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【臨床化学】脂質とリポ蛋白について

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SAI
SAI
今回は脂質とリポ蛋白についてまとめていくよ。
パン太
パン太
リポ蛋白って何?
SAI
SAI
リポ蛋白は脂質の総称みたいのものなんだけど、一応イラスト作ってみたから、見てみてね笑

リポ蛋白の臨床的意義

リポ蛋白の構造と特徴

  • 脂質は水にはほとんど溶けず、有機溶媒に溶けやすい
  • 血清脂質の主要成分はコレステロール(cho)トリグリセリド(TG)リン脂質(PL)遊離脂肪酸(FFA)、アポ蛋白
  • 虚血性心疾患、動脈硬化、糖尿病、肥満、肝疾患、腎疾患などで問題になる
  • 空腹時血清中には、超低密度リポ蛋白(VLDL)、低密度リポ蛋白(LDL)、高密度リポ蛋白(HDL)の3種のリポ蛋白が存在する
  • 食後にはカイロミクロン(CM)が出現する場合もある

リポ蛋白の種類

カイロミクロン(CM)
  • 比重:<0.96
  • 直径:800~500Å(オングストローム)
  • 主要脂質:TG
  • 主要アポ蛋白:B-45、A-1、E、Cs
  • 電気泳動移動位置:原点

 

  • Å=0.1nM(ナノメートル:10のマイナス9乗)
  • アポ蛋白⇒コレステロールや中性脂肪、ビタミンAやEは水に溶けないので蛋白に結合した状態で血中に存在する。アルブミンに結合している場合もあるが、コレステロールや中性脂肪を運ぶ担体として特化したものがアポ蛋白である。脂質と複合体を形成しリポ蛋白になる。
超低密度リポ蛋白(VLDL)
  • 比重:0.96~1.006
  • 直径:300~800Å
  • 主要蛋白:TG、Cho
  • 主要アポ蛋白:B-100、E、Cs
  • 電気泳動移動位置:Pre β
中間密度リポ蛋白(IDL)
  • 比重:1.006~1.019
  • 直径:250~350Å
  • 主要蛋白:Cho、TG
  • 主要アポ蛋白:B-100
  • 電気泳動移動位置:Midband

※Midband:電気泳動図におけるVLDL(Preβ)とLDL(β)の間の泳動像

低密度リポ蛋白(LDL)
  • 比重:1.019~1.063
  • 直径:180~280Å
  • 主要蛋白:Cho
  • 主要アポ蛋白:B-100
  • 電気泳動移動位置:β
高密度リポ蛋白2(HDL2)
  • 比重:1.63~1.125
  • 直径:85~120Å
  • 主要蛋白:PL、Cho
  • 主要アポ蛋白:A-1、A-2、Cs
  • 電気泳動移動位置:α
高比重密度リポ蛋白3(HDL3)
  • 比重:1.125~1.210
  • 直径:50~85
  • 主要蛋白:PL、Cho
  • 主要アポ蛋白:A-1、A-2、Cs
  • 電気泳動移動位置:α

Fredricsonの高リポ蛋白血症の分類Type1~5

Type1
  • 増加するリポ蛋白:CM
  • 血清脂質値:Cho↑TG↑↑↑
  • 病因:LPL欠損、アポC2欠損
  • 混濁:+
Type2a
  • 増加するリポ蛋白:LDL
  • 血清脂質値:Cho↑TG→
  • 病因:LDL受容体異常
  • 混濁:-
Type2b
  • 増加するリポ蛋白:LDL、VLDL
  • 血清脂質値:Cho↑TG↑
  • 病因:不明
  • 混濁:+
Type3
  • 増加するリポ蛋白:β-VLDL
  • 血清脂質値:Cho↑TG↑
  • 病因:アポE異常
  • 混濁:+
Type4
  • 増加するリポ蛋白:VLDL
  • 血清脂質値:Cho↑TG↑
  • 病因:不明
  • 混濁:+
Type5
  • 増加するリポ蛋白:CM、VLDL
  • 血清脂質値:Cho↑↑TG↑↑↑
  • 病因:LPL欠損ヘテロ
  • 混濁:+

リポ蛋白とアポリポ蛋白

  • 超遠心法で分離される比重の差に基づき、CM、VLDL、LDL、HDLの4種類に分類される
  • アポリポ蛋白A-1とC-1はL-CAT(レシチン-コレステロールアシルトランスフェラーゼ)を活性化させる
  • アポリポ蛋白A-2はL-CATの抑制作用がある
  • アポリポ蛋白C-2はTGの水解酵素である(LPL:リポプロテインリパーゼ)の活性に必須
  • アポリポ蛋白C-3とEはそのLPLの抑制作用がある
特殊リポ蛋白の紹介
  • リポ(a):動脈硬化の独立した危険因子
  • 酸化LDL:構成成分であるCho、脂肪酸、アポB-100が酸化されたもの☞粥状動脈硬化形成の主たるっ原因
  • small dense LDL:参加LDLの材料
  • 糖化リポ蛋白:アポリポ蛋白のA-1、A-2、B、C-1、Eなどが糖化されたもの

※糖化は血中のすべてのたんぱく質で通常的に起こる現象

リポ蛋白の代謝

  • CM(カイロミクロン):小腸で吸収された食事由来(外因性)のTGとChoを含む粒子として合成される。
    リンパ管・胸管を経て血中に入り成熟型となり、脂質成分を抹消組織へ運搬する
  • これらにふくまれるTGは肝臓、脂肪組織、骨格筋、心筋などの毛細血管内皮に存在するLPLによって水解され、生じた脂肪酸とグリセロールは内皮細胞を通して組織細胞内に取り込まれる
  • この時CMから生じたCMレムナントは、肝細胞のアポリポ蛋白E(レムナント)受容体に結合して摂取され、代謝される
  • VLDLから生成したレムナントのIDLは、さらに肝臓性リパーゼの作用によってLDLに転換される
  • LDLは抹消組織のアポリポ蛋白B(LDL)受容体と結合して細胞内に取り込まれることにより、肝臓で合成されたコレステロールやリン脂質を抹消組織に運搬している(コレステロールの転送)
  • HDLは肝や小腸で合成されるほか、CMやVLDL粒子の内部に存在するTGがLPLの作用により分解される過程で表層から遊離したリン脂質およびアポリポ蛋白A-1を含んだ粒子(原子HDK)として合成される

リポ蛋白の分析法

 超遠心法

比重の差によって分離する

HPLC法

粒子サイズの差によって分離する

電気泳動法

荷電状態と粒子サイズの違いによって分離する

☞リポ(a)のように特異なアポリポ蛋白を含むものは免疫学的に測定することも可能である。

リポ蛋白の分析上の変動因子

  • 採血後二時間以内に血清分離をする
  • 速やかに測定できない場合は冷蔵保存
  • 凍結保存はPreβやβリポ蛋白が壊れて変性してしまうのでNG
SAI
SAI
アポリポ蛋白を測定できる施設は限られてるから、保存方法は大切だよ

リポ蛋白とアポ蛋白の基準範囲

アガロースゲルフィルタによるリポ蛋白分画
  • α-リポ蛋白(HDL):26~45%
  • Preβ-リポ蛋白(VLDL):6~22%
  • β-リポ蛋白(LDL):43~58%
アポリポ蛋白
A-1 122~161 mg/dL
A-2 25~35 mg/dL
B 69~105 mg/dL
C-2 1.6~4.2 mg/dL
C-3 5.5~9.5 mg/dL
E 2.7~4.5 mg/dL

変動因子

  • 食事の影響を受ける
    ☞早朝空腹時採血が必須

まとめ

パン太
パン太
アポリポ蛋白って、複雑なんだなぁ
SAI
SAI
そーだねぇ。僕が働いていた検査センターと病院では検査してない項目だったよ。大学病院や大手検査センターではやってるみたいだね。

アポリポ蛋白は、名前も似ていて苦手な方も多いのではないでしょうか。電気泳動図を実際に見て、どの分画に何があてはまるのかを理解していけば、多少は楽になるかもしれません。

国家試験は、問題を絡めて覚えていくようにしてください。