臨床検査技師の就職先の一つである検査センター。
学生や転職を考えている方は疑問に思う事も多いと思います。
この記事ではそういった疑問に答えていきます。
検査センターでの仕事の紹介
- 血液学、生化学、免疫学、一般検査、細菌検査、病理検査等の専門の部署に分かれており、各検査室に配属されて検査を行う。
- 検体数は数千~数万
- ISO(国際標準化機構)を取得している検査センターも多く、書類整備も多くある
- 検査をする機械のメンテナンスや試薬の在庫管理など
- ユーザー(病院)への検査結果の報告(異常値が出た場合など)
ざっくりですが、上記の仕事内容が大半を占めています。
僕は中規模の検査センターから大規模の検査センターまで実務経験がありますが、基本的には仕事内容は変わりませんでした。
小規模(ラボ)の場合は、細菌検査や病理検査は無く血液や尿などの検査のみで終わり、他の検査は他検査センターへ外注するのがほとんどかと思います。
なぜ小規模を知っているかというと、中規模クラスになると支所という形でラボを持っているからです。
検査センターでの一日のルーチンの流れ
僕は生化学、免疫学、血液学、一般検査のルーチン業務に携わっていたので、それらを例に説明していきます。
- 基本的に24時間緊急検査を行っている(大規模検査センターはこの限りではない)
- 朝は機器の立ち上げ作業やユーザーへの異常値報告などに注力している
- 結果を急がない検査を午前中に行う(数日単位で時間のかかる検査など)
- 午後(夕方)から検体が集まりだすのでそれまでに分析装置のコンディションを整えておく
- 夕方からは午前の数倍の検体が集まってくるので、人もその時間に合わせて多く出勤してくる
- 夕方から検査を始め、23時~翌1時くらいに検体数がピークに到達する
- 朝8時程度に報告書の出力を終えるため、それまでに到着した検体全てを検査する
- 基本的にルーチンはこの繰り返しです
検査センターで働くことのメリット
- 夜勤が多いので給料が高い
- 企業なので病院と比べて昇給が多い
- ひたすら忙しいため、時間の流れが早く感じる
- 夜間は上司が不在なので気が楽
- 患者相手でないので対人が苦手でも大丈夫
- 休みが取りやすい場合が多い
僕は検査センターで働いていて、一番メリットに感じたのはやはり「給料」です。
32歳の時に年収550万を余裕で越えていました。
月の額面も多い時は40万を超えるほどでした(平均35万程)
仕事の内容的には検体をひたすら検査処理していくだけなので、単調になりがちですが、とにかく暇がありません。
生化学の部署にいたときは1日平均20000歩程歩いていました。(検体を搬送ラインや分注機に並べる→分析装置にかけるの繰り返しで)
そして、上司は基本的には日勤がメインなので、夜間は最高でも主任がいるくらいです。上司に嫌な思い出があるわけではありませんが、いないと気は楽ですよね(笑)
上司がいないとイレギュラーなアクシデントが起きた時に苦労しますが・・・(笑)
人によりますが、患者さんを相手にするのが怖い!という人もいますね。
そういった人には検体のみの検査センターはオススメできます。
話す相手は同じ部署の人間くらいなので、気も楽ですね。
そして、僕が行った事のある検査センター3社では3社とも休日は取りやすい環境にありました。
基本的に検査センターって長期休暇は無理なのですが、その代わり希望休を出すと申請通りに休みが取れるところがほとんどだと思います。
各部署に人数はそこそこいますので、1日に1人~2人程度休んでも問題ないようになっているはずなので、案外休みが取れるわけなんです。
また、1週間程度のリフレッシュ休暇を用意している検査センターもありますので、世間一般の長期休暇であるお盆や正月などは休めずとも、他で休むことは可能です。
検査センターで働くことのデメリット
- 夜勤が多すぎて昼夜逆転になる
- 日にち感覚がなくなる
- 連休じゃないと休んだ気にならない
- 夜勤がないと薄給
- 仕事量が多すぎる
お金の元である「夜勤」ですが、実はこれがかなりの曲者です。
人間夜に寝るようにできていますので、夜勤生活を長年続けていくと当然「体に不調」が出てきます。
- 慢性的な睡眠不足
- 食欲減退・亢進(低体重や肥満の原因)
- ホルモンバランスの崩れ
- 消化器系の異常
僕の場合は、睡眠障害と消化器系の異常(逆流性食道炎)が顕著に出ていました。
冬場はマイナス気温の夜中に出勤して気温が下がり切った早朝に帰宅という地獄を味わい
真夏はセミの鳴き声に悩まされ、やっと静かになったら起床時間とか(笑)明るい時に出勤して、明るくなって帰宅するという別の地獄生活
そういった生活を続けていると、仕事と睡眠の繰り返しに陥り、曜日や日付感覚が無くなってきます。
僕の知り合いで、夜勤で体調を崩して日勤メインになった人もいますが、給料の下がり具合に落胆していました。
月平均で夜勤手当だけで10万円程度ついていたから、当然ですよね。
また、通常の検査ルーチンを終えるだけでも定時もしくは1~2時間の残業をする程度になる事がしばしばあるのに、書類整備や学会発表の準備などがあるともうその日、いやその週は地獄です(笑)
リアルに残業8時間とかなったりします・・・。
あんまり言うと営業妨害になり兼ねないのでこの辺にしておきましょうか(笑)
検査センターでのやりがい
とにかく検査センターの分析装置のレベルは高いです。
中規模程度の病院ではまず手が出ないほど高性能な機械が多く揃っています。
そして、省力化を目指しているのか、中にはロボットを使っている会社もある程です。
そんな最新の環境で仕事ができるのは、実はとても幸せな事であったりもします。
また、多くの検体が届くため、珍しい検査に巡り合う事もあります。
通常、民間病院で働いていて、マラリアの検体に出会う事はまずないですよね。
そういった珍しい検体に実際に出会うのも一つのやりがいと言えるのではないでしょうか。
また、企業ゆえにとにかく利益を優先しなければいけません。
日々の試薬コストを計算し、月当たり〇〇円のコストダウンに成功したという実績を残す事ができれば社内での評価も上がり、やる気もでてきます。
病院と違って、患者さんに関わる事がないので「私の検査で患者さんの腫瘍を見付ける事ができた」とか「医師から認めてもらえる」といった達成感は得る事ができません。
検査センターで働く価値
検査センターが自分の型にハマっている人は最高に向いている職場だと言えます。
しかし、大半の人は夜勤の多さに驚き、また忙しさのあまりに疲れ果ててしまい、比較的早い段階で「退職」を選択してしまっているのも事実です。
臨床検査技師としてのスキルを高めたいという人は、正直検査センターで働く価値はありません。
「お金を稼ぎたい、忙しくてもひたすら作業をして、仕事の達成感を味わいたい」という人は検査センターでの仕事が向いていると思います。
検査センターは激務だと学生時に聞くかもしれませんが、それは本当の事です。
僕は今中規模病院で働いていますが、毎日の作業量は本当に1/10以下になったと思います。
お金を取るか、経験を取るか、やりがいを取るか。
結局の所は人によって違うので、是非この記事を参考にして考えてみて下さい。