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【血液学】赤血球の形態異常と疾患|国試対策まとめ

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【血液学】赤血球の形態異常と疾患まとめ|国試対策のポイントを徹底解説

さい
さい
末梢血液塗抹標本を見て、「このヘンな形の赤血球、なんだっけ…?」「この疾患で見られる赤血球って、どんな形だっけ…?」と、頭がごちゃごちゃになっていませんか?

こんにちは。血液像の鏡検が好きな、現役臨床検査技師の「さい」です。

臨床検査技師国家試験の血液学分野において、赤血球の形態異常は、避けては通れない最重要テーマの一つです。しかし、種類が多く、関連する疾患も多岐にわたるため、暗記に苦労している受験生も多いのではないでしょうか。

この記事では、そんなあなたの悩みを解決するため、国試で問われる主要な異常赤血球を「なぜその形になるのか?」というメカニズムと共に、網羅的に解説します。この記事を読めば、もう形態異常は怖くありません!

【国試対策の決定版】異常赤血球形態と関連疾患まとめ表

まずは、この記事の核心となる「まとめ表」をご覧ください。この表を頭に叩き込むことが、合格への第一歩です。

赤血球の形態異常と関連疾患

No. 名称(別名) みられる主な疾患
1 Discocyte (正常赤血球)
Biconcave disc
2 Echinocyte (有棘赤血球)
いばら赤血球, Burr cell
尿毒症, ピルビン酸キナーゼ異常症, 低カリウム血症, 保存赤血球の輸血後
3 Acanthocyte (有棘赤血球)
spur cell
アルコール性肝炎, 無β-リポ蛋白血症, 摘脾後
4 Stomatocyte (口唇赤血球)
Mouth cell, cup form
遺伝性口唇状赤血球症, アルコール中毒, 肝硬変, 閉塞性肝障害
5 Spherocyte (球状赤血球) 遺伝性球状赤血球症, 免疫性溶血性貧血, ハインツ小体形成溶血性貧血, 輸血後
6 Schizocyte (分裂赤血球)
Schistocyte, fragmented cell
微小血管症性溶血性貧血, 高度熱傷, 行軍ヘモグロビン尿症
7 Elliptocyte (楕円赤血球)
Ovalocyte
遺伝性楕円赤血球症, 鉄欠乏性貧血, サラセミア, 巨赤芽球性貧血
8 Drepanocyte (鎌状赤血球)
Sickle cell
鎌状赤血球症
9 Codocyte (標的赤血球)
Target cell
閉塞性肝障害, ヘモグロビン異常症 (S, C), サラセミア, 鉄欠乏性貧血, LCAT欠乏症
10 Dacryocyte (涙滴赤血球)
Teardrop cell
骨髄線維症, がんの骨髄転移, サラセミア
11 Leptocyte (菲薄赤血球)
Thin cell
鉄欠乏性貧血, サラセミア, 閉塞性肝障害

【国試で差がつく】形態異常の「なぜ?」を深掘り!

ただ暗記するだけでなく、「なぜその形になるのか?」というメカニズムを理解すると、知識は忘れにくくなります。特に重要なものをピックアップして解説します。

球状赤血球 (Spherocyte)

【なぜ丸くなる?】正常な赤血球は、膜の表面積に余裕があるため、柔軟な円盤状をしています。しかし、遺伝性球状赤血球症などでは、膜を構成するタンパク質に異常があり、膜の一部が剥がれ落ちてしまいます。その結果、表面積が減少し、パンパンに張った球形にならざるを得ないのです。球状になると柔軟性が失われるため、脾臓の細い血管を通り抜けられずに破壊(溶血)されやすくなります。

分裂赤血球 (Schizocyte)

【なぜ分裂する?】DICなどで血管内にフィブリンの網が張り巡らされると、そこを高速で通過する赤血球が、網に引っかかって物理的に引きちぎられてしまいます。その結果、ヘルメットのような特徴的な断片(分裂赤血球)が生まれます。これが血中に出現することは、血管内で赤血球が破壊されている(血管内溶血)ことの強力な証拠となります。

標的赤血球 (Codocyte)

【なぜ的の形に?】これは、赤血球の表面積が、中身(ヘモグロビン)に対して過剰になっている状態です。膜がダブついているイメージですね。閉塞性肝障害では膜のコレステロールが増加し、鉄欠乏性貧血やサラセミアでは中身のヘモグロビンが減少するため、相対的に膜が過剰になり、このような的状の形態をとります。

涙滴赤血球 (Dacryocyte)

【なぜ涙の形に?】骨髄線維症などで、線維化して硬くなった骨髄から、赤血球が無理やり搾り出される際に、引き伸ばされて涙のような形になってしまいます。これが末梢血に見られるということは、骨髄に何らかの重大な異常が起きているサインです。

まとめ:形態と病態をセットで覚えよう!

臨床検査技師国家試験における赤血球形態異常の問題は、単に形と名前を覚えるだけでは不十分です。「この形態異常は、どんなメカニズムで、どの疾患の時に見られるのか」をセットで理解することが、高得点への鍵となります。

まずはこの記事の表を完璧に暗記し、余裕ができたら「なぜ?」の部分を深掘りしていきましょう。あなたの努力が、最高の結果に結びつくことを心から応援しています!