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【臨床検査総論】採血後の放置はNG!検体提出が遅れると検査データはこう変わる
こんにちは。臨床検査技師の「さい」です。
臨床現場では、様々な理由で採血した検体をすぐに検査できないことがありますよね。しかし、その「少しの放置」が、検査データに致命的な影響を与えてしまうことをご存知ですか?(致命的なのは、アンモニアなどごく一部の項目ですが)
この記事では、国家試験で頻出の「全血を室温で放置した場合に、どの検査項目がどう変動するのか」という超・重要知識を、「なぜそうなるのか?」という理由から徹底的に解説します。この記事を読めば、もう検体提出遅延の影響で迷うことはありません!
大原則:検体放置で起こる「2つの現象」
採血後の全血検体で起こる変化は、大きく分けて2つの現象が原因です。
① 血球成分の漏出(溶血)
時間の経過と共に赤血球などの細胞が壊れ、細胞内に高濃度で含まれていた成分が、血漿中に漏れ出してきます。
② 血球の代謝(消費)
採血後も、赤血球は生きています。エネルギー源として血漿中の成分を消費したり、代謝産物を産生したりします。
【国試頻出】検体放置による検査値の変動まとめ
それでは、具体的にどの項目がどう変動するのか、ゴロ合わせも交えて見ていきましょう!
放置で「上昇(高値)」する主な成分
原因:主に赤血球内の高濃度成分が、血漿中に漏れ出す(溶血)ため。
【上昇するもののゴロ合わせ】
「乳輪にカリウム」
- 乳 (にゅう):乳酸 (Lactate)
- 輪 (りん):無機リン (IP)
- カリウム:K
- その他、特に重要なもの:LD, AST, NH3 (アンモニア)
放置で「低下(低値)」する主な成分
原因:主に赤血球の解糖系など、代謝によって消費されるため。
【低下するものの代表】
グルコース (Glu)
- 赤血球がエネルギー源として消費するため、時間と共にどんどん低下します。
- これを防ぐために、血糖測定用の採血管には解糖阻害剤(フッ化ナトリウム)が入っています。
まとめ:検体は「生もの」。迅速な処理が命!
検体は、患者さんの体から離れた瞬間から、刻一刻と変化していく「生もの」です。正しい検査データを得るためには、採血後、速やかに遠心分離し、血球成分と血漿(血清)を分けることがいかに重要か、お分かりいただけたかと思います。
国試では、特にK, LD, AST、NH3が上昇し、グルコースが低下するという点が頻繁に問われますので、必ず覚えておきましょう!