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第72回臨床検査技師国試 午前【臨床化学】全選択肢の正誤理由と覚え方まとめ

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こんにちは!臨床検査技師のさいです。

今回は第72回臨床検査技師国家試験の午後問題から、「臨床化学」の解説まとめをお届けします!

総蛋白や脂質代謝のアポ蛋白、酵素法の測定原理から、酸塩基平衡(アニオンギャップ)、ホルモンの化学的分類、さらにはICG試験(オワコン?)まで、重要な検査項目が目白押しの範囲です。

アルファベットや数字が多くて丸暗記が辛く感じるかもしれませんが、「なぜその数値が上がるのか」「どうやって測定しているのか」をスッキリ理解できるよう、語呂合わせや表を交えて解説を作成しました。(間違いがあったらSNSのDMなどで教えてください)

僕が受験生の頃、参考書の解説だけではわかりにくいと思った経験があり、そういった悩みにフォーカスを当てて作成するようにしています。
少しでも国試勉強の役に立てられれば幸いです。

※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第72回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。

第72回 臨床化学:午前問題の正誤理由まとめ
(問29〜44)

午後 問29:2ポイント法の液量補正計算

【問題】
2ポイント法で第1試薬反応後の吸光度は0.005、第2試薬反応後の吸光度は0.200であった。検体盲検補正後の吸光度はどれか。ただし、検体量は10μL、第1試薬量は230μL、第2試薬量は60μLとする。

  • 1.0.192
  • 2.0.196
  • 3.0.200
  • 4.0.204
  • 5.0.208
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正答:2

【解説】第2試薬を入れると「薄まる」ことを忘れずに!

現在の生化学自動分析装置は、第1試薬で検体の濁りや色などの影響(検体盲検)を測り、第2試薬を入れてから本来の主反応を起こす「2ポイント法」が主流です。真の吸光度(反応した量)を求めるには、第2試薬反応後の吸光度から、第1試薬反応時の吸光度を差し引く必要があります。しかし、単純に引き算をしてはいけません。

ステップ 計算内容
① 液量を計算する 第1試薬時の液量:検体10μL + 第1試薬230μL = 240μL
第2試薬時の液量:検体10μL + 第1試薬230μL + 第2試薬60μL = 300μL
② 液量補正をする 第2試薬が入ると液量が増えるため、最初の吸光度(0.005)は薄まります。
補正後の第1吸光度 = 0.005 × (240 / 300) = 0.005 × 0.8 = 0.004
③ 差し引く 真の吸光度 = 第2吸光度(0.200) − 補正後の第1吸光度(0.004) = 0.196

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.0.192(誤り)
    誤った計算による選択肢です。
  • 2.0.196(正解)
    液量補正係数(240/300=0.8)を第1試薬反応後の吸光度(0.005)に掛け、それを第2試薬反応後の吸光度(0.200)から引いた正しい値です。
  • 3.0.200(誤り)
    検体盲検(第1試薬反応後の吸光度)を全く引いていないそのままの値です。
  • 4.0.204(誤り)
    足し算をしてしまった場合などの誤った選択肢です。
  • 5.0.208(誤り)
    誤った計算による選択肢です。

暗記方法・覚え方のコツ

公式として
「真の吸光度 = 第2吸光度 − {第1吸光度 × (R1の時の総液量 / R2の時の総液量)}」
を暗記してしまいましょう!「最初の吸光度は、後から薄まるから掛け算で少し小さくしてから引く!」と理屈で覚えておくと忘れにくいかも👍

さい
さい
過去の国試(第63回など)では、この計算を逆算させる「Xを求める問題」も出題されています。式の意味を理解しておくことが応用力に繋がります!

さいの補足

現場の自動分析装置は、この面倒な計算を全自動で一瞬でやってくれています。
そもそもなぜ「第1試薬」で一度吸光度を測る(検体盲検をとる)必要があるのでしょうか?
それは、患者さんの血清が必ずしも綺麗な黄色とは限らないからです。例えば、脂質異常症で血液がヤク○トのように濁っていたり(乳び)、溶血して赤くなっていたり、黄疸で黄色が強すぎたりすると、光がうまく通らず、反応していないのに「吸光度が高い=数値が高い」と機械が勘違いしてしまいます。
これを防ぐために、主反応を起こす前にまず「元々の検体の濁り具合(ベースライン)」を測っておき、後から差し引くことで正確なデータを出しています👍

午後 問30:ビリルビンの性質と代謝

【問題】
ビリルビンで誤っているのはどれか。

  • 1.遊離型ビリルビンは水に不溶性である。
  • 2.非抱合型ビリルビンは細胞毒性を有する。
  • 3.ビリルビンは抗酸化物質として機能する。
  • 4.間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤を必要とする。
  • 5.抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる。
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正答:5

【解説】「直接」と「間接」の特徴を完璧に整理しよう!

ビリルビンは、寿命を迎えた赤血球(ヘモグロビン)のゴミです。肝臓で処理(グルクロン酸抱合)を受ける前のものを「間接ビリルビン」、処理を受けた後のものを「直接ビリルビン」と呼びます。この2つの性質の違いが重要です。

比較項目 間接ビリルビン 直接ビリルビン
別名 非抱合型(遊離型)、α-ビリルビン 抱合型、β・γ-ビリルビン(サブタイプ)
水への溶けやすさ 水に溶けない(不溶性・脂溶性)
※アルブミンに乗って運ばれる
水に溶ける(水溶性)
※尿中にも排泄される
ジアゾ試薬との反応 直接反応しない(反応促進剤が必要) 直接反応する
上昇する代表疾患 溶血性黄疸、新生児黄疸など 閉塞性黄疸(胆管結石・がん)など

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.遊離型ビリルビンは水に不溶性である。(正しい)
    遊離型(間接)ビリルビンは水に溶けないため、血液中ではアルブミンと結合して安全に運ばれます。
  • 2.非抱合型ビリルビンは細胞毒性を有する。(正しい)
    非抱合型(間接)ビリルビンは脂溶性のため、脳の細胞(脂質)に沈着しやすく、新生児の脳にダメージを与える「核黄疸」の原因という細胞毒性を持っています。
  • 3.ビリルビンは抗酸化物質として機能する。(正しい)
    ビリルビン自体は強力な抗酸化作用を持っており、体内の酸化ストレスから細胞を守る役割も担っています。
  • 4.間接ビリルビンはジアゾ反応に反応促進剤を必要とする。(正しい)
    間接ビリルビンはそのままではジアゾ試薬と反応しないため、メタノールやカフェインなどの「反応促進剤」を入れることで無理やり反応させます(だから「間接」と呼ばれます)。
  • 5.抱合型ビリルビンはアルブミンと結合してシャントビリルビンとなる。(誤り:正解選択肢)
    抱合型(直接)ビリルビンがアルブミンと共有結合したものは「δ(デルタ)ビリルビン」と呼ばれます。
    ※シャントビリルビンとは、骨髄で赤血球ができる途中で壊れてしまい、そのままビリルビンになってしまった「無効造血」由来のビリルビンのことです。

暗記方法・覚え方のコツ

ビリルビンの種類はHPLC法で分離した時の名前で出題されることがあります。
・α(アルファ)= 間接ビリルビン
・β、γ(ベータ、ガンマ)= 直接(抱合型)ビリルビン
δ(デルタ)= アルブミンと結合した直接ビリルビン
「アルブミンとガッチリ結合した最強の直接ビリルビンがデルタ🔥」

さい
さい
黄疸の患者さんの尿が真っ黄色になるのは、「水に溶ける直接ビリルビン」が尿中に漏れ出ているからです!間接ビリルビンは水に溶けないので尿には通常出ません

さいの補足

閉塞性黄疸などで直接ビリルビンが血液中に長期間滞留すると、一部の直接ビリルビンがアルブミンとガッチリ結合して離れなくなってしまいます。これが「δ(デルタ)ビリルビン」です。
このδビリルビンは、腎臓のフィルター(糸球体)を通り抜けることができず尿に排泄されないため、黄疸の治療(手術など)をして結石を取り除いた後も、しばらく血液中に残り続け、黄疸の数値(血中ビリルビン値)がなかなか下がらない原因になります。
「治療したのになかなか黄疸が引かないな?」という時は、このδビリルビンの存在が疑えます👓👍

午後 問31:酵素の測定法と共役酵素

【問題】
日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で試薬に脱水素酵素が含まれるのはどれか。

  • 1.ALP
  • 2.AMY
  • 3.CK
  • 4.LD
  • 5.γ-GT
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正答:3

【解説】まずは「共役酵素を使わない3種類」を弾くのが鉄則!

酵素の測定法には、目的の酵素が作った物質を直接測る方法と、別の酵素(共役酵素)をさらに反応させて間接的に測る方法があります。 国試の酵素問題は、まず「共役酵素を全く使わない3つの酵素」を暗記して選択肢から消去するのが最短ルートです。

測定する目的の酵素 測定原理(JSCC勧告法) 使用する共役酵素
CK NADH(またはNADPH)の増加を測定(340nm) ヘキソキナーゼ(HK)、グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)
AST NADHの減少を測定(340nm) リンゴ酸脱水素酵素(MDH)
ALT NADHの減少を測定(340nm) 乳酸脱水素酵素(LD)
AMY 2-クロロ-4-ニトロフェノールの増加を測定(400nm) α-グルコシダーゼ など(※脱水素酵素ではない)
LD、ALP、γ-GT 目的酵素の生成物を直接測定する 用いない(試薬に酵素は含まれない)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.ALP(誤り)
    共役酵素を用いません。ニトロフェノール系生成物を直接測定します。
  • 2.AMY(誤り)
    共役酵素としてα-グルコシダーゼ等を用いますが、これは加水分解酵素であり、脱水素酵素ではありません。
  • 3.CK(正解)
    共役酵素として「ヘキソキナーゼ(HK)」と「グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)」を用います。試薬の中にG6PDという脱水素酵素が含まれているため正解となります。
  • 4.LD(誤り)
    LD(乳酸脱水素酵素)自体が脱水素酵素ですが、測定する「目的の酵素」であり、試薬に「共役酵素」として添加されているわけではありません。ここが最大の引っかけです。
  • 5.γ-GT(誤り)
    共役酵素を用いません。ニトロアニリン系生成物を直接測定します。

暗記方法・覚え方のコツ

このタイプの酵素問題は
「共役酵素を使わない3種類(LD、ALP、γ-GT)」を真っ先に探してバツをつけるのがよき!
残ったもののうち、NADH(340nm)を測定するCK、AST、ALTは、水素(H)をやり取りする必要があるため、必ず共役酵素に「〜脱水素酵素」が使われていると推理できます。

さい
さい
この問題の4番(LD)は非常に意地悪な引っかけです😡「LDって乳酸脱水素酵素だからこれが正解だ!」と飛びついた受験生を落とすトラップ😭

さいの補足

今回の問題のように、「共役酵素を用いないのはどれか?」という直接的な聞き方ではなく、「試薬の中に〜酵素が含まれるのはどれか?」という回りくどい聞き方をしてくるのが最近の国試のトレンドです。
自動分析装置の「試薬ボトル」の中には、目的の酵素を反応させるための基質が入っています。しかし、CKやASTのように一回の反応だけでは色が変化せず機械で読み取れない(吸光度が測れない)酵素の場合は、試薬ボトルの中に「第二の酵素(共役酵素)」をあらかじめ混ぜておくことで、無理やり色が変化する物質(NADHなど)を作り出しています。

午後 問32:血清総蛋白の測定と特徴

【問題】
血清総蛋白の検査で誤っているのはどれか。

  • 1.脱水状態で上昇する。
  • 2.蛋白質は280nmに極大吸収を持つ。
  • 3.座位の基準範囲は6.6~8.1g/dLである。
  • 4.血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。
  • 5.ビウレット反応はトリペプチドで起こる。
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正答:4

【解説】総蛋白(TP)の3大測定法をマスターしよう!

血清総蛋白(TP)の測定法は、国試の臨床化学においてよく問われる重要項目です。それぞれの原理とキーワードを整理しておきましょう。

測定法 測定原理と特徴 測定波長
ビウレット法(標準法) ペプチド結合(2個以上)がアルカリ性で銅イオンとキレートを形成し、赤紫色に呈色する反応。 540〜545nm
屈折計法 蛋白濃度が高くなるほど、光の屈折率が大きくなる(正比例)ことを利用した簡便法。 (光の屈折を直接見る)
紫外部吸収法 蛋白質に含まれる芳香族アミノ酸(チロシン、トリプトファンなど)が紫外線を吸収する性質を利用。 280nm

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.脱水状態で上昇する。(正しい)
    脱水によって血液中の水分が減ると、血液がドロドロに濃縮されるため、相対的に蛋白濃度は高値を示します。
  • 2.蛋白質は280nmに極大吸収を持つ。(正しい)
    蛋白質を構成するアミノ酸のうち、チロシンやトリプトファンなどの「芳香族アミノ酸」が280nmの紫外線を強く吸収する性質を持っています。
  • 3.座位の基準範囲は6.6~8.1g/dLである。(正しい)
    寝ている状態(臥位)から座ったり立ったりすると、重力で水分が血管の外に移動し血液が少し濃縮されるため、臥位よりも約5〜10%高くなります。
  • 4.血清の屈折率は総蛋白濃度に反比例する。(誤り:正解選択肢)
    反比例ではなく「正比例」します。砂糖水が濃いほど光が大きく曲がるのと同じで、蛋白濃度が高ければ高いほど屈折率も大きくなります。
  • 5.ビウレット反応はトリペプチドで起こる。(正しい)
    ビウレット反応は「ペプチド結合が2つ以上」あるもので起こります。アミノ酸が3つくっついた「トリペプチド」は、その間にペプチド結合を2つ持っているため反応します。

暗記方法・覚え方のコツ

ビウレット法の引っかけ対策として「ビ(2)ウレット法は、アミノ酸が3(トリ)個以上のトリペプチドで反応する!」と強引な語呂ですが活用してみましょう。
アミノ酸が2個のジペプチド(結合は1つ)では反応しないのが頻出ポイントです。

さい
さい
血清(フィブリノゲンを含まない)の総蛋白は、血漿(フィブリノゲンを含む)よりも、フィブリノゲン分(約0.2〜0.3g/dL)だけ低くなります📝

さいの補足

採血時の「体位」によって検査値が変わるというのは、検査技師としては気を使うポイントです。
例えば、入院中の患者さん(ずっとベッドで寝ている臥位)の採血データと、外来に歩いてやってきた患者さん(座って採血する座位)のデータをそのまま比較してしまうと、水分の移動による濃縮効果で、外来の時の方が総蛋白やアルブミンが少し高く見えてしまうということが起きてしまいます。

午後 問33:アポ蛋白と酵素の活性化

【問題】
レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ〈LCAT〉を活性化するのはどれか。2つ選べ。

  • 1.アポAⅠ
  • 2.アポB48
  • 3.アポCⅠ
  • 4.アポCⅡ
  • 5.アポE
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正答:1、3

【解説】どの酵素のスイッチを入れるのかを整理しよう!

リポ蛋白の表面にくっついている「アポ蛋白」は、単なる目印としての役割だけでなく、脂質代謝に関わる重要な酵素を活性化したり、阻害したりする役割を持っています。国試では以下の組み合わせが重要です。

アポ蛋白 主な存在場所 重要な機能(重要ポイント)
アポAⅠ HDL LCATを活性化する。
アポB48 カイロミクロン カイロミクロンの構造蛋白。
アポB100 VLDL、LDL LDLの構造蛋白であり、LDL受容体のリガンド。
アポCⅠ 各種リポ蛋白 LCATとLPLの両方を活性化する。
アポCⅡ 各種リポ蛋白 LPLを活性化する。
アポE 各種リポ蛋白 レムナント受容体やLDL受容体のリガンド。

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.アポAⅠ(正解)
    善玉コレステロールであるHDLの主成分であり、LCATを強力に活性化します。
  • 2.アポB48(誤り)
    小腸で作られるカイロミクロンの骨組み(構造蛋白)となるアポ蛋白です。酵素の活性化作用はありません。
  • 3.アポCⅠ(正解)
    LCATおよびLPLの両方を活性化する作用を持っています。
  • 4.アポCⅡ(誤り)
    LPL(リポ蛋白リパーゼ)を活性化する代表的なアポ蛋白ですが、LCATは活性化しません。
  • 5.アポE(誤り)
    肝臓の受容体にくっつくための「鍵(リガンド)」として働きます。

暗記方法・覚え方のコツ(神語呂合わせ)

LCATの働きと活性化因子は、この語呂合わせで一撃です!
「LサイズCAT、リゾートでエステ味わうアポAC1」
・LサイズCAT = LCAT(酵素)
・リゾートで = リゾレシチン(生成物)
・エステ = エステル型コレステロール(生成物)
・味わう = アポA1、C1(活性化因子)

さい
さい
LPL(リポ蛋白リパーゼ)を活性化するアポCⅡとの引っかけに注意です⚠️

さいの補足

LCAT(レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ)は、善玉コレステロール(HDL)が末梢組織から余分なコレステロールを回収する時に大活躍する酵素です。
HDLの上に乗ったLCATは、レシチンの脂肪酸を引き抜き、それを遊離コレステロールにくっつけて「エステル型コレステロール」という安定した荷物に変換します。脂肪酸を奪われたレシチンは「リゾレシチン」になります。
また、このLCATという酵素は「肝臓」で作られています。そのため、肝硬変や劇症肝炎などの重篤な肝疾患になると、LCATが作れなくなり血液中の活性が低下します。

午後 問34:クレアチニンの酵素法測定

【問題】
酵素法でクレアチニンを測定する際に用いられるのはどれか。2つ選べ。

  • 1.ウリカーゼ
  • 2.乳酸脱水素酵素
  • 3.クレアチニナーゼ
  • 4.リンゴ酸脱水素酵素
  • 5.ザルコシンオキシダーゼ
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正答:3、5

【解説】酵素リレーの順番と登場人物を覚えよう!

クレアチニンの酵素法(SOX-POD法)は、複数の酵素をバトンタッチして最終的に赤い色素(キノン色素)を発色させる仕組みです。

反応の順番 反応式 使用する酵素
第1段階 クレアチニン + H2O → クレアチン クレアチニナーゼ
第2段階 クレアチン + H2O → ザルコシン + 尿素 クレアチナーゼ
第3段階 ザルコシン + H2O + O2 → 過酸化水素(H2O2)など ザルコシンオキシダーゼ
第4段階 過酸化水素 + 発色試薬 → 赤色(キノン色素) ペルオキシダーゼ(POD)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.ウリカーゼ(誤り)
    尿酸(UA)の測定に用いられる酵素です。尿酸をアラントインと過酸化水素に分解します。
  • 2.乳酸脱水素酵素(誤り)
    ALTの測定などで共役酵素として用いられます。クレアチニンの測定には使いません。
  • 3.クレアチニナーゼ(正解)
    クレアチニンをクレアチンに分解する、SOX-POD系の最初のステップの酵素です。
  • 4.リンゴ酸脱水素酵素(誤り)
    ASTの測定などで共役酵素として用いられます。
  • 5.ザルコシンオキシダーゼ(正解)
    第3段階でザルコシン(サルコシン)を酸化して、発色の元となる過酸化水素を発生させる酵素です。

暗記方法・覚え方のコツ

「ニ」があるかないかの引っかけに注意!測定するターゲットが「クレアチニ(ni)ン」なので、最初に働く酵素は「クレアチニ(ni)ナーゼ」です。「クレアチナーゼ」は2番目に働く別の酵素なので、しっかり区別しましょう。

さい
さい
酵素法は特異性が高く正確ですが、昔ながらの「ヤッフェ法」の原理が出題されることもあるので併せてチェックしましょう📝

さいの補足

クレアチニンの測定法には、今回の「酵素法」のほかに、昔から広く使われている「Jaffe(ヤッフェ)法」があります。
ヤッフェ法は、アルカリ性溶液中でクレアチニンにピクリン酸を反応させ、生じた「橙赤色(オレンジ色)」の化合物の吸光度を測定するという非常にシンプルな原理です。
試薬が安価というメリットがある一方で、血液中のピルビン酸やアセト酢酸など(活性メチレン基を持つ物質)にも反応してしまい、実際のクレアチニン値よりも少し高く出てしまう(正の誤差を生じる)という弱点があります。
国試では最新の酵素法だけでなく、この伝統的なヤッフェ法の原理や弱点(ピクリン酸、橙赤色、正誤差)も頻出なので、覚えておきましょう!

午後 問35:ビタミンの別名と結合蛋白

【問題】
レチノール結合蛋白〈RBP〉と結合するビタミンはどれか。

  • 1.A
  • 2.C
  • 3.D
  • 4.E
  • 5.K
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正答:1

【解説】「レチノール」が何かを知っていれば一秒で解ける!

この問題は複雑な代謝経路を知らなくても、「レチノール=ビタミンAの別名(化学名)」であることさえ知っていれば瞬殺できるボーナス問題です。国試ではビタミンの別名が頻繁に問われるため、代表的なものは必ず暗記しておきましょう。

ビタミン 別名(化学名) 主な機能・特徴
A レチノール 視覚機能の維持。RBPと結合して運ばれる。
C アスコルビン酸 コラーゲンの合成、抗酸化作用。
D カルシフェロール カルシウムの吸収促進。
E トコフェロール 生体膜の抗酸化作用。
K フィロキノン 等 血液凝固因子の合成。

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.A(正解)
    ビタミンAの別名はレチノールです。肝臓から血液中に放出される際、レチノール結合蛋白(RBP)と特異的に結合して運ばれます。
  • 2.C(誤り)
    別名はアスコルビン酸です。水溶性ビタミンのため特異的な結合蛋白を持たず、血液中に溶けて運ばれます。
  • 3.D(誤り)
    別名はカルシフェロールです。ビタミンD結合蛋白(DBP)と結合して運ばれます。
  • 4.E(誤り)
    別名はトコフェロールです。リポ蛋白(VLDLやLDLなど)に取り込まれて運ばれます。
  • 5.K(誤り)
    別名はフィロキノンやメナキノンです。ビタミンE同様、リポ蛋白に取り込まれて運ばれます。

暗記方法・覚え方のコツ

ビタミン不足による欠乏症と一緒に、別名もセットで暗記しましょう!
・A:レチノール(夜盲症)
・C:アスコルビン酸(壊血病)
・D:カルシフェロール(くる病、骨軟化症)
・E:トコフェロール(溶血性貧血)

さい
さい
この問題のように、「物質の別名」がそのまま答えや、ヒントになっている問題は、国試でよく出題されます!

さいの補足

正解となった「レチノール結合蛋白(RBP)」は、血液中では単独で存在せず、「プレアルブミン(トランスサイレチン)」という別のタンパク質と複合体を作って移動しています。
臨床化学の分野では、このRBPやプレアルブミンは、血液中での寿命(半減期)が0.5日〜2日と非常に短いため、患者さんの「数日前のリアルタイムな栄養状態」を評価する「Rapid Turnover Protein(RTP)」として活躍しています。

午後 問36:敗血症マーカーと疾患特異的蛋白

【問題】
敗血症マーカーはどれか。

  • 1.KL-6
  • 2.シスタチンC
  • 3.トロポニンT
  • 4.カルプロテクチン
  • 5.プロカルシトニン
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正答:5

【解説】疾患マーカーは代表例をセットで暗記しよう!

特定の臓器や疾患の状態で血液中に増加する「疾患マーカー」は、国試の臨床化学や免疫学で必ず出題される超重要項目です。
一覧表を作って「疾患名とマーカー」をペアで頭に入れておくのが得点アップの近道です。

疾患名 代表的な特異的マーカー
全身性細菌感染症・敗血症 CRP、プロカルシトニン、プレセプシン、エンドトキシン
間質性肺炎 KL-6、SP-A、SP-D
腎機能障害(腎不全) シスタチンC
心筋梗塞など(心筋ダメージ) トロポニンT、トロポニンI、CK-MB、H-FABP
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など) 便中カルプロテクチン

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.KL-6(誤り)
    間質性肺炎の活動性を評価するマーカーです。II型肺胞上皮細胞から分泌されます。
  • 2.シスタチンC(誤り)
    腎機能(糸球体濾過量:GFR -Cys)の評価に用いられます。
    シスタチンCはクレアチニンと比較し、筋肉量の影響を受けにくいのが特徴です。
  • 3.トロポニンT(誤り)
    急性心筋梗塞など、心筋がダメージを受けた際に血液中に漏れ出してくる心筋特異的なマーカーです。
  • 4.カルプロテクチン(誤り)
    腸管の炎症(潰瘍性大腸炎やクローン病など)を評価するマーカーで、主に「便」を用いて検査します。
  • 5.プロカルシトニン(正解)
    重症の全身性細菌感染症(敗血症)で特異的に上昇するマーカーです。ウイルス感染症ではあまり上昇しないため、鑑別にも役立ちます。

暗記方法・覚え方のコツ

敗血症のマーカーは「CRP、プロカルシトニン、プレセプシン、エンドトキシン(グラム陰性菌のみ)」の4点セットで覚えてしまいましょう!

さい
さい
ちなみに、エンドトキシンが上昇するのは「グラム陰性菌」による敗血症の時だけです!グラム陽性菌では上がらないので引っかけに注意です。

さいの補足

患者さんが高熱を出して運ばれてきた時、「それが単なる風邪(ウイルス性)なのか、それとも命に関わる重篤な細菌感染症(敗血症)なのか」を迅速に見極める必要があります。
この時、従来のCRPや白血球数だけでは判断に迷うことが多いのですが、「プロカルシトニン(PCT)」は重症の細菌感染の時だけ鋭く反応して上昇するため、抗生物質を投与するべきかどうかの強力な判断材料になります。
最近では「プレセプシン」というさらに早期から上昇するマーカーも現場でよく使われるようになってきているので、国試でもトレンドとして要注意です👍
学会でもよく出てきています。

午後 問37:アニオンギャップと酸塩基平衡

【問題】
アニオンギャップが上昇するのはどれか。

  • 1.嘔吐
  • 2.下痢
  • 3.乳酸アシドーシス
  • 4.尿細管性アシドーシス
  • 5.副甲状腺機能亢進症
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正答:3

【解説】代謝性アシドーシスの原因を推理する指標!

アニオンギャップ(AG)は、「Na+ − (Cl + HCO3)」という計算式で求められる指標です。
「代謝性アシドーシス」の患者さんを見た時、その原因が何かを絞り込むために使われます。
AGが「上昇(開大)」するか、「正常(変化なし)」のままかの2パターンを知っておきましょう。

分類 病態のイメージ 代表的な疾患(国試頻出)
AG上昇(開大) 体の中に「異常な酸」が溜まってアシドーシスになっている状態。 乳酸アシドーシス(乳酸が溜まる)、
糖尿病性ケトアシドーシス(ケトン体が溜まる)、
腎不全・尿毒症(老廃物が溜まる)
AG正常(不変)
※高Cl性
体からアルカリ(HCO3)が逃げ出してアシドーシスになっている状態。 下痢(腸液と一緒にアルカリが漏れる)、
尿細管性アシドーシス

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.嘔吐(誤り)
    嘔吐すると、強力な酸である「胃酸」を口から大量に失うことになります。酸を失うため、体は逆にアルカリに傾き「代謝性アルカローシス」を引き起こします。
  • 2.下痢(誤り)
    アルカリ性である腸液が大量に失われることで代謝性アシドーシスになりますが、AGは「正常(変化なし)」です。
  • 3.乳酸アシドーシス(正解)
    ショックなどで細胞が酸欠になり、異常な酸である「乳酸」が大量に作られて体内に溜まる病態です。AGは大きく上昇(開大)します。
  • 4.尿細管性アシドーシス(誤り)
    腎臓の尿細管が酸を捨てられなくなったり、アルカリを回収できなくなったりする病気です。代謝性アシドーシスになりますが、AGは「正常(変化なし)」です。
  • 5.副甲状腺機能亢進症(誤り)
    カルシウムやリンの代謝に関わる疾患であり、アニオンギャップの変動とは直接関係ありません。

暗記方法・覚え方のコツ

「AG正常(変化なし)」の代謝性アシドーシスは数が少ないため、「ゲリラ(下痢)の尿(尿細管性アシドーシス)はAG正常」という語呂合わせで暗記してしまいましょう!(ちょい汚いけど笑)
残りの乳酸アシドーシスやケトアシドーシスは「AG上昇」と判断できます。

さい
さい
アニオンギャップの基準値「12 ± 2 mEq/L」と、「Na+ − (Cl + HCO3)」という計算式そのものを問う問題も過去に出題されています!

さいの補足

人間の体は、プラスのイオン(陽イオン:主にNa+)とマイナスのイオン(陰イオン:ClとHCO3)のバランスを常に一定に保っています。
しかし、計算式「Na+ − (Cl + HCO3)」で引き算をしてみると、必ず「12」くらいプラスのイオンが余ってしまいます。この正体不明の余った分が「アニオンギャップ(測定されていない陰イオンの隙間)」です。
乳酸アシドーシスや糖尿病性ケトアシドーシスになると、血液中に乳酸やケトン体といった「マイナスの電気を持った異常な酸」が大量に発生します。これらはCl−でもHCO3−でもないため、計算式からは見えませんが、確実に陰イオンの隙間(ギャップ)を押し広げます。
これが「異常な酸が溜まるとAGが上昇する」というわけです!

午後 問38:グルコース測定法(HK-G6PDH法)

【問題】
グルコース測定におけるヘキソキナーゼ・グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ法で正しいのはどれか。

  • 1.酵素電極法で使用される。
  • 2.NADの吸光度を測定する。
  • 3.アスコルビン酸の影響を受ける。
  • 4.試薬にはムタロターゼが必要である。
  • 5.日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。
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正答:5

【解説】HK法とGOD法の違いを徹底比較!

血液中のグルコース(血糖)を測る酵素法には、主に「HK-G6PDH法(ヘキソキナーゼ法)」と「GOD-POD法(グルコースオキシダーゼ法)」の2種類があります。それぞれの長所と短所が国試でよく比較されます。

比較項目 HK-G6PDH法(本問) GOD-POD法
特異性と位置づけ 特異性が高く干渉物質の影響を受けにくい。JSCC勧告法 安価だが干渉物質の影響を受けやすい日常検査法。
測定する物質 NADPH(またはNADH)の増加を紫外部(340nm)で測定。 発生した過酸化水素で赤い色素(キノン色素等)を作って可視部で測定。
アスコルビン酸(ビタミンC)の影響 受けない 負の誤差(低値)を生じる
ムタロターゼの必要性 不要(α・β両方のグルコースに反応するため) 必要(β-グルコースにしか反応しないため)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.酵素電極法で使用される。(誤り)
    患者さんが自宅で使う簡易血糖測定器(SMBG)などに用いられる酵素電極法では、主にGOD(グルコースオキシダーゼ)やGDH(グルコースデヒドロゲナーゼ)が使われます。
  • 2.NADの吸光度を測定する。(誤り)
    NAD(またはNADP)は340nmの光を吸収しません。
    反応によって生成された還元型の「NADH(またはNADPH)」の吸光度を測定します。
  • 3.アスコルビン酸の影響を受ける。(誤り)
    HK法は発色に過酸化水素を経由しないため、還元物質であるアスコルビン酸(ビタミンC)の影響を全く受けません。
    影響を受けるのはGOD法です。
  • 4.試薬にはムタロターゼが必要である。(誤り)
    血液中のグルコースはα型とβ型が混ざっていますが、HK(ヘキソキナーゼ)はその両方に反応できるため、型を変換するムタロターゼは不要です。
  • 5.日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法である。(正解)
    HK-G6PDH法は、ビタミンCやビリルビンなどの影響を受けにくく非常に正確であるため、グルコース測定の標準的なJSCC勧告法に指定されています。

暗記方法・覚え方のコツ

HK法は「最強の標準法だから、ビタミンCにも負けないし、ムタロターゼの助けもいらない!」とイメージで覚えておきましょう🔥

さい
さい
GOD法でムタロターゼが必要な理由は、GODという酵素が「β-グルコース(約64%)」にしか反応できず、「α-グルコース(約36%)」を無視してしまうからです!

さいの補足

「GOD-POD法」は、発生させた過酸化水素を使って赤い色素(キノン色素など)を作り出し、その色の濃さを測る方法です。
しかし、患者さんがサプリメントや風邪薬として大量のビタミンC(アスコルビン酸)を飲んでいた場合、このビタミンCの強力な「還元作用(酸素を奪う力)」によって、せっかく作った過酸化水素が横取りされてしまい、赤い色素が作れなくなってしまいます。
その結果、本当は血糖値が高いのに「正常(低値)」と表示される危険なエラー(負の誤差)が起きてしまいます。HK法が勧告法に選ばれているのは、過酸化水素を経由しないため、こうした現場のトラブルを回避できるという強みがあるからです。

午後 問39:ホルモンの化学的分類

【問題】
ペプチドホルモンはどれか。

  • 1.アドレナリン
  • 2.コルチゾール
  • 3.テストステロン
  • 4.トリヨードサイロニン
  • 5.ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉
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正答:5

【解説】「ステロイド」と「アミン」だけ覚えて消去法で解く!

ホルモンは化学構造によって「ステロイドホルモン」「アミノ酸誘導体(アミン)」「ペプチドホルモン」の3つに大別されます。ペプチドホルモンは種類が多すぎるため、数が少ないステロイドとアミンを確実に暗記し、それ以外をペプチドと判断する消去法が最も効率的です。

分類 暗記のルール・特徴 該当する主なホルモン
ステロイドホルモン
(脂溶性)
副腎皮質性ホルモン
語尾に「オール」「ステロ」「ゲン」がつくもの。
副腎皮質(コルチゾール、アルドステロン)、
性腺(テストステロン、エストロゲン等)
アミノ酸誘導体(アミン)
(水溶性・脂溶性)
副腎髄質甲状腺から出るもの。 副腎髄質(アドレナリン、ノルアドレナリン等)、
甲状腺(サイロキシン、トリヨードサイロニン)
ペプチド・蛋白ホルモン
(水溶性)
上記以外の「残りすべて」。 下垂体ホルモン、膵臓(インスリン)、hCG など多数

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.アドレナリン(誤り)
    副腎髄質から分泌されるため「アミノ酸誘導体(アミン)」です。
  • 2.コルチゾール(誤り)
    副腎皮質ホルモンであり、語尾に「オール」がつくため「ステロイドホルモン」です。
  • 3.テストステロン(誤り)
    男性ホルモン(性ホルモン)であるため「ステロイドホルモン」です。
  • 4.トリヨードサイロニン(誤り)
    甲状腺から分泌されるT3のことなので「アミノ酸誘導体(アミン)」です。
  • 5.ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉(正解)
    ステロイド(副腎皮質・性ホルモン)にも、アミン(副腎髄質・甲状腺)にも当てはまらないため、消去法で「ペプチド(糖蛋白)ホルモン」と判断できます。

暗記方法・覚え方のコツ

ステロイドホルモンは「副腎皮質と性ホルモン(オール・ステロ・ゲン)」とセットで覚えましょう!「性ホルモンもステロイドの仲間」と認識しておけば、テストステロンなどの引っかけにも迷わなくなります。
アミン類は臓器で「副腎髄質と甲状腺!」と覚えるだけでOKです。

さい
さい
「テストステロン」という名前自体にも「ステロ」が入っているので、名前の法則(オール・ステロ・ゲン)にもしっかり当てはまります👍

さいの補足

この化学構造の分類は、ホルモンが細胞の「どこ」に作用するか(受容体の位置)を理解する上でも非常に重要です。
脂溶性であるステロイドホルモンや甲状腺ホルモン(アミンの一部)は、細胞の膜を通り抜けることができるため、受容体が「細胞の中(細胞質や核内)」にあります。
一方、水溶性であるペプチドホルモンや副腎髄質ホルモンは、細胞の膜を自力で通り抜けられないため、受容体が「細胞の表面(細胞膜上)」にあります。国試ではこの「受容体の位置」も出たりするので、分類表とセットで覚えておきましょう✏️

午後 問40:クレアチニンの生理と病態

【問題】
クレアチニンで正しいのはどれか。

  • 1.肝臓で合成される。
  • 2.尿細管で再吸収される。
  • 3.血漿濃度は脱水症で低値を示す。
  • 4.血漿濃度の基準範囲には男女差がある。
  • 5.血漿濃度はDuchenne型筋ジストロフィで高値を示す。
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正答:4

【解説】「クレアチン」と「クレアチニン」を区別しよう!

名前が非常に似ていますが、クレアチンは筋肉の「エネルギー源」であり、それが消費された後にできる「ゴミ(老廃物)」がクレアチニンです。国試ではこの2つの違いが頻繁に問われます。

比較項目 クレアチン(エネルギー源) クレアチニン(使用後のゴミ)
主な役割と存在場所 リン酸とくっついて筋肉に蓄えられ、運動時にエネルギーとして使われる。 血液中を巡り、腎臓の糸球体で100%濾過され、尿として捨てられる。
性差 女性の方が高値 男性の方が高値(筋肉量に比例するため)
血中濃度が上昇する病態 筋ジストロフィー、多発性筋炎など
(筋肉が使われず余る・壊れるため)
腎不全、脱水など
(ゴミがうまく捨てられず血液中に溜まるため)
血中濃度が低下する病態 (あまり国試では問われない) 筋ジストロフィー、長期臥床など
(筋肉自体が減り、ゴミが出なくなるため)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.肝臓で合成される。(誤り)
    クレアチニンは「筋肉の中」で非酵素的に作られるゴミです。一方、材料となる「クレアチン」は肝臓や腎臓で合成されます。
  • 2.尿細管で再吸収される。(誤り)
    クレアチニンは単なるゴミなので、糸球体で濾過された後は尿細管で再吸収されず、そのまま全て尿として捨てられます。
  • 3.血漿濃度は脱水症で低値を示す。(誤り)
    脱水になると血液の水分が減ってドロドロに濃縮されるため、クレアチニン濃度は「高値」を示します(腎前性腎不全)。
  • 4.血漿濃度の基準範囲には男女差がある。(正解)
    クレアチニンは筋肉の量に比例して作られるため、一般的に筋肉量が多い男性の方が、女性よりも基準値が高くなります。
  • 5.血漿濃度はDuchenne型筋ジストロフィで高値を示す。(誤り)
    筋ジストロフィーは筋肉が徐々に萎縮して減っていく病気です。筋肉量が減るということは、クレアチニンの量も減るため「低値」になります。逆に材料である「クレアチン」は使われずに余るため高値になります。

暗記方法・覚え方のコツ

「クレアチニン=筋肉から出るゴミ」というイメージで考えましょう👍
筋肉が多ければゴミも多い(男女差)、筋肉が減ればゴミも減る(筋ジストロフィー)、ゴミ処理場が壊れればゴミが溢れる(腎不全)と理解することができます。

さい
さい
クレアチニンが「尿細管で再吸収されない(全部捨てられる)」という性質を利用したのが、腎臓の濾過能力を測る「クレアチニン・クリアランス(Ccr)」です

さいの補足

「加齢」によるクレアチニンの変動も国試の引っかけポイントです。
高齢になると筋肉量が落ちるため、「筋肉から出るゴミの量(クレアチニン産生量)」自体は減少します。しかしそれ以上に、年齢とともに「腎臓の濾過機能」が大きく低下するため、結果的に血液中にゴミが捨てきれずに溜まりやすくなります。
そのため、加齢(特に60歳以上)では血中クレアチニン値は「上昇」する傾向にあります。「筋肉が減るから下がる」と早とちりしないように注意しましょう☺️

午後 問41:アミラーゼの性質と特徴

【問題】
アミラーゼで誤っているのはどれか。

  • 1.Clで活性化される。
  • 2.加水分解酵素である。
  • 3.α-1,6-グリコシド結合を切断する。
  • 4.唾液腺型は膵型より高分子量である。
  • 5.腎不全では血清アミラーゼ値が上昇する。
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正答:3

【解説】アミラーゼの基本プロフィールを丸暗記しよう!

アミラーゼ(AMY)はデンプンを分解する消化酵素です。国試では「どこを切断するか」「何で活性化されるか」「アイソザイムの違い」が繰り返し問われています。

特徴・性質 国試での重要ポイント
酵素の分類 水を使って分解する加水分解酵素
切断する場所 多糖類のα-1,4-グリコシド結合をランダムに切断する。
活性に必要なイオン 活性中心はCa(カルシウム)、活性化因子はCl(クロール)
アイソザイム 膵臓由来の「P型」と、唾液腺由来などの「S型」がある。
排泄経路 分子量が小さいため、腎臓の糸球体をすり抜けて尿中に排泄される。

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.Clで活性化される。(正しい)
    アミラーゼが働くためにはクロールイオン(Cl)の助けが必要です。
  • 2.加水分解酵素である。(正しい)
    デンプンに水を加えてバラバラの糖に分解する加水分解酵素です。
  • 3.α-1,6-グリコシド結合を切断する。(誤り:正解選択肢)
    アミラーゼが切断するのは「α-1,4-グリコシド結合」です。
    枝分かれ部分である「α-1,6-グリコシド結合」は切断できず、そこを切るには脱枝酵素(アミロ-1,6-グルコシダーゼ)など別の酵素が必要です。
  • 4.唾液腺型は膵型より高分子量である。(正しい)
    唾液腺型(S型)は、膵型(P型)に比べて表面に「糖鎖」がたくさんくっついているため、その分だけ少し分子量が大きくなっています。
  • 5.腎不全では血清アミラーゼ値が上昇する。(正しい)
    アミラーゼは酵素の中でも特に小さく、健康な人でも腎臓から尿へダダ漏れしています。そのため、腎機能が落ちて尿が作れなくなると、血液中にゴミとして溜まって高値になります。

暗記方法・覚え方のコツ

切断する結合は「アミラーゼは1,4(いーよ!)と切る!」と語呂合わせで暗記して、1,6結合との引っかけに騙されないようにしましょう。
また、アイソザイムは「Pancreas(膵臓)のP、Salivary(唾液腺)のS」と英語の頭文字で紐付けると忘れにくいと思います。

さい
さい
血液中のアミラーゼは、健康な人でも「S型(唾液腺型)の方がやや多め」の割合で存在しています!ざっくりP型が4割、S型が6割程度とイメージしておきましょう。

さいの補足

「マクロアミラーゼ血症」というものがあります。
これは、血液中のアミラーゼに免疫グロブリンなどがくっついてしまい、巨大な複合体(マクロ化)になってしまう無害な体質のことです。アミラーゼが巨大化すると、普段は通り抜けられている腎臓のフィルター(糸球体)を通過できなくなります。
結果として、尿中へ排泄されなくなるため「血液中のアミラーゼは高値」になるのに、尿の中には出てこないため「尿中アミラーゼは低値(または正常)」になるという矛盾したデータを示します。
急性膵炎(血中も尿中も高値になる)との鑑別として超重要なので覚えておきましょう👍

午後 問42:ICG(インドシアニングリーン)試験

【問題】
インドシアニングリーン〈ICG〉試験で正しいのはどれか。

  • 1.早朝空腹時に行う。
  • 2.ICGを経口投与する。
  • 3.ICGは光に安定である。
  • 4.肝合成能の評価に用いられる。
  • 5.ICG投与から1時間後に採血を行う。
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正答:1

【解説】肝臓の「排泄・解毒」能力を測るテスト!

ICG(インドシアニングリーン)試験は、肝臓が血液中の異物を取り込んで胆汁へ捨てる能力(異物排泄機能・有効肝血流量)を調べる検査です。
近年ではほとんど臨床で見ないマイナーオワコン検査と思っていましたが、まさかの出題でしたね。

検査のポイント 正しい知識
事前準備 早朝空腹時(食事による肝血流量の変化や乳びの影響を防ぐため)
投与方法 静脈内注射
採血のタイミング ・一回採血法:投与15分後(停滞率 R15 を算出)
・連続採血法:投与5分、10分、15分後(消失率 K値 を算出)
試薬の性質 光に不安定(用時調製が必要)
評価する機能 肝臓の排泄機能・有効肝血流量(※合成能ではない)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.早朝空腹時に行う。(正解)
    食後は肝臓への血流量が変化したり、血液中の脂質(乳び)が吸光度測定の邪魔になったりするため、12時間以上の絶食後(早朝空腹時)に行います。
  • 2.ICGを経口投与する。(誤り)
    ICGは「静脈から注射」して投与します。経口では吸収されません。
  • 3.ICGは光に安定である。(誤り)
    ICGは光に対して非常に「不安定」であり、光に当たると分解されて退色してしまいます。そのため、使う直前に溶かして準備(用時調製)する必要があります。
  • 4.肝合成能の評価に用いられる。(誤り)
    肝臓の「排泄・解毒機能」を評価します。肝臓の「合成能」を評価するのは、アルブミンやコリンエステラーゼ(ChE)、プロトロンビン時間(PT)などです。
  • 5.ICG投与から1時間後に採血を行う。(誤り)
    採血は「15分後(一回採血法)」または「5分、10分、15分後(連続採血法)」に行います。健康な人なら15分でICGの約90%が肝臓に回収されて血中から消えるため、1時間後では遅すぎて正確な評価ができません。

暗記方法・覚え方のコツ

ICGの採血時間は「基本は15分!詳しく測るなら5分、10分、15分のセット!」と覚えましょう。また、「合成能」と「排泄機能」の引っかけは本当によく出るので、「ICG=注射して捨てるスピードを見る=排泄機能」とイメージしましょう。

さい
さい
ICGには「ヨウ素(ヨード)」が含まれているため、ヨード過敏症の人にはアナフィラキシーショックを起こす危険があり禁忌です。

さいの補足

連続採血法(5分、10分、15分値)で得られたデータは、半対数グラフにプロットして直線を結び、「血中消失率(K値)」や「有効肝血流量(EHBF)」を算出するために使われます。
K値の基準値は0.195以上、15分停滞率(R15)の基準値は10%以下です。
「K値が低い=処理スピードが遅い=肝機能低下」という結びつけを答えさせる問題も出るかもしれないので、15分という数字だけでなく、5分・10分を含めた連続採血の目的(K値の算出)まで押さえておくと完璧です☺️

午後 問43:臓器・組織の放射線感受性

【問題】
放射線感受性が最も高いのはどれか。

  • 1.肝細胞
  • 2.脂肪細胞
  • 3.心筋細胞
  • 4.神経細胞
  • 5.造血器細胞
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正答:5

【解説】ランキングの「単独1位」と「2位」を厳密に区別しよう!

放射線に対する影響の受けやすさ(放射線感受性)は、細胞分裂が盛んで未分化な細胞ほど高くなります(ベルゴニー・トリボンドーの法則)。

感受性ランク 細胞・組織の分類 代表的な臓器・組織
単独トップ
(第1位)
分裂が最も盛んな細胞 造血系(骨髄、リンパ組織:脾臓・胸腺など)
第2位(次点) 生殖に関わる細胞 生殖器系(精巣、卵巣)
第3位(高い) 新陳代謝が激しい粘膜 消化器系(小腸粘膜など)
中程度 分裂頻度が中程度の細胞 表皮、眼(水晶体)、実質臓器(肺、腎、肝)
最下位(最も強い) 大人になると分裂しない細胞 支持系(骨、血管、筋肉・心筋)、伝達系(神経

【全選択肢の正誤理由】

  • 1.肝細胞(誤り)
    肝臓などの実質臓器は、感受性が「中程度」のグループに分類されます。
  • 2.脂肪細胞(誤り)
    結合組織などに含まれ、分裂がそこまで盛んではないため感受性は低めです。
  • 3.心筋細胞(誤り)
    心筋や骨格筋などの筋肉細胞は、成体になると細胞分裂を行わないため、放射線感受性は「最下位(最も強い)」グループになります。
  • 4.神経細胞(誤り)
    神経細胞も筋肉と同様に成体では分裂しないため、体の中で「最も放射線感受性が低い(強い)」細胞です。
  • 5.造血器細胞(正解)
    骨髄の造血幹細胞やリンパ組織は、絶えず細胞分裂を繰り返して新しい血液細胞を作り出しているため、体の中で「最も放射線感受性が高い」組織です。

暗記方法・覚え方のコツ

同列にせず明確に順位付けしましょう!
・第1位(最も弱い):造血系(骨髄・リンパ)
・第2位(次に弱い):生殖器系(精巣・卵巣)
・最下位(最も強い):神経、筋肉(心筋)

さい
さい
もし選択肢に「骨髄」と「精巣」が両方出てきて「最も高いのはどれか」と問われた場合、同列で覚えていると失点してしまいます。1位は「造血系(骨髄)」と意識しておきましょう☺️

さいの補足

被ばくによる急性放射線症候群において、最初に「白血球減少」などの血液症状がもっとも低線量で現れるのは、この造血器細胞の感受性が他のどの臓器よりも突出して単独で高いためです。

午後 問44:フリードワルドの計算式

【問題】
空腹時血清中総コレステロール250mg/dL、トリグリセライド150mg/dL、HDL-コレステロール50mg/dLのとき、Friedewaldの計算式から求めたLDL-コレステロール値[mg/dL]はどれか。

  • 1. 50
  • 2.100
  • 3.170
  • 4.200
  • 5.230
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正答:3

【解説】式と使用条件をセットで完全暗記しよう!

LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の値を推測するための「フリードワルド(Friedewald)の式」は、国試で必ず得点源にしたい超重要公式です。

LDL-C = TC - HDL-C - (TG / 5)

※TC:総コレステロール、HDL-C:HDLコレステロール、TG:トリグリセライド(中性脂肪)

【計算の手順】

問題文の数値を公式にそのまま当てはめて計算します。

  • ・TC = 250
  • ・HDL-C = 50
  • ・TG = 150
250 - 50 - (150 / 5) = 200 - 30 = 170

よって、正解は「170mg/dL」の選択肢3となります。

国試で狙われる!使用制限のルール

この計算式には「TG(トリグリセライド)が400mg/dL以上の場合は使用できない」という絶対的なルールがあります。
TGが高すぎる場合は計算結果に大きな誤差が出てしまうため、試薬を用いて直接測定する「直接法」や、「Non-HDLコレステロール(TC - HDL-C)」を用いて評価します。この「TG400以上はNG」という数字も必ず暗記しておきましょう。

さい
さい
血液中の総コレステロール(TC)は、基本的には「LDL」「HDL」「VLDL」の3つのリポ蛋白に乗っているコレステロールの合計値です

さいの補足

なぜ公式の最後に「TGを5で割る(TG/5)」という計算があるのでしょうか?
実は、「VLDL(超低密度リポ蛋白)に含まれるコレステロール量」を推測しているのです。
血液中のVLDLという荷物の中身は、およそ「TGが5」に対して「コレステロールが1」の割合で詰まっています。そのため、TGの値を5で割ることで、VLDLに乗っているコレステロールの量をざっくり計算できます。
全体のコレステロール(TC)から、善玉(HDL)とVLDL(TG/5)を引き算すれば、残ったものが悪玉(LDL)になる、という非常に理にかなった引き算の公式です。こっちのが覚えやすいかもです。

お疲れ様でした!臨床化学の復習はバッチリですか?

第72回の臨床化学、お疲れ様でした!酵素の測定原理からホルモン、疾患マーカーまで、本当に覚える要素が多くて頭がパンクしそうになる科目です。でも、ここをしっかり理解しておけば、範囲が広いぶん他の科目(生理学や免疫学など)の点数アップや、現場に出た時の「基礎力UP」に必ず繋がります👍

一気に丸暗記しようとせず、今回解説した「酵素リレーの仕組み」や「暗記の法則(語呂合わせ)」などを思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってください📓

さい
さい
反復が得点アップの近道だと思っています!何度も復習して自分の知識にしていきましょう!

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それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!