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【臨床検査技師国家試験】第68回PM臨床血液学【解説】

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国家試験臨床血液学PM問59~67です。

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集 

第68回臨床血液学PM59~67

59 細胞形態の特徴と疾患の組合せで誤っているのはどれか。

  1. 異型リンパ球 伝染性単核球症
  2. 環状鉄芽球 サラセミア
  3. 巨大血小板 May-Hegglin異常症
  4. 中毒性顆粒 重症感染症
  5. 微小巨核球 骨髄異形成症候群

解説:血液像と、疾患の組み合わせです。

★血液像と疾患

  • 異型リンパ球
    ⇒主に伝染性単核球症で出現するが、肝炎やサイトメガロウイルスなどのウイルス疾患でも出現する
  • 環状鉄芽球(赤芽球の核に沿って鉄顆粒を5個以上認める)
    ⇒骨髄異型性症候群(MDS)や鉄芽球性貧血などで出現
  • 巨大血小板(赤血球よりも大きい)
    ⇒ベルナール・スーリエ症候群、メイ・ヘグリン異常、MDS、免疫性血小板減少症(ITP)
  • 中毒性顆粒
    ⇒重症感染症
  • 微小巨核球
    ⇒MDS

設問の像は、どれも知っておいた方が良いので、教本などで確認しましょう。(ルーチンでもよく見るものが多いです)

答え:2

60 血栓性血小板減少性紫斑病で認められるのはどれか。2つ選べ。

  1. 網赤血球減少
  2. ハプトグロビン高値
  3. ADAMTS13活性低下
  4. 超高分子量VWFマルチマー出現
  5. ループスアンチコアグラント陽性

解説:血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)についてまとめました。

★血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の原因と特徴

血管内皮細胞から分泌される超高分子量のvWF(フォン・ヴィレブランド因子)は酵素(ADAMTS13)によって分解され、通常のvWFとなる
しかし、ADATM13の活性が低下すると、分解されなくなり、活性化の高い超高分子量vWFマルチマーが存在することになる。
その結果、超高分子量vWFマルチマーにより血小板凝集を起こし血小板血栓を生じる。
そのため溶血を起こし、以下の現象が起こる

  • 網赤血球増加
  • ハプトグロビン低値
  • 出血傾向
  • 貧血
  • 破砕赤血球の出現(溶血所見)

上記より、ADAMTS13の低下とそれによって引き起こされる超高分子量vWFマルチマーが原因でTTPとなる。
内容が難しいですが、vWFの分解異常で起こるというメカニズムを知っておくとわかりやすいかもしれません。

答え:3と4

61 鉄欠乏性貧血および慢性炎症に伴う貧血で共通するのはどれか。2つ選べ。

  1. 小球性貧血である。
  2. 血清鉄が低値である。
  3. 鉄の利用障害を認める。
  4. 血清フェリチンが低値である。
  5. 総鉄結合能TIBCが高値である。

解説:鉄欠乏性貧血、慢性炎症は「小球性貧血」に大別されます。

★小球性低色素性貧血

  • 鉄欠乏性貧血
    データ:鉄↓TIBC↑フェリチン↓
    特徴:スプーン爪(反り返るような爪)、菲薄赤血球(Leptocyte)
  • サラセミア
    データ:異常ヘモグロビン症⇒脾臓や骨髄で溶血促進⇒貧血
    特徴:標的赤血球(Codocyte)
  • 鉄芽球性貧血
    特徴:ヘム合成に異常⇒正球性と小球性の二峰性となる
    菲薄赤血球の出現、骨髄像では環状鉄芽球の出現
  • 慢性炎症
    データ:炎症サイトカインのIL-6増加、それに伴いヘプシジン増加
    結果、鉄利用が阻害され、鉄利用が不良となる。鉄欠との違いは、フェリチンは低下せず、TIBCが低下する。
    トランスフェリンも低下

貧血は奥が深いです。しかし、設問はルーチンでもよく見る鉄欠乏性貧血を主体に扱っているため、理解をしておきましょう。

答え:1と2

62 細胞浮遊液の細胞数を算定した。Bürker-Türk計算盤別冊No. 12 を別に示す。図中に赤字で示す数字は、赤点線で囲った各大区画にある細胞数である。検体は、希釈せず使用し、大区画の容積は0.1μLとする。細胞浮遊液の細胞数/μLはどれか。

  1.  9
  2. 36
  3. 90
  4. 360
  5. 900

解説:ビルケル・チュルク計算版の見方

★ビルケルチュルク(Burker-Turk)計算版

  • 計算盤は同ーの目盛が刻まれた2面の計算室をもち、各計算室の容積は0.9μLとなっている
  • 中央の大ブロックTは、おもに赤血球、血小板、精子、酵母など絶対数の多い細胞等の算定に使用
  • 四隅の大ブロックW₁~W₄は、白血球、リンパ球、培養紬胞など絶対数の少ない細胞等の算定に使用
  • 境界線上にある細胞は重複を避けるため、相対する辺いずれか一方の線上にある物だけを数える(教本を参考にしてください)

今回の問題では上の表の内容はあまり必要ありませんが、知っておいた方が良いと思います。
解いてみると、W1~W4の区画の細胞数の平均を出します。
10+8+7+11=36
36/4=9
大区画(0.1μL)個に平均9個の細胞があるので、これを1μLに直します。
9×10=90

答え:3

63 肝臓で合成されないのはどれか。

  1. Dダイマー
  2. フィブリノゲン
  3. プラスミノゲン
  4. アンチトロンビン
  5. プラスミンインヒビター

解説:Dダイマーはフィブリン分解産物です。肝臓では合成されません。
フィブリンが架橋され、プラスミンにより分解された断片がDダイマーです。

 肝臓で合成されるもの

  • フィブリノゲン
  • プラスミノゲン
  • アンチトロンビン
  • プラスミンインヒビター

設問で関連付けて覚えていくしかありません。

答え:1

64 末血のMay-Giemsa染色標本別冊No. 13 を別に示す。認められるのはどれか。

  1. 鎌状赤血球
  2. 菲薄赤血球
  3. 標的赤血球
  4. 有核赤血球
  5. 涙滴赤血球

解説:写真には赤血球と白血球が写っています。
設問を見ると、赤血球の分類の様です。特徴的な摂家級は“涙滴赤血球”が観察できます。

★涙滴赤血球

  • 赤血球が血管内で物理的な外力によって断裂されるため生成される
  • 髄外造血、とくに赤血球が脾臓で脱核する際に生じた変形と考えられている
  • 骨髄線維症や癌の骨髄転移の場合にみられる

答え:5

65 リン脂質依存性凝固反応に関与するのはどれか。

  1. 第Ⅷ因子
  2. 第Ⅺ因子
  3. 第Ⅻ因子
  4. フィブリノゲン
  5. プレカリクレイン

解説:凝固カスケードの問題ですが、まずローマ数字で書かれるとピンとこないので数字に直します。

I(1)、II(2)、III(3)、IV(4)、V(5)、VI(6)、VII(7)、VIII(8)、IX(9)、X(10)、XI(11)、XII(12)

設問は上から、第8因子、11因子、12因子ですね。

活性化された第Ⅷ因子や第Ⅴ因子のような触媒の働きををする凝固因子が、リン脂質と複合体を形成し、凝固反応を促進させる。

こういった反応を示すようなので「第Ⅷ因子」が解答になります。

国家試験作ってる人たちにこんな問題解けるのかよ!って言いたくなりますね。凝固カスケードはややこしいので、教本で再確認してくださいね。

答え:1

66 骨髄刺液のMay-Giemsa染色標本別冊No. 14 を別に示す。矢印の細胞が腫瘍化した疾患はどれか。

  1. 赤白血病
  2. 多発性骨髄腫
  3. Burkitt リンパ腫
  4. 急性骨髄性白血病
  5. 急性リンパ性白血病

解説:写真を見ると「好塩基性(強い青紫色)で核周明庭(ゴルジ野の発達)」を示すリンパ球があります。
これは“形質細胞”と呼ばれる細胞で、多発性骨髄腫の時に末梢血に出現するようになります。

★多発性骨髄腫(MM)の特徴

  • 腫瘍化した形質細胞よりモノクローナル性の異常γグロブリンを大量産生する(M蛋白の出現)
  • 汎血球減少
    ⇒貧血、免疫力の低下、出血傾向
    レントゲンで“骨の打ち抜き像”(黒く抜ける)
  • 採血データ
    ⇒TP増加(M蛋白)、Ca低下(溶出)、尿中BJP出現、抹消血液像で形質細胞や連銭形成を確認できることもある
    (メイ・ギムザ染色では、染色具合が高γグロブリン状態の場合、青っぽく染まることもある)

答え:2

67 骨髄細胞の染色体核型別冊No. 15 を別に示す。矢印の染色体異常に関与するのはどれか。

  1. BCR-ABL1
  2. IGH/BCL2
  3. IGH/BCL6
  4. IGH/MYC
  5. PML-RARA

解説:骨髄染色体異常の鑑別ですが、染色体異常から、その遺伝子を答えさせるタチの悪い問題です。

15と17の染色体異常で、転座の疾患は「急性骨髄性白血病」なので、解答はPML/RARAになります。
問われ方は異なりますが、この表は国家試験を解く上でそれなりの頻度で使用します。
覚えておきましょう。

答え:5

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