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【臨床化学】酸塩基平衡が苦手なあなたへ|7年分の過去問データで完全攻略
pH、PaCO2、HCO3-…
もう、ごちゃごちゃで分からない!
- ✔アシドーシス?アルカローシス?言葉からして苦手…。
- ✔「代償」って何?なんでPaCO2とHCO3-が逆に動くの?
- ✔血液ガスのデータ問題が出ると、思考が停止してしまう…。
しかし、ご安心ください。酸塩基平衡は、たった4つの基本パターンとその「代償」のルールさえ理解すれば、必ず解けるようになります。(かなり楽勝になります)
この記事では、過去7年分の国家試験データ分析に基づき、どこよりも分かりやすく、そして実践的に「酸塩基平衡」の全てを解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは血液ガスの問題を見るのが楽しみになっているはずです。
【最重要】過去7年間のデータが示す「酸塩基平衡」の出題傾向
まず、このテーマがどれだけ重要か、客観的なデータで見てみましょう。
過去7年間の分析の結果、
「血液ガス、酸・塩基、その原因疾患に関連する問題」は、
合計で28問出題されています。
これは、毎年平均して4問、つまり8点分がこのテーマから出題されている計算になります。この8点を確実に取れるかどうかは、合否に直結します。
⚠️:出題分野は臨床化学以外にも、
生理学、臨床検査医学総論でも出題可能性はあります。
どちらにせよ、得点源にはなります。
「酸塩基平衡」関連問題 出題ソース一覧(第65回〜第71回)
回数 | 午前/午後 | 問題番号 | 主なテーマ |
---|---|---|---|
第71回 | 午前 | 問20 | 血液ガスデータの基準値 |
午前 | 問29 | 代謝性アルカローシスと電解質 | |
午後 | 問29 | 重炭酸イオンの性質 | |
第70回 | 午前 | 問11 | Addison病と電解質異常(アシドーシス関連) |
午前 | 問44 | アルカローシスとイオン化カルシウム | |
午後 | 問6 | 睡眠時無呼吸症候群(呼吸性アシドーシス関連) | |
午後 | 問23 | 重炭酸イオンの性質 | |
第69回 | 午前 | 問14 | 慢性腎不全(代謝性アシドーシス関連) |
午後 | 問12 | 過換気症候群(呼吸性アルカローシス) | |
午後 | 問20 | 血液ガスデータの読解 | |
午後 | 問34 | アシドーシスとイオン化カルシウム | |
午後 | 問41 | インスリンと代謝(ケトアシドーシス関連) | |
第68回 | 午前 | 問14 | 血液ガスデータの読解(代謝性アシドーシス) |
午前 | 問22 | 血液ガスデータの読解(呼吸性アシドーシス) | |
第67回 | 午前 | 問30 | 乳酸アシドーシス |
午後 | 問33 | RAA系と代謝性アルカローシス | |
第66回 | 午前 | 問12 | 血液ガスデータの読解(呼吸性アルカローシス) |
第65回 | 午前 | 問14 | 血液ガスデータの読解(代謝性アシドーシス) |
午前 | 問22 | 血液ガスデータの読解(呼吸性アシドーシス) | |
午後 | 問1 | 検体放置による解糖(代謝性アシドーシス) |
※この出題数は、血液ガスの数値を直接読み解く問題だけでなく、その原因となる疾患や病態生理に関する問題も「関連問題」として集計した、当サイト独自の分析結果です。
まずはこれを叩き込め!酸塩基平衡4つの基本パターン
全ての基本となる、4つの病態パターンです。この表は丸暗記必須!
病態名 | 一次的な変化 | pH | 代表的な原因 |
---|---|---|---|
呼吸性アシドーシス | PaCO2 上昇 (↑) | 低下 (↓) | COPD、呼吸抑制 |
呼吸性アルカローシス | PaCO2 低下 (↓) | 上昇 (↑) | 過換気症候群 |
代謝性アシドーシス | HCO3- 低下 (↓) | 低下 (↓) | 糖尿病ケトアシドーシス、腎不全 |
代謝性アルカローシス | HCO3- 上昇 (↑) | 上昇 (↑) | 嘔吐、利尿薬 |
【国試の頻出ポイント】原因となる疾患・病態とセットで覚えよう!
血液ガスのデータが読めるようになったら、次はそのデータが「なぜ、そうなったのか?」という原因と結びつけることが重要です。国試では、この関連性を問う問題が非常によく出題されます。
呼吸性アシドーシス(PaCO2 ↑)の主な原因
要するに「換気できない状態」のこと。二酸化炭素(CO2)が体内に溜まってしまいます。
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD): 最も代表的な原因疾患です。
- 呼吸筋の麻痺: 筋ジストロフィーなど。
- 呼吸中枢の抑制: 麻薬などの薬物、脳幹の障害。
呼吸性アルカローシス(PaCO2 ↓)の主な原因
要するに「息をしすぎている状態」のこと。二酸化炭素(CO2)を体から出しすぎてしまいます。
- 過換気症候群: 不安やストレスが原因で呼吸が速くなる状態。
- 低酸素血症: 肺炎や心不全などで酸素が足りず、代償的に呼吸が速くなる。
- 発熱、敗血症: 代謝が亢進し、呼吸中枢が刺激される。
代謝性アシドーシス(HCO3- ↓)の主な原因
要するに「酸が増えた」か「アルカリが減った」状態。アニオンギャップ(AG)の開大の有無でさらに分類されます。
- AG開大型(酸の産生亢進):
- 糖尿病ケトアシドーシス: ケトン体(酸)が増加。
- 乳酸アシドーシス: 乳酸が増加。敗血症やショックなど。
- 腎不全: 尿から酸を排泄できなくなる。
- AG正常型(アルカリの喪失):
- 下痢: 腸液中のHCO3-(アルカリ)が大量に失われる。
- 尿細管性アシドーシス: 腎臓でHCO3-の再吸収ができない。
代謝性アルカローシス(HCO3- ↑)の主な原因
要するに「酸が減った」か「アルカリが増えた」状態。
- 嘔吐・胃液吸引: 胃酸(H+)が大量に失われる。
- 利尿薬の長期使用: 腎臓からのH+排泄が促進される。
- 原発性アルドステロン症: アルドステロンの過剰により、H+の排泄とHCO3-の再吸収が亢進する。
合否を分ける最重要知識「代償作用」とは?
ここが一番のつまずきポイントですよね。代償作用とは、体が酸塩基平衡の乱れをなんとか元に戻そうとする健気な働きのことです。
例えるなら、「呼吸(肺)」と「代謝(腎臓)」が乗ったシーソーのようなもの。片方が傾いたら、もう片方が頑張ってバランスを取ろうとします。
- 呼吸性が原因で傾いたら → 代謝性(腎臓)が頑張ってバランスを取る!
- 代謝性が原因で傾いたら → 呼吸性(肺)が頑張ってバランスを取る!
【さい流】どんな問題も解ける!血液ガス3ステップ読解法
どんなに複雑に見えるデータも、この3ステップで順番に見れば必ず解けます。
- Step1:まずpHを見ろ!
7.35未満なら「アシデミア」、7.45より上なら「アルカレミア」と判断。これで全体の方向性が決まります。 - Step2:原因はどっちだ!
PaCO2(基準40)とHCO3-(基準24)を見て、pHと同じ方向に動いている方が、乱れを引き起こした「主犯」です。- アシデミア(pH↓)の時、PaCO2↑なら→呼吸性アシドーシス
- アシデミア(pH↓)の時、HCO3-↓なら→代謝性アシドーシス
- Step3:代償はあるか!
主犯ではない方が、バランスを取ろうと動いていれば、それが「代償」です。- 呼吸性アシドーシス(PaCO2↑)の時、HCO3-も↑なら→腎性代償あり
- 代謝性アシドーシス(HCO3-↓)の時、PaCO2も↓なら→呼吸性代償あり
実践!過去問で腕試し
では、実際にこの3ステップ法で、異なるパターンの過去問を解いてみましょう。
【第66回 午前 問12】
動脈血液ガス分析で、pH 7.48、PaO2 98 Torr、PaCO2 30 Torr、HCO3- 22 mmol/L であった。考えられるのはどれか。
- 胃液吸引
- 急性膵炎
- 慢性肺気腫
- 過換気症候群
- 原発性アルドステロン症
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Step1:pH 7.48は基準値より高いので「アルカレミア」です。
Step2:PaCO2は30 Torrで基準値より低下(↓)。pHの上昇と同じ方向に動いているのはPaCO2の低下なので、主犯は「呼吸性アルカローシス」です。
Step3:HCO3-が22とやや低下気味なのは、腎臓がアルカリ性に傾いた体を酸性に戻そうとしている「代謝性代償」の現れです。
結論:呼吸性アルカローシスを引き起こすのは「4. 過換気症候群」です。
【第65回 午前 問22】
呼吸性アシドーシスはどれか。
- pH 7.47 PaCO2 30 Torr HCO3- 23 mmol/L
- pH 7.47 PaCO2 46 Torr HCO3- 32 mmol/L
- pH 7.40 PaCO2 40 Torr HCO3- 24 mmol/L
- pH 7.34 PaCO2 60 Torr HCO3- 30 mmol/L
- pH 7.30 PaCO2 30 Torr HCO3- 16 mmol/L
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Step1:呼吸性アシドーシスなので、まずpHが酸性に傾いている(<7.35)ものを探します。→ 4と5が候補。
Step2:アシドーシスの原因が「呼吸性」ということは、PaCO2が上昇(↑)しているはずです。→ 4のPaCO2は60で上昇、5のPaCO2は30で低下しています。
Step3:4では、HCO3-が30と上昇しており、これは腎臓による「代謝性代償」がかかっていることを示します。
結論:pHが低下し、PaCO2が上昇している「4」が呼吸性アシドーシスです。(ちなみに5は代謝性アシドーシスです)
【第65回 午前 問14】
pH 7.32、PaCO2 27 Torr、HCO3- 13 mmol/L、Na+ 138 mmol/L、K+ 4.5 mmol/L、Cl- 102 mmol/L であった。考えられるのはどれか。
- 心不全
- 間質性肺炎
- 尿細管性アシドーシス
- 原発性アルドステロン症
- 糖尿病性ケトアシドーシス
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Step1:pH 7.32は基準値より低いので「アシデミア」です。
Step2:HCO3-は13 mmol/Lで基準値より低下(↓)。pHの低下と同じ方向に動いているのはHCO3-の低下なので、主犯は「代謝性アシドーシス」です。
Step3:PaCO2が27 Torrと低下しているのは、肺が体をアルカリ性に戻そうと、酸であるCO2をたくさん吐き出している「呼吸性代償」の現れです。
結論:代謝性アシドーシスを引き起こす代表的な疾患は、選択肢の中では「5. 糖尿病性ケトアシドーシス」です。(アニオンギャップを計算すると 138 – (102 + 13) = 23となり、増加していることからも診断できます)
まとめ:酸塩基平衡はパターンと代償の理解が全て
酸塩基平衡は、一見複雑に見えますが、恐れる必要はありません。
- 4つの基本パターンをまず完璧に暗記する。
- 「代償」とは、肺と腎臓のシーソーゲームだと理解する。
- どんな問題も「pH→原因→代償」の3ステップで解くクセをつける。
この3つを実践すれば、酸塩基平衡はあなたの得点源に変わります。ぜひ、繰り返しこの記事を読んで、自信をつけてください!
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