過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
臨床検査技師国家試験の過去問解説のまとめページです
第70回公衆衛生学AM90~94
90 令和2(2020)年度傷病分類別医科診療医療費が最も多いのはどれか。
- 新生物〈腫瘍〉
- 呼吸器系の疾患
- 循環器系の疾患
- 腎尿路生殖器系の疾患
- 筋骨格系及び結合組織の疾患
解説:厚労省HPを参考にすると詳細が記されています。参考までに公開されている最新の2021年度もリンクを付けておきます。
下記リンクは厚労省HPです。
(2020年度)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/20/dl/data.pdf
(2021年度)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-iryohi/21/dl/data.pdf
上記リンクを参考にまとめると
★2020 年度傷病分類別医科診療医療費
- 循環器系の疾患:19.5%
- 新生物(腫瘍):15.2%
- 筋骨格系及び結合組織の疾患:8.1%
- 損傷、中毒及びその他の外因の影響:7.9%
- 腎尿路生殖器系の疾患:7.4%
【参考】★2021 年度傷病分類別医科診療医療費
- 循環器系の疾患:18.9%
- 新生物<腫瘍>:14.9%
- 筋骨格系及び結合組織の疾患:8.0%
- 損傷、中毒及びその他の外因の影響:7.7%
- 腎尿路生殖器系の疾患:7.1%
2020年と2021年を比較してみると、大きく変わらないのが分かる。しかし、1位と2位の差は5~6%程の差なので、今後の医療次第で入れ替わることもあるかもしれないので、やはり厚労省HPを定期的に確認することは重要だと思います。
答え:3
91 ノーマライゼーションで正しいのはどれか。2つ選べ。
- 社会的理解の促進
- 住宅改修費の支給
- 障害者手帳の交付
- 心身機能の正常化
- ユニバーサルデザインの導入
解説:ノーマライゼーションとは、高齢者や障害者が地域社会で健常者と共存して「普通(ノーマル)の生活」が営めるように当該社会を物心両面から改善しようとする社会的志向のこと。
★ノーマライゼーションの概念と例
ノーマライゼーションとは「バリアフリー」化を促進すること
- 社会的理解の促進
- ユニバーサルデザインの導入
- 優先ATMや優先シートの設置
- 視覚障害者対応ATMの設置
- 点字による預金取引通知サービス
- 車いす利用者専用のトイレやエレベーターの設置
- 認知症サポーターの配置
- AEDの設置 など
※ユニバーサルデザインとは「年齢、性別、文化、身体の状況など、人々が持つさまざまな個性や違いにかかわらず」、最初から誰もが利用しやすく、暮らしやすい社会となるよう、まちや建物、もの、しくみ、サービスなどを提供していこうという考え方のこと
他にも例はたくさんあると思います。「高齢者や障がい者」と「ノーマル」な生活を営めるような「施策」だと考えていくといいかもしれません。
- 住宅改修費の支給
⇒支給などの支援はノーマライゼーションには含まれない - 障害者手帳の交付
⇒障がい者に対する施策なので、これもノーマライゼーションには含まれない - 心身機能の正常化
⇒ノーマライゼーションではなく、医療のこと
答え:1と5
92 2021年の我が国の統計で正しいのはどれか。
- 死産数は前年より増加した。
- 死亡数は前年より減少した。
- 出生数は100万人を下回る。
- 自然増減数はプラス値である。
- 合計特殊出生率は1.5を上回る。
解説:これもまた厚労省のHPを参考にすることになります。選択肢には「前年より」を含むものもあり、経時的な動態を把握しておく必要がありそうです。
上記リンクを参考に選択肢を見ていくと
- 2021年の死産数は1万6277胎で、前年は15178胎であったため、1001胎減少している
⇒医療の進歩の影響か - 2020年の死亡数は約137万人であり、2021年は約144万人と増加している
⇒高齢者の増加が影響か - 出生数は81万1604人と過去最低を更新した
⇒少子化の加速であり、2016年ごろから100万人を切っているエータがある - 自然増減数は約61万人の減少で、15年連続の自然減少となっている
自然増減数とは「生まれた者の総数から亡くなった者の総数を引いた数値」 - 合計特殊出生率は1.30である
合計特殊出生率とは「15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの」であり、2023年度は1.2となり2024年度はさらに下回る可能性が大とのこと
答え:3
93 環境問題とその原因物質の組合せで正しいのはどれか。
- 酸性雨 微小粒子状物質〈PM2.5〉
- 大気汚染 二酸化炭素
- 地球温暖化 ダイオキシン
- 地下水汚染 六価クロム
- オゾン層破壊 光化学オキシダント
解説:環境問題と原因物質についてですが、有名なものからマイナーなものまで選択肢にあります。
それぞれ正しい形に直して見ていきましょう。
- 酸性雨 ⇒ 大気中の硫黄酸化物や窒素酸化物(石炭や石油などの化石燃料の燃焼により発生)
- 大気汚染 ⇒ 二酸化硫黄、二酸化窒素、微小粒子状物質(PM2.5)など
- 地球温暖化 ⇒二酸化炭素、オゾン
- 地下水汚染 ⇒ 六価クロム(重金属)、硝酸性窒素、亜硝酸性窒素など
- オゾン層破壊 ⇒ フロン類
選択肢を見てみると、地下水汚染のみ正しいことがわかります。
※ダイオキシン⇒廃棄物の焼却などで生成され、発がん化や催奇形性を疑われている物質
※光化学オキシダント⇒窒素酸化物や炭化水素が紫外線によって光化学反応を起こして生成される物質で、代表的な物質は「オゾン」です。
答え:4
94 産業保健における許容濃度の定義で正しいのはどれか。
- 事務所内の空気環境を規定する濃度
- 生物学的モニタリングで許容される生体内濃度
- 毒性試験で動物に有害な影響が見られない最大投与濃度
- 労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度
- 作業環境管理の良否を判断する管理区分を決定するための濃度
解説:問題の意図がイマイチ伝わりにくいですが、「産業保健における許容濃度の定義」でそのまま検索するとそのまま回答が出てきます。
答えは④の労働者に健康上の悪影響が見られないと判断される濃度になります。
これは、労働者が8時間/日、40時間/週の条件下で有害物質に暴露される場合、平均暴露量が基準数値以下であれば問題ないとされている。
(基準値までなら有害物質は全然OK!という概念ではなく、検出されないのがもちろん良い)
他の選択肢を見ていきます。
- 事務所内の空気環境を規定する濃度
⇒建築物衛生法の「建築物環境衛生管理基準」に従って当該特定建築物を維持管理する
空気調和設備を設けている場合と機械換気設備を設けている場合で項目が決まっている - 生物学的モニタリングで許容される生体内濃度
⇒有害物質に曝露した作業者の体内における物質の濃度を評価する方法
作業者への暴露量の推定をするための方法であり、健康へのリスク評価にも使用される - 毒性試験で動物に有害な影響が見られない最大投与濃度
⇒動物試験などで求められた、「この量以下であれば害は出ないとされる最大量」のことで、臨界濃度または閾値と呼ばれる - 作業環境管理の良否を判断する管理区分を決定するための濃度
⇒管理濃度と呼ばれ、作業場の評価判定に用いる
答え:4
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