過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
第68回AM臨床化学
AM問題29:糖新生を行う臓器はどれか。2つ選べ。
- 脳
- 肝 臓
- 心 臓
- 腎 臓
- 脾 臓
答えと解説
答え2と4
糖新生を行うのは肝臓と腎臓です。
ちなみに糖新生とは解糖系の逆で乳酸、ピルビン酸からグルコースを合成する反応を糖新生といいます。 アミノ酸やグリセロールからグルコースを合成する反応も同様に糖新生といいます。
AM問題30:糖尿病の診断で糖尿病型の判定に用いられないのはどれか。
- HbA1c
- 随時血糖値
- 空腹時血糖値
- グリコアルブミン
- 75 g 経口ブドウ糖負荷後時間血糖値
答えと解説
答え4
糖尿病型の診断基準をまとめました。
★糖尿病診断基準
- HbA1C(≧6.5%)
- 空腹時血糖(≧126mg/dL)
- 随時血糖値(≧200mg/dL)
- 75gOGTT(2時間値≧200mg/dL)
※GAはアルブミンの半減期は20日前後であるため、グリコアルブミンは過去1~2週間と比較的短期間の平均血糖値を反映する。
AM問題31:ケトン体はどれか。2つ選べ。
- 胆汁酸
- アセトン
- アラキドン酸
- トロンボキサン
- 3-ヒドロキシ酪酸
答えと解説
答え2と5
ケトン体分画という検査項目を知っていると即答できます。ケトン体は3つの分画に分けることができる。
- アセトン
- アセト酢酸
- 3-ヒドロキシ酪酸
なお、アセトンは血中にほぼ存在しない。
AM問題32:代謝系と調節酵素の組合せで正しいのはどれか。
- 解糖系 ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ
- 糖新生 アセチル CoA カルボキシラーゼ
- 脂肪酸合成 ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体
- クエン酸回路 ヘキソキナーゼ
- コレステロール合成 3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル〈HMG〉CoA 還元酵素
答えと解説
答え5
【解糖系】
- ヘキソキナーゼ
- ホスホフルクトキナーゼ
- ピルビン酸キナーゼ
【糖新生】
- グルコースホスファターゼ
- フルクトースビスホスファターゼ
- ピルビン酸カルボキシラーゼ
【脂肪酸合成】
- クエン酸シンターゼ
- リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
- リンゴ酸酵素
【クエン酸回路】
- クエン酸シンターゼ
- アコニターゼ
- イソクエン酸デヒドロゲナーゼ
- α-ケトグルタル酸デヒドロゲナーゼ
- スクシニルCoAシンテターゼ
- コハク酸デヒドロゲナーゼ
- フマル酸ヒドラターゼ
- リンゴ酸デヒドロゲナーゼ
【コレステロール合成】
- ヒドロキシメチルグルタリル-CoA レダクターゼ
(ヒドロキシメチルグルタリル-CoA 還元酵素)
AM問題33:ビリルビン代謝について正しいのはどれか。
- ウロビリンは腸肝循環する。
- 直接ビリルビンは還元されウロビリノゲンになる。
- 間接ビリルビンは腸内細菌により加水分解される。
- δビリルビンは間接ビリルビンにアルブミンが結合している。
- ヘムのポルフィリン環はヘムオキシゲナーゼによって開環される。
答えと解説
答え5
- ウロビリノゲンは腸肝循環する
- 直接ビリルビンは腸内細菌により加水分解されウロビリノゲンとなる
- δ(デルタ)ビリルビンは抱合型(直接)ビリルビンがアルブミンと結合したもの
- ヘムのポルフィリン環はヘムオキシナーゼによって閉環される
ポルフィリンはヘムの前駆物質であり、ヘムから鉄原子を除いたもの。ヘムオキシゲナーゼによる処理を受け鉄が除かれるとビリベルジン(緑色)となります。
AM問題34:酵素法によるカルシウム測定に用いられるのはどれか。2つ選べ。
- α-アミラーゼ
- ヘキソキナーゼ
- ガラクトシダーゼ
- ホスホリパーゼ D
- ピルビン酸キナーゼ
答えと解説
答え1と4
カルシウムの測定法をまとめてみました
- ο-CPC(ο-クレゾールフタレインコンプレクソン)法
- 原子吸光法(標準法)
- EDTAキレート滴定法
- クロラニル酸法
- イオン選択電極法
- 酵素法(α-アミラーゼ、ホスホリパーゼD)
AM問題35:体内の鉄代謝について正しいのはどれか。
- 健常人の総鉄量は約 10 g である。
- 鉄の 1/3 はヘモグロビンに含まれる。
- 鉄はフェリチンと結合し貯蔵される。
- トランスフェリンは日内変動がある。
- ミオグロビンは8個の鉄分子を含む。
答えと解説
答え3
- 健常人の総鉄量は約3~4g である。
- 鉄の2/3(60~70%)はヘモグロビンに含まれる。
- 鉄はフェリチンと結合し貯蔵される。
- 鉄は日内変動がある。(血清鉄は朝高夜低で日内変動がある)
- ミオグロビンは1個の鉄分子を含む。
ミオグロビンは主に筋肉に含まれ鉄を1分子結合できます。横紋筋融解症では血中に流出し、ミオグロビン尿となります(尿中ミオグロビン検査)
AM問題36:芳香族アミノ酸はどれか。
- リジン
- アラニン
- チロシン
- システイン
- イソロイシン
AM問題37:尿素回路について正しいのはどれか。
- 腎臓に存在する。
- ATP を産生する。
- アンモニアを無毒化する。
- ピルビン酸を必要とする。
- 律速酵素はアルギナーゼである。
答えと解説
答え3
【尿素サイクルの特徴】
- 肝臓に存在する
- 3ATPを消費する
- アンモニアは腎から排泄されない
- アンモニアを無毒化する
- 尿素は腎から排泄される
- ピルビン酸は必要としない
- 律速酵素はカルバモイルリン酸シンターゼである
- 尿素サイクルはミトコンドリアと細胞質で行われる
AM問題38:生化学自動分析装置の検出部に後分光方式を用いることで可能となるのはどれか。
- 二波長法での測定
- 終点分析法での測定
- 速度分析法での測定
- 紫外部吸収法での測定
- 2ポイント法での測定
答えと解説
答え1
- 後分光方式を用いることで可能となるのは、二波長法での測定
- 終点分析法(エンドポイント法)試料中目的成分と試薬を混合し、一定時間経過後、反応終了時の生成物吸光度を測定し、標準液濃度と吸光度を基準にして試料中目的成分の濃度を定量する方法である。分析の種類には、1 ポイント法、2 ポイント法がある。
- 初速度分析法(レート法)試料中目的成分と試薬を混合し、反応が一定速度で進行している際の単位時間当たりの吸光度変化量を測定し、標準液の吸光度変化量を基準あるいは検出物質のモル吸光係数から試料中目的成分の濃度、活性値を定量する方法
- 紫外線吸収法は、光源から光学フィルタを通して得られる短波長紫外線を測定光として、オゾンによる吸光度を測定する方法
AM問題39:血清ナトリウムイオンの測定に使用される電極はどれか。2つ選べ。
- 酵素電極
- ガラス電極
- バリノマイシン電極
- クラウンエーテル電極
- 第4級アンモニウム塩電極
答えと解説
答え2と4
電解質(Na、K、Cl)の電極を一覧で示します。ナトカリ(Na、K)はクラウンエーテル電極が共通で、クロール(Cl)だけアンモニウム塩電極だね。ガラスと、バリノマイシン電極は気合で覚えよう
【ナトリウム】
- ガラス電極
- クラウンエーテル電極
【カリウム】
- バリノマイシン電極
- クラウンエーテル電極
【クロール】
- 第4級アンモニウム塩電極
【その他電極】
酵素電極はグルコース
AM問題40:血清中の総コレステロール値が 225 mg/dL、HDL-コレステロール値が 45mg/dL、トリグリセライド値が 250 mg/dL であった。Friedewald 式による LDL-コレステロール値はどれか。
- 55 mg/dL
- 97 mg/dL
- 130 mg/dL
- 155 mg/dL
- 180 mg/dL
答えと解説
答え3フリードワルドの式は単純計算式なので、必ず答えられるようにしておこう。
イメージとして、総コレステロール=HDL+LDL+αって感じで考えたら良いと思います。それを計算式にしたのがフリードワルドの式ってこと。
上の式を変形して、LDL=総コレ-HDL-α
αがTGを5で除したものってだけです。
LDL(F)=TC-HDL-CーTG/5
※ただし、TG値400以上は適応できない。(極端な低値やマイナスとなる)
実際のところ検査センター時代に、TGが400に近いと(380など)明らかに低値なので、これで結果を返していいのか?と悩んだことがあります。
AM問題41:DNA を含む細胞内小器官はどれか。
- 小胞体
- ゴルジ体
- リボソーム
- ミトコンドリア
- ペルオキシソーム
答えと解説
答え4
【ミトコンドリアの説明】
- DNAを含む(独自のゲノムDNA)
- 動物(真核生物)細胞のミトコンドリアでは酸化的リン酸化を介してATPを産生する(クエン酸回路)
- ミトコンドリアのクリステには呼吸代謝の中心である電子伝達系がある
- ミトコンドリアのマトリックスにはクエン酸回路(TCAサイクル)が存在し、脂肪酸のβ酸化がおこなわれる
- ミトコンドリア内にはASTが存在する(アスパラギン酸トランスフェラーゼ)
- ミトコンドリアのマーカーはチトクロームオキシダーゼ
AM問題42:肝合成能の評価に用いられるのはどれか。
- ICG 試験
- 血清 ALT 値
- 血清ビリルビン値
- 血中アンモニア値
- プロトロンビン時間
答えと解説
答え5
【肝合成能の評価】
- PT
- アルブミン
- コレステロール
- ChE
【異物排泄機能の評価】
- BSP試験(ブロムスルホフタレイン)
- ICG試験(インドシアニングリーン)
- ICGの基準値:15分値は0~10%
※40%は肝硬変などが鑑別にあがる
【解毒機能の評価】
- 馬尿酸合成試験
AM問題43:消化管から分泌されないのはどれか。
- ガストリン
- セクレチン
- インクレチン
- カルシトニン
- コレシストキニン
答えと解説
答え4【消化管】
- ガストリン(胃)
- セクレチン(十二指腸)
- インクレチン(小腸)
- コレシストキニン(十二指腸)
【甲状腺】
- カルシトニン(甲状腺)
AM問題44:Michaelis 定数〈Km〉について正しいのはどれか。
- 測定 pH の変化に影響されない。
- アイソザイム間では差異がない。
- 大きいほど酵素と基質の親和性が高い。
- 競合阻害物質の存在下では大きくなる。
- 最大反応速度(Vmax)の半分の速度である。
答えと解説
答え4
【Km値について】
最大反応速度の半分の速度が認められる基質濃度[S]。 基質と酵素の結合強度とは逆の尺度で、Kmが低いほど親和性が高く、最大反応速度への到達に必要な基質濃度が低い。 Km値は、pH、温度、その他の反応条件に依存する。
- 測定pHの変化に影響される
- アイソザイム間で差異がある
- 小さいほど酵素と基質の親和性が高い
- 競合阻害物質の存在下では大きくなる
- Vmaxの半分の基質酵素