【国試対策】医学総論から学ぶ
肝・腎・循環器疾患の必須知識
今回は、臨床検査医学総論の範囲から、人体のカナメである「肝臓」「腎臓」「心臓」に関連する疾患の過去問を解説していきます。
この記事で、国試頻出疾患のポイントをしっかり押さえて、得点源に変えていきましょう🔥
肝・胆・膵疾患
【第67回 午後 問11】肝硬変の症候に含まれないのはどれか。
1.脾 腫
2.下肢静脈瘤
3.血小板減少
4.ICG 15 分停滞率上昇
5.コリンエステラーゼ低値
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正解:2
肝臓は「沈黙の臓器」と言われるだけあって、症状が出た時にはかなり進行していることが多いと言われています。
この問題を解く鍵は、「肝臓が硬くなると、体の中で何が起こるか?」を多角的に理解することです👍
肝硬変で起こる2大変化
肝硬変になると、肝臓の機能が大きく2つの側面から低下します。国試で問われる症状や検査値異常は、ほとんどがこのどちらかに分類できます。
肝硬変の2大病態
① 肝細胞の機能低下
🏭↘️
タンパク合成や解毒など、
肝臓本来の働きができなくなる。
② 門脈圧亢進症
🚗渋滞
肝臓が硬くなることで、
肝臓に流れ込む血液(門脈)が渋滞する。
各選択肢と病態の関連
この問題は「肝硬変の症候に含まれないのはどれか」と聞いています。各選択肢が、上記の①と②のどちらに関連するのかを考えながら見ていきましょう。
| 選択肢 | 関連する病態 | 解説 |
|---|---|---|
| 1.脾 腫 | ② 門脈圧亢進症 | 門脈の渋滞により、脾臓からの血液も流れにくくなり、脾臓が腫れます(うっ血性脾腫)。 |
| 3.血小板減少 | ② 門脈圧亢進症 | 脾腫が起こることで、脾臓の機能(古い血球の破壊)が亢進し、血小板が過剰に破壊されて減少します。 |
| 4.ICG 15分停滞率上昇 | ① 肝細胞の機能低下 | ICGは肝臓で処理・排泄される色素です。肝機能が低下すると、処理が遅れて血中に残りやすくなるため、停滞率が上昇します。 |
| 5.コリンエステラーゼ低値 | ① 肝細胞の機能低下 | コリンエステラーゼは肝臓で合成されるタンパク質です。肝機能が低下すると、合成能力が落ちて血中濃度が低下します。アルブミン低下も同様のメカニズムです。 |
正解の選択肢
2.下肢静脈瘤 → 正しい(含まれない):下肢静脈瘤は、足の静脈の弁が壊れて血液が逆流・うっ滞することで起こる病気です。肝硬変の門脈圧亢進症では、食道や直腸、腹壁の静脈瘤は見られますが、下肢静脈瘤の直接的な原因とはなりません。
肝臓での血流が渋滞すると、血液は別のルート(側副血行路)を探そうとします。その結果、以下の場所に静脈瘤ができやすくなります。これも国試頻出です!
- 食道静脈瘤(破裂すると大出血の危険)
- 直腸静脈瘤(痔の原因)
- 腹壁静脈瘤(メズサの頭)
【第71回 午後 問13】肝硬変において血中で増加するのはどれか。
1.血小板数
2.アルブミン
3.γ -グロブリン
4.総コレステロール
5.コリンエステラーゼ
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正解:3
この問題を解く鍵は、「健康な肝臓は、普段どんな働きをしているか?」を思い出すことです。肝臓の機能が分かっていれば、それが壊れた時に何が起こるかは簡単に予測できますよ。
肝臓の主な働きと肝硬変による変化
肝臓は、私たちの体で最大の化学工場です。様々な物質を「作る(合成)」「分解する」「解毒する」といった重要な働きを担っています。肝硬変になると、これらの機能が著しく低下します。
肝硬変による検査データの変動
| 肝臓の主な働き | 関連する検査項目 | 肝硬変での変動 |
|---|---|---|
| タンパク質の合成 | アルブミン | ↓↓ |
| コリンエステラーゼ | ↓↓ | |
| 凝固因子 | ↓↓ (PT延長) | |
| 脂質の合成 | 総コレステロール | ↓↓ |
| 解毒・排泄 | アンモニア, ビリルビン | ↑↑ |
| 免疫担当細胞 (クッパー細胞) | γ-グロブリン (免疫グロブリン) | ↑↑ |
各選択肢の解説
この問題は「肝硬変において血中で増加するのはどれか」と聞いています。上の表で、肝硬変で「↑↑」となる項目を探しましょう。
3.γ -グロブリン → 正しい:肝硬変では、肝臓にある免疫細胞(クッパー細胞)の機能が低下し、腸管から入ってきた抗原を処理しきれなくなります。その結果、全身の免疫系が過剰に活性化し、B細胞(形質細胞)が抗体(免疫グロブリン=γ-グロブリン)を大量に産生するため、血中のγ-グロブリンは著しく増加します(多クローン性高γ-グロブリン血症)。
1.血小板数 → 誤り:前問の解説の通り、肝硬変による門脈圧亢進症で脾腫が起こり、脾機能亢進によって血小板が過剰に破壊されるため、血小板数は低下します。
2.アルブミン / 5.コリンエステラーゼ → 誤り:これらは肝臓で合成されるタンパク質の代表です。肝硬変では肝臓のタンパク合成能が低下するため、これらの値は低下します。
4.総コレステロール → 誤り:コレステロールも主に肝臓で合成されるため、肝硬変では合成能が低下し、血中濃度は低下する傾向にあります。
腎・尿路疾患と体液・電解質異常
【第68回 午前 問13】腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか。
1.敗血症
2.尿管結石
3.前立腺肥大
4.急速進行性糸球体腎炎
5.全身性エリテマトーデス〈SLE〉
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正解:1
急性腎不全は、原因のある場所によって「腎前性」「腎性」「腎後性」の3つに分類されます。この問題を解く鍵は、それぞれの原因が「腎臓より手前」なのか「腎臓そのもの」なのか「腎臓より後」なのかを、正しく理解することです。
急性腎不全の3つの分類
急性腎不全は、急激に腎機能が悪化する状態ですが、その原因の場所によって3つのタイプに分けられます。川の流れに例えると分かりやすいです。
急性腎不全の原因
上流(心臓・血管)
【腎前性】
腎臓に血液が届かない
↓
【腎性】
腎臓そのものが壊れた
↓
下流(尿管・膀胱・尿道)
【腎後性】
尿の流れがせき止められた
各分類の代表的な原因
国試では、具体的な疾患名がどの分類に属するのかが問われます。
| 分類 | 主な原因 |
|---|---|
| 腎前性 | 大量出血, 脱水, 敗血症, 心不全などによる循環血液量の減少 |
| 腎性 | 急性糸球体腎炎, 急性尿細管壊死, 薬剤性腎障害, SLEに伴う腎炎など |
| 腎後性 | 尿管結石, 前立腺肥大, 膀胱がんなどによる尿路閉塞 |
各選択肢の解説
この問題は「腎前性急性腎不全の原因になるのはどれか」と聞いています。つまり、「腎臓に血液が十分に流れ込まなくなる状態」を引き起こす原因を探します。
1.敗血症 → 正しい:敗血症は、感染症によって全身の血管が拡張し、血圧が急激に低下する「敗血症性ショック」を引き起こすことがあります。これにより、腎臓への血流が著しく減少し、腎前性急性腎不全の典型的な原因となります。
2.尿管結石 / 3.前立腺肥大 → 誤り:これらは、尿の通り道である尿管や尿道を物理的に塞いでしまうため、腎後性急性腎不全の原因です。
4.急速進行性糸球体腎炎 / 5.全身性エリテマトーデス〈SLE〉 → 誤り:これらは、腎臓の糸球体そのものに炎症や障害を引き起こすため、腎性急性腎不全の原因です。
【第69回 午前 問14】末期慢性腎不全で認められるのはどれか。2つ選べ。
1.低リン血症
2.低カリウム血症
3.低カルシウム血症
4.低ナトリウム血症
5.低マグネシウム血症
腎臓は、体内の水分や電解質のバランスを調整する「精密なフィルター」。このフィルターが壊れたら、体の中はどうなるのか?という視点で考えると、検査データの変動が理解しやすくなります。
慢性腎不全の病態
慢性腎不全(CKD)が進行し、末期の状態になると、腎臓の持つ様々な機能が著しく低下します。特に重要なのが、①老廃物や電解質を尿中に排泄する能力と、②ホルモンを産生・活性化する能力の低下です。
末期腎不全の検査所見 早見表
| 分類 | 検査項目 | 変動 | 主な理由 |
|---|---|---|---|
| 排泄低下で 増加するもの |
カリウム (K) | ↑↑ | 排泄障害 |
| リン (P) | ↑↑ | 排泄障害 | |
| マグネシウム (Mg) | ↑ | 排泄障害 | |
| ホルモン異常で 低下するもの |
カルシウム (Ca) | ↓↓ | 活性型ビタミンD産生低下 |
| ヘモグロビン (Hb) | ↓ | エリスロポエチン産生低下 | |
| 変動しやすいもの | ナトリウム (Na) | ↓ or → or ↑ | 水分バランスに依存 |
各選択肢の解説
この問題は「末期慢性腎不全で認められるのはどれか」と聞いています。上記の知識を元に、選択肢を見ていきましょう。
3.低カルシウム血症 → 正しい:腎機能が低下すると、カルシウムの吸収に必要な活性型ビタミンDを腎臓で作れなくなります。また、腎臓からリンの排泄が滞り高リン血症になることも、血中のカルシウムを低下させる要因となります。これは末期腎不全の典型的な所見です。
4.低ナトリウム血症 → 正しい:末期腎不全では、水分の排泄も障害され、体が水分過剰(希釈性)の状態になりやすいため、低ナトリウム血症をきたすことが多く認められます。そのため、腎不全患者さんでは厳格な水分制限が行われます。
1.低リン血症 → 誤り:腎臓からのリンの排泄が低下するため、高リン血症となります。
2.低カリウム血症 → 誤り:腎臓からのカリウムの排泄が低下するため、致死的な不整脈の原因ともなる高カリウム血症をきたします。
5.低マグネシウム血症 → 誤り:腎臓からのマグネシウムの排泄が低下するため、一般的には高マグネシウム血症をきたします。酸化マグネシウム(下剤)の服用は禁忌とされるほどです。
ナトリウムは変動しやすいのですが、国試では「水分が溜まりやすい→薄まって低ナトリウム」というパターンで問われることが多いです。
そして、K, P, Mgは「排泄できないから溜まる(高値になる)」、Caは「ビタミンDが作れないから下がる(低値になる)」と、理由をつけて覚えるのが重要です!
【第69回 午後 問12】急性期の過換気症候群で低下するのはどれか。
1.HCO3-
2.PaCO2
3.動脈血 pH
4.血清カリウム
5.血清ナトリウム
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正解:2
この問題を解く鍵は、「息を吐きすぎると、体の中で何が起こるか?」を、酸塩基平衡と血液ガスの視点から理解することです。
過換気症候群の病態
精神的な不安や緊張が引き金となり、必要以上に速く深い呼吸(過換気)を繰り返してしまう状態です。その結果、体の中から二酸化炭素(CO₂)が過剰に排出されてしまいます。
過換気で起こること
息をハアハアと吐きすぎる(過換気)
😮💨💨💨
体内のCO₂(酸)が異常に減少する
↓
血液がアルカリ性に傾く
→ 呼吸性アルカローシス
血液ガス所見の変化
呼吸性アルカローシスになると、動脈血液ガスのデータは特徴的な変動を示します。
| 検査項目 | 変動 | 理由 |
|---|---|---|
| PaCO₂ (動脈血二酸化炭素分圧) |
↓↓ | 過換気により、CO₂が過剰に排出されるため。 |
| 動脈血 pH | ↑↑ | 血液中の酸性物質であるCO₂が減るため、血液がアルカリ性に傾く。 |
| HCO₃⁻ (重炭酸イオン) |
→ または ↓ (代償が起これば) |
急性期ではほぼ変動しない。時間が経つと、腎臓がアルカローシスを補正(代償)しようとしてHCO₃⁻を排泄し、低下する。 |
各選択肢の解説
この問題は「急性期の過換気症候群で低下するのはどれか」と聞いています。
2.PaCO2 → 正しい:過換気によってCO₂が体外に過剰に排出されるため、動脈血中のCO₂分圧(PaCO₂)は低下します。これが過換気症候群の最も直接的で本質的な変化です。
1.HCO3- → 誤り:急性期では、代謝性の代償(腎臓による調節)はすぐには起こらないため、HCO₃⁻はほぼ変動しません。
3.動脈血 pH → 誤り:酸性のCO₂が減少するため、血液はアルカリ性に傾き、pHは上昇します。
4.血清カリウム → 誤り:アルカローシス状態では、細胞外のH⁺が細胞内へ移動し、代わりに細胞内のK⁺が細胞外へ出てくるのを抑制するため、血清カリウムは低下する傾向にあります。しかし、この問題ではPaCO₂の低下が最も直接的で明確な答えとなります。
5.血清ナトリウム → 誤り:過換気症候群で血清ナトリウムが直接的に大きく変動することはありません。
過換気症候群で手足がしびれる(テタニー)のは、呼吸性アルカローシスによって血中のイオン化カルシウムが減少するためです。
アルカローシスになると、アルブミンとカルシウムの結合が強まり、生理活性を持つイオン化カルシウムが減ってしまうのです。これも国試で問われる関連知識です!
【第71回 午前 問14】ネフローゼ症候群で誤っているのはどれか。
1.浮 腫
2.乏 尿
3.蛋白尿
4.血清アルブミン低下
5.LDL-コレステロール低下
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正解:5
この問題を解く鍵は、「腎臓のフィルター(糸球体)が壊れて、タンパク質がダダ漏れになったら、体の中で何が起こるか?」をストーリーで理解することです。
ネフローゼ症候群の病態
腎臓の糸球体に異常が起こり、血液中のタンパク質(特にアルブミン)が大量に尿中へ漏れ出てしまう状態です。これにより、血液中のタンパク質が極端に少なくなり(低アルブミン血症)、様々な症状を引き起こします。
ネフローゼ症候群で起こること
腎臓のフィルターが壊れる
↓
尿中にタンパク(アルブミン)が大量に漏れ出す
→ 高度蛋白尿
↓
血液中のアルブミンが激減
→ 低アルブミン血症
↓
血管内の水分が外に漏れ出す
→ 浮腫(むくみ)
↓
代償しようと肝臓が脂質を過剰産生
→ 脂質異常症(高コレステロール血症)
ネフローゼ症候群の4大徴候
国試では、ネフローゼ症候群を特徴づける以下の4つの所見を覚えることが非常に重要です。
| ネフローゼ症候群の4大徴候(診断基準) | |
|---|---|
| ① 高度蛋白尿 | 1日 3.5g以上のタンパクが尿中に漏れ出す。 |
| ② 低アルブミン血症 | 血清アルブミン値が 3.0g/dL以下に低下する。 |
| ③ 脂質異常症(高脂血症) | 血清総コレステロール値が 250mg/dL以上に上昇する。 |
| ④ 浮腫 | 低アルブミン血症により、血管から水分が漏れ出し全身がむくむ。 |
各選択肢の解説
この問題は「ネフローゼ症候群で誤っているのはどれか」と聞いています。
5.LDL-コレステロール低下 → 正しい(誤っている選択肢):上記の通り、ネフローゼ症候群では、肝臓がアルブミンの低下を補おうとしてリポ蛋白の合成を亢進させるため、脂質異常症(高コレステロール血症)をきたします。特に悪玉コレステロールであるLDL-コレステロールは著しく上昇します。したがって、「低下」という記述は明確な誤りです。
1.浮 腫 → 誤り(正しい所見):低アルブミン血症によって膠質浸透圧が低下し、血管内の水分が組織に漏れ出すため、全身性の浮腫(むくみ)が見られます。
2.乏 尿 → 誤り(正しい所見):血管内の水分が減少し、循環血漿量が低下するため、腎臓への血流が減り、尿量が減少(乏尿)することがあります。
3.蛋白尿 → 誤り(正しい所見):糸球体のフィルター機能が壊れ、1日3.5g以上ものタンパク質が尿中に漏れ出る「高度蛋白尿」は、ネフローゼ症候群の最も本質的な所見です。
4.血清アルブミン低下 → 誤り(正しい所見):高度蛋白尿の結果、血液中のアルブミンが失われ、「低アルブミン血症(3.0g/dL以下)」となります。
循環器疾患
【第67回 午前 問14】心不全の重症度評価に用いられるのはどれか。
1.AST
2.BNP
3.CK
4.LD
5.トロポニン
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正解:2
この問題は、まさにその鑑別知識を問う、超基本にして最重要の問題です!
心不全と心筋梗塞の違い
まず、2つの病態の違いを簡単に整理しましょう。
- 心不全:心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなった状態のこと。心臓に負担がかかっているサインです。
- 心筋梗塞:心臓の血管(冠動脈)が詰まり、心筋細胞が壊死してしまう病気。心臓の細胞が壊れているサインです。
BNP:心臓からの”SOS信号”
心不全になると、心臓(特に心室)に負担がかかり、壁が引き伸ばされます。すると、心臓は自らを守るために、利尿作用や血管拡張作用を持つホルモンを分泌します。これがBNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)です。
BNPが上昇するメカニズム
心不全で心臓に負担がかかる
💔
心室の壁が引き伸ばされる
↓
心臓が助けを求めて
BNPを分泌!
「利尿して体を楽にしてくれ!」
つまり、血中のBNP濃度は、心臓にかかっている負担の大きさを直接反映します。そのため、心不全の診断や重症度評価に極めて有用なマーカーとなります。
各選択肢の解説
この問題は「心不全の重症度評価に用いられるのはどれか」と聞いています。
2.BNP → 正しい:上記の通り、BNPは心臓への負荷を反映するホルモンであり、心不全の診断・重症度評価のゴールドスタンダードです。
1, 3, 4, 5 → 誤り:これらはすべて、細胞が壊れた時に血液中に漏れ出てくる「逸脱酵素」や「心筋構成タンパク」です。心臓の細胞が壊死する心筋梗塞の診断には非常に有用ですが、心臓に負担がかかっているだけの心不全では、必ずしも上昇するわけではありません。
| マーカー | 主に何を反映するか | 主な対象疾患 |
|---|---|---|
| BNP | 心臓への負荷 | 心不全 |
| トロポニン, CK(-MB), AST, LD | 心筋細胞の壊死 | 急性心筋梗塞 |
BNPは、作られる時は「proBNP」という前駆体の形をしています。これが血中に放出される際に、活性型の「BNP」と、不活性な「NT-proBNP」に1対1で分かれます。
NT-proBNPは、BNPよりも血中での安定性が高く、半減期が長いという特徴があります。そのため、BNPと同様に心不全のマーカーとして広く用いられています。
国試でもBNPとNT-proBNPは同じ心不全マーカーの仲間として覚えておきましょう!
【第69回 午前 問11】WPW症候群に合併しやすいのはどれか。
1.心室頻拍
2.心房細動
3.心房粗動
4.房室ブロック
5.発作性上室頻拍
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正解:5
この問題を解く鍵は、WPW症候群が「なぜ起こるのか?」という、心臓の電気伝導システムの異常を理解することです。正常ルートとは別の「裏道」の存在がポイントですよ。
WPW症候群とは?
WPW症候群(ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群)は、心房と心室の間に、本来はないはずの異常な電気の通り道(副伝導路:ケント束(など))が生まれつき存在することで起こる疾患です。
WPW症候群の電気の流れ
正常な心臓
電気は「房室結節」という正規の関所を必ず通る。
⚡️
心房 → 房室結節 → 心室
WPW症候群
正規の関所の他に、「副伝導路」という裏道が存在する。
⚡️ ↘︎
⚡️ → ⚡️
心房 → 房室結節 → 心室
↘︎ 副伝導路 ↗︎
この「裏道(副伝導路)」のせいで、電気が異常なルートをグルグルと空回り(リエントリー)しやすくなり、頻拍発作を引き起こします。
合併しやすい不整脈
WPW症候群で最も起こりやすい頻拍発作が、発作性上室頻拍(PSVT)です。これは、房室結節(正規ルート)と副伝導路(裏道)の間で電気が高速で旋回(リエントリー)することで生じます。脈が突然、規則正しく毎分150〜250回にもなる発作です。
また、心房細動や心房粗動を合併すると、心房からの異常な興奮が副伝導路を介して心室に直接伝わってしまい、非常に速い心室レート(偽性心室頻拍)となり、命に関わる危険な状態になることもあります。
各選択肢の解説
この問題は「WPW症候群に合併しやすいのはどれか」と聞いています。
5.発作性上室頻拍 → 正しい:WPW症候群の最も代表的な合併症です。房室結節と副伝導路を含むリエントリー回路が形成されることで発症します。
1.心室頻拍 → 誤り:心室頻拍は、心室自体に原因がある不整脈であり、WPW症候群のリエントリーとはメカニズムが異なります。
2, 3 (心房細動, 心房粗動) → 誤り:合併することはありますが、発作性上室頻拍ほど典型的ではありません。WPW症候群に心房細動が合併すると非常に危険ですが、「最も合併しやすい」のは発作性上室頻拍です。
4.房室ブロック → 誤り:房室ブロックは、心房から心室への電気伝導が「遅くなる・途絶える」徐脈性の不整脈です。WPW症候群は、むしろ電気が余計なルートを通って「速くなる」頻脈性の不整脈を起こしやすい病態であり、病態が逆です。
WPW症候群の心電図では、特徴的な3つの所見が見られます。これも国試頻出です!
- PQ時間の短縮:副伝導路を介した「フライング興奮」により、心房から心室へ電気が伝わる時間が短縮します。
- デルタ(Δ)波の出現:フライング興奮により、QRS波の立ち上がりがなだらかになります。
- QRS幅の延長:正常な伝導とフライング興奮が合わさるため、QRS波の幅が広くなります。
まとめ:臓器の“働き”から病態を理解する!
お疲れ様でした!今回は、臨床検査医学総論の中から「肝・腎・循環器」という3大臓器の疾患に関する過去問を解説しました。それぞれの臓器の正常な働きを理解していれば、病気になった時の検査データの変動も、理由をつけて覚えることができますね。
【結論】肝・腎・心 疾患攻略の3鉄則
アルブミン↓, ChE↓ vs 脾腫, 血小板↓
肝硬変の検査所見は、肝臓の工場機能が落ちる「合成能低下(アルブミンやChEの低下)」と、血流が渋滞する「門脈圧亢進(脾腫や血小板減少)」の2つの側面から整理しましょう。γ-グロブリンは例外的に増加することも重要です。
腎不全 → 高K, 高P, 低Ca
ネフローゼ → 高度蛋白尿, 低Alb, 脂質異常
腎臓の疾患は、フィルターが詰まってゴミを捨てられない腎不全と、フィルターが壊れて大事なものまで漏れてしまうネフローゼ症候群のイメージで区別します。それぞれの特徴的な検査所見を確実に押さえましょう。
心不全=BNP (負荷) vs 心筋梗塞=トロポニン (壊死)
心不全は心臓への「負荷」を見るためBNPが上昇します。一方、心筋梗塞は心筋細胞の「壊死」を見るためトロポニンやCKが上昇します。この目的の違いを理解することが、循環器疾患の問題を解くポイントです。
それぞれの臓器の働きと、それが壊れた時のサイン(検査データ)を結びつけて、効率よく学習を進めていきましょう!

