【国試対策】その他の一般検査を完全攻略!
“捨て問ゼロ”の暗記術総まとめ
「喀痰、精液、関節液…覚えることが多すぎてパニック!」
「どこが国試に出る重要ポイントなのか、さっぱり分からない…」
「マイナーな検査は、いっそ捨ててもいいかな…?」
臨床検査技師国家試験の勉強、本当にお疲れ様です。
今回は、多くの受験生が後回しにしがちな、しかし確実に点差がつく「その他の一般検査」分野を、一気に総ざらいしていきます。
この記事は内容の割には長いかもですが、各検査項目で「国試で狙われるのはココだけ!」という最重要ポイントに絞って解説しています。
全てを一度に覚えようとせず、苦手な項目や、模試で間違えた項目から一つずつ、辞書のように活用してください。
マイナーに見える検査でも、基本原理を理解すれば必ず得点源に変わります。この記事を使い倒して、ライバルに差をつけましょう!
【呼吸器・消化器系】の検査
まずは、喀痰や胃液など、呼吸器・消化器に関連する検査から見ていきましょう。
喀痰検査
気管支や肺からの分泌物である喀痰は、『呼吸器疾患の診断に不可欠な検体』です。
国試最重要ポイント
- 色調と疾患の組み合わせ:鉄さび色(肺炎球菌)、緑色(緑膿菌)など。
- 細胞成分と結晶:好酸球(気管支喘息)、シャルコー・ライデン結晶(気管支喘息)。
- 抗酸菌染色:チール・ネールゼン染色(結核菌)。
【なぜ?】気管支喘息では、アレルギー反応により好酸球が集まってきます。この好酸球が壊れると、その細胞質顆粒からシャルコー・ライデン結晶が形成されます。だから「喘息=好酸球+シャルコー・ライデン結晶」は鉄板のセットなんです。
胃液検査・十二指腸液検査
胃酸の分泌能や、胆汁・膵液の状態を調べる検査です。
国試最重要ポイント
- 胃液の酸度測定:基礎分泌と刺激後分泌(テトラガストリンなど)を比較する。
- 十二指腸液の色:A胆汁(淡黄色)、B胆汁(暗褐色)、C胆汁(黄金色)の由来と色を覚える。
【覚え方】十二指腸液は「ABC」の順番で採取します。A=All(総胆管)、B=Bladder(胆嚢)、C=Canal(肝管)と、英語の頭文字で由来を覚えると忘れにくいですよ。
膵外分泌機能検査
膵臓から分泌される消化酵素の働きを間接的に調べる検査。少し複雑ですが、検査名と目的をセットで覚えましょう。
国試最重要ポイント
- セクレチン試験:ホルモン(セクレチン)を注射し、十二指腸液中の重炭酸イオンの分泌能を見る。
- PABA排泄試験(PFDテスト):合成基質(PABA)を経口投与し、膵酵素(キモトリプシン)によって分解された後、尿中に排泄される量を測定する。
【生殖・泌尿器系】の検査
次に、精液や羊水など、生殖・泌尿器に関連する専門的な検査です。
精液検査
男性不妊症の診断に用いられます。WHOの基準値が改定されていますが、国試では基本的な数値を覚えておけばOKです。
国試最重要ポイント
- 正常値の概ねの基準:精子濃度 ≧ 1500万/mL、総運動率 ≧ 40%、正常形態率 ≧ 4%。
- 採取後、速やかに検査:運動率は時間とともに低下するため。
羊水検査
胎児の成熟度や先天性異常の診断に用いられます。
国試最重要ポイント
- L/S比(レシチン/スフィンゴミエリン比):胎児の肺成熟度の指標。L/S比が2.0以上で肺は成熟していると判断。
- 羊水混濁の原因:胎便(緑〜黒褐色)、血液(赤褐色)など。
膣分泌液検査
感染症の原因微生物を特定するのが主な目的です。
国試最重要ポイント
- 膣トリコモナス:運動性のある洋ナシ状の原虫。
- カンジダ:真菌。仮性菌糸や分芽胞がみられる。
- デーデルライン桿菌:常在菌。これが減少すると自浄作用が低下する。
結石検査
体内にできた結石の成分を分析し、治療方針や再発予防に役立てます。国試では、各結石の種類と、その特徴を結びつけて覚えることが重要です。
国試最重要ポイント
- 最も頻度が高いのはシュウ酸カルシウム結石であること。
- 感染結石(ストラバイト結石)は、尿路感染症とアルカリ性尿がキーワード。
- 尿酸結石は、酸性尿で形成され、X線で写らない(X線透過性)という最大の特徴を持つ。
結石の種類 | 主な特徴とキーワード | 関連する尿のpH | X線での見え方 |
---|---|---|---|
シュウ酸カルシウム結石 | 最も頻度が高い(約80%)。ほうれん草などシュウ酸の多い食品の過剰摂取が関与。 | 酸性〜中性 | 写る(X線不透過性) |
リン酸マグネシウム アンモニウム結石 (ストラバイト結石) |
別名:感染結石。プロテウス菌などの尿素分解酵素を持つ細菌による尿路感染症が原因。大きな鹿角状結石を形成しやすい。 | アルカリ性 | 写る(X線不透過性) |
尿酸結石 | 高尿酸血症(痛風)や高プリン食が関与。 | 酸性 | 写らない(X線透過性) |
シスチン結石 | 遺伝性疾患(シスチン尿症)が原因。 | 酸性 | やや写りにくい |
特に問われやすいのが、尿のpHとX線での見え方です。これで一発で覚えましょう!
アルカリ感染、酸で溶けない尿酸は見えない
解説:
「アルカリ感染」→感染結石(ストラバイト)はアルカリ性尿。
「酸で溶けない尿酸」→尿酸結石は酸性尿でできやすい。
「見えない」→その尿酸結石はX線では見えない(写らない)。
【その他の体液】の検査
最後に、関節液やCAPD排液など、様々な体液検査のポイントを見ていきましょう
関節液検査
関節の炎症性疾患の鑑別に極めて重要。特に痛風と偽痛風の鑑別は超頻出です!
国試最重要ポイント
- 痛風:尿酸ナトリウム結晶(針状結晶)。
- 偽痛風:ピロリン酸カルシウム結晶(短冊状・菱形結晶)。
【偏光顕微鏡での見え方:国試最重要ポイント】
痛風と偽痛風の結晶は、偏光顕微鏡で観察すると特徴的な色を示します。これは結晶の「複屈折性」の違いによるもので、国試ではこの色の組み合わせが頻繁に問われます。
痛風(尿酸ナトリウム) | 偽痛風(ピロリン酸Ca) | |
---|---|---|
結晶の形 | 針状結晶 | 短冊状・菱形結晶 |
複屈折性 | 負の複屈折性 | 正の複屈折性 |
色(結晶長軸と検板遅相軸が平行の時) | 黄色 (Yellow) | 青色 (Blue) |
痛風は黄色でネガティブ(負)になる
解説:痛風は痛くて気分が「ネガティブ(負の複屈折性)」になる、と覚えましょう。そして、「平行(パラレル)の時に黄色(Yellow)」になることから、英語の頭文字をとって「PYN(ピン)」(Parallel-Yellow-Negative)と覚える方法も鉄板です!
CAPD排液検査
持続的外来腹膜透析(CAPD)を行っている患者さんの排液検査。腹膜炎の診断が目的です。
国試最重要ポイント
- 腹膜炎を疑う所見:排液の混濁、細胞数(特に好中球)の増加。
汗・鼻汁・粘液・唾液検査
これらの検査は出題頻度は低いですが、疾患との関連を1対1で覚えておけば十分です。
国試最重要ポイント
- 汗中クロール(Cl)濃度測定:嚢胞性線維症(CF)の診断。
- 鼻汁中好酸球数:アレルギー性鼻炎の診断。
- 唾液分泌能(ガムテスト):シェーグレン症候群の診断。
まとめ:広く浅く、でも“最重要ポイント”は深く!
今回は、広大な「その他の一般検査」の範囲を駆け足で見てきました。
- 全ての検査を100%完璧に覚えようとしないこと。
- 各検査で「何を見るための検査か?」という目的をまず理解する。
- この記事で挙げた「国試最重要ポイント」を確実に暗記する。
- 特に、喀痰、関節液、羊水あたりは頻出なので、少し深く学習しておく。