過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
臨床検査技師国家試験の過去問解説のまとめページです
第70回医用工学概論AM95~100
95 ヤング率〈縦弾性率〉が最も大きいのはどれか。
- 筋(引っ張り)
- 腱(引っ張り)
- 大腸(円周方向)
- 動脈(円周方向)
- 肺胞(拡張方向)
解説:ヤング率とは、簡単にいうと「物体の固さの指標」のことです。
外部からの力に対して、どのくらい材料が変形するかを表します。ヤング率が高いほど固く、外部からの力に対して変形は小さくなります。
★ヤング率とは
- 物体に作用する力が大くなれば、力が取り除かれた後に物体のひずみは消失する
⇒この性質を「物体の弾性」という - 物体に作用する力が弾性の範囲内であれば、力とひずみは比例する
⇒この比例定数を「ヤング率」と呼ぶ。 - ヤング率=作用する力/ひずみで表すことができる
- 生体組織のヤング率は骨>腱>動脈>筋となる
答え:2
96 図の回路で点Aの電圧はどれか。
- 2.5V
- 3.0V
- 5.0V
- 6.0V
- 7.5V
解説:キルヒホッフの法則を再確認します。
★キルヒホッフの第1法則
電気回路の任意の分岐点について、そこに流れ込む電流の和は、そこから流れ出る電流の和に等しい。
⇒水の流れや、車の流れ(道路)も同じで、途中でいきなり“消え去る”ことはないです。必ず同じ量が入り、同じ量が出ます。
★キルヒホッフの第2法則
電気回路の任意の一回りの閉じた経路について、電位差の和は 0 である。
⇒電気回路において、途中で回路が分岐したり抵抗があったりと、どんな回路においてもスタート地点に帰ってくれば、電圧の差は0になる。ということ。
観覧車でも、入口から出口に戻ると高さは0に戻るということです。
この法則を用いて考えていきます。
回路図を流れる電流を便宜上I1~I3とします。
キルヒホッフ第一法則より、
I1+I3=I2となります。
キルヒホッフ第二法則より、閉鎖回路における起電力の和は電圧降下の和に等しいので、
回路図上部の閉鎖回路⇒10(V)=50(Ω)×I1+50(Ω)×I2
回路図上部の閉鎖回路⇒5(V)=25(Ω)I3+50(Ω)×I2
I1=0.1A、I2=0.1A、I3=0A(ここは電圧降下は起こらない)
中心の抵抗に流れる電流は0.1Aなので、0Vの点とA点との電位差(A点の電圧)は5Vとなる。
答え:3
97 電圧増幅度がそれぞれ4倍、10倍、100倍の増幅器を直列に接続したとき総合した増幅度[dB]はどれか。
- 24
- 32
- 46
- 66
- 72
解説:複数の増幅器を直列に接続した場合、回路全体の増幅度(倍)は各増幅器の増幅度の積となります。ちなみに第67回AM96でも同様の出題がありました。
★増幅度(倍)の求め方(直列)
- 電圧増幅度(A)=出力電圧/入力電圧(倍
- 電圧増幅度A×電圧増幅度B(繋ぐ分だけ掛ける)
★dB変換
- 20log A(logは常用対数)
上記の公式を用いて考えると、
増幅度=4×10×100=40000(4×103)
これをdB変換すると、
20log10(4×103)
=20log104+20log10103
=72(dB)
または、dB表示はそれぞれの増幅器単位の和でも求められるので、
4倍、10倍、100倍の増幅器はそれぞれ12、20、40(dB)となる。
それらを足すと、12+20+40=72となる。
答え:5
98 ミクロショック対策を目的としているのはどれか。2つ選べ。
- 3Pプラグ
- 等電位接地
- 無停電電源
- CF形装着部
- 非接地配線方式
解説:電流によるショックには、「マクロショックとミクロショック」があり、今回はミクロショックについての出題です。
※皮膚(体表面)から電流が流れるマクロショックと心臓に直接電流が流れるミクロショックとに分類される。
上記を念頭に、選択肢を見ていきます。
- 3Pプラグ ⇒ 保護接地線を介して漏れ電流を接地端子の方に流すプラグ(追加保護手段)
- 等電位接地 ⇒ ミクロショック対策として各機器や金属製品の電位差を10mV以下に抑えるシステム
- 無停電電源 ⇒ 無停電で電力供給が必要なものに用いる
- CF形装着部 ⇒ ミクロショック対策として、心臓を直接対象とした機器はCF装着部を持つ
- 非接地配線方式 ⇒ 非常時に電源供給を確保するためのシステム(マクロショック対策)
選択肢の装置の役割を把握しておけば、類似問題が出ても応用が効くと思います。
答え:2と4
99 情報の概念で誤っているのはどれか。
- 情報の表現は2進数で行われる。
- 情報量の単位はビットとバイトである。
- 1バイトは8ビットである。
- 1キロバイトは1024バイトである。
- 2バイトでは10万種類以上の文字が扱える。
解説:選択肢を補足し、正しく直してまとめます。最低条件として、下の箇条書きは把握しておきましょう。
- デジタル情報は0と1の2種類の数字だけを使った2進数を用いる
- 2進数の1桁を1ビット(bit)と呼ぶ
⇒「bit」は情報量の最小単位であり、「1bit」は「1桁の二進数」の情報量で「0」「1」の2通りの値しか表現することができない - 1バイト(byte)は8ビット
- 1キロ(K)バイトは1024バイト(210バイト)
⇒1k(1000)、1M(100万)、1B(10億)、1T(1兆)など
単に区切りがいいので1024=1Kとしている
2バイトは16ビットであり、216=65536
つまり65536通りの情報までしか表すことができないため、10万種類以上の文字は扱えない。
答え:5
100 コンピュータに接続した複数の端末を用いて処理を行うシステムはどれか。2つ選べ。
- 分散処理
- バッチ処理
- オンラインシステム
- リアルタイムシステム
- タイムシェアリングシステム〈TSS〉
解説:選択肢のシステムを簡単にまとめました。
- 分散処理
⇒負荷の集中を複数のコンピュータに分散させ、システム全体の処理能力の向上を図る - バッチ処理
⇒処理要求やデータを一定期間蓄積し、期日を決めて連続的に処理する - オンラインシステム
⇒遠隔地で発生した処理要求をネットワークを介して、ホストコンピュータでデータ処理する - リアルタイムシステム
⇒処理発生に伴い、即座(定められた時間内)に処理する - タイムシェアリングシステム〈TSS〉
⇒個々の処理を行う時間を短い間隔に分割し、1台のコンピュータを複数のユーザー(コンピュータ)が同時に利用できるシステム
結局わかり辛いのですが、太字にしている箇所がキーワードになります。
オンラインシステムと混同しそうですが、厳密には異なるので、今回の問題で間違えないようにしておきましょう。
答え:1と5
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