SAI
今回はUN(尿素窒素)について説明していくよ!
学生君
尿素窒素ってBUNのってやつ?腎臓の項目でしょ!知ってるよ!
SAI
BUN(Blood-Urea-Nitrogen)で血中のUNっていう意味だよ!なのでBUNというよりかはUNが正しいかな。腎臓の項目だけど、具体的にどんな意義があるか説明できるかな?できないのなら、重要な項目なのでキッチリ勉強しておこうね!
※国家試験対策であり、僕の備忘録でもあります。あくまで参考程度にご覧ください。
詳しいことはエビデンスのある教科書を見る事をオススメします!
臨床検査におけるUNとは(臨床化学)
臨床的意義
- BUN(血中UN)は腎機能の指標であるEGFRが50mL/min以上になると増加しだす
- EGFRが25mL/min以下になると急速に増加しだす
- 尿素窒素(UN)とクレアチニン(Cre)の比(UN/Cre)は通常10程度
UN/Cre比
- 増加 ⇒ UNの負荷が増加した場合は循環血漿量の減少
- 減少 ⇒ 腎実質障害の進行や透析の前後
- 肝疾患の場合 ⇒ 尿素の合成力の低下 ⇒ 血中尿素量の低下 ⇒ 血中アンモニア濃度の上昇
- 腎疾患の場合 ⇒ 尿素の糸球体ろ過速度の低下 ⇒ 血中尿素量の増加
パン太くん
尿素量の低下とか増加とかややこし過ぎへん!?これやから化学苦手なんよ・・・。
SAI
NH3の項目で説明したけど、肝障害でNH3の増加があるのは尿素サイクルがうまく働かなくなる。尿素が作られないという事は、たんぱく質の代謝が出来ていないという事。たんぱく質は分解の過程で脱アミノ化をするので、その結果NH3が生じるというわけ!腎臓は糸球体の機能が低下すると尿素の排泄がうまくされないため、血中に尿素が増えるってわけ!
パン太
なるほど、わからん!(笑)
代謝
UNの代謝
- 尿素サイクル(Krebs-Henseleit回路)(オルニチン回路)(超重要!)
- たんぱく質⇒アミノ酸⇒尿素
- 尿素は腎糸球体から尿中に大部分が排泄される
- 尿細管細胞から一部を再吸収する
≪尿素サイクル≫
- アンモニア(たんぱく質、アミノ酸の代謝物)+CO2 ⇒カルバモイルリン酸 ⇒
シトルリン ⇒
アルギノコハク酸 ⇒
アルギニン ⇒
オルニチン ⇒
カルバモイルリン酸(サイクルする)
SAI
尿素サイクルは超重要!国家試験でもよく見かけるので必ず覚えよう!細かい表は専門参考書を見てね!(SAIがサイクルをエクセルなどで上手く作れないだけ)
分析法
酵素法
- ウレアーゼ・グルタミン酸デヒドロゲナーゼ法(アンモニア消去法)(メジャーです)
- ウレアーゼ・ロイシンデヒドロゲナーゼ法
- ウレアーゼ・PH指示薬法(ドライケム)
- ウレアーゼ・インドフェノール法(Berthlot反応)
パン太
ウレアーゼ・インドフェノール法(Berthlot反応)について調べたよっ!
- 尿素+H2O ⇒ 2NH3+CO2
(ウレアーゼ) - NH3+NaOCL(次亜塩素酸ナトリウム)+フェノール ⇒ インドフェノールブルー
- インドフェノールブルーを540nmで測定する
ドヤァ・・・(笑)
SAI
ありがとう(笑)でも・・・、こっちのが主流かな~。
- 尿素 ⇒ 2NH3+CO2
(ウレアーゼ) - NH3 + 2-オキソグルタル酸 + NADPH+ H+ ⇒ グルタミン酸 + NADP + H2O
- 尿素量の減少に応じたNADPHの減少を340nmで測定する
パン太
主流とか知らんし!(悔しい)
化学法
- ジアセチルモノオキシム法(Fearon反応)
変動因子
- フッ化ナトリウムの採血管(血糖用)を使用すると、試薬中の酵素を阻害する可能性あり
- 二重シュウ酸塩入りの採血管で正誤差
生理的変動要因
- 年齢⇒生後60日程までは5mg/dLほど高値となる
- 40歳以上で加齢とともに増加していく(肝機能腎機能の低下)
- 日中高く、夜間は低い(蛋白摂取量の問題か!?)
- 夏冬は高く、春秋は低い
- 妊婦は一時的に低値
基準値
共用基準値
8~20mg/dL
異常値(施設によって違うかも)
80mg/dL以上(腎不全で透析患者はこの限りではない)
まとめ(臨床検査におけるUNのワンポイントなど)
UNは腎機能だけでなく、実は肝機能でもその数値に影響が出るという事を理解できるといいと思います。
その根拠は何といっても「尿素サイクル」です。
尿素サイクルは体内の毒素(アンモニア)を無毒化する大切な回路なので、よく国家試験にも出ます。正しい回路図をしっかりと理解しましょう。
さらに細かい内容などは専門書で確認することをオススメします。