こんにちは!現役臨床検査技師のさいです。
「参考書の解説だけではわかりにくい!」 そんな国試受験生の悩みを解決するべく、今回は「第72回臨床検査技師国家試験」の【臨床検査総論】(午前・午後問題)を徹底解説します!
僕自身、学生時代に過去問を解いていたとき、1問の解説がたった数行で済まされていて「こんなんじゃ理由が分からん!」とよく頭を抱えていました。この記事は、そんな当時の僕と同じように悩んでいる皆さんのために作りました。
検査の基本概念からデータ異常のメカニズムまで、総論は他科目の点数アップにも直結する要の分野です。すべての選択肢に対して「なぜ違うのか」をしっかり解剖し、丸暗記に頼らない理解ができるよう工夫しています。
点数アップに直結する暗記のコツや、現場で役立つ実践的な視点も交えているので、この記事をブックマークして総論を確実な得点源にしちゃいましょう!笑
それでは、さっそく解説スタートです👍
※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。
第72回 臨床検査総論:午前問題の正誤理由まとめ(問1〜10)
午前 問1:1型糖尿病と2型糖尿病の分類
【問題】
糖尿病の1型と2型の分類に有用な検査項目はどれか。2つ選べ。
- 1.血 糖
- 2.HbA1c
- 3.インスリン
- 4.抗GAD抗体
- 5.グリコアルブミン
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正答:3、4
【解説】工場が壊れたか、サボっているだけか
糖尿病には大きく分けて1型と2型がありますが、これらは「なぜ血糖値が下がらないのか」という根本的な原因(病態)が全く違います。この原因の違いをあぶり出す検査が、分類の決め手になります。
| 比較項目 | 1型糖尿病 | 2型糖尿病 |
|---|---|---|
| 原因のイメージ | インスリン工場が破壊された (絶対的不足) |
工場の働きが悪い・効きが悪い (相対的不足・インスリン抵抗性) |
| インスリン分泌 | ほぼゼロ(枯渇) | 出ている(初期はむしろ高いことも) |
| 自己抗体の有無 | 陽性(免疫の暴走) | 陰性 |
| 体型・発症年齢 | やせ型・若年者に多い | 肥満型・中高年に多い |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.血 糖(誤り)
1型でも2型でも血糖値は高くなります。糖尿病かどうかの診断には使えますが、「どっちの型か」の分類には使えません。 - 2.HbA1c(誤り)
過去1〜2ヶ月間の血糖値の平均を見る項目です。これも両方の型で高くなるため、分類の役には立ちません。 - 3.インスリン(正解)
膵臓からのインスリン分泌能を見ます。1型は膵臓のβ細胞が壊れているため「ほぼゼロ」になりますが、2型は「出ている(なんなら初期は頑張って出しすぎて高値になる)」ため、分類の超重要な指標になります。 - 4.抗GAD抗体(正解)
膵臓のβ細胞を自分で攻撃してしまう「自己抗体」の一つです。1型糖尿病(自己免疫性)の患者さんで陽性になるため、分類の決定打になります。 - 5.グリコアルブミン(誤り)
過去約2週間の血糖状態を見る項目です。HbA1cの短いバージョンみたいなものなので、分類には使えません。透析患者の血糖指標によく使われます。
暗記方法・覚え方のコツ
1型糖尿病のキーワードは「自己免疫」です。
免疫が暴走して自分のインスリン工場を破壊してしまった結果が1型だとイメージしてください。
・工場が壊れた証拠 = 抗GAD抗体(+)など
・工場が動いていない証拠 = インスリン(ゼロ)
さいの補足
臨床の現場では、インスリン分泌能を評価するときにインスリンそのものより「Cペプチド(CPR)」という項目を測ることが多いです。これは、プロインスリンが切断されてインスリンになる時に発生する「カス」のようなものです。インスリンは肝臓ですぐに分解されてしまいますが、Cペプチドは分解されにくく血中に長く留まるため、工場(膵臓)の本来の生産能力をより正確に知ることができます。この「Cペプチド」も分類問題の常連なので、セットで頭に入れておきましょう!
午前 問2:検査項目の相関関係
【問題】
検査項目で負の相関となる組合せはどれか。
- 1.AST ALT
- 2.ChE アルブミン
- 3.ナトリウム クロール
- 4.クレアチニン 尿素窒素
- 5.トリグリセライド HDL-コレステロール
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正答:5
【解説】シーソーのように動く「負の相関」を探せ!
相関関係とは、2つのデータがどう連動して動くかを表す言葉です。片方が上がったときに、もう片方も一緒に上がる「仲良し」な関係を正の相関、片方が上がるともう片方は下がる「シーソー」のような関係を負の相関と呼びます。
| 項目A | 項目B | 臨床的な繋がり(なぜ連動するのか) | 相関関係 |
|---|---|---|---|
| AST | ALT | どちらも肝細胞の中にある酵素。肝細胞が壊れると両方とも血液中に漏れ出して高値になります。 | 正の相関 |
| ChE | アルブミン | どちらも肝臓で作られるタンパク質。肝硬変などで肝臓の機能が落ちると、両方とも作れなくなって低値になります。 | 正の相関 |
| ナトリウム | クロール | 血液中の主要な電解質。電気的なバランスを保つため(NaClとして)、基本的にセットで増減します。 | 正の相関 |
| クレアチニン | 尿素窒素 | どちらも腎臓で濾過される老廃物。腎機能が落ちると尿として捨てられなくなり、両方とも血液中に溜まって高値になります。 | 正の相関 |
| トリグリセライド | HDL-コレステロール | 脂質代謝異常(メタボなど)の状態では、中性脂肪(TG)が増え、善玉コレステロール(HDL-C)が減るというメカニズム(CETPなどの酵素の働き)が強く働きます。 | 負の相関 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.AST ALT(誤り)
肝機能障害の指標です。肝臓がダメージを受けると仲良く一緒に上がるので「正の相関」です。 - 2.ChE アルブミン(誤り)
肝臓の合成能力の指標です。工場である肝臓がへばると一緒に下がるので「正の相関」です。 - 3.ナトリウム クロール(誤り)
食塩(NaCl)の成分ですね。体内の水分バランスが変わると一緒に動くので「正の相関」です。 - 4.クレアチニン 尿素窒素(誤り)
腎機能障害の指標です。ゴミを捨てるフィルターが詰まると血液中に仲良く溜まるので「正の相関」です。 - 5.トリグリセライド HDL-コレステロール(正解)
トリグリセライド(中性脂肪)が増えると、体内の酵素の働きなどが変わってHDL(善玉)が減らされてしまうというシーソーの関係にあります。したがって「負の相関」となります。
暗記方法・覚え方のコツ
トリグリセライド(悪玉の仲間)とHDL(善玉)は永遠のライバル関係です。お腹周りがぽっこり出たメタボリックシンドロームの患者さんを思い浮かべてみてください。体の中に悪い脂肪(TG)がたっぷりあって、健康を守ってくれる良い脂肪(HDL)が少ない…というイメージを持つと、シーソーの関係(負の相関)が理解しやすいです👍
さいの補足
実際の健診や外来のデータを見るとき、僕らは一つの項目だけを単独で見ることはありません。TGがドカンと高い異常値(例えば500 mg/dLなど)を見つけたら、反射的に「じゃあHDLはちゃんと下がっているかな?」と目線を動かします。(某センターでは、高TGの場合は希釈して検査する項目もある)
もし「TGが異常に高いのに、HDLも異常に高い」なんていうちぐはぐなデータが出てきたら、食後すぐの採血だったのかな?とか、乳び(血液の濁り)による分析機のエラーかな?と疑うきっかけになります。
午前 問3:尿沈渣画像(円柱の鑑別)
【問題】
尿沈渣の無染色標本(別冊No. 1A)及びSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。この構造物はどれか。
- 1.硝子円柱
- 2.顆粒円柱
- 3.上皮円柱
- 4.赤血球円柱
- 5.ろう様円柱
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正答:5
【解説】厚い基質と深い「切れ込み」が意味するもの
画像A(無染色)を見ると、基質が厚く辺縁が明瞭で、側縁に深い「切れ込み」があるのが最大の特徴です。画像B(Sternheimer染色:S染色)では、赤紫〜青紫色調に濃染しています。これらは「ろう様円柱」の典型的な形態学的特徴および染色性です。
| 円柱の種類 | 形態学的特徴 | S染色の色調 |
|---|---|---|
| 硝子円柱 | 基本構造は均質無構造ですが、内部に「しわ状」や「切れ込み」をもつ場合もあります。無染色では灰白色調です。 | 淡青色調〜濃青色調。 |
| ろう様円柱 | 基質が厚く辺縁が明瞭で、切れ込み、屈曲状などを呈します。無染色では灰色調〜黄色調です。 | 淡赤紫色調〜濃赤紫色調、または濃青紫色調。 |
| 顆粒円柱 | 封入された有形成分(主に上皮細胞)が変性し、粗〜微細な顆粒状を呈します。 | 淡赤紫色調〜濃赤紫色調、または濃青紫色調。 |
| 赤血球円柱 | 基質内に赤血球を3個以上含みます。 | 脱ヘモグロビン状の赤血球は赤紫色調に染まります。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.硝子円柱(誤り)
硝子円柱でも「切れ込み」が見られることはありますが、S染色では淡青色調〜濃青色調に染まるのが特徴です。画像の赤紫色に濃染している厚い基質とは一致しません。 - 2.顆粒円柱(誤り)
内部に変性した顆粒状の成分が充満しているのが特徴です。画像は均質であり顆粒は見られません。 - 3.上皮円柱(誤り)
内部に尿細管上皮細胞が3個以上封入されている円柱です。細胞成分が確認できないため誤りです。 - 4.赤血球円柱(誤り)
内部に3個以上の赤血球を含む円柱です。画像には赤血球は確認できません。 - 5.ろう様円柱(正解)
厚い基質、明瞭な辺縁、切れ込み、そしてS染色での赤紫色の濃染と、すべての特徴が合致します。ヒントとして見ていいかは定かではないですが、背景に赤血球も見られ、腎障害が疑われます。
暗記方法・覚え方のコツ
ろう様円柱の特徴である「切れ込み」は、尿細管腔での長時間停滞による濃縮を表しています。つまり、尿細管が長いあいだ詰まってしまい、ネフロンに大ダメージを与えていたという証拠です。だからこそ、ネフローゼ症候群や腎不全などの「重篤な腎疾患」で認められるとセットで覚えておきましょう!
さいの補足
尿沈渣の検査中、無染色標本では硝子円柱を見落とさないように注意が必要です。Tamm-Horsfallムコタンパクの濃度によっては基質の厚みが薄くなり、無染色では見落としやすいため、できるかぎりS染色標本で確認することが推奨されています。現場でも、染色液を1滴落とすだけで見え方が劇的に変わり、自信を持って鑑別できるようになります!
午前 問4:原虫の染色法
【問題】
原虫に用いられない染色法はどれか。
- 1.アクリジンオレンジ染色
- 2.抗酸染色
- 3.Giemsa染色
- 4.Gram染色
- 5.Kohn染色
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正答:4
【解説】対象が「細菌」か「原虫」かを見極める!
染色法を選ぶときは、「何を見たいのか(相手の構造)」を考えるのが一番の近道です。原虫は私たち人間と同じ「真核生物」の仲間であり、細菌が持っているような厚い細胞壁(ペプチドグリカン層)を持っていません。この構造の違いがとても重要です。
| 染色法 | 対象となる主な原虫・用途 |
|---|---|
| アクリジンオレンジ染色 | マラリア原虫(蛍光顕微鏡で核酸を光らせて素早く見つけるスクリーニングに使われます) |
| 抗酸染色 (Kinyoun染色など) |
クリプトスポリジウムなどのオーシスト(赤く染まります) |
| Giemsa(ギムザ)染色 | マラリア原虫など(血液中の原虫を観察する王道中の王道です) |
| Kohn(コーン)染色 | 赤痢アメーバなどの腸管寄生原虫(便の塗抹標本で、栄養型やシストを綺麗に染め出します) |
| Gram(グラム)染色 | 【対象外】一般細菌用です。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.アクリジンオレンジ染色(用いられる)
マラリアの迅速診断などで活躍する蛍光染色です。DNAやRNAと結合して光ります。 - 2.抗酸染色(用いられる)
結核菌のイメージが強いですが、寄生虫学ではKinyoun染色を用いて「クリプトスポリジウム」を染めます。 - 3.Giemsa染色(用いられる)
血液標本でマラリア原虫のリングフォームなどを観察するための必須染色です。 - 4.Gram染色(用いられない=正解)
細菌の細胞壁(ペプチドグリカン)の厚さの違いを利用して染め分ける方法です。細胞壁の構造が全く違う原虫には役に立ちません。 - 5.Kohn染色(用いられる)
便の中にいるアメーバなどの腸管寄生原虫を観察するための、ワンステップ染色法です。
暗記方法・覚え方のコツ
グラム染色は「細菌専用のパスポート」だとイメージしてください。人間と同じ真核生物である原虫は、このパスポートを持っていません。また、国試の引っ掛けパターンとして「抗酸染色 = 結核菌だけ」と思い込んでいると足元をすくわれます。
「クリプトスポリジウムも抗酸染色で染まる」というのは必須知識なので、覚えておきましょう👍
午前 問5:蟯虫の生態と特徴
【問題】
蟯虫で誤っているのはどれか。
- 1.線虫類である。
- 2.腟炎の原因となる。
- 3.肛門周囲に産卵する。
- 4.世界各地に分布する。
- 5.オスはメスより大きい。
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正答:5
【解説】寄生虫の世界は「かかあ天下」が基本!
蟯虫(ぎょうちゅう)は、ヒトの盲腸や結腸に寄生する小さな線虫です。寄生虫全般に言えるルールですが、卵をたくさん産んで子孫を残す必要があるため、基本的に「メスの方が体が大きい」という特徴を持っています。
| 蟯虫の基本スペック | 詳細・特徴 |
|---|---|
| 分類 | 線虫類(体が糸のように細長いグループ)。 |
| サイズ(雌雄差) | メスは約8〜13mm、オスは約2〜5mm。メスの方が圧倒的に大きいです。オスは交尾後に死んでしまうため、便などから見つかるのは主にメスです。 |
| 産卵の習性 | 夜間、患者が寝ている間に肛門から這い出し、肛門周囲の皮膚に卵を産みつけます。これが強いかゆみの原因になります。 |
| 感染経路 | かきむしった手で物に触れ、その卵が口に入ることで感染します(経口感染・自家感染)。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.線虫類である。(正しい)
回虫やアニサキスなどと同じ、体が円筒形で細長い「線虫類」の仲間です。 - 2.腟炎の原因となる。(正しい)
夜間に肛門から這い出したメスが、迷子になって隣の腟や外陰部に侵入してしまうことがあります(異所性寄生)。これが原因で腟炎を起こすことがあるため正しいです。 - 3.肛門周囲に産卵する。(正しい)
蟯虫の最大の特徴です。腸の中では産卵せず、わざわざ外(肛門のシワの間など)に出てきて産卵します。 - 4.世界各地に分布する。(正しい)
熱帯地方に限らず、温帯や寒帯、そして先進国を含め世界中に広く分布しています。 - 5.オスはメスより大きい。(誤り=正解)
逆です。卵を大量に抱えるメスの方が大きく、オスはメスの半分以下のサイズしかありません。
暗記方法・覚え方のコツ
線虫類(回虫、鞭虫、蟯虫など)のサイズを問われたら、迷わず「メスの方がデカい!」と判定してOKです。寄生虫は子孫を残すことが至上命題なので、お腹に卵をパンパンに詰めるメスの方が圧倒的に大きく進化しているとイメージしてください。
さいの補足
昔は小学校で「セロハンテープ法(ピンテープ法)」という検査が毎年行われていましたが、衛生環境の向上により2015年度で廃止されました。実は今の臨床現場でも、寄生虫の検査は激減しています。中堅規模の検査センターや病院でも、虫卵検査を自前で行わず、寄生虫の専門部署がある大手センターへ「外注(委託)」するのがすっかり主流になりました。
つまり、皆さんが就職しても実物の蟯虫や虫卵を見る機会は滅多にありません。だからこそ、国試という場で「昔は身近だった寄生虫」の生態(腸の中ではなく肛門の周りに産卵するなど)を、歴史とセットでしっかりと頭に入れておきましょう✏️
午前 問6:尿沈渣画像(結晶の鑑別)
【問題】
尿沈渣所見(別冊No. 2)を別に示す。疑われる疾患はどれか。
- 1.シスチン尿症
- 2.ファブリー病
- 3.フェニルケトン尿症
- 4.α1-アンチトリプシン欠損症
- 5.アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ〈APRT〉欠損症
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正答:1
【解説】美しい「六角形」を見たら一択!
画像を見ると、無色透明で綺麗な「六角形板状」の結晶が重なり合っているのが分かります。試験でこの形を見たら、迷わず「シスチン結晶」と判断してください。尿細管の再吸収障害による先天性アミノ酸代謝異常である「シスチン尿症」でみられ、難治性の結石の原因になります。
| 結晶の名称 | 形態学的特徴と鑑別ポイント |
|---|---|
| シスチン結晶 | 無色で六角形板状。角の角度は120°。シアニド・ニトロプルシッド反応で赤色に呈色する。 |
| コレステロール結晶 | 無色で長方形板状(一部が欠けていることが多い)。角の角度は90°で、シスチン結晶と鑑別できる。ネフローゼ症候群などで出現。 |
| 2,8-DHA結晶 | 菊花状、放射状の円形・球状。無染色で淡黄色〜褐色調。APRT欠損症で出現する。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.シスチン尿症(正解)
画像の六角形結晶はシスチン結晶であり、アミノ酸の再吸収障害であるシスチン尿症で出現します。 - 2.ファブリー病(誤り)
糖脂質の代謝異常(リソソーム病)です。尿沈渣では、細胞内に脂肪顆粒が蓄積した「マルベリー小体(桑実状細胞)」が見られることがありますが、六角形の結晶は出ません。 - 3.フェニルケトン尿症(誤り)
アミノ酸代謝異常症ですが、尿沈渣で特有の結晶が観察される疾患ではありません。 - 4.α1-アンチトリプシン欠損症(誤り)
肝硬変や肺気腫を引き起こす遺伝性疾患です。尿沈渣に特有の結晶は出現しません。 - 5.アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ〈APRT〉欠損症(誤り)
この疾患では「2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-DHA)結晶」が出現します。形態は菊花状や放射状の円形・球状で、淡黄色〜褐色調を呈するため、無色六角形の画像とは異なります。
暗記方法・覚え方のコツ
シスチン(Cystine)は「シ」から始まるので数字の「4(シ)」に引っ張られそうになりますが、形は「六角形(6)」です!ここをしっかりインプットしてください。また、似ているコレステロール結晶との鑑別は「角の角度」がポイントです。長方形のコレステロールは90°、六角形のシスチンは120°と覚えておくと、迷った時の強力な武器になります。
さいの補足
国家試験ではなく、実際の鏡検でこの綺麗な六角形を見つけたら、まずは「本当にシスチンか?」を疑う姿勢も大切です。もし形が崩れていてコレステロール結晶と迷った場合は、確認試験として「シアニド・ニトロプルシッド反応(赤色になればシスチン陽性)」を実施する施設もあります。(僕の職場は試薬がありません笑)
午前 問7:採血管間違いによるデータ異常
【問題】
生化学検査にEDTA-2K採血管を使用した。異常低値を示すのはどれか。
- 1.鉄
- 2.リ ン
- 3.クロール
- 4.グルコース
- 5.ナトリウム
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正答:1
【解説】EDTAは金属泥棒!奪われるものと、置いていくもの
本来、生化学検査は「血清(またはヘパリン血漿)」で行いますが、誤って血球算定用の「EDTA-2K管(紫色のスピッツ)」を使ってしまうと、データがメチャクチャになってしまいます。
EDTAは強力な「キレート作用(カニのハサミのように金属イオンをガッチリと挟み込む作用)」を持っています。血液中の金属イオンがEDTAに奪われてしまうため、測定用の試薬が金属を認識できなくなり、見かけ上「異常低値」になってしまうのです。
| EDTA混入の影響 | 該当する検査項目 | 理由 |
|---|---|---|
| 異常低値(ほぼゼロになる) | カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn) | EDTAのキレート作用により、金属イオンが全て奪い取られてしまうため。 |
| 異常低値(酵素の失活) | ALP、AMY(アミラーゼ)など | ALPは亜鉛やマグネシウム、AMYはカルシウムを「補酵素」として働くため、金属を奪われると酵素自体が働けなくなるため。 |
| 異常高値(振り切れる) | カリウム(K) | 抗凝固剤が「EDTA-2K(カリウム塩)」であるため、大量のカリウムが血液中に溶け出してしまうため。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.鉄(正解)
鉄は金属イオンなので、EDTAにガッチリとキレート(結合)されてしまい、測定試薬が反応できず異常低値(ほぼゼロ)になります。 - 2.リ ン(誤り)
金属イオンではないため、EDTAによる直接的な異常低値の要因にはなりません。 - 3.クロール(誤り)
陰イオン(Cl-)であり、EDTAのキレート作用の影響は受けません。 - 4.グルコース(誤り)
糖分なのでEDTAにキレートされることはありません。
(※解糖阻止剤が入っていないため時間経過で緩やかに低下はしますが、「採血管の誤用による分析学的異常低値」という本問の意図とは異なります) - 5.ナトリウム(誤り)
今回は「EDTA-2K」管なので直接の影響はありません。(※もし「EDTA-2Na」管を使った場合は、ナトリウムが異常高値になります)
暗記方法・覚え方のコツ
EDTA管によるデータ異常は「金属(Ca, Mg, Fe)が奪われて激減し、カリウム(K)やナトリウム(Na)がお土産として置いていかれて爆上がりする」とワンセットで覚えてください。
金属を必要とする「ALPやAMY」も一緒に道連れになって下がる、というところまで理解できれば完璧です!
さいの補足
新人さんが、血清用のスピッツと間違えて紫色のEDTA管で生化学検査を提出してしまうトラブルは、現場で本当によくある「あるある」です。
生化学の分析機から「カルシウム:0.2(あり得ない低値)、カリウム:15.0(超高値)」というデータが吐き出された瞬間、私たちは「あ、これEDTA管で採血したか、あるいは血算の血を移し替えたな」と即座に見抜き、採血し室に電話をして再採血をお願いします。異常データを見た時に「患者の危機」なのか「検体の異常」なのかを見分けることが大切です。
午前 問8:医療安全の基本概念
【問題】
医療安全で正しいのはどれか。
- 1.コミュニケーションは医療事故防止対策となる。
- 2.インシデントレポートは原因となった個人を同定することが目的である。
- 3.臨床検査関連の業務では、検査後プロセスでのインシデントが一番多い。
- 4.ハインリッヒの法則によれば1件の重大事故の裏には約10件のヒヤリ・ハット事例がある。
- 5.医療現場の事故の大部分はノンテクニカルスキルよりテクニカルスキルの不足が原因で発生する。
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正答:1
【解説】「人は誰でも間違える」を前提としたシステム作り
医療安全の基本は、「個人の注意や努力だけに頼らない」ことです。どれだけ優秀なスタッフでも疲労や錯覚によって必ずエラーを起こします。そのため、チーム内の円滑なコミュニケーションや、エラーが起きても事故に繋がらない仕組み(システム)を作ることが最も大切になります。
| 医療安全の重要キーワード | 正しい意味・内容 |
|---|---|
| インシデントレポートの目的 | 犯人探し(個人の責任追及)ではなく、組織的な原因を分析し、再発防止のシステムを作るため。 |
| 検査エラーの発生源 | 臨床検査関連の業務では、検査前プロセス(採血間違い、検体の取り違え、保存条件の誤りなど)が最も多い。 |
| ハインリッヒの法則 | 1件の重大事故の背後には、29件の軽微な事故と、300件のヒヤリ・ハットが隠れている。 |
| ノンテクニカルスキル | コミュニケーション、状況認識、チームワークなど、専門技術(テクニカル)以外の人間的スキルのこと。事故原因の大部分を占める。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.コミュニケーションは医療事故防止対策となる。(正解)
スタッフ間の報告・連絡・相談や、患者さんとの名前の確認など、コミュニケーションは最も効果的で基本的な事故防止対策です。 - 2.インシデントレポートは原因となった個人を同定することが目的である。(誤り)
「個人の同定(犯人探し)」や「罰すること」を目的にしてはいけません。それをすると誰もレポートを提出しなくなり、危険な事例が隠蔽されてしまいます。 - 3.臨床検査関連の業務では、検査後プロセスでのインシデントが一番多い。(誤り)
一番多いのは患者の取り違えや採血管の間違いといった「検査前プロセス」です。機械が自動で分析する検査中・検査後のエラーは比較的少ないです。 - 4.ハインリッヒの法則によれば1件の重大事故の裏には約10件のヒヤリ・ハット事例がある。(誤り)
「10件」ではなく「300件」です。氷山の一角であることを表す超有名な法則です。 - 5.医療現場の事故の大部分はノンテクニカルスキルよりテクニカルスキルの不足が原因で発生する。(誤り)
逆です。採血が下手(テクニカル不足)で起きる事故よりも、思い込みや確認不足、連絡ミス(ノンテクニカル不足)で起きる重大事故の方が圧倒的に多いです。
暗記方法・覚え方のコツ
ハインリッヒの法則の数字は「1:29:300(い・にく・さんびゃく)」でリズム良く暗記しましょう!また、検査の事故は「機械に入れる前(検査前)」の、人の手が一番多く関わるアナログな部分で発生しやすいということをイメージしておくと忘れにくいです。
さいの補足
医療現場の患者サービス委員会や医療安全委員会では、スタッフの意識づけのために事故防止の「標語」を募集してポスターを掲示するなどの取り組みをよく行います。一見地味に見えるかもしれませんが、こうした活動もスタッフ同士の会話(コミュニケーション)を生み出し、まさに「ノンテクニカルスキル」を育てるための大切なシステムの一つです。
日常での挨拶や声かけがしやすい空気を作ることが、一番の事故防止対策になります!
上司や御局様(笑)もちゃんとレポート書け!笑←重要
午前 問9:核酸塩基の分類(プリンとピリミジン)
【問題】
プリン塩基はどれか。2つ選べ。
- 1.チミン
- 2.アデニン
- 3.ウラシル
- 4.グアニン
- 5.シトシン
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正答:2、4
【解説】DNA・RNAを作る「5つのパーツ」を仕分けよう!
遺伝情報を持つDNAやRNAは、塩基と呼ばれるパーツからできています。この塩基は、化学的な骨格の形(環の数)によって「プリン塩基」と「ピリミジン塩基」の2つのグループに分けられます。
| グループ名 | 化学構造の特徴 | 該当する塩基 |
|---|---|---|
| プリン塩基 | 六員環と五員環がくっついた「2つの環(ふたご)」構造。サイズが大きい。 | アデニン(A)、グアニン(G) |
| ピリミジン塩基 | 六員環だけの「1つの環(ひとりっこ)」構造。サイズが小さい。 | シトシン(C)、ウラシル(U)、チミン(T) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.チミン(誤り)
ピリミジン塩基です。DNAのみに存在し、RNAには含まれません。 - 2.アデニン(正解)
プリン塩基です。ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー通貨の材料にもなる重要な塩基です。 - 3.ウラシル(誤り)
ピリミジン塩基です。チミンの代わりにRNAのみに存在します。 - 4.グアニン(正解)
プリン塩基です。シトシン(C)と3本の水素結合でしっかり結びつきます。 - 5.シトシン(誤り)
ピリミジン塩基です。DNAにもRNAにも存在します。
暗記方法・覚え方のコツ
国試で確実に点を取るための、一発暗記の語呂合わせです!
「プリンを ア(A)グ(G)アグ食べる」= プリン塩基はAとG
「ピリッと カット(C・U・T)する」= ピリミジン塩基はC、U、T
これだけ頭に入れておけば、楽勝です!
さいの補足
「プリン塩基」という言葉、毎日のように飲んべえ達が気にしている「プリン体ゼロ!」のあのプリン体のことです。
体の中で役目を終えたプリン塩基(アデニンやグアニン)は、肝臓で分解されて最終的に「尿酸(UA)」というゴミになります。これが血液中に溜まりすぎると、足の親指などにトゲトゲの尿酸塩結晶が溜まって「痛風」を引き起こします。
生化学検査でUA(尿酸)が高いデータを見たら、「あ、この患者さんは体内でプリン塩基がたくさん分解されているな」と繋げて考えられるようになりましょう🍺
午前 問10:関節液検査(結晶の鑑別)
【問題】
関節液中にピロリン酸カルシウム結晶が認められるのはどれか。
- 1.痛 風
- 2.偽痛風
- 3.化膿性関節炎
- 4.変形性関節症
- 5.関節リウマチ〈RA〉
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正答:2
【解説】「痛風」と「偽痛風」の結晶を対比して覚える!
関節が赤く腫れ上がって激痛が走る発作のうち、原因となる結晶が「尿酸」によるものを痛風、「ピロリン酸カルシウム」によるものを偽痛風(ぎつうふう)と呼びます。この2つは関節液を「偏光顕微鏡」で観察することで明確に見分けることができます。
| 疾患名 | 原因となる結晶 | 形態学的特徴(偏光顕微鏡) |
|---|---|---|
| 痛風 | 尿酸ナトリウム(MSU)結晶 | 針のように細長い(針状)。 強い「負」の複屈折を示す。 長軸に対して並行で黄色 長軸に対して垂直で青色 |
| 偽痛風 | ピロリン酸カルシウム(CPP)結晶 | 長方形や菱形(レンガ状)。 弱い「正」の複屈折を示す。 長軸に対して並行で青色 長軸に対して垂直で黄色 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.痛 風(誤り)
関節液中に「尿酸ナトリウム結晶」が認められます。ピロリン酸カルシウムではありません。 - 2.偽痛風(正解)
関節液中に「ピロリン酸カルシウム結晶」が認められます。高齢者の膝関節などでよく発生します。 - 3.化膿性関節炎(誤り)
細菌感染による関節炎です。関節液中には多数の好中球(白血球)や原因菌(ブドウ球菌など)が認められますが、特有の結晶は出ません。 - 4.変形性関節症(誤り)
加齢や摩耗によって軟骨がすり減る疾患です。関節液中には軟骨片などが見られることがありますが、結晶が原因ではありません。 - 5.関節リウマチ〈RA〉(誤り)
自己免疫疾患です。関節液中にはリウマトイド因子(RF)や、RA細胞(ラグサイト:免疫複合体を貪食した好中球)などが認められます。
暗記方法・覚え方のコツ
偽痛風のキーワードは「ギ(偽)・ピロ(ピロリン酸)・正(正の複屈折)」です!
痛風(尿酸・負の複屈折)とごちゃ混ぜにならないように、「偽物のピロは正しい!」という少し強引なフレーズで3点セットを紐付けておくと、本番で迷わずに済みます。
さいの補足
外来などで「関節がパンパンに腫れて痛い!」という患者さんが来たとき、医師が関節液を注射器で抜いて検査室に持ってきます。このとき、僕らは「偏光顕微鏡」という特殊なレンズの顕微鏡を覗いて結晶を探します。
真っ暗な背景の中に結晶がキラキラと光って見えるのですが、光の向きを変えたときに「黄色」に光るか「青色」に光るかで、痛風(尿酸)なのか偽痛風(ピロリン酸カルシウム)なのかを鑑別します。
性別と年齢であたりを付けて検査をしているのは内緒です笑
第72回 臨床検査総論:午後問題の正誤理由まとめ(問1〜10)
午後 問1:採血時の注意点(パンピングの影響)
【問題】
採血時のパンピング(何度も手を握ったり開いたりを繰り返す動作)で偽高値になるのはどれか。
- 1.リン
- 2.カリウム
- 3.クロール
- 4.カルシウム
- 5.ナトリウム
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正答:2
【解説】細胞の中にたっぷり詰まっているイオンはどれだ!?
採血時に患者さんに「手をグーパーしてください」とお願いする動作をパンピングと言います。筋肉を動かす(収縮させる)と、筋細胞の中から血液中へ特定の物質が漏れ出します。細胞内に最も多く含まれている陽イオンが「カリウム」であるため、パンピングによって局所的にカリウムが異常高値(偽高値)となってしまいます。
| 分布場所 | 代表的なイオン | 採血手技(細胞破壊や運動)の影響 |
|---|---|---|
| 細胞内液に多い | カリウム(K)、リン(P)、マグネシウム(Mg) | 筋肉の運動や、赤血球が壊れる(溶血)ことで、細胞内から血液(血清)へ漏れ出し偽高値になります。 |
| 細胞外液に多い | ナトリウム(Na)、クロール(Cl)、カルシウム(Ca) | もともと血液中にたくさんあるため、少々細胞が壊れたり運動しても大きな変動は起きません。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.リン(誤り)
細胞内液に多いイオンですが、パンピングで著明に上昇するのはカリウムです。国試の引っ掛けとしてよく出題されます。 - 2.カリウム(正解)
細胞内液の最も主要な陽イオンです。筋肉の運動(パンピング)により細胞内から血中へ移行するため、偽高値を示します。 - 3.クロール(誤り)
細胞外液(血液)に多い陰イオンであり、パンピングによる変動はほぼありません。 - 4.カルシウム(誤り)
細胞外液に多い陽イオンです。パンピングで高値にはなりません。 - 5.ナトリウム(誤り)
細胞外液に最も多く含まれる陽イオンです。パンピングで高値にはなりません。
暗記方法・覚え方のコツ
細胞の内外のイオンバランスは、この2つのイメージで完璧に覚えられます!
【細胞内】サッカーの「PK」
細胞の中で「PK」をしているイメージです。
P(リン)とK(カリウム)は細胞内にたくさんあります。そして、この「K」が細胞内で最も多い陽イオンです!
【細胞外】細胞の外は「海(塩水)」
生命は海から誕生したため、人間の細胞の外側(細胞外液)は海の水と同じ成分で満たされているとイメージしてください。
海の水といえば、しょっぱい塩水(NaCl)ですよね。だから、細胞外にはNa(ナトリウム)とCl(クロール)がたっぷり存在し、最も多い陽イオンは「Na」になります。
パンピングで筋肉を動かして細胞をギューッと絞ると、中でPKをしていた「K(カリウム)」がジュワッと血液(海側)に漏れ出してくる、と繋げておきましょう!
さいの補足
現場で生化学データを見ていて「カリウムだけが異常に高い(例えば6.0 mEq/L以上など)」というデータに遭遇したら、まずは検体が溶血していないか(赤血球が壊れていないか)を確認します。
溶血していないのに異常に高い場合は、採血担当の看護師さんや技師に「採血の時に患者さんが力いっぱい手を握っていませんでしたか?」「駆血帯を長く縛りすぎていませんでしたか?」と確認することがよくあります。
カリウムは採血時の「手技(パンピングや長時間のうっ血)」の影響を最も受けやすい項目の一つなので、パニック値を見た時に「採血手技による偽高値かも?」と疑えるセンスが現場では求められます!
ただし、上からものを言わず、採血してくれた看護師さんに感謝の意を持ちつつ聞くようにしましょう(超大事)
午後 問2:尿試験紙法の測定原理
【問題】
尿試験紙法で酵素法を原理とするのはどれか。
- 1.蛋白
- 2.亜硝酸塩
- 3.ケトン体
- 4.グルコース
- 5.ビリルビン
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正答:4
【解説】各項目の「反応の主役」を整理しよう!
尿試験紙法は、項目ごとに全く異なる化学反応を利用して色を変化させています。その中でも、グルコース(ブドウ糖)の測定には「GOD(グルコースオキシダーゼ)」と「POD(ペルオキシダーゼ)」という2種類の酵素が試薬として組み込まれており、酵素法が用いられています。
| 検査項目 | 測定原理 | 使用される主な成分・反応 |
|---|---|---|
| グルコース | 酵素法 | GODとPODの作用により色原体が酸化され発色する。 |
| 蛋白 | 蛋白誤差法 | pH指示薬の蛋白誤差反応を利用する。 |
| 潜血 | POD様活性 | ヘモグロビンが持つPOD”様”活性により色原体を酸化する。 |
| ケトン体 | ニトロプルシド反応 | ニトロプルシドナトリウムと反応し複合体を生成する。 |
| 亜硝酸塩 | グリエス(Griess)法 | スルファニルアミド等とのカップリング反応でアゾ色素を生成。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.蛋白(誤り)
pH指示薬の「蛋白誤差反応」を利用しています。酵素は使用していません。 - 2.亜硝酸塩(誤り)
細菌が硝酸塩を還元してできた亜硝酸塩を、ジアゾ化合物の「カップリング反応(グリエス反応)」で検出します。 - 3.ケトン体(誤り)
「ニトロプルシドナトリウム」との化学反応を利用しています。 - 4.グルコース(正解)
試験紙に「GOD(グルコースオキシダーゼ)」と「POD(ペルオキシダーゼ)」という本物の酵素が含まれており、これらを用いた酵素法で測定します。 - 5.ビリルビン(誤り)
ジアゾニウム塩との「カップリング反応」を利用してアゾ色素を生成します。
暗記方法・覚え方のコツ
試験紙法で「酵素」が関わってくるのは「グルコース」と「白血球」の2つだけと覚えておきましょう!
・グルコース = GOD、POD(試薬として本物の酵素を含んでいる)
・白血球 = 白血球エステラーゼ(尿中の白血球が持つ酵素を測る)
※潜血反応はヘモグロビンの「POD様活性」を利用しますが、ヘモグロビンはただのタンパク質であり本物の酵素ではありません。まるで酵素のように働くから”様”がついているだけなので、引っ掛けに注意です!
さいの補足
臨床現場で毎日大量の尿試験紙を見ていると、技師が最も神経を尖らせるのが「強アルカリ尿(pH8.0以上)による蛋白の偽陽性」です。
蛋白の検査は、試験紙を酸性(pH3付近)に保つ緩衝液が含まれており、そこに蛋白が結合すると色が青緑に変わる「蛋白誤差法」を用いています。しかし、古い尿や細菌感染などで尿が強アルカリ性になっていると、試験紙の酸性が負けてしまい、蛋白が無いのに「青緑色(プラス)」に発色してしまうんです。
そのため、蛋白が陽性に出たときは、必ず隣の「pH」の項目もチラッと確認し、「あ、pHが8.0だからこれは偽陽性かもしれないぞ」と疑い、酢酸などを添加して酸性に傾けてから再検することも必要です。
午後 問3:薬剤による便の色調変化
【問題】
経口摂取した薬剤と便の色調の組合せで正しいのはどれか。
- 1.鉄剤 赤色
- 2.蒼鉛 白色
- 3.葉緑素製剤 黒色
- 4.硫酸バリウム 白色
- 5.ケイ酸アルミニウム 黒色
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正答:4
【解説】薬の色がそのまま出るか、腸の中で変化するか
便の色は、胆汁の色素(ステルコビリン)だけでなく、飲んだ薬の成分によっても大きく変化します。国試では特に「黒色」と「白色」になる薬剤が頻出なので、グループ分けして整理しておきましょう。
| 便の色 | 代表的な薬剤 | 着色の理由 |
|---|---|---|
| 白色 | 硫酸バリウム、ケイ酸アルミニウムなど | もともと薬自体が「白い粉」であり、消化吸収されずにそのまま排泄されるため。 |
| 黒色 | 鉄剤、蒼鉛(次硝酸ビスマス)など | 腸の中で硫化水素と反応し、硫化鉄や硫化ビスマスといった「黒い化合物」に変化するため。 |
| 緑色 | 葉緑素製剤(クロロフィル) | 植物の緑色色素である葉緑素が含まれているため。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.鉄剤 赤色(誤り)
貧血の治療などで使われますが、吸収されなかった鉄が腸内で硫化鉄になるため「黒色」の便が出ます。 - 2.蒼鉛 白色(誤り)
蒼鉛(そうえん)はビスマスのことです。止瀉薬(下痢止め)として使われる次硝酸ビスマスなどは、腸内で硫化ビスマスとなり「黒色」の便になります。 - 3.葉緑素製剤 黒色(誤り)
名前に「緑」と入っている通り、クロロフィルの色素によって「緑色」の便になります。 - 4.硫酸バリウム 白色(正解)
胃のX線造影検査(バリウム検査)で飲む、あのドロッとした白い液体のことです。吸収されないため、そのまま「白色」の便として出ます。 - 5.ケイ酸アルミニウム 黒色(誤り)
胃腸薬として使われる白い粉末です。バリウムと同じく「白色」の便になります。
暗記方法・覚え方のコツ
便の色を変える薬は「金属」をイメージすると覚えやすいです!
・鉄(鉄剤)やビスマス(蒼鉛)は、時間が経ってサビたり硫化すると「黒く」なる。
・バリウムやアルミニウムは、ピカピカの「白(銀色)」。
これだけで、選択肢のほとんどを迷わずカットできるようになります!
さいの補足
便潜血検査を担当していると、真っ黒なタール状の便(黒色便)が提出されてくることがあります。
上部消化管(胃や十二指腸)からの大出血があると、血液中のヘモグロビンが胃酸と反応して真っ黒になるため、黒色便を見た瞬間に「これはヤバい出血かも!」と焦ります。しかし、患者さんが貧血治療のために「鉄剤」を飲んでいるだけでも同じように真っ黒な便になるんです。
「鉄剤の内服がないか」をサッと確認できるようになると、一人前の技師に一歩近づきます👍
午後 問4:染色体検査の標本作製(コルセミドの役割)
【問題】
染色体検査における細胞培養または標本作製の過程でコルセミドを添加する理由はどれか。
- 1.赤血球の溶解
- 2.細菌の増殖抑制
- 3.有核細胞の固定
- 4.有核細胞の膨化
- 5.紡錘糸の形成阻害
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正答:5
【解説】染色体検査の「工程」と「使う試薬」を整理しよう!
染色体検査(G分染法)は、細胞を培養してわざと分裂させ、染色体が一番見えやすくなる「分裂中期」でピタッと止めて観察する検査です。この「分裂を途中で止める」という超重要な役割を果たしているのが、コルセミドという試薬になります。
| 工程 | 使用する主な試薬・処理 | 目的と役割 |
|---|---|---|
| 1. 増殖刺激 | PHA(フィトヘマグルチニン) | リンパ球を幼若化させ、細胞分裂を促す。 |
| 2. 分裂停止 | コルセミド | 紡錘糸の形成を阻害し、染色体が最も凝縮する分裂中期で停止させる。 |
| 3. 膨化処理 | 低張液(塩化カリウムなど) | 細胞内に水を取り込ませて膨張させ、染色体を分散させやすくする。 |
| 4. 固定 | カルノア液(メタノール・酢酸) | 細胞の構造や染色体を安定化(固定)させる。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.赤血球の溶解(誤り)
赤血球の溶解には、塩化アンモニウムなどが用いられます。 - 2.細菌の増殖抑制(誤り)
培養中の細菌増殖を防ぐためには、ペニシリンやストレプトマイシンなどの「抗菌薬(抗生物質)」を添加します。 - 3.有核細胞の固定(誤り)
固定には「カルノア液(メタノールと酢酸の混合液)」などが用いられます。 - 4.有核細胞の膨化(誤り)
細胞を膨化させる(低張処理)には、「低張の塩化カリウム(KCl)溶液」などが用いられます。 - 5.紡錘糸の形成阻害(正解)
コルセミドは、細胞分裂の際に染色体を引っ張る「紡錘糸」が作られるのを邪魔します。これにより、細胞は分裂中期から先に進めなくなりストップします。
暗記方法・覚え方のコツ
染色体検査で使う試薬は、名前と役割をセットで声に出して覚えましょう!
・分裂させるPHA(ファ〜っと増える)
・ストップさせるコルセミド(中期で殺す・止める)
・膨らますKCl(低張でパンパン)
・固定するカルノア液(カチッと固める)
特に「コルセミド=中期で止める=紡錘糸阻害」は頻出キーワードです。
さいの補足
染色体検査の手法として「G分染法」と「FISH法」の2つがありますが、検査のプロセス(コルセミドを使うかどうか)が大きく異なります!ここ、国試で超重要です。
■ G分染法(従来の核型分析)
染色体全体の形や数を顕微鏡で直接数えるため、染色体が「X」の形にギュッと凝縮する【分裂中期】の細胞が絶対に必要です。だからこそ、数日間「培養」して増やし、「コルセミド」で分裂中期に止めるというプロセスが必須になります。
■ FISH法(蛍光in situハイブリダイゼーション)
特定の遺伝子の異常(光るプローブがくっつくかどうか)だけを見る検査です。この方法は分裂中期(Xの形)の細胞だけでなく、分裂していない【間期】の細胞(ただの丸い核の状態)でも検査が可能です。そのため、急いでいる時などは「細胞培養」や「コルセミド処理」の工程を省略し、すぐに標本を作って検査(間期FISH法)することができます。
「コルセミドが必須なのはG分染法!FISH法は間期細胞でもOKだから培養を省略できる!」と整理しておくといいと思います。
午後 問5:PCR法のアニーリング温度
【問題】
PCR法でアニーリングの至適温度に影響を与えるのはどれか。
- 1.pH
- 2.dNTP濃度
- 3.プライマーの塩基数
- 4.DNAポリメラーゼ濃度
- 5.マグネシウムイオン濃度
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正答:3
【解説】アニーリング温度を決める「Tm値」とは?
PCRの第2ステップである「アニーリング(55〜65℃)」は、ターゲットのDNA(鋳型)に、短いDNAの断片である「プライマー」を結合(くっつける)させる工程です。
このアニーリングの温度設定は、プライマーの「Tm値(melting temperature)」という数値を基準にして決められます。
Tm値とは、二本鎖DNAの50%が解離して一本鎖となる温度のことです。このTm値は、主に以下の2つの要素によって決定されます。
- プライマーの塩基数(長さ):塩基数が多くなる(長くなる)ほど、DNA同士をくっつけておく水素結合の数が増えるため、引き剥がすための温度(Tm値)も高くなります。
- 塩基配列の構成(GC含有量):G(グアニン)とC(シトシン)の結合は「3本」の水素結合で繋がっており、A(アデニン)とT(チミン)の「2本」の結合よりも強力です。そのため、プライマーの中にGとCが多く含まれている(GC含有量が高い)ほど、Tm値は高くなります。
このように、プライマーの「長さ(塩基数)」と「構成(GC含有量)」によってTm値が変わり、それに合わせて最適なアニーリング温度が設定されます。
【全選択肢の正誤理由】
- 1.pH(誤り)
PCRの反応液は、DNAポリメラーゼが最も働きやすい最適pH(pH7.5-9.5)にバッファーで調整されていますが、アニーリングの至適温度(Tm値)を決定する主要因ではありません。 - 2.dNTP濃度(誤り)
dNTP(4種の塩基)は、DNAを合成するための「材料」です。温度設定には直接影響しません。 - 3.プライマーの塩基数(正解)
プライマーの長さ(塩基数)やGC含有量によってTm値が決まり、そのTm値を基準にしてアニーリングの至適温度が設定されます。 - 4.DNAポリメラーゼ濃度(誤り)
DNAポリメラーゼは、第3ステップの「伸長反応(72℃)」で働く酵素です。アニーリング温度には影響しません。 - 5.マグネシウムイオン濃度(誤り)
マグネシウムイオンはDNAポリメラーゼが働くための「補酵素」として機能します。塩濃度としてTm値に微小な影響は与えますが、至適温度を決定づける一番の要因はプライマーそのものの設計(塩基数・GC含量)です。
暗記方法・覚え方のコツ
アニーリング温度は、マジックテープをイメージすると分かりやすいです!
・短いマジックテープ(塩基数が少ない)= すぐにベリッと剥がれる(Tm値が低い)。
・長いマジックテープ(塩基数が多い)= 剥がすのに強い力・高い温度が必要(Tm値が高い)。
・GC含量が高い(接着力が強い)= 剥がすのに強い力・高い温度が必要(Tm値が高い)。
DNAを剥がすための温度(Tm値)は、この「長さ」と「接着力の強さ」で決まると覚えておきましょう!
さいの補足
現場でPCR検査の「プライマーを設計」する際、この「塩基数(長さ)」がキモになります。
もしプライマーの長さが10塩基など短すぎると、人間の膨大なDNA配列の中に「たまたま同じ配列」が無数に存在してしまい、目的以外の場所にベタベタくっついてしまいます(非特異的反応)。
そのため、確実に目的の遺伝子だけに結合させるため、通常は「18〜30塩基」の長さに設計します。
塩基数を長く設計すればするほど、接着力が強くなりTm値(剥がすために必要な温度)も高くなります。「特異性を高めるために塩基数を長くする=結果としてTm値(アニーリング温度)も上がる」という、現場での設計の基本を知っておくと、この問題の丸暗記から脱却できます👍
午後 問6:健常成人の髄液所見
【問題】
健常成人の髄液所見はどれか。ただし、同時測定の血漿中グルコース濃度は100mg/dLであった。
- 1.色調 黄色透明
- 2.細胞数 20個/μL
- 3.蛋白質 100mg/dL
- 4.クロール 160mmol/L
- 5.グルコース 70mg/dL
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正答:5
【解説】髄液検査は「正常値」の暗記がすべての土台!
髄液検査の問題を解くためには、まず健常成人の正常値を完璧に暗記しておく必要があります。ここを覚えておけば、細菌性髄膜炎やウイルス性髄膜炎で「何が異常になるのか」がスムーズに理解できるようになります。
| 検査項目 | 健常成人の正常値 | 異常時の主な疾患・状態 |
|---|---|---|
| 色調 | 無色透明 | 黄色透明(キサントクロミー)は古い出血など。 |
| 細胞数 | 5 個/μL 以下 | 細菌性やウイルス性髄膜炎で著増する。 |
| 蛋白 | 45 mg/dL 以下 | 髄膜炎などで血液脳関門が破綻すると上昇する。 |
| 糖(グルコース) | 45〜80 mg/dL(血糖値の約6割) | 細菌性髄膜炎で著明に低下する。 |
| クロール | 115〜130 mmol/L(血中より少し高い) | 結核性髄膜炎などで低下する。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.色調 黄色透明(誤り)
正常な髄液は水のように「無色透明」です。黄色透明(キサントクロミー)は、くも膜下出血後などにヘモグロビンがビリルビンに変化した状態を示します。 - 2.細胞数 20個/μL(誤り)
正常値は5個/μL以下です。20個は明らかに細胞増多を示しています。 - 3.蛋白質 100mg/dL(誤り)
正常値は45mg/dL以下です。100mg/dLは蛋白の異常高値です。 - 4.クロール 160mmol/L(誤り)
正常値は115〜130mmol/L程度です。血液中のクロール(98〜108mmol/L)よりも少し高いのが特徴ですが、160mmol/Lは異常な高値です。 - 5.グルコース 70mg/dL(正解)
髄液中の糖は、同時に測定した血糖値の「約0.6倍(6割)」になるのが正常です。血漿グルコースが100mg/dLであれば、髄液糖は60mg/dL前後(基準値45〜80mg/dLの範囲内)となるため、70mg/dLは正常な所見と言えます。
暗記方法・覚え方のコツ
髄液の正常値は「細胞5、蛋白45、糖は血糖の6割!」と語呂よく口に出して覚えましょう。
さいの補足
「細菌性髄膜炎」を疑う所見として、ビックリするのがこの「髄液糖の著明な低下」です。
髄液の中に侵入した細菌たちが、自分たちのエネルギー源として髄液中の糖をバクバク食べてしまうため、糖が異常に少なくなります。目安として、髄液糖が血糖値の0.4倍(40%)以下まで低下していると「細菌性髄膜炎の可能性が高い!」と判断され、すぐに主治医へ緊急連絡(パニック値報告)を行うレベルの異常事態となります。
正常な「0.6倍」という数字を知っていないと、この「異常な低下」に気づけないため、糖の比率は確実にマスターしておきましょう!
午後 問7:ISO15189(臨床検査室の品質と能力)
【問題】
ISO15189で誤っているのはどれか。
- 1.国内規格である。
- 2.リスクマネジメントについて記載している。
- 3.検査の質の継続的な改善を進める規格である。
- 4.品質マネジメントについての要求事項が含まれる。
- 5.臨床検査室の品質管理能力に関する要求事項が含まれる。
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正答:1
【解説】ISOは「世界共通」の国際ルール!
ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)とは、製品やサービスの品質を世界中で同じ基準にするための「国際規格」です。その中でも「ISO15189」は、私たち臨床検査技師が働く「臨床検査室」に特化した規格になります。
| ISOの番号 | 対象と目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| ISO 9001 | 品質マネジメントシステム(全般) | あらゆる組織(病院全体など)のサービスの質向上や事故防止を目的とする一般的な規格。 |
| ISO 15189 | 臨床検査室の品質と能力 | 臨床検査の正確性と信頼性、技師の技術的能力を保証する規格。 |
| ISO 13485 | 医療機器の品質マネジメント | 医療機器や体外診断用医薬品の安全性を確保するための規格。 |
| ISO 14971 | 医療機器のリスクマネジメント | 医療機器におけるリスクの特定・評価・管理を定めた規格。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.国内規格である。(誤り:正解選択肢)
ISOは「国際標準化機構」が定める『国際規格』です。ちなみに日本の『国内規格』はJIS(日本産業規格)と呼ばれます。 - 2.リスクマネジメントについて記載している。(正しい)
検体の取り違えや検査ミスなどを未然に防ぎ、患者の安全を守るためのリスクマネジメントが求められています。 - 3.検査の質の継続的な改善を進める規格である。(正しい)
一度基準を満たせば終わりではなく、PDCAサイクルを回して常に検査の質を向上(継続的な改善)させることが要求されます。 - 4.品質マネジメントについての要求事項が含まれる。(正しい)
組織の責任、文書管理、内部監査など、検査室を適切に運営するための「仕組み(マネジメントシステム)」の要件が含まれています。 - 5.臨床検査室の品質管理能力に関する要求事項が含まれる。(正しい)
検査機器の校正(キャリブレーション)、精度管理、検査員の教育・力量評価など、正確なデータを提供するための「技術的な能力」が求められます。
暗記方法・覚え方のコツ
まずは「ISO(アイエスオー)= International(国際)のI!」で、世界共通ルールであることを覚えましょう。日本の規格(JIS)との引っかけは国試の定番です。
番号は「行こう(15)いち早く(189)正確な検査室へ!」と語呂合わせで暗記しておけばバッチリです👍
さいの補足
近年、多くの大きな病院の検査室がこの「ISO15189」の認定を取得するために動いています。
ISO15189の認定を取得・維持するためには、日々の内部精度管理はもちろん、外部精度管理調査への参加、すべての検査手順マニュアル(SOP)の徹底した文書化、さらには「この技師は本当に正確に検査を行えるか?」という個人の力量評価まで、非常に厳しい要求事項(選択肢4・5の内容)をクリアしなければなりません。
認定を取得、更新するのは技師にとって書類作業なども増えて大変な作業となりますが、標準化された強い検査室ができるとも言えます。
午後 問8:体細胞分裂の模式図
【問題】
体細胞分裂中期の核の模式図(別冊No. 1)を別に示す。矢印で示すのはどれか。
- 1.核小体
- 2.中心体
- 3.紡錘体
- 4.テロメア
- 5.セントロメア
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正答:2
【解説】体細胞分裂「中期」の特徴と関連構造
提示された模式図は、凝縮した染色体(姉妹染色分体)が細胞の中央部分である「赤道面」に一列に並んでいるため、体細胞分裂の「中期」であることがわかります。国試ではそれぞれのパーツの細かい定義が問われるため、しっかりと整理しておきましょう。
| 名称 | 構成と特徴 | 役割 |
|---|---|---|
| 中心体 | 細胞の両極に配置された組織 | 微小管形成の土台となり、ここから紡錘糸を伸ばす「起点」になります。 |
| 紡錘糸 | 細胞分裂時に中心体から伸びる微小管 | 染色体の中心(動原体)に結合し、両極へ引っ張るロープの役割をします。 |
| 動原体 | 染色体のうち、紡錘糸が結合する部分 | セントロメア領域にあり、紡錘糸がカチッと結合するジョイント部分です。 |
| 紡錘体 | 「中心体+紡錘糸+染色体」の構造体 | 中期以降(後期)に姉妹染色分体を両極へ正確に引き離す牽引力を生み出します。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.核小体(誤り)
核の中にあるリボソームRNAを作る場所です。細胞分裂が始まると消失するため、中期の図には描かれません。 - 2.中心体(正解)
矢印が指している上下の両極にある黒丸です。ここは紡錘糸形成の起点となる微小管形成中心です。 - 3.紡錘体(誤り)
紡錘体は中心体から伸びる微小管(紡錘糸)で構成された全体構造を指す名称です。矢印は起点である中心体のみを指しています。 - 4.テロメア(誤り)
染色体の「両末端」にある構造です。細胞分裂のたびに短くなる部分です。 - 5.セントロメア(誤り)
赤道面に並んでいるX型の染色体の、中心のくびれ部分です。ここに紡錘糸が結合する「動原体」が存在します。
暗記方法・覚え方のコツ
細胞分裂の図は「地球」に例えると一発で覚えられます!
・染色体が並ぶ真ん中 = 赤道(赤道面)
・上下の端っこにある黒丸 = 北極と南極(極=中心体)
また「紡錘糸」と「紡錘体」の引っかけは定番なので、パーツ単体ではなく全体セットが「紡錘体」であると暗記しておきましょう。
さいの補足
細胞分裂の中期から後期に入ると、上下の中心体から伸びた紡錘糸が短くなります。すると、赤道面に一列に整列していた染色体(姉妹染色分体)は、紡錘体の強い牽引力によって2つに分離し、娘細胞へ均等に引き継がれていきます。
ちなみに、この「中心体」は動物細胞や多くの下等植物には存在しますが、高等植物には存在せず、異なる仕組みで紡錘体を形成します。この「植物細胞には中心体がない」という知識は、生物学の超基本として国試でもよく狙われるので併せて覚えておきましょう!
午後 問9:尿沈渣の異常結晶(コレステロール)
【問題】
尿沈渣の無染色標本(別冊No. 2)を別に示す。矢印で示す結晶はどれか。
- 1.尿酸
- 2.シスチン
- 3.ビリルビン
- 4.コレステロール
- 5.リン酸アンモニウムマグネシウム
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正答:4
【解説】異常結晶の形と特徴をマスターしよう!
提示された画像は、無色で「一角に欠損のある方形板状」を示しており、コレステロール結晶が鑑別に上がります。第72回の国試は、午前問題のシスチン結晶に続き、午後も「異常結晶」からの出題となりました。
| 結晶名 | 形態の特徴 | 溶解性と鑑別法 | 出現する主な病態 |
|---|---|---|---|
| コレステロール | 無色、一角に欠損のある方形板状 | クロロホルム、エーテルで溶解する。10%KOHで溶解(+)。 | ネフローゼ症候群、乳び尿、重症肝障害。 |
| シスチン | 無色、正六角形の板状 | 塩酸やアンモニア水に溶解する。30%塩酸、10%KOHで溶解(+)。 | シスチン尿症(先天性代謝異常)。 |
| ビリルビン | 黄褐色、針状・短針の束状 | 水酸化カリウム、クロロホルム、アセトンで溶解する。ジアゾ法で確認。 | 閉塞性黄疸、重症肝障害など。 |
| リン酸アンモニウムマグネシウム | 無色、西洋棺蓋状、羽状型 | 塩酸、酢酸などの酸で容易に溶解する。10%KOHは不溶(ー)。 | 尿素分解細菌(Proteus属など)による尿路感染。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.尿酸(誤り)
健常人でもみられる通常結晶です。黄褐色で多様な形態を示し、10%KOHで溶解します。
尿酸塩は加温(50〜60°)で溶けやすいです。 - 2.シスチン(誤り)
無色で屈折性のある「正六角形」の板状構造を示します。画像のような四角形ではありません。 - 3.ビリルビン(誤り)
黄褐色で針状や束状を示します。画像は無色であるため除外できます。 - 4.コレステロール(正解)
無色で、角が一部欠けたような方形板状(一角に欠損のある方形板状)を示します。 - 5.リン酸アンモニウムマグネシウム(誤り)
アルカリ性尿で認められ、無色で西洋棺蓋状(棺桶のフタのような形)や羽状を示します。
暗記方法・覚え方のコツ
異常結晶は「形」と「色」で瞬殺できます!
・欠けた四角形 = コレステロール
・正六角形 = シスチン
・黄褐色のトゲトゲ = ビリルビン
特にコレステロールの「一角が欠けたガラス板」のようなビジュアルは、一度見たら忘れないほど特徴的ですね!
さいの補足
尿沈渣で異常結晶を見つけた場合、現場では非常に慎重になります。なぜなら、コレステロールやビリルビンなどの病的結晶(異常結晶)が出現しているということは、患者さんの体の中で「重症肝障害」や「ネフローゼ症候群」などの重大な異常が起きているサインだからです。
もし結晶の判定に迷った場合は、見た目だけで判断せず、エーテルなどの有機溶媒を加えて「本当に溶けるか(=脂質成分であるコレステロールか)」を確認する溶解試験を行い、確実に鑑別をしてから医師に報告します。
有機溶媒がない場合は、外注して確認することも大事です。
午後 問10:x-R管理図法(内部精度管理)
【問題】
x-R管理図法で管理するのはどれか。2つ選べ。
- 1.施設間差
- 2.標準液の劣化
- 3.検体採取の過誤
- 4.分析機器の異常
- 5.パニック値の検出
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正答:2、4
【解説】Xbar-R管理図は「内部精度管理」の主役!
Xbar-R管理図法は、同じ管理試料(コントロール血清など)を毎日複数回測定し、その平均値(Xbar)とばらつき(R)を連日グラフにプロットして、検査室内の測定が正しく行われているかを確認する「内部精度管理」の最も一般的な手法です。
| 異常のパターン | 波形の特徴 | 主な原因(変動要因) |
|---|---|---|
| シフト(移り) | ある日を境に、値が上方または下方に急に偏る | 標準液の取り違え、波長の選択ミス、試薬分注量の急激な変化(分析機器の異常)など。 |
| トレンド(傾き) | 次第に(徐々に)値が上昇または下降していく | 標準液や試薬の経時的な劣化・変質、ランプの劣化、検体分注量の経時的変化(分析機器の異常)など。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1.施設間差(誤り)
A病院とB病院の検査データのズレ(施設間差)を管理するのは、外部の機関が共通の試料を配布して評価する「外部精度管理」の役割です。Xbar-R管理図は自施設内の「内部精度管理」に用います。 - 2.標準液の劣化(正解)
標準液が劣化すると、日を追うごとに測定値が少しずつ変動していく「トレンド(傾き)」という異常としてXbar管理図に現れます。 - 3.検体採取の過誤(誤り)
患者さんからの採血ミスや取り違えなどは「検査前プロセス」のエラーです。Xbar-R管理図は「管理試料」を測定して機器や試薬の状態を監視する手法なので、患者検体の採取ミスは発見できません。 - 4.分析機器の異常(正解)
分注ノズルの詰まりやランプの経時的変化など、分析機器の異常が起きると、管理図上に「シフト」や「トレンド」として異常波形が現れ、いち早く検出することができます。 - 5.パニック値の検出(誤り)
パニック値とは、患者さんの生命に危険が及ぶような極端な異常値のことです。患者データの評価であり、精度管理の手法そのものとは関係ありません。
暗記方法・覚え方のコツ
異常波形は「原因のスピード」で覚えましょう!
・シフト(ある日突然ズレる)= 人為的ミス(取り違え)や部品の急な故障。
・トレンド(徐々にズレる)= 劣化(標準液・試薬・ランプなど)による変化。
この違いは精度管理分野の超鉄板ポイントです🔥
さいの補足
臨床検査技師の朝は、この「Xbar-R管理図」の確認から始まります。毎朝、患者さんの検体を測定する前に必ずコントロール血清を測定し、その結果が管理幅に収まっているかを確認します。
もしグラフが急に±3SDを超えて飛んでいたら(大きな変動)、「あれ?試薬のロットが変わったかな?」「分注ノズルに泡が噛んでいるかも?」と原因を究明し、機械が正常な状態に戻るまでは絶対に患者さんのデータを報告しません。
コントロールを測ることに満足し、確認を怠る技師もいますが、いつか必ず事故を起こします。
お疲れ様でした!臨床検査総論の復習はバッチリですか?
第72回の臨床検査総論、本当にお疲れ様でした!尿沈渣の結晶から寄生虫、医療安全まで、本当に範囲が広くて覚えるのが大変な科目です。
でも、ここをしっかり理解しておけば、他の科目の点数アップや現場に出た時の「基礎体力」に必ず繋がります。
一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「暗記のコツ」や「現場でのリアルな知識」を思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください💪
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「この問題がどうしても分からない!」という質問があれば、SNSのコメント欄で気軽に教えてくださいね。
それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!
