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【臨床検査技師国家試験】第68回PM臨床検査総論【解説】

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国家試験臨床検査総論PM問1~10です。

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集

第68回臨床検査総論PM問1~10

1 内部精度管理法で管理血清を用いるのはどれか。2つ選べ。

  1. |R/Xバー |管理法
  2. Xbar -R管理図法
  3. 項目間チェック法
  4. デルタチェック法
  5. マルチルール管理図法

解説:精度管理では、管理血清(コントロール)と患者血清を用いるものがあります。
コントロールで行うものは決まっているので、覚えてしまいましょう。

★精度管理で管理血清を用いるもの

【精密さ】

  • Xbar-R管理図
  • Xbar-Rs-R管理図法
  • マルチルール管理図
  • 累積和法
  • 双値法(ツインプロット)

【正確さ】

  • 添加回収試験
    回収率=(添加測定値-無添加測定値 / 添加量)×100
  • 干渉試験(共存物質の影響の測定)
  • 標準液による検定
  • 精度管理調査(サーベイ)への参加

★精度管理で患者血清を用いるもの

【精密さ】

  • 正常者平均法
  • ナンバープラス法
  • 反復測定法

【患者検体(個別)管理】

  • デルタチェック法(前回値差、比)
  • 項目間チェック法

上記より、代表的な精度管理法であるXbar-Rとマルチルール管理図解答となる。

①の設問は不明。

答え:2と5

2 標準予防策において感染性を考慮しない体液・分泌物はどれか。

  1. 尿
  2. 髄 液
  3. 精 液
  4. 唾 液

解説:標準予防策(スタンダードプリコーション)の定義を示します。

★標準予防策(スタンダードプリコーション)とは

感染症の有無に関わらず、汗を除く血液、体液、分泌物、排泄物、皮膚、粘膜等の物質は、感染の可能性があるとみなして対応する方法のこと

汗を除くとあるので、①が答えになります。

答え:1

3 尿沈渣の無染色標本別冊No. 1A 及びSternheimer染色標本別冊No. 1B を別に示す。矢印が示す構造物はどれか。

  1. 顆粒円柱
  2. 脂肪円柱
  3. 硝子円柱
  4. 上皮円柱
  5. 赤血球円柱

解説:円柱内に顆粒成分が明らかに1/3以上入っています。円柱の内部に“何がどの程度”入っているのかを確認するようにしましょう。

答え:1

4 便潜血の免疫学的検査法で正しいのはどれか。2つ選べ。

  1. 便中の鉄を検出する。
  2. 食事制限が必要である。
  3. 化学的検査法より検出感度は低い。
  4. 便の表面をこするように採取する。
  5. 上部より下部の消化管出血の検査に適している。

解説:便潜血には化学法(グアヤック法、オルトトリジン法)と、免疫法があります。現在は免疫法が主流となっていますので、メリットなどを理解しておきましょう。

★便潜血検査(免疫法)の特徴

  • ヒトヘモグロビンを検出する
  • 食事制限は不要(ヒトヘモグロビン検出のため)
  • 化学法よりも感度が高い(ヒトヘモグロビン検出のため)
  • 便の表面をこすりとるように採取する
  • 上部よりも下部の消化管出血の検査に適している
    ⇒(胃液などの消化液でヘモグロビンが変性してしまうため)

上記の特徴を知っておきましょう。

答え:4と5

5 関節液の異常所見はどれか。

  1. 淡黄色透明
  2. 比重1.010
  3. 細胞数50/μL
  4. 好中球比率10%
  5. 蛋白濃度3.5g/dL

解説:関節液検査をしていると何となく解けます。
基本的に正常所見として、無色~淡黄色で、粘度が高く、細胞数が少ないことが挙げられます。(何となく想像できると思います)そう考えた時に⑤の蛋白濃度だけが不明ですが、炎症が起きると蛋白質は亢進する(α2とγグロブリン)ことが知られており、関節液の総蛋白濃度は血漿の20%程度が正常とされています。
3.5g/dLともなると50%程はありそうなので、これは正しくないのがわかります。

僕の職場では、関節液の蛋白濃度を測定することも、報告することもありませんのでもしかしたらマイナーな箇所を聞いているのかもしれません。

答え:5

6 中間宿主を有するのはどれか。

  1. 回 虫
  2. 蟯 虫
  3. 鉤 虫
  4. 鞭 虫
  5. 糸状虫

解説:医動物の寄生虫は、宿主(しゅくしゅ)を覚えるのが大変です。過去問を解いていき、その都度覚えていくのがいいかもしれません。
全て覚えるのは至難の業です。

★中間宿主を必要とする寄生虫

  • 線虫類(顎口虫、線虫、糸状虫、アニサキス)など
    ⇒回虫、蟯虫、鉤虫、糞線虫、鞭虫は除く
  • 吸虫類(横川吸虫、肝吸虫、肝蛭、ウエステルマン肺吸虫、宮崎肺吸虫、住血吸虫)など
  • 条虫類(広節裂頭条虫(日本海列島条虫)、大複殖門条虫、マンソン裂頭条虫、無鉤条虫、有鉤条虫、小形条虫(多包条虫、単包条虫:包条虫エキノコッコクス)など
  • 原虫類(マラリア、トキソプラズマなど)

①~④は中間宿主を持ちませんので、⑤が答えとなります。

答え:5

7 致死率が最も高いのはどれか。

  1. サルマラリア
  2. 卵形マラリア
  3. 熱帯熱マラリア
  4. 三日熱マラリア
  5. 四日熱マラリア

解説:熱帯熱マラリアが最も致死率が高いです。

★熱帯熱マラリア

  • 致死率が高い
    ⇒不規則な発熱周期で、早期に治療を開始しないと血中の原虫数は急激に増加し、脳性マラリア、ARDS、急性腎不全、代謝性アシドーシス、重症貧血を併発する。
  • 4類感染症
  • ハマダラカが終宿主で、ヒトは中間宿主
  • 赤血球内に重複感染していることが多く、マウレル斑点が見られることもある
  • 生殖母体は半月状で、半月体Crescentといわれる

答え:3

8 染色体分染法でグアニンG-シトシンC塩基対優位部が濃染するのはどれか。

  1. Cバンド分染法
  2. Gバンド分染法
  3. Qバンド分染法
  4. Rバンド分染法
  5. NOR分染法

解説:染色体の濃染部位をまとめました。ややこしいですが、表を参考に何度も解き覚えるしかないです。

★染色体分染法

  • Cバンド分染法:動原体部(セントロメアに存在)を染色
  • Gバンド分染法:アデニン(A)-チミン(T)塩基対優位部が濃染する
  • Qバンド分染法:アデニン(A)-チミン(T)塩基対優位部が濃染する(特にY染色体長腕末端部が強く染まる)
  • Rバンド分染法:グアニン(G)-シトシン(C)塩基対優位部が濃染し不活化X染色体の識別ができる
  • NOR分染法:核小体(仁)形成部位を特異的に染色できる

答え:4

9 アミノ酸を結合してリボソームに運搬する働きをするのはどれか。

  1. mRNA
  2. rRNA
  3. tRNA
  4. hnRNA
  5. snRNA

解説:RNAの頭文字に注目しましょう。

  • mRNA:messenger RNA
    ⇒蛋白を作る際にDNAから転写して作られるRNA(リボソームにDNA情報を伝える)
  • rRNA:ribosomal RNA
    ⇒リボソームを構成しているRNA
  • tRNA:transfer RNA
    ⇒mRNAとタンパク質のアミノ酸配列とを物理的に結合させ、リボソームに運搬するRNA
  • hRNA:heterogeneous nuclear RNA
    ⇒スプライシングを受ける前のmRNA前駆体の総称
  • sRNA:small nuclear RNA
    ⇒低分子RNAのこと

mRNA、tRNAはよく見ますので、しっかり覚えておきましょう。

答え:3

10 PCR法において核酸増幅産物の特異性を高める方法として正しいのはどれか。

  1. サイクル数を増やす。
  2. プライマー濃度を下げる。
  3. アニーリング温度を下げる。
  4. マグネシウム濃度を上げる。
  5. DNAポリメラーゼ濃度を上げる。

解説:PCRの簡単な特徴まとめを一覧にしました。これらの行程のどの部分を調節すると核酸増幅産物の特異性を高める方法になるのかを考えます。

★PCR手順

  1. 熱変性(94℃程度)
    ⇒2本鎖(dsDNA)を1本鎖(ssDNA)にする
  2. アニーリング(60℃程度だが、プライマーによって変える)
    ⇒プライマーと鋳型ssDNAが結合して2本鎖になる
  3. 伸長反応(72℃程度)
    温度を上げてDNAポリメラーゼを活性化させ、DNAを合成させる
  4. ①~③を1サイクルとして繰り返す

★PCRにおいて、非特異的な増幅産物が見られる場合の原因と対処法

  • 原因:サイクル数が多い
    ⇒対処:サイクル数を減らす
  • 原因:プライマーが過剰
    ⇒対処:プライマー濃度を下げる
  • 原因:アニーリング温度が低い、時間が長い
    ⇒対処:アニーリング温度を上げる、時間を短縮する
  • 原因:マグネシウム濃度が多い
    ⇒対処:マグネシウム濃度を下げる
  • 原因:DNAポリメラーゼが多い
    ⇒対処:適量なDNAポリメラーゼを使用する

②以外は非特異的な増幅産物が見られる場合の原因となることがわかります。

答え:2

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