれか。

  • 1.ビタミンA ―― 新生児メレナ
  • 2.ビタミンC ―― 夜盲症
  • 3.ビタミンD ―― 巨赤芽球性貧血
  • 4.ビタミンE ―― 新生児溶血性貧血
  • 5.ビタミンK ―― 脚 気
タップして正答と解説を見る

正答:4

【問題の考え方】

ビタミンの欠乏症は、脂溶性か水溶性かで大きく整理しておくのが鉄則です。この問題は、定番の欠乏症をパズルのように入れ替えて作られています。特に、国家試験では「新生児」に起こる特有のビタミン欠乏症がよく狙われるため、それぞれの働きと関連付けて覚えておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(ビタミンA)
    ビタミンAは視覚に関わるため、欠乏すると暗いところで見えにくくなる夜盲症になります。新生児メレナはビタミンK欠乏によって起こる消化管出血です。
  • 2.誤り(ビタミンC)
    ビタミンCはコラーゲンの合成に必須です。欠乏すると血管が脆くなり、出血しやすくなる壊血病を引き起こします。
  • 3.誤り(ビタミンD)
    ビタミンDはカルシウムやリンの吸収を助け、骨を丈夫にします。欠乏すると小児ではくる病、成人では骨軟化症を引き起こします。巨赤芽球性貧血はビタミンB12や葉酸の欠乏で起こります。
  • 4.正しい(ビタミンE)
    ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、細胞膜を守る役割があります。特に未熟児や低出生体重児ではビタミンEの蓄えが少なく、欠乏すると赤血球の膜が酸化ストレスで壊れやすくなり、新生児溶血性貧血を引き起こします。
  • 5.誤り(ビタミンK)
    ビタミンKは血液を固める因子(プロトロンビン〈第Ⅱ因子〉やⅦ、Ⅸ、Ⅹ因子)を作るために必要です。欠乏すると出血傾向となり、新生児メレナなどを引き起こします。脚気(神経障害や心不全)はビタミンB1の欠乏症です。

【関連知識】国試で狙われるビタミンと欠乏症まとめ

まずは脂溶性ビタミン(DAKE)の4つを完璧に押さえましょう。

ビタミン 主な欠乏症 関連する働き
A(脂溶性) 夜盲症 視覚、上皮細胞の維持
D(脂溶性) くる病(小児)、骨軟化症 カルシウム吸収、骨形成
E(脂溶性) 新生児溶血性貧血 抗酸化作用、細胞膜の保護
K(脂溶性) 新生児メレナ、出血傾向 血液凝固因子の合成
B1(水溶性) 脚気、ウェルニッケ脳症 糖代謝、神経機能
B12(水溶性) 巨赤芽球性貧血、神経障害 DNA合成、赤血球成熟
葉酸(水溶性) 巨赤芽球性貧血 DNA合成、赤血球成熟
C(水溶性) 壊血病 コラーゲン合成

【覚え方】脂溶性ビタミンは「DAKE(ダケ)」、水溶性はB群とCです。

国試で間違えやすいポイント

「新生児の貧血と出血」は混同しやすいので注意が必要です。

  • ビタミンE欠乏で新生児メレナ → 誤り(出血するのは「K」の欠乏です)
  • ビタミンK欠乏で溶血性貧血 → 誤り(赤血球が壊れるのは「E」の欠乏です)
  • 巨赤芽球性貧血は鉄欠乏で起こる → 誤り(ビタミンB12と葉酸の欠乏です。鉄欠乏は小球性になります)
さい
さい
新生児にビタミンKを投与するのは、頭蓋内出血などの重い出血を予防するためとされています。

問42:脂肪細胞から分泌されるホルモン

【問題】
脂肪細胞から分泌されるのはどれか。2つ選べ。

  • 1.レプチン
  • 2.インスリン
  • 3.ガストリン
  • 4.インクレチン
  • 5.アディポネクチン
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正答:1、5

【問題の考え方】

脂肪組織は単なるエネルギーの貯蔵庫と思われがちですが、実はさまざまな生理活性物質(ホルモン)を分泌する立派な「内分泌器官」です。脂肪細胞から分泌される物質を総称してアディポサイトカインと呼びます。選択肢にある他の消化管ホルモンなどと分泌臓器を区別できるように整理しておきましょう。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.正しい(レプチン)
    脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つです。脳の視床下部に作用して食欲を抑制し、エネルギー消費を促進する「満腹ホルモン」です。
  • 2.誤り(インスリン)
    膵臓(ランゲルハンス島β細胞)から分泌される、体内で唯一の血糖降下ホルモンです。
  • 3.誤り(ガストリン)
    胃(幽門前庭部などのG細胞)から分泌される消化管ホルモンです。胃酸の分泌を強力に促進します。
  • 4.誤り(インクレチン)
    食事をとった際に小腸(K細胞・L細胞)から分泌される消化管ホルモン(GIPやGLP-1)の総称です。膵臓に働きかけ、血糖値に応じてインスリン分泌を促進する役割を持ちます。
  • 5.正しい(アディポネクチン)
    脂肪細胞から分泌されるアディポサイトカインの一つで、インスリン感受性を高め、抗動脈硬化作用を持つホルモンです(いわゆる善玉ホルモン)。

【関連知識】国試で狙われるホルモンと分泌臓器まとめ

ホルモン 分泌される臓器 主な働き
アディポネクチン 脂肪細胞 インスリン感受性亢進、動脈硬化抑制
レプチン 脂肪細胞 食欲抑制、エネルギー消費亢進
インスリン 膵臓(β細胞) 血糖値の低下
インクレチン 小腸(K細胞、L細胞) インスリン分泌の促進
ガストリン 胃(幽門部G細胞) 胃酸分泌の促進
セクレチン 十二指腸(S細胞) 膵液(重炭酸イオン)分泌の促進

国試で間違えやすいポイント

「アディポネクチン」の血中濃度に関するひっかけがよく出ます。

  • 肥満になるとアディポネクチンが増加する → 誤り(アディポネクチンは、内臓脂肪が増えると分泌が「低下」します)
  • インクレチンは膵臓から分泌される → 誤り(膵臓に「働きかける」ホルモンですが、分泌元は小腸です)

覚え方のコツ

脂肪細胞を意味する英語は「Adipocyte(アディポサイト)」です。そこから作られるホルモンなので、頭に「アディポ」と付くものは脂肪細胞由来だと一発で見抜けます。また、レプチンは「脂肪が十分あることを脳へ知らせる満腹ホルモン」と理解しておきましょう。

さい
さい
肥満では脂肪が増えているのに、アディポネクチンは逆に減少します。この「脂肪が増えるほど善玉が減る」という関係は覚えておきたいポイントです。

さいの補足(肥満とレプチン抵抗性)

レプチンは脂肪細胞から分泌されるため、本来であれば肥満の人ほどたくさん分泌されて食欲が落ちるはずです。実際に肥満患者では血中のレプチン濃度は高くなっています。しかし、太っている状態が続くと、脳(視床下部)の受容体の感度が鈍くなり、いくらレプチンが分泌されても食欲が抑えられなくなってしまいます。これを「レプチン抵抗性」と呼び、肥満の悪循環の大きな原因として近年の医学で注目されています。

問43:経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)

【問題】
経口ブドウ糖負荷試験で正しいのはどれか。

  • 1.検体は血清を用いる。
  • 2.妊娠糖尿病の診断に用いられる。
  • 3.試験2時間前まで飲食が可能である。
  • 4.糖尿病と診断された患者に実施する。
  • 5.病型診断に負荷後1時間値が用いられる。
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正答:2

【問題の考え方】

OGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)は、糖尿病関連の検査の中で最も国家試験で狙われやすいテーマです。単なる基準値の暗記だけでなく、「どんな人に実施するのか」「検査前にどういう準備が必要か」「どのように判定するのか」という一連のルールを整理しておく必要があります。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(検体の種類)
    血液中のブドウ糖は、採血後も赤血球によって消費されてしまう(解糖)ため、放置すると数値が下がってしまいます。これを防ぐため、解糖阻止剤であるフッ化ナトリウム(NaF)入りの採血管で採血し、「血漿」を用いるのがガイドライン上の原則です。
  • 2.正しい(妊娠糖尿病の診断)
    妊娠糖尿病(GDM)の確定診断には、75gOGTTが必須です。通常の糖尿病とは異なる厳しめの基準値(空腹時≧92、1時間値≧180、2時間値≧153のいずれか1点以上)が設定されています。
  • 3.誤り(前処置)
    正確な空腹時血糖値を測定するため、検査前夜から10〜14時間以上の絶食が必要です。試験2時間前までの飲食は検査結果を狂わせるためNGです。水や麦茶など糖分を含まない水分の摂取は許可されます。
  • 4.誤り(実施対象)
    すでに糖尿病と診断されている患者に75g(世界共通で採用されている標準負荷量)ものブドウ糖を飲ませると、著しい高血糖を引き起こす危険があるため禁忌(やってはいけない)です。OGTTは「糖尿病が疑われるが、確定診断に至らない人(境界型など)」の白黒をつけるために行います。
  • 5.誤り(判定のタイミング)
    一般的な糖尿病の型判定(正常型・境界型・糖尿病型)に用いられるのは、「空腹時」と「負荷後2時間値」の2つです。1時間値は妊娠糖尿病の診断には使われますが、通常の病型判定の基準には含まれていません。

【関連知識】OGTTの判定基準まとめ

判定区分 空腹時血糖値 2時間値
糖尿病型 126 以上 200 以上
境界型 正常型にも糖尿病型にも属さないもの
(空腹時110〜125 または 2時間値140〜199 の範囲を含みます)
正常型 110 未満 140 未満

※単位はすべて mg/dL。糖尿病型はどちらか一方でも満たせば判定されますが、正常型は「両方」満たす必要があります。
※OGTTによる病型判定は空腹時血糖値と2時間値で行われます。

国試で間違えやすいポイント

妊娠糖尿病(GDM)の基準は、一般的な糖尿病よりも「厳しめ」に設定されています。お腹の赤ちゃんへの影響を防ぐため、少しでも高ければ見逃さないようにしているからです。

  • 妊娠糖尿病の空腹時基準は126以上 → 誤り(GDMは空腹時「92以上」でアウトです)
  • 妊娠糖尿病の判定には2時間値だけを使う → 誤り(GDMは「空腹時・1時間値・2時間値」の3ポイントのいずれかが引っかかれば診断されます)

さいの補足(血清か血漿かの実情)

選択肢1の「検体は血清を用いる」について、ガイドライン上は解糖を止めるNaF加血漿が推奨されています。しかし現在の臨床現場では、採血後にすぐ遠心分離を行って自動分析装置にかける運用(凝固促進剤入りの血清)が主流であり、血清で測定しても大きな誤差は出ないため、日常診療では血清で代用している施設もたくさんあります。ただし、国家試験という学問的な世界では「厳密なルール(解糖を防ぐならNaF血漿)」が正解となるため、割り切って覚えましょう。

さい
さい
ちなみにうちの検査室では、血清でも血漿でもどっちでもいいとしています。

問44:短期の栄養指標(RTP)

【問題】
短期の栄養指標として用いられる血漿蛋白はどれか。2つ選べ。

  • 1.アルブミン
  • 2.ハプトグロビン
  • 3.セルロプラスミン
  • 4.トランスフェリン
  • 5.レチノール結合蛋白
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正答:4、5

【問題の考え方】

患者さんの「今の栄養状態」を素早く知りたい時に測るタンパク質を選ぶ問題です。ポイントは「半減期」です。血中に長期間残るタンパク質は、栄養不足になってもすぐには数値が下がらないため、過去の栄養状態しか分かりません。直近の栄養状態を評価するには、血中からすぐになくなる(半減期が短い)タンパク質を選びます。

【各選択肢の解説(病態・原理)】

  • 1.誤り(アルブミン)
    栄養状態の指標として最も有名ですが、半減期が約20日(約3週間)と長いため、「過去から現在までの長期的な栄養状態」を反映します。短期の指標としては不向きです。
  • 2.誤り(ハプトグロビン)
    遊離ヘモグロビンを回収するタンパク質であり、炎症や組織破壊などで増加する「急性期蛋白」の一つです。栄養状態の指標としては用いません。
  • 3.誤り(セルロプラスミン)
    銅の輸送タンパク質であり、これも炎症などで増加する「急性期蛋白」です。栄養指標としては用いません。
  • 4.正しい(トランスフェリン)
    鉄の輸送タンパク質です。半減期が約7〜10日とアルブミンよりも短いため、数週間単位での短期的な栄養指標として用いられます。
  • 5.正しい(レチノール結合蛋白:RBP)
    ビタミンAの輸送タンパク質です。半減期が約12時間(0.5日)と非常に短いため、数日単位の急激な栄養状態の変化を敏感に反映する短期栄養指標として最も優れています。

【関連知識】RTP(半減期が短いタンパク質)の順番

半減期が短く、栄養状態の変化を速やかに反映する血漿蛋白を総称してRapid Turnover Protein(RTP)と呼びます。以下の3つの半減期の順番は国試で頻出です。

タンパク質 半減期 特徴
RBP(レチノール結合蛋白) 約12時間(0.5日) 最も短い。非常に鋭敏。
プレアルブミン(トランスサイレチン) 約2日 数日間の栄養評価に最適。
トランスフェリン 約7〜10日 アルブミンとプレアルブミンの中間。
アルブミン(※参考) 約20日 長期の栄養指標。RTPには含まれない。

国試で間違えやすいポイント

栄養指標=アルブミンという先入観を利用した引っかけ問題に注意しましょう。

  • 短期の栄養評価にアルブミンを用いる → 誤り(半減期が約20日と長いため「長期」の指標です)
  • プレアルブミンはアルブミンの前駆体である → 誤り(名前は似ていますが全く別のタンパク質です。トランスサイレチンとも呼ばれ、RTPの一つです)
さい
さい
NST(栄養サポートチーム)の回診では、提供している栄養メニューが患者さんに合っているかを「プレアルブミン」などのRTPの数値で評価します。アルブミンでは変化が遅すぎて、対応が間に合わないからです!

さいの補足(炎症とアルブミン低下の実情)

アルブミンやRTPは栄養状態だけでなく、炎症でも低下します。感染症などでは肝臓がCRPなどの急性期蛋白の合成を優先するためです。そのため、アルブミン低値=栄養失調とは限らず、CRPなどの炎症マーカーとあわせて評価することが重要です。

臨床化学(午前)の解説は以上です

手応えのある問題も多かったと思いますが、ここで整理した「原理」は他の分野(生理学や血液学など)にも必ず繋がってきます。

知識だけでなく「なぜそうなるのか」を考える問題が多く、理解度がそのまま得点差につながります。一つひとつの反応をイメージしながら復習し、確実に自分の武器にしていきましょう。

さい
さい
臨床化学は配点も大きいため、ここで踏ん張れると国試全体の点数がグッと安定します。本番では焦らず、「原理」に立ち返れば解ける問題もたくさんあります!

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