臨床検査技師に向いている人
少し深堀りして説明していきます。
臨床検査技師の仕事には患者さんを直接検査する「生理機能検査」と、患者さんからサンプリングした検体を検査する「検体検査」の二つがあります。
「生理機能検査」は、患者さん相手なのでそこまで細かい作業はないのですが「検体検査」は細かいです。
- 試薬の取扱量がμL 単位(ミリの1/1000)
- 試薬の種類の数だけ検量線や精度管理が必要(精度を保つ)
- 分析装置の管理日誌など細かいルーチン(チェックリスト)
- 検査にタイマーが必須で、一度に複数個のタイマーが鳴る事もしばしばある
生理機能検査でも当然チェックリスト等はありますが、それでも検体検査が抜きんでている印象です。
おおざっぱな性格の人(僕です)は、仕事をしているとだんだんとデスクが汚れていき、プチゴミデスクの出来上がりです(笑)
几帳面で細かい仕事が好きな人は向いていると思います。
もちろん「エコーが好きとか、病理が好き、細菌検査が好き」といった、専門職として大切な「探求心」がある人も臨床検査技師に向いています。
臨床検査技師に向いていない人
- マルチタスクが苦手な人
- 夜勤が苦手な人
- 時間管理が苦手な人
検査センターではとにかくマルチタスクが苦手な人は厳しいと思います。というのも、検査センターの仕事は「桁外れの検体数をとにかくさばいていく」といったもの。
「Aの仕事をしながらBの仕事をしつつ、Cの機器トラブル対応といった仕事の場面もよくあります。」
そして、検査センターは夜間がメインの職場です。当然シフトも夜勤が多くなります。「自分は夜が苦手だ」と思う人は検査センターには向いていないと思います。本当に夜勤が多いので( ;∀;)
時間管理が苦手な人も苦労すると思います。桁外れに多い検体を、決まった時間までに検査をして結果を出す必要があります。
自分のペースでのんびり仕事をすると、納期に間に合わない事になってしまうので時間の管理をしっかりできないと、苦労するのは間違いありません。
- 対人が苦手な人
- 知識欲の無い人
- 出世欲の強い人
病院には患者さんがいます。患者さんを相手にするのが苦手な人は毎日が苦痛となるでしょう。
患者さんの中には、自力で動けない人や、酸素を付けてないと危険な状態の人もいます。
そういった患者さんを相手にキッチリ仕事をこなせる人でなければ、病院の臨床検査技師は務まりません。
病院はとにかく学術的に向上を目指す職場でもあります。ゆえに、休日だろうと勉強会や講習会の出席であったり、逆に学会発表をする立場になったりもするでしょう。
そういった学術向上の意欲がないと、病院は厳しいです。
企業と病院の決定的な違いがあります。それは「出世の上限が低い」事です。
病院では臨床検査技師であるならどんなに頑張っても臨床検査技師長が限界です。
これは一般企業でいう「課長職」相当なので、出世したところで中間管理職が限界という事です。
また、病院は医師を頂点とした組織図が構成されていて、検査技師長になろうとも、一般の医師以下の存在であるので、その点は理解しておかないと苦労します。
臨床検査技師に求められているもの
さて、臨床検査技師に求められているものは何でしょうか。
- 迅速性
- 正確性
- 知識
- スキル
- コミュニケーション能力
主にこれらの項目が現場の臨床検査技師には求められています。
「素早く、正確な結果を臨床に返す」
これができれば臨床検査技師としては一人前です。
加えて「医師とのコミュニケーションをしっかりと取る」これが非常に重要になってきます。
通常、僕ら検査技師は医師に何も意見をしません。
なぜなら「君たちの判断することじゃない」と一蹴されるからです。
しかし、コミュニケーションを取り、医師から信頼を得る事ができれば話は変わってきます。
今まで聞く耳持たなかった技師の言葉が、医師を通し、臨床まで届かせることだってできるようになります。
大病院では簡単にできる事ではありません。民間病院で辛うじてコミュニケーションを取ってやっていけそうなレベルです。
医師と会話するのは緊張もするし、気も遣いますが、認められることができれば、仕事のやりがいもきっと増えるので、是非挑戦するのも良いでしょう。
学生のうちに学ぶべきこと
- 解剖学(肝臓、腎臓、膵臓、胆のう、脾臓など実質臓器)⇒腹部エコー
- 解剖学(心臓)⇒心エコー
- 心電図の撮り方
- 生化学の項目と意義
- 感染症項目と意義
- ホルモン項目と意義
- 腫瘍マーカーと意義
- 血液学項目と意義
- 抹消血液像の特徴
- 尿一般項目と意義
- 尿沈渣の特徴
- 輸血(血液型、不規則性抗体、クロスマッチ)
結局かなりの量にんりましたが、これだけキッチリ知識として頭に入っていれば、病院の当直くらいはすぐにこなせるようになるはずです。
病理や細菌だったり、医用工学や公衆衛生などはほとんど現場では使いません。
上記の項目が、メインの項目といってもいいほどよく仕事で使います。
僕の所属している民間病院では、上記の内容が日ごろの検査になります。全て完璧にこなせる人は一人もいませんが、それぞれがそれなりのレベルでこなせるようにはなっています。
学生のうちに予習として覚えておけば、国家試験にも役に立つし、卒業してからも大いに役立つこと間違いありません!