こんにちは!臨床検査技師のさいです。
今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題から、「臨床検査医学総論」の解説まとめをお届けします!
肝硬変や急性腎不全における検査データの読み方から、自己免疫疾患や不整脈の分類、さらには「有病率と的中率の関係」といった公衆衛生・統計分野まで、非常に幅広い臨床知識が問われるやりごたえのある範囲です。
覚えることが多くて大変に感じるかもしれませんが、できるだけ丸暗記に頼らず理解できるように工夫して解説を作成しました。(間違いがあったら教えてください)
僕が受験生の頃、参考書の解説だけではわかりにくいと思った経験があり、そういった悩みにフォーカスを当てて作成するようにしています。
少しでも国試勉強の役に立てられれば幸いです。
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床検査医学総論:午前問題の正誤理由まとめ(問11〜15)
午後 問11:肝硬変の検査所見
【問題】
肝硬変で低値を示すのはどれか。
- 1.アンモニア
- 2.総ビリルビン
- 3.ChE
- 4.γ-グロブリン
- 5.γ-GT
タップして正答と解説を見る
正答:3
【解説】肝臓は巨大な工場!「漏れる」か「作れない」かで考える!
肝硬変は、肝臓が硬くなって本来の働きができなくなった状態です。肝臓を「巨大な化学工場」と考えると、異常値がなぜ出るのか理解できます。
| 病態のメカニズム | 主な検査所見 |
|---|---|
| 工場が壊れて作れない(合成能低下) | アルブミン(s-Alb)、総蛋白(T-P)、コリンエステラーゼ(ChE)、コレステロール、凝固因子が低下します。 |
| ゴミを処理できない(解毒・排泄低下) | アンモニア、総ビリルビン、胆汁酸などが上昇します。 |
| 細胞が壊れて中身が漏れる(逸脱酵素) | AST、ALT、LD、γ-GTなどが上昇します。(AST>ALTになるのが特徴) |
| その他の特徴的な所見 | γ-グロブリンの上昇、血小板や白血球の低下(脾機能亢進による)がみられます。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.アンモニア(誤り)
タンパク質の分解で生じる毒素(ゴミ)です。肝硬変では解毒機能が低下するため、処理しきれずに血中で高値となり、羽ばたき振戦などの「肝性脳症」を引き起こします。 - 2.総ビリルビン(誤り)
胆汁として排泄されるはずのビリルビンが、肝細胞の破壊や機能低下によって血中に滞留するため高値となります。これが黄疸の原因です。 - 3.ChE(正解)
コリンエステラーゼ(ChE)は肝臓のみで合成されるタンパク質(酵素)です。肝硬変で工場の機能が低下すると、作られなくなるため低値を示します。 - 4.γ-グロブリン(誤り)
肝硬変では免疫異常が起こり、γ-グロブリン(抗体)の産生が過剰になるため高値を示します。 - 5.γ-GT(誤り)
胆道系の酵素です。肝細胞や胆管細胞の障害により、血中に漏れ出す(逸脱する)ため高値を示します。
暗記方法・覚え方のコツ
肝硬変のデータは「肝臓で作られるものは下がる」と覚えましょう!
アルブミン、コリンエステラーゼ(ChE)、コレステロール、血液凝固因子はすべて肝臓で作られるので、肝硬変では作れなくなり全部下がります!
さいの補足
現場で肝硬変の患者さんのデータを見る時、ASTやALTなどの「上がっている酵素」も重要ですが、実は「アルブミン、ChE、血小板などの数値がどこまで下がっているか」も非常に重要です。
酵素が高くても工場(肝臓)がまだ働いていれば回復の見込みがありますが、ChEやアルブミンが作れなくなっている状態(非代償期)は、肝臓の寿命が残りわずかであることを意味します。
午後 問12:自己免疫疾患の分類
【問題】
自己免疫疾患でないのはどれか。
- 1.関節リウマチ〈RA〉
- 2.原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉
- 3.Basedow病
- 4.Duchenne型筋ジストロフィ
- 5.1型糖尿病
タップして正答と解説を見る
正答:4
【解説】全身性と臓器特異的に分けて整理しよう!
自己免疫疾患とは、本来は外敵から体を守るはずの免疫システムが、誤って自分の正常な細胞を攻撃してしまう病気です。症状が全身に及ぶ「全身性」と、特定の臓器だけが攻撃される「臓器特異的」の2つに分類されます。
| 分類 | 特徴 | 代表的な疾患 |
|---|---|---|
| 全身性 | 全身の様々な臓器や組織に炎症が起こる。膠原病など。 | 関節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデス(SLE)、シェーグレン症候群など。 |
| 臓器特異的 | 特定の臓器や器官だけが標的となり攻撃を受ける。 | バセドウ病(甲状腺)、1型糖尿病(膵臓)、原発性胆汁性胆管炎(肝・胆管)など。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.関節リウマチ〈RA〉(誤り)
関節の滑膜に免疫細胞が攻撃を仕掛ける、代表的な全身性自己免疫疾患です。 - 2.原発性胆汁性胆管炎〈PBC〉(誤り)
肝臓内の小型胆管が自己の免疫によって破壊される、臓器特異的自己免疫疾患です。抗ミトコンドリア抗体が陽性になります。 - 3.Basedow病(誤り)
甲状腺を刺激する自己抗体(TRAb)が作られ、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される臓器特異的自己免疫疾患です。 - 4.Duchenne型筋ジストロフィ(正解)
X染色体劣性遺伝による「遺伝性疾患」です。ジストロフィンというタンパク質が作れないために筋力が低下する病気であり、自己免疫疾患ではありません。 - 5.1型糖尿病(誤り)
膵臓のランゲルハンス島β細胞が自己免疫によって破壊され、インスリンが枯渇する臓器特異的自己免疫疾患です。
暗記方法・覚え方のコツ
自己免疫疾患は種類が多すぎるため、まずは「免疫以外の有名な病気」を確実に弾けるようにするのが国試の鉄則です!
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(遺伝性)や、2型糖尿病(生活習慣病)、変形性関節症(加齢・物理的摩耗)などは、自己免疫疾患の引っかけ選択肢として定番なので注意しましょう。
さいの補足
自己免疫疾患の診断に欠かせないのが「自己抗体」の検査です。
患者さんの血液中に、自分の組織を攻撃してしまう抗体(自己抗体)が存在しないかを免疫血清検査で測定します。
例えば、関節リウマチなら「抗CCP抗体」や「リウマトイド因子(RF)」、原発性胆汁性胆管炎(PBC)なら「抗ミトコンドリア抗体」、バセドウ病なら「TRAb」といったように、疾患ごとに特異的なマーカーが決まっています。
国試でも「この疾患と自己抗体の組み合わせはどれか?」という問題がよく出題されるので、疾患名と検査項目はセットでノートにまとめておくことを強くオススメします!
午後 問13:検査の指標と有病率
【問題】
対象集団の有病率の影響を受けるのはどれか。
- 1.感度
- 2.特異度
- 3.偽陽性率
- 4.陽性尤度比
- 5.陽性適(的)中率
タップして正答と解説を見る
正答:5
【解説】「検査自体の性能」か「集団による確率」かを見極めよう!
検査の指標には、検査キットそのものが持つ「揺るがない性能(固有の能力)」と、検査を受ける集団に病気の人がどれくらいいるか(有病率=事前確率)によって「変動する結果の信頼性(事後確率)」の2種類があります。
| 指標のグループ | 該当する項目 | 有病率の影響 |
|---|---|---|
| 検査固有の性能 | 感度、特異度、偽陽性率、偽陰性率、尤度比 | 受けない(誰を検査しても検査自体の能力は変わらない) |
| 事後確率(結果の信頼性) | 陽性的中率(PPV)、陰性的中率(NPV) | 受ける(珍しい病気の集団か、よくある病気の集団かで確率が変わる) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.感度(誤り)
「病気の人」を正しく陽性と判定する割合です。検査キットの性能なので有病率の影響は受けません。 - 2.特異度(誤り)
「病気でない人」を正しく陰性と判定する割合です。これも有病率の影響は受けません。 - 3.偽陽性率(誤り)
「病気でない人」を誤って陽性としてしまう割合(1 – 特異度)です。有病率の影響は受けません。 - 4.陽性尤度比(誤り)
「感度 ÷ (1 – 特異度)」で計算される、検査の有用性を示す指標です。感度と特異度から計算されるため、有病率の影響は受けません。 - 5.陽性適(的)中率(正解)
「検査で陽性となった人の中で、本当に病気である人の割合(事後確率)」です。対象集団の有病率(事前確率)によって大きく左右されます。
暗記方法・覚え方のコツ
有病率の影響を受けるのは「〜的中率(事後確率)」とつくものだけと暗記してしまいましょう!
検査の「度(感度・特異度)」は、集団が変わっても揺るがない検査の固有の性能です。
さいの補足
「事後確率(的中率)は有病率に左右される」とはどういうことか、1000人の集団に「感度90%・特異度90%」の同じ検査をした場合で比較してみましょう。
① 有病率が10%の集団の場合
病気の人100人(真陽性90人)、健康な人900人(偽陽性90人)になります。陽性と言われた180人のうち、本当に病気なのは90人なので、陽性的中率は【50%】です。
② 有病率が50%の集団の場合
病気の人500人(真陽性450人)、健康な人500人(偽陽性50人)になります。陽性と言われた500人のうち、本当に病気なのは450人なので、陽性的中率は【90%】に跳ね上がります!
このように、検査を受ける集団に病気の人がどれくらいいるか(事前確率=有病率)によって、陽性的中率(事後確率)は50%にも90%にも変動してしまうというカラクリを理解しておきましょう!
午後 問14:不整脈の分類(徐脈性不整脈)
【問題】
徐脈性不整脈に分類されるのはどれか。
- 1.心室細動
- 2.心房粗動
- 3.心室期外収縮
- 4.洞不全症候群
- 5.発作性上室頻拍
タップして正答と解説を見る
正答:4
【解説】徐脈性不整脈は「2大巨頭」を確実に暗記!
不整脈には、脈が速くなる「頻脈性」と、脈が遅くなる「徐脈性」があります。頻脈性の不整脈は種類がとても多いため、国試対策としては数が少ない「徐脈性不整脈の代表的な2疾患」を優先して覚えてしまうのが最も効率的です。
| 分類 | 代表的な疾患 | 原因と特徴 |
|---|---|---|
| 徐脈性不整脈 | 洞不全症候群(SSS) | 電気の発生源である「洞結節」の働きが低下し、電気信号がうまく作れなくなる状態です。 |
| 徐脈性不整脈 | 房室ブロック | 電気の伝導路である「房室結節」などで信号が途切れたり遅れたりして、心室へ伝わらない状態です。 |
| 頻脈性不整脈 | 期外収縮、心房細動、心室細動など | 心臓の異常な場所から余分な電気が発生し、脈が飛んだり速くなったりする状態です。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.心室細動(誤り)
心室が痙攣するように細かく震え、血液を送り出せなくなる致死的な「頻脈性」不整脈です。 - 2.心房粗動(誤り)
心房内で電気が規則的に空回りし、心房が1分間に約300回もの速さで収縮する「頻脈性(上室性)」不整脈です。ノコギリの歯のようなF波が特徴です。 - 3.心室期外収縮(誤り)
本来のタイミングよりも早く、心室から異常な電気が発生する「頻脈性」不整脈の一種です。 - 4.洞不全症候群(正解)
心臓のペースメーカーである洞結節がサボってしまい、脈が極端に遅くなったり止まったりする「徐脈性」不整脈です。 - 5.発作性上室頻拍(誤り)
心房や房室結節の異常な回路を電気がぐるぐる回り、突然脈が速くなる「頻脈性」不整脈です。
暗記方法・覚え方のコツ
徐脈性不整脈は大きく分けると「作れない(洞不全)」か「伝わらない(房室ブロック)」の2パターンしかありません!この2つ以外はすべて「頻脈性(または期外収縮)」と判断してしまってOKです。
さいの補足
患者さんが急に意識を失って倒れてしまう(失神する)現象を「アダムス・ストークス症候群」と呼びます。これは数秒間、心臓が止まって脳に血液が送られなくなるために起こります。
この危険な失神を引き起こす一番の原因が、今回正解となった「洞不全症候群」や「重症の房室ブロック(第3度房室ブロックなど)」といった徐脈性不整脈です。
飲み薬ではなかなか治せないため、多くの場合は人工的に電気信号を送る「ペースメーカー」を胸に埋め込む手術が必要になります。
重症の徐脈を確認した時は、医師に報告しています。
午後 問15:副甲状腺機能低下症の症状
【問題】
副甲状腺機能低下症で認められるのはどれか。
- 1.多尿
- 2.抑うつ
- 3.テタニー
- 4.尿路結石
- 5.病的骨折
タップして正答と解説を見る
正答:3
【解説】カルシウムが「上がる」か「下がる」かで症状は真逆になる!
副甲状腺から分泌される「副甲状腺ホルモン(PTH)」は、骨を溶かしたり腎臓で再吸収したりして、血液中のカルシウム濃度を「上げる」働きを持っています。そのため、このホルモンが出なくなる「低下症」と、出すぎる「亢進症」では、真逆の症状が現れます。
| 疾患名 | 検査データ | 主な症状 |
|---|---|---|
| 副甲状腺機能低下症 | PTH低下 低カルシウム血症 高リン血症 |
テタニー(筋肉のけいれん)、手足や口の周りのしびれ、白内障など。 |
| 副甲状腺機能亢進症 | PTH上昇 高カルシウム血症 低リン血症 |
尿路結石、病的骨折、消化性潰瘍、精神症状(抑うつ)、多尿など。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.多尿(誤り)
副甲状腺機能亢進症(高カルシウム血症)の症状です。カルシウムが高すぎると腎臓の濃縮力が低下し、多尿になります。 - 2.抑うつ(誤り)
副甲状腺機能亢進症(高カルシウム血症)の症状です。高カルシウムは中枢神経に影響を与え、抑うつや無気力などを引き起こします。 - 3.テタニー(正解)
副甲状腺機能低下症による「低カルシウム血症」の代表的な症状です。カルシウムが不足すると神経や筋肉が過敏になり、手足がピリピリとしびれたり、勝手に筋肉がこわばって痙攣(テタニー)を起こします。 - 4.尿路結石(誤り)
副甲状腺機能亢進症の症状です。血液中に溢れた大量のカルシウムが尿に排泄される過程で、石となって詰まります。 - 5.病的骨折(誤り)
副甲状腺機能亢進症の症状です。血中のカルシウムを上げるために骨が異常に溶かされ、スカスカになってちょっとした衝撃で骨折してしまいます。
暗記方法・覚え方のコツ
この範囲は、副甲状腺機能亢進症の4大症状である「石・骨・胃・精神(いし・ほね・い・せいしん)」の語呂合わせで覚えてしまうのが楽です!
・石 = 尿路結石
・骨 = 病的骨折
・胃 = 消化性潰瘍(胃痛)
・精神 = 抑うつ
選択肢にこれらの「石骨胃精神」以外の症状(テタニーなど)が来たら、低下症だと見破れます!
さいの補足
現場で副甲状腺機能低下症に遭遇する一番多いケースは、実は遺伝などの病気ではなく「甲状腺がんの手術の後(術後性)」です。
(自己免疫性もあります)
副甲状腺という臓器は、名前の通り「甲状腺の裏側(四隅)」に米粒のような大きさでくっついています。そのため、甲状腺がんの手術で甲状腺を全摘出する際、副甲状腺も一緒に切り取られてしまったり、傷ついて機能が落ちてしまうことがよくあります。
甲状腺の手術後に、患者さんが「手足の先がピリピリとしびれるんです」と訴えてきたら、「あ!副甲状腺ホルモンが下がって低カルシウム血症(テタニー)を起こしている!」と勘づければベターです👍
第72回 臨床検査医学総論:午後問題の正誤理由まとめ(問11〜15)
午後 問11:発がんウイルスと血液疾患
【問題】
ウイルス感染が発症原因の血液疾患はどれか。
- 1.急性骨髄性白血病
- 2.骨髄異形成症候群
- 3.成人T細胞性白血病/リンパ腫〈ATLL〉
- 4.多発性骨髄腫
- 5.慢性リンパ性白血病
タップして正答と解説を見る
正答:3
【解説】ウイルスと癌の組み合わせをマスターしよう!
一部のウイルスは、ヒトの細胞に感染したあと長期間潜伏し、最終的に細胞を腫瘍化(ガン化)させることがあります。国試では「原因ウイルス」と「発症する癌・疾患」の組み合わせが必ず問われるため、以下の代表例をしっかり暗記しておきましょう。
| 原因となるウイルス | 引き起こされる主な癌・疾患 |
|---|---|
| ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1) | 成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL) |
| EBウイルス(エプスタイン・バー ウイルス) | 悪性リンパ腫(バーキットリンパ腫など)、上咽頭癌、伝染性単核球症 |
| 肝炎ウイルス(HBV、HCV) | 肝細胞癌、肝硬変 |
| ヒトパピローマウイルス(HPV) | 子宮頸癌、性器肛門周囲癌 |
| カポジ肉腫ヘルペスウイルス(HHV-8) | カポジ肉腫 |
| ヒト免疫不全ウイルス(HIV) | 後天性免疫不全症候群(AIDS) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.急性骨髄性白血病(誤り)
造血幹細胞の遺伝子異常や染色体異常などが原因で発症しますが、特定のウイルス感染が直接の原因ではありません。 - 2.骨髄異形成症候群(誤り)
造血幹細胞の異常により、正常な血液細胞が作れなくなる(無効造血)疾患です。ウイルス感染は原因ではありません。 - 3.成人T細胞性白血病/リンパ腫〈ATLL〉(正解)
HTLV-1(ヒトT細胞白血病ウイルス)の感染が原因で、成熟T細胞が腫瘍化する血液疾患です。 - 4.多発性骨髄腫(誤り)
抗体を産生するB細胞の最終分化段階である「形質細胞」が腫瘍化する疾患です。ウイルス感染は原因ではありません。 - 5.慢性リンパ性白血病(誤り)
成熟した小型のBリンパ球が腫瘍化して増殖する疾患です。これも特定のウイルスが原因で発症するわけではありません。
暗記方法・覚え方のコツ
ウイルスと癌の組み合わせで一番狙われるのは「HTLV-1=ATLL」と「EBウイルス=悪性リンパ腫」の2つの血液腫瘍です!特にEBウイルスは伝染性単核球症(異型リンパ球が出現する疾患)の原因としても国試の超定番なので覚えておきましょう。
さいの補足
ATLLの原因となるHTLV-1は、日本国内、特に九州や沖縄などの南西日本に感染者が多いことで知られています。感染ルートは主に「母乳による母子感染」です。
ウイルスに感染してもすぐに発症するわけではなく、数十年という長い潜伏期間を経て、一部の人(約5%程度)が50代〜60代になってからATLLを発症します。現在では、母子感染を防ぐために妊婦健診で必ずHTLV-1抗体検査を実施し、もしお母さんが陽性だった場合は母乳を控え、人工栄養(粉ミルク)に切り替えるなどの対策が取られており、新たな感染者は激減しています。
午後 問12:造血器腫瘍の染色体異常
【問題】
慢性骨髄性白血病にみられる染色体異常はどれか。
- 1.t(8;14)(q24;q32)
- 2.t(8;21)(q22;q22)
- 3.t(9;22)(q34;q11.2)
- 4.t(14;18)(q32;q21)
- 5.t(15;17)(q22;q12)
タップして正答と解説を見る
正答:3
【解説】国試でよく出る染色体・遺伝子異常まとめ!
白血病や悪性リンパ腫などの造血器腫瘍では、特定の染色体の一部がちぎれて別の染色体とくっつく「相互転座(t)」などの異常が高頻度で見られます。疾患名、染色体の番号、関与する遺伝子の3点セットで確実に暗記しておきましょう。
| 疾患名 | 染色体異常 | 関与する主な遺伝子 |
|---|---|---|
| 慢性骨髄性白血病(CML) | t(9;22)=フィラデルフィア(Ph)染色体 | BCR/ABL |
| 急性前骨髄球性白血病(APL, M3) | t(15;17) | PML/RARA |
| 分化型急性骨髄性白血病(M2) | t(8;21) | AML1/ETO など |
| Burkittリンパ腫 | t(8;14) | MYC/IGH |
| 濾胞性リンパ腫 | t(14;18) | IGH/BCL2 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.t(8;14)(誤り)
Burkitt(バーキット)リンパ腫にみられる染色体異常です。 - 2.t(8;21)(誤り)
分化型急性骨髄性白血病(FAB分類のM2)にみられる染色体異常です。 - 3.t(9;22)(正解)
慢性骨髄性白血病(CML)にみられる染色体異常です。9番と22番染色体が転座してできた異常な22番染色体を「フィラデルフィア(Ph)染色体」と呼びます。 - 4.t(14;18)(誤り)
濾胞性リンパ腫にみられる染色体異常です。 - 5.t(15;17)(誤り)
急性前骨髄球性白血病(APL、FAB分類のM3)にみられる染色体異常です。
暗記方法・覚え方のコツ
染色体の番号は語呂合わせで一気に片付けましょう!
・CML t(9;22) = 靴(9、22)を履いてフィラデルフィアへ
・APL t(15;17) = 行こう、いいな(15、17)APL
・M2 t(8;21) = ハニー(8、21)はM2
・Burkitt t(8;14) = バーで廃止(8、14)
・濾胞性 t(14;18) = いーよ、いや(14、18)と濾胞性
さいの補足
CMLの検査において、9番と22番の染色体がちぎれてくっつく(転座する)と、「BCR/ABL」という異常な融合遺伝子が誕生してしまいます。この遺伝子が「白血球を無限に増やせ!」という間違った命令(チロシンキナーゼの異常活性)を出し続けるため、白血病が発症します。
しかし現在では、この異常な命令だけをピンポイントで止める「分子標的薬(イマチニブなど)」が開発され、CMLの治療効果は劇的に向上してます。
午後 問13:意識障害と脳虚血
【問題】
一過性に脳全体が虚血状態になって起こる意識障害はどれか。
- 1.傾眠
- 2.昏睡
- 3.昏迷
- 4.失神
- 5.せん妄
タップして正答と解説を見る
正答:4
【解説】「脳全体」か「脳の一部(局所)」かの違いが最大のポイント!
脳に血液がいかなくなる(虚血)と様々な症状が出ますが、国試ではそれが「脳全体」で起きたのか、「脳の一部」で起きたのかを区別することが非常に重要です。
| 病態 | 虚血の範囲 | 主な症状・特徴 |
|---|---|---|
| 失神 | 脳全体(一過性) | 一時的にスッと意識を失って倒れるが、血圧や血流が戻ればすぐに自然回復する。 |
| TIA(一過性脳虚血発作) | 脳の一部・局所(一時的) | 意識は保たれることが多いが、片側の手足の麻痺、構音障害、片目が見えなくなる(一過性黒内障)などが起きる。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.傾眠(誤り)
ウトウトしているが、声をかけたり肩を叩いたりする軽い刺激で目を覚ます状態です。 - 2.昏睡(誤り)
意識障害の中で最も重度な状態です。痛みなどの強い刺激を与えても全く目を覚まさず、反応しません。 - 3.昏迷(誤り)
強い痛み刺激を与えた時だけ、かろうじて顔をしかめるなどの反応を示す状態です。 - 4.失神(正解)
一過性に脳全体が虚血状態となり、一時的に意識を消失する発作のことです。横になって脳に血流が戻ると自然に回復します。 - 5.せん妄(誤り)
意識の混濁に加えて、見当識障害(時間や場所がわからない)、幻覚、錯覚などを伴う精神状態のことです。
暗記方法・覚え方のコツ
意識障害のレベルはJCS(ジャパン・コーマ・スケール)の数字で整理すると覚えやすいです!
・1桁(覚醒している)= せん妄など
・10桁(刺激で覚醒する)= 傾眠など
・100桁(刺激しても覚醒しない)= 昏迷(痛みで反応)、昏睡(全く反応なし)
さいの補足
TIA(一過性脳虚血発作)の定義は近年アップデートされているため注意が必要です。以前は「24時間以内に症状が消えるもの」とされていましたが、現在では時間の縛りはなく「一時的な機能障害で、画像診断(MRIなど)で急性梗塞が確認されないもの」と定義されています。
TIAの原因は頸動脈のプラークがはがれた塞栓や、心房細動による血栓など、本物の脳梗塞と全く同じです。たまたま血栓が小さくてすぐ溶けたために症状が数分〜1時間で消えただけで、病態としては「脳梗塞の崖っぷち」に立っている状態です。
実際、TIAを起こした人の約半数が「2日以内」に本格的な脳梗塞を発症するという恐ろしいデータがあるため、現場ではTIAを疑った瞬間に「可及的速やかに」アスピリンなどの血栓を防ぐ薬(予防的治療)を開始します。
午後 問14:呼気延長と換気障害
【問題】
呼気延長を呈するのはどれか。
- 1.胸膜炎
- 2.間質性肺炎
- 3.気管支喘息
- 4.細菌性肺炎
- 5.過換気症候群
タップして正答と解説を見る
正答:3
【解説】「閉塞性」と「拘束性」の違いをマスターしよう!
呼吸器疾患は大きく分けて、空気の通り道(気道)が狭くなる「閉塞性換気障害」と、肺自体が硬くなって膨らまなくなる「拘束性換気障害」の2つに分類されます。呼気(息を吐くこと)に時間がかかるのは閉塞性換気障害の特徴です。
| 分類 | 主な病態 | 呼気の特徴 | 代表的な疾患 |
|---|---|---|---|
| 閉塞性換気障害 | 気道が狭くなり、空気をスムーズに排出できない | 呼気延長(吐く時間が長くなる) | 気管支喘息、COPD(肺気腫、慢性気管支炎)など |
| 拘束性換気障害 | 肺が硬く線維化したり、胸郭が広がらず膨らまない | 呼気短縮(呼吸が浅く速くなる) | 間質性肺炎、肺線維症、胸膜炎、胸郭変形など |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.胸膜炎(誤り)
胸膜に炎症が起こることで胸痛が生じ、深く息が吸えなくなるため「拘束性換気障害」に似た浅速呼吸(呼気短縮)を呈します。 - 2.間質性肺炎(誤り)
肺の間質が線維化して硬くなり、肺が膨らみにくくなる「拘束性換気障害」の代表疾患です。呼吸全体が短く浅くなります。 - 3.気管支喘息(正解)
気管支が収縮して空気の通り道が狭くなる「閉塞性換気障害」です。狭いストローで息を吐くのと同じ状態になり、「呼気延長」を呈します。 - 4.細菌性肺炎(誤り)
肺胞に炎症が起こる疾患ですが、気道狭窄がメインの病態ではないため、典型的な呼気延長は呈しません。 - 5.過換気症候群(誤り)
精神的な不安などが原因で、呼吸が浅く速くなる(頻呼吸)状態です。呼気はむしろ短縮します。
暗記方法・覚え方のコツ
換気障害は「閉塞=吐けない」「拘束=吸えない」とシンプルに暗記しましょう!ストローを潰して息を吐くのが「閉塞(喘息など)」、カチカチの風船を膨らませようとするのが「拘束(間質性肺炎など)」です。
さいの補足
呼吸機能検査(スパイロメトリー)は、この「閉塞性」と「拘束性」をグラフで可視化する検査です。気管支喘息やCOPDなどの「閉塞性換気障害」では、息を思い切り吐き出す力が弱まるため「1秒率(FEV1.0%)」が70%未満に低下します。一方、間質性肺炎などの「拘束性換気障害」では、肺活量そのものが減ってしまうため「%肺活量(%VC)」が80%未満に低下します。
病態のイメージと検査データ(1秒率と肺活量)をリンクさせて覚えると良いです。
ちなみに僕はFEV1.0%が73%でCOPD手前です😭
午後 問15:急性腎不全の分類
【問題】
腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。
- 1.敗血症
- 2.尿管結石
- 3.前立腺肥大
- 4.急速進行性糸球体腎炎
- 5.全身性エリテマトーデス〈SLE〉
タップして正答と解説を見る
正答:1
【解説】腎臓を「浄水器」に例えて3つに分類しよう!
急性腎不全は、原因が腎臓の「手前」にあるか、「腎臓自体」にあるか、「腎臓の後ろ」にあるかで3つに大別されます。血液をろ過する浄水器(腎臓)のトラブルとしてイメージすると簡単に分類できます。
| 分類 | 浄水器のイメージ(病態) | 主な原因疾患 |
|---|---|---|
| 腎前性 | 水道の水圧が弱くて水が来ない状態 (全身の血圧・腎血流の低下) |
脱水症、ショック、熱傷、大出血、うっ血性心不全、敗血症など |
| 腎性 | 浄水器のフィルター自体が壊れた状態 (腎実質・糸球体・尿細管の障害) |
急性糸球体腎炎、急速進行性糸球体腎炎、SLE(ループス腎炎)、薬剤性など |
| 腎後性 | 浄水器の下の排水溝が詰まった状態 (尿路の閉塞) |
尿管結石、前立腺肥大症、骨盤内腫瘍など |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.敗血症(正解)
全身に強い炎症が起きることで血管が拡張し、血圧がストンと落ちる「敗血症性ショック」を引き起こします。これにより腎臓への血流が低下するため「腎前性」となります。 - 2.尿管結石(誤り)
腎臓より下部にある尿の通り道(尿路)が石で塞がれるため「腎後性」となります。 - 3.前立腺肥大(誤り)
肥大した前立腺が尿道を圧迫して塞いでしまうため「腎後性」となります。 - 4.急速進行性糸球体腎炎(誤り)
腎臓のろ過装置である「糸球体」そのものが急激に破壊される疾患であるため「腎性」となります。 - 5.全身性エリテマトーデス〈SLE〉(誤り)
自己抗体が腎臓の糸球体に沈着して炎症を起こすループス腎炎を引き起こすため「腎性」となります。
暗記方法・覚え方のコツ
疾患名を見た瞬間に「血圧が下がる系=腎前性」、「腎臓そのものの病気=腎性」、「尿の通り道の物理的ブロック=腎後性」と直感で振り分けましょう👍
さいの補足
急性腎不全(AKI)の初期対応では、この分類が患者さんの生死を分けます。
例えば「腎前性(脱水など)」であれば、点滴で水分を入れて血圧を上げてあげれば腎機能はすぐに回復します。しかし、もし間違えて「腎後性(前立腺肥大や結石)」の患者さんに大量の点滴をしてしまうと、出口が詰まっているのに水だけがどんどん足されることになり、腎臓がパンパンに腫れ上がって(水腎症)、取り返しのつかないダメージを受けてしまいます。
なので、エコー検査などで「出口が詰まっていないか(腎後性ではないか)」をまず確認することが、大切です!
お疲れ様でした!臨床検査医学総論の復習はバッチリですか?
第72回の臨床検査医学総論、お疲れ様でした!肝硬変のデータから自己免疫疾患、心電図、さらには疫学統計まで、本当に範囲が広くて覚えるのが大変な科目です。
でも、ここをしっかり理解しておけば、範囲が広いぶん他の科目の点数アップや現場に出た時の「基礎力UP」に必ず繋がります👍
一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「病態イメージ」などを思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください📓
さいのSNSでも国試対策を発信中!
ブログでは書ききれないちょっとした暗記のコツや、スキマ時間にサクッと見れる解説を各SNSで毎日アップしています。ぜひフォローして、通学中や寝る前の復習に活用してください!
- ■ X(旧Twitter)
パッと見て視覚的に覚えられる「知識ベース」の図解ツイートを発信中! - ■ TikTok
文字を読むのがしんどい時はコレ!文字が大きくスクショして見返すのにも最適な動画です。 - ■ Instagram
保存推奨!見返しやすいまとめ画像を投稿しています。
「この問題がどうしても分からない!」という質問があれば、SNSのコメント欄で気軽に教えてくださいね。
それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!
