”臨床検査技師”という職業は非常にマイナーなものです。
近年「フラジャイル」というドラマが放送され、若干知名度が上がったもののそれでもなお、マイナーな職業だと言えます。
僕はそんなマイナー職「臨床検査技師」として10年程経験を積んでいる中堅検査技師です。
そんな僕が、臨床検査技師はどんな職業で、どうやったらなる事ができるのかを解説していきたいと思います。少しでもこの職業に興味を持っていただけると嬉しいですね。
臨床検査技師とはどんな職業?
臨床検査技師とは医療職(コメディカル)の一つで、医師の指示の元、患者さんや、サンプリングされた検体(血液等)を検査する専門職です。
生理検査
臨床検査の花形と言われるのがエコー(超音波検査)です。
エコーは非侵襲的な検査であり、患者さんに負担をほとんどかけずに行う事ができる素晴らしい検査です。
体の臓器、腸管や血管、あるいは骨表面といった幅広い対象物を観察することができます。
エコーの他にも、心電図や肺機能、脳波など様々な生理検査があります。
全ての検査において患者さんに接して検査を行います。
検体検査
縁の下の力持ち的存在である検体検査です。
こちらは患者さんと直接かかわる事はほとんどありません。
患者さんからサンプリングされた血液等を自動分析装置にかけたり、または血液中の細胞を顕微鏡を使って観察したりします。
自動分析装置では検査データが数値化されて出力されるので、正常値・異常値かを把握しつつ医師に報告します。
また、顕微鏡を使って細胞を観察し異常細胞が出ていないか、自動分析装置との結果に差異はないか等の確認を取ったりします。
エコーと比べると地味な検査ですが、医師の診断には欠かせない大切な仕事です。
臨床検査技師ってどうやってなるの?
臨床検査技師は「国家資格」が必要な職業です。
厚労省から定められた既定の学校に入学し、国家試験受験資格を得る必要があります。
合格率約75-80%の国家試験に合格できれば臨床検査技師になる事ができます。
どんな学校があるの?
大学と専門学校があります。
大学は4年制、専門学校は3年制です。
近年、専門学校でも4年制に変わりつつあるので、事前に調査した方が良いでしょう。
大学と専門学校の違いって何?
その学校の理念によってかなり変わってくるので一概には言えませんが、僕個人の感覚ではざっくりですが、こういった違いがあると思います。
- 大学:国家試験受験資格は与えるけど、臨床検査技師だけが全てじゃないよ。
- 専門学校:国家試験合格が第一!その後病院でも活躍できるようにカリキュラムも強化!
当然学校側としては、臨床検査技師になれるという事をアピールしたいので、両者ともに国家試験合格率等で学生を集めようとするでしょう。
僕は大学を出て臨床検査技師になりましたが、就職して色んな学校の人に話を聞きましたが、やはり専門学校とは国家試験と就職に対する温度差をかなり感じました。
今回は臨床検査技師についてどういった職業で、どうやったらなれるのかというテーマで話をしているので詳細は省きますが、簡単に実例を出して説明すると
大学:病院実習2か月
専門学校:病院実習1年
簡単にいうとこんな感じです(笑)
大学はどちらかというと企業就職を推していますが、専門学校は病院一択的な雰囲気があります。
話がかなり逸れてしまいましたが、専門学校か大学に入学し、国家試験に無事合格することが出来れば晴れて”臨床検査技師”になる事ができます。
臨床検査技師の就職先は?
一般的に臨床検査技師の就職先は大きく分けて3つあります。
- 病院
- 検査センター
- 一般企業(医療機器メーカー等)
- ※他にも治験コーディネーター等もありますが割愛
僕は病院と検査センターでの経験があります。一般企業に関しては、病院で働いていると関わる機会もあるので、そういった面で得た情報を公開していきたいと思います。
それでは、ざっくりどんな仕事かを説明していきます。
病院
病院といっても、その規模によって給料から仕事内容まで大きく変わってきます。
- 臨床検査全般(中規模病院まで)
- 専門分野の検査を極める(大規模病院)
- 学術発表等の論文作成など
小規模~中規模の病院であれば、臨床検査全般(多少の専門性は出るが生理機能も検体検査も両方)が業務になる可能性は高いです。
なぜなら患者の数が大規模病院と比べて少ないからです。
検査技師の数も数人程度なので、「私はエコーしかやらない、私は検体しかやらない」というわけにはいかなくなってきます。
ゆえに覚える事は多くありますが、広く浅くではありますが多くの知識を得る事はできます。
大病院ではそういった臨床検査全般を行うわけにはいきません。
エコーならエコーの専属の部署があるので、そこでみっちりその道を極めていきます。
そしてその部署には専門の医師がいる事が多く、供に多くの症例に触れて学術的な論文を作成したりもするでしょう。
大病院では、その道のエキスパートになる事ができるかもしれませんが、論文作成などの学術的な業務も多くなっていくでしょう。
夜勤は病院によっては当直やオンコール(呼び出し)で対応しますが、基本的には少ない職場です。
僕は中規模病院に勤めていますが夜勤もほとんどなく、仕事そのものにはストレスを感じることなく過ごせています。
ただし、給料に関していうとやや低めかな?という印象です。
病院のトップは医師です。
検査技師でいくら頑張った所で、部署内での出世はできても院内での立場は高くなりません。
そこを履き違えると、就職してから苦労するかもしれませんね。
臨床検査技師になって、患者さんの検査を頑張りたい!と思う方であれば病院の就職が良いかもしれません。
検査センター
検査センターは病院ではありません。
従って患者さんは0人です。対人の仕事ではないのですが、代わりに病院でサンプリングされた検体(血液等)を大量に検査していきます。
病院は日中しか空いていませんので、日中に集めた検体を検査センターでは夜間に検査を行います。
つまり、検査センターの仕事の大半は夜間に集約してしまうのです。
- ひたすらに検体検査(メインは夜勤)
- 血液、生化学、免疫、一般、細菌、病理などに細分化され、各部署で大量に検査を行う
ただひたすらに検査を進めていく仕事なので、単純作業になります。
検査の数が数千~数万に及ぶ事もあるので、効率よく仕事を進めないと1日で終わらすことはできなくなってしまいます。終わらすことができないと、検査センターとして信用が落ちてしまうので、大クレーム案件に発展する可能性もあります。
夜勤でもいいからとにかく稼ぎたい!という人にはオススメできますが、普通の生活が送れなくなる可能性が極めて高いため、覚悟を決めて選ばなくてはいけません。
また、大量の検体検査を行うがゆえに、専門知識や経験がごく限られたものになってしまいがちです。
従って、転職をしようにも身動きが取れなくなってしまう可能性もあるので要注意です。
検査センターでは、出世していけばそれなりの地位を築くことができますが、結局は企業なので社長の気分一つで一般社員の扱いは大きく変わっていくでしょう。
僕は検査センターから病院に転職したクチなので、検査センターは金銭面以外ではオススメできません。
一般企業(医療機器メーカー)
検査を行うには、必ず何らかの機械を使います。
それらの機械を取り扱う企業には実は臨床検査技師が活躍できる場所があるのです。
仕事内容としては以下の通り。
- 医療機器のメンテナンスやサポート業務(病院訪問)
- 検査手順の説明(病院訪問)
- 検査結果の解析業務(病院などの施設より外注依頼)
- 営業活動(専門知識を活かす)
大学4年の頃、前調べなしに就職説明会に行ってもこういった企業を見つけ出すのは中々に難しいものです。
臨床検査技師のほとんどは病院に就職するため、案外知られざる道です。
僕が見た限りでは案外女性の方も多く活躍されています。
それぞれ医療機器メーカーに特化した分野での知識や経験は積むことはできますが、それ以外の経験値は基本的には入りません。
臨床検査技師として営業活動を行うので、専門知識を活かし医師や各コメディカルとのコミュニケーションも必須になってくるでしょう。
医療機関ではないので、休みがキチンと取れるのが最大の魅力かもしれません。
臨床検査技師の学校や仕事内容まとめ
- 厚労省が定めた国家試験受験資格を得られる大学や専門学校を選ぶ
- 合格率約75~80%の国家試験に合格する
- 病院や検査センター、一般企業を選択できる
専門学校や専門の大学を選ぶので、在学中に他の道を考えても身動きがとりにくいのが一つの悩みでもあります。
臨床検査技師はいわゆる専門職ではありますが、技師でない他の職業も紛れもない専門職です。なので、そこまで身構えずに、まずは自分のやりたい事をやってみてはどうでしょうか。
臨床検査技師になるためにはまずは国家試験です。
僕が現役合格した国家試験の合格手順なども解説していきますので、よろしくお願いします。