過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
第66回AM
AM問題29:生体で正しいのはどれか。
- 血漿蛋白は酸として緩衝作用を示す。
- 赤血球を高張液にさらすと膨張する。
- 成人男性の体重の約 80%は水である。
- 間質液が異常に蓄積した状態を充血という。
- 膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に依存する。
答えと解説
答え5
設問を正しい形に直してみました。
- 血漿蛋白は塩基として緩衝作用を示す
- 赤血球を高張液にさらすと委縮する
- 成人男性の約60%は水である
- 間質液が異常に蓄積した状態を浮腫という
- 膠質浸透圧は血中アルブミン濃度に比例する
※高張液:体液(血漿)の浸透圧は「285±5 mOsm/L 」に保持されている。 これとほぼ等しい浸透圧をもつ液を等張液といい、これより低い浸透圧の液を低張液、高い浸透圧の液を高張液と呼ぶ。
※間質液:細胞を浸す液体。細胞外液のうち血液とリンパ管の中を流れるリンパ液を除く体液のこと。
AM問題30:β-1,2 グリコシド結合をもつのはどれか。
- イヌリン
- ヘパリン
- アガロース
- グリコーゲン
- コンドロイチン硫酸
答えと解説
答え1
多糖類のグリコシド結合の一覧を作製してみました。
AM問題31:基質と酵素の組合せでアンモニアが関係するのはどれか。2つ選べ。
- 尿 酸 ウリカーゼ
- 尿 素 ウレアーゼ
- クレアチン クレアチンキナーゼ(CK)
- グルタミン酸 グルタミン酸デヒドロゲナーゼ
- アスパラギン酸 アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
答えと解説
答え2と4
AM問題32:糖尿病精査のため来院した患者の検査結果で糖尿病型を示すのはどれか。2つ選べ。
- HbA1c 6.8%
- 随時血糖値 170 mg/dL
- グリコアルブミン 14.8%
- 75 g 経口ブドウ糖負荷試験1時間血糖値 220 mg/dL
- 75 g 経口ブドウ糖負荷試験2時間血糖値 210 mg/dL
答えと解説
答え1と5
糖尿病型と呼べるのは下記表を満たしている条件時です。
AM問題33:過去約2か月の平均血糖値から想定されるHbA1c 値より測定値が高値になるのはどれか。
- 輸血後
- 腎性貧血
- 大量出血後
- 溶血性貧血
- 鉄欠乏性貧血
答えと解説
答え5
HbA1C測定における、偽低値、偽高値のまとめです。これらを知っていれば簡単に解くことができます。
AM問題34:血糖調節機構の組合せで誤っているのはどれか。
- インスリン 解糖系促進
- 肝 臓 グリコーゲン合成
- グルカゴン グリコーゲン分解抑制
- 脂肪組織 トリグリセライド合成
- 腎 臓 糖新生
答えと解説
答え3
- 肝臓と腎臓で糖新生は行われる
- 脂肪組織でトリグリセライド合成は行われる
AM問題35:クロールについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- 約 90%が細胞内に存在する。
- 蛋白質との結合型が存在する。
- 嘔吐により血中濃度が低下する。
- α-アミラーゼの活性中心に含まれる。
- アニオンギャップ値の算出に必要である。
答えと解説
答え3と5
設問を正しく直しつつ説明します。
- 細胞内に多いのはK+で、Na+とCl–は細胞外液に存在する
- Cl–は蛋白質と結合せずに存在している
- 嘔吐=胃酸(HCL)の流出なので、Cl–濃度は当然減る
- αアミラーゼの活性中心となるのはCaで、Clは活性化に用いられる
- アニオンギャップ(AG)=(Na+)-(HCO3–+Cl–)
細胞内液と細胞外液の含有量を知っており、血ガスの読み方も必要ですαアミラーゼの活性中心に関しては、覚えておくしかないでしょう。
AM問題36:血清蛋白泳動分画を別に示す。この患者の血清中に増加が考えられるのはどれか。
- アルブミン
- α1 -アンチトリプシン
- リポ蛋白
- トランスフェリン
- IgG
答えと解説
答え5
蛋白分画の問題で、各分画には何が含まれているかを知っていれば簡単な問題ですね。
AM問題37:グルクロン酸抱合の不良により間接ビリルビンが増加するのはどれか。
- 閉塞性黄疸
- 溶血性貧血
- Gilbert 症候群
- 急性ウイルス性肝炎
- Dubin-Johnson 症候群
答えと解説
答え3
ビリルビンと上昇する疾患の問題です。まとめたのでしっかり覚えましょう。
AM問題38:過酸化水素・ペルオキシダーゼ系呈色反応で正しいのはどれか。
- 脱水素酵素を使用する。
- 測定波長は 340 nm である。
- 吸光度の減少量を測定する。
- 共存物質の影響を受けにくい。
- 分析感度を変化させることができる。
答えと解説
答え5
下記の表をみながら、設問を直していきましょう。
- 脱水素酵素ではなく、オキシダーゼ(酸化酵素)を使用する
- 測定波長は呈色系反応ということで、可視領域(400~800nm)での測光となる
- 呈色反応は、吸光度の増加を測定する
- 酸化還元反応により、ビタミンCやBILなどの共存物質の影響を受ける。
- 色原体を変えることで、分析(測定)感度を変えることができる。
AM問題39:自動分析装置を用いる二波長法で誤っているのはどれか。
- 光量補正が可能となる。
- 2つの波長の吸光度差を測定する。
- 試料の濁りの影響を軽減することができる。
- 1試薬系の検査試薬に適用することができる。
- 主波長は極大吸収波長より短波長側に設定する。
答えと解説
答え5
★二波長法の特徴
- 光量補正が可能となる
- 2つの波長の吸光度差を測定する
- 試料の濁りの影響を軽減することができる
- 1試薬系の検査試薬に適用することができる
- 主波長は極大吸収波長に設定する。副波長は主波長よりも長波長に設定する(例主波長:450nm、副波長655nmなど)
AM問題40:リポ蛋白について誤っているのはどれか。
- HDL は LDL よりも蛋白質含量が高い。
- IDL は LDL と VLDL の中間の比重をもつ。
- カイロミクロンは VLDL よりも粒子サイズが大きい。
- VLDL はカイロミクロンよりもトリグリセライド含量が低い。
- LDL はアガロースゲル電気泳動法で VLDL よりも陽極側に移動する。
答えと解答
答え5
これらの図から答えは導き出せますね。リポ蛋白のアガロースゲル電気泳動は中々に難しいです。LDL(低比重)とVLDL(超低比重)なのに、順番が逆なのが憎いですね。
AM問題41:レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)反応の生成物はどれか。2つ選べ。
- 遊離脂肪酸
- リゾレシチン
- トリグリセライド
- スフィンゴミエリン
- エステル型コレステロール
答えと解答
答え2と5
LCATは何をする酵素なのかを知っているとすぐに解けます。
AM問題42:蛋白質合成の場として重要なのはどれか。
- Golgi 装置
- 滑面小胞体
- リボソーム
- ミトコンドリア
- ペルオキシソーム
答えと解説
答え3
AM問題43:血中薬物濃度測定(TDM)の対象とならない薬物はどれか。
- 抗凝固薬
- 抗不整脈薬
- 免疫抑制薬
- 抗てんかん薬
- アミノ配糖体抗菌薬
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答え1
TDMに抗凝固薬はありません。TDM対象試薬を覚えておけばすぐに解ける問題です。
AM問題44:尿中デオキシピリジノリン(DPD)について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 骨粗鬆症で低値を示す。
- 男性は女性よりも高値を示す。
- 悪性腫瘍の骨転移で低値を示す。
- 健常者では成長期に高値を示す。
- 原発性副甲状腺機能亢進症で高値を示す。
答えと解説
答え4と5
DPDは骨吸収マーカーです。
骨吸収マーカーとは「骨吸収で中心的な働きをする破骨細胞と呼ばれる細胞が作り出す物質、もしくは破骨細胞が骨を破壊するときに作り出される物質」のこと。
設問を正しく直します。
- 骨粗鬆症で高値を示す
- 女性の方が高値を示す
- 悪性腫瘍の骨転移で高値を示す
- 健常者では成長期に高値を示す
- 原発性副甲状腺機能亢進症で高値を示す。