SAI
今回はアンモニアについて説明していくよ!
学生君
アンモニアって臭そうだな・・・。
SAI
化学の実験で使うアンモニアは臭いけど、実際に検査中に「くっさwww」ってなることはないから安心してね(笑)
詳しいことはエビデンスのある教科書を見る事をオススメします!
アンモニアとは
アンモニアの紹介
- 化学式はNH3
- 分子量は17(N:13、H:1*3)
- 刺激臭
- さまざまな金属の配位子として作用してアミン錯体を生成する
- 血中ではNH4+のイオン体として存在している
SAI
アンモニアって、おしっこのアンモニア臭のイメージがあるけど、実際はそんなものじゃないくらい臭いですよ(笑)
臨床的意義
異常高値
- 肝硬変
- 劇症肝炎
- 尿毒症
- ショック
- 尿素サイクル酵素欠損症(先天性の疾患)
SAI
肝硬変や肝がん、肝炎による合併的な病態でアンモニアが上昇している事が多い印象ですね。治療としてはやはり食事の調節が有効です!
代謝
代謝
- たんぱく質やアミノ酸の脱アミノ化によって生成される
- 腸管内における窒素化合物や尿素の分解や吸収によって生成される
- アンモニアは毒性をもっているので、2mg/dL以上で中毒になってしまう
アンモニアの毒性は、下記の臓器で解毒され別物質や排せつされていくよ!
- 肝臓⇒尿素に合成して排泄をする(超重要、この原理はガチで臨床でもよく使います)
- 筋肉、肝⇒2‐オキソグルタル酸+アンモニア→グルタミン酸
- 腎臓⇒水素イオン+アンモニア→アンモニア塩 ☞尿中へ排泄
- 尿中排泄は血中のPH変化に応じて腎臓で調節している
- まとめると、肝臓と腎臓が中心的にアンモニアの解毒をしている
これらの解毒がうまくなされないと、血中アンモニア濃度が上昇して「肝性脳症」になってしまう事も・・・。
SAI
肝性脳症の患者さんは、栄養士さんが低たんぱく食などを用意して極力アンモニアを生成しないようにしているよ。肝性脳症だと昼夜逆転したり、意識障害が出たりとすごく大変。それだけアンモニアは人体にとって毒だということ!
分析法
アンモニアの分析方法
- 化学法(インドフェノール法)
- 酵素法(こっちが今は主流)
- ドライケム
SAI
化学法は、前処理として除たんぱくや試薬を調整が必要、検査自体に30分くらい時間がかかるので面倒くさい。病院ではほとんど使われていない方法だと思います。検査までに時間がかかる検査センター向きの方法。
今は酵素法が主流と思います。中でもグルタミン酸デヒドロゲナーゼUV法が多いでしょう。(これしか知らないw)
SAI
酵素だと、自動分析装置で簡単に測る事ができるが、測定前に必ずブランク校正をかける必要がある。あと、試薬メーカーにもよるが、試薬の安定性も悪く管理が大変。
測定よりも、管理に気を遣う項目ですね。
測定よりも、管理に気を遣う項目ですね。
変動因子
- 室温放置⇒上昇
- 二重シュウ酸塩の採血管⇒正誤差
- 測定器具などの汚染⇒正誤差
- 溶血⇒正誤差
SAI
学術的には室温放置や、採血管の種類(ヘパリンが良い)、溶血(血球内は血漿の3倍のアンモニア濃度)などが重要だけど、実際には分析器具の汚染の方が現場では問題視される。本当に汚染でグンと上昇してしまうので、洗浄だったり、試薬コンタミが絶対ないように慎重に検査を行う必要がある(化学法(用手法)で汚染させた経験あり)
生理的変動要因
- 新生児>成人
- 夜間に高い
- 運動や食事で上昇するため、空腹安静時に採血がベスト!
基準値
基準値
12~66μgN/dL(9~47μmolN/L)☜1.4で割った数字
基準値を超えると異常値となる。
まとめ
アンモニアのまとめ
- 高値で肝性脳症を起こす
- 低値の異常値はない
- 測定は酵素法が主流だが、試薬管理が大変
- 肝臓、腎臓が解毒の重要ファクター
- 測定誤差多すぎ
臨床現場での測定頻度でいうとかなり少ない項目です。しかし、その臨床的な意義は大きく、「夜に眠れないとか、気が落ち着かない」といった患者さんの原因を探るきっかけになる項目でもあります。
アンモニア=おしっこ臭ではなく、もっと重要な意味のある項目なので、しっかり理解するようにしましょう。
さらに細かい内容は、教科書から学んでみてくださいね!