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【臨床検査技師国家試験】第69回AM病理組織細胞学【解説】

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国家試験病理組織細胞学AM問45~58です

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集

第69回病理組織細胞学AM45~58

45:子宮頸部擦過細胞診の Papanicolaou 染色標本(別冊No. 8)を別に示す。Bethesda システムによる判定はどれか。

  1. NILM
  2. LSIL
  3. HSIL
  4. Squamous cell carcinoma
  5. Adenocarcinoma

解説:Bethesda(ベゼスタ)システムとは

★べセスダシステムは子宮頸癌細胞診の報告様式のこと

上表を元に設問を見ると

  1. NILM(陰性)
  2. LSIL(Ⅲa)
  3. HSIL(Ⅲa~Ⅳ)
  4. Squamous cell carcinoma(扁平上皮癌)
  5. Adenocarcinoma(腺癌)

となります。病理は専門でないので完璧な解説ではないです。
好中球を主体とした炎症性背景に出現する中~高度異形成を考える細胞像と考えます。
まず細胞を見るとN/C比が大きく正常ではなさそうです。そして、核型の不整もないし癌細胞とまでもいきそうにありません。この時点で①、④、⑤が消えます。
③と④の違いは軽度扁平上皮内病変か、中~高度扁平上皮内病変です。
③の軽度の場合、HPV感染の兆候すなわちコイロサイトなどが鑑別に上がりますので、この写真ではそういった所見はありません。
根拠に乏しいですが、N/C比の増大があり、異型細胞が見られますので中等度の病変が適当かとおもいます。

★コイロサイト

  • koilocytosis という現象は重層扁平上皮を構成する中層および表層細胞の核周囲の空胞、核腫大、核形不整などによって特徴づけられれる細胞変化のこと。
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)が感染し、核の中でウイルス粒子の複製が生じるために引き起こされる細胞傷害効果を反映する現象。

 

答え:3

46:病理解剖の目的として正しいのはどれか。 2 つ選べ。

  1. 人体の正常な構造を明らかにすること。
  2. 犯罪との関係が疑われる死体を調べること。
  3. 災害で亡くなった人の死因を明らかにすること。
  4. 生前に行われた治療の効果を明らかにすること。
  5. 病気で亡くなった人の死因を明らかにすること。

解説:解剖の種類は以下の通りです。

①は正常(系統)解剖、②と③は法医解剖、④と⑤は病理解剖です。

答え:4と5

47:H-E 染色標本(別冊No. 9A)とパラフィンブロックの肉眼写真(別冊No. 9B)を別に示す。H-E 染色標本にみられる問題の原因はどれか。

  1. ホルマリン固定不足
  2. パラフィン浸透不足
  3. 薄切の面出し不足
  4. 切片の伸展不足
  5. 染色時の切片剝離

解説:9Aの画像を見ると、白く抜けているのがわかります。この時点で③か⑤が鑑別となりますが、9Bを見ると中央付近に白くなっている部分があります。実はこれが薄切の面出し不足が原因となっているもの。従って、切片剥離ではなく、面出し不足が原因であることがわかります。
剥離だともっと境界がハッキリしていると思われます。

答え:3

48:気管支の特殊染色標本(別冊No. 10)を別に示す。染色法はどれか。

  1. Nile blue 染色
  2. Berlin blue 染色
  3. Alcian blue 染色
  4. Victoria blue 染色
  5. toluidine blue 染色

解説:染色法の鑑別の問題ですね。〇〇ブルー染色です。それぞれ何を染める染色法なのかを知っていれば特に困ることはないでしょう。

★各染色詳細

  • Nile blue 染色:中性脂肪、コレステロールエステルを赤色~赤紫色に染める
  • Berlin blue 染色:鉄染色でヘモジデリンやアスベスト小体を青色に染める、核は赤色背景は淡赤色になる。
  • Alcian blue 染色:酸性粘液多糖類と酸性粘液を対象とした染色法。Alcian blueが酸性粘液多糖類・酸性粘液の硫酸基にのみ結合して青色を呈する。
  • Victoria blue 染色:弾性線維とHBs抗原を対象とした染色法。弾性線維は青色に、核はピンク色に染まる。
  • toluidine blue 染色:酸性粘液多糖類・酸性粘液・アミロイドを赤紫色に染める。

弾性繊維:エラスチンにより構成される弾性に富む線維のこと。
ほとんどの結合組織に存在するが、特に大動脈、気管、皮膚、項靭帯に豊富にみられ、高い伸展性を示す。

答え:3

49:甲状腺濾胞細胞で産生されるのはどれか。

  1. カルシトニン
  2. パラトルモン
  3. ソマトスタチン
  4. サイログロブリン
  5. 甲状腺刺激ホルモン

解説:濾胞細胞と傍濾胞細胞の違いを押さえておきましょう。

★設問のホルモンの説明

  • カルシトニンは甲状腺傍濾胞細胞から分泌されるペプチドホルモンで、カルシウム代謝調節ホルモンの1つである
  • パラトルモンは副甲状腺から分泌され、カルシトニンやビタミンDとともに、血液中や体液中のカルシウム濃度を一定に保つために働く
  • ソマトスタチンは膵臓のランゲルハンス島(δ細胞)や消化管の内分泌細胞(δ細胞)などから分泌され、インスリンとグルカゴンの分泌を抑制したり消化管におけるグルコースの吸収を抑制する。
  • サイログロブリンは甲状腺濾胞細胞のみで合成される糖蛋白で、甲状腺ホルモンの貯蔵型として甲状腺濾胞内に貯えられている
  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)は下垂体前葉の甲状腺刺激ホルモン分泌細胞から分泌され、甲状腺ホルモンの分泌を調節する。

★甲状腺濾胞細胞とは

濾胞細胞は血液の中から甲状腺ホルモンの原料となるヨウ素を吸収して、甲状腺ホルモンを合成・分泌する細胞で、甲状腺の99%を占める。
残り1%が傍濾胞細胞(C細胞)で、カルシトニンという血液中のカルシウム濃度調節を行うホルモンを分泌する。

答え:4

50:平滑筋で構成されるのはどれか。

  1. 心筋
  2. 舌筋
  3. 横隔膜
  4. 表情筋
  5. 子宮筋層

解説:平滑筋はどの臓器にあるかまとめてみました。知っていれば秒殺できる問題です。

★平滑筋で構成されるもの

  • 食道
  • 十二指腸
  • 気管
  • 胆のう
  • 胆管
  • 膀胱
  • 子宮

これらの内臓の諸器官や血管壁に存在する不随筋であり、横紋は見られないのが特徴。

心筋(不随筋)、舌筋、横隔膜(随意筋)は横紋筋で、表情筋は随意筋+不随意筋です。

答え:5

51:血栓の誘因となりにくいのはどれか。

  1. 喫煙
  2. 悪性腫瘍
  3. 心房細動
  4. 脂質異常症
  5. ビタミンK欠乏

解説:設問を見て一つずつ考えてみます。

  • 喫煙
    →活性酸素が血栓症を誘因する。
  • 悪性腫瘍
    →静脈を圧迫し、血流が悪くなる。淀みが生じ、結果血栓を誘発する。
  • 心房細動
    →うまく血液を送り出せなくなり、血栓リスクが上がる。
  • 脂質異常症
    →動脈の内側にプラークができ、流れが悪くなり血栓リスクが上がる。
  • ビタミンK欠乏
    →ビタミンK依存性凝固因子の産生が低下し、出血傾向を呈する
血栓ができるリスク要因は血流や、血管内病変が起因しています。

答え:5

52:我が国における肺の悪性腫瘍のうち最も頻度が高いのはどれか。

  1. 腺癌
  2. 小細胞癌
  3. 大細胞癌
  4. 扁平上皮癌
  5. 悪性中皮腫

解説:肺癌の組織型とその頻度の問題とみればいいです。

原発性肺癌の組織型

  • 腺癌
  • 扁平上皮癌
  • 小細胞癌
  • 大細胞癌

腺癌が半数以上を占めている。
腺癌>>扁平上皮癌>小細胞癌>大細胞癌

悪性中皮腫は中皮細胞から発生する悪性腫瘍で、肺癌に比べるとその頻度は1%以下とまれな腫瘍です。

答え:1

53:遺伝子解析の際に推奨される脱灰液はどれか。

  1. 3 %塩酸水溶液
  2. 5 %硝酸水溶液
  3. 5 %トリクロロ酢酸水溶液
  4. エチレンジアミン四酢酸(EDTA)液
  5. プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液

解説:遺伝子解析の脱灰液選択ですが、ポイントをまとめてみました。

十分に固定された組織でも、脱灰処理によって組織傷害が少なからず生じることから各種脱灰液の影響などを考慮しなければならない。
3%塩酸水溶液、5%硝酸水溶液、5%トリクロロ酢酸水溶液、プランク・リクロ(Plank-Rychlo)液などの酸を用いた脱灰法ではDNAの断片化が顕著である。
キレート剤を用いた中性脱灰法であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)液では断片化の少ないDNAの抽出が可能となり遺伝子解析の際に推奨されている。

答え:4

54 細胞診検査材料のうち、最も低速遠心で集細胞法を行うのはどれか。

  1. 尿
  2. 胸水
  3. 膵液
  4. 髄液
  5. 胆汁

解説:遠心速度とポイントをまとめました。

★集細胞法のポイント

  • 尿、体腔液、胆汁、膵液は2000~3000rpmでの遠心が望ましい。
  • 髄液は蛋白成分が少なく細胞が壊れやすいため、700~900rpmでの遠心が望ましい。
  • 膵液や胆汁には消化酵素を多く含んでいるため、低温での保存が必要。

答え:4

55:急性炎症で特徴的にみられる現象はどれか。 2 つ選べ。

  1. 好中球浸潤
  2. リンパ球浸潤
  3. 血漿成分の滲出
  4. 組織構築の改変
  5. 線維芽細胞の増殖

解説:

★急性炎症の特徴

  • 好中球の働きが活発になり、好中球浸潤が出現する
  • 血管透過性の亢進により、血漿成分の滲出が起きる

★慢性炎症の特徴

  • リンパ球浸潤が出現する
  • 形質細胞浸潤が出現する

答え:1と3

56:静脈血が流れているのはどれか。 2 つ選べ。

  1. 大動脈
  2. 肺動脈
  3. 臍帯動脈
  4. 気管支動脈
  5. 総腸骨動脈

解説:動脈とありながらも、静脈血が流れる血管を選ぶ問題です。

★静脈血が流れている血管

  • 肺動脈
  • 臍帯動脈

心臓の解剖を覚えてもいいですが、数が少ないので暗記していてもいいと思います。

答え:2と3

57:H-E 染色のエオジン液に加えるのはどれか。

  1. 塩酸
  2. 酢酸
  3. 硫酸
  4. アンモニア
  5. 炭酸リチウム

解説

酸性色素であるエオジンは負に荷電し、正に荷電すし組織蛋白質に親和する。
しかし、組織蛋白質は一般的に等電点が低く中性領域ではより多くが負に荷電するため、そのままでは負に荷電するエオジンとは斥力が働き、エオジンが組織蛋白質へは親和しにくい。

そこで酢酸を用いて酸を加えると、蛋白質中のリジンなどのアミノ基(NH2)が正にイオン化し(NH3+)、負に荷電するエオジンがより親和しやすくなる。
すなわち好酸性が増大する。そのためエオジン染色液へは、通常酢酸が添加される。
塩酸ではなく酢酸が使われる理由は、弱酸性下(pH5~6)で最も強く染まるから。

答え:2

58 縦隔に含まれない臓器はどれか。

  1. 気管
  2. 胸腺
  3. 食道
  4. 心臓

解説:縦隔(じゅうかく)とは左右の肺にはさまれた区域のことです。

★縦隔に含まれるもの

  • 気管
  • 気管支
  • 胸腺
  • 食道
  • 心臓
  • 大血管(大動脈、大静脈、肺動脈、肺静脈)
こんなイメージです笑イラストでは大血管や食堂は記載していませんが、イラスト中央に走行しています。

答え:1

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