過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
国家試験の過去問解説のまとめページです
第70回医用工学概論PM95~100
95 滅菌装置で正しいのはどれか。
- プラズマ滅菌装置はカテーテル類の滅菌に使用される。
- 乾熱滅菌装置の滅菌条件は140℃、3時間以上である。
- 酸化エチレンガス〈EOG〉滅菌装置は高温滅菌法である。
- 熱を用いる滅菌では、湿熱よりも乾熱の方が滅菌効率が良い。
- 高圧蒸気滅菌装置〈オートクレーブ〉の滅菌条件は1.5気圧、15分間である。
解説:滅菌についてまとめます。
★滅菌
- プラズマ滅菌
⇒高真空状態のチャンバー内に、気化した過酸化水素ガスを注入し、高周波を与えることで、過酸化水素ガスをプラズマ化。フリーラジカルにより微生物をDNAレベルで不活化する滅菌法で、医療機器やカテーテルの洗浄にも使われる。 - 乾熱滅菌
⇒電気オーブンを用いた滅菌方法で、加熱条件は160~190℃で30分間~2時間(温度によって異なる)で、酵素や蛋白質を変性破壊し、失活させる。
ガラス、金属器具など、高温でも問題ないものや、蒸気に触れてはいけないものの滅菌に用いる。 - 酸化エチレンガス滅菌(EOG)
⇒エチレンオキシドが病原菌のDNAを変異させ、失活させる。
浸透力の高さ及び低温下(50~60℃)における滅菌効果が高いため、医療器具などの滅菌に用いられる。 - 湿熱滅菌(高圧蒸気滅菌:オートクレーブ)
⇒121℃、2気圧で20分処理する。「乾熱滅菌よりも湿熱滅菌の方が温度は低いが、滅菌効果は高い。」
高温、高湿度に耐えうるものに用いる。
それぞれ滅菌の特徴を羅列しています。高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)は現在では湿熱滅菌と呼ばれているので、まとめて記載しています。
オートクレーブは圧力をかけますが、水蒸気下で加熱し圧力をかけずに滅菌するものもあり、現在、国際的には湿熱滅菌と呼ばれています。
水(水蒸気)を用いないものは「乾熱滅菌」と呼ばれています。
答え:1
96 生体組織の商用交流における導電率の大小関係で正しいのはどれか。
- 角 質 > 真 皮
- 血 清 > 全 血
- 骨 髄 > リンパ液
- 細胞膜 > 細胞内液
- 脂 肪 > 筋組織
解説:導電率は「血液>骨格筋>脂肪」の順で小さくなることを前提に選択肢を見ていきます。
- 角質<真皮
- 血清>全血
- 骨髄<リンパ液
- 細胞膜<細胞内液
- 脂肪<筋組織
生体内で最も導電率が高いのは細胞外液です。
血清は全血中の細胞外液であり、細胞外液と細胞成分を含む全血より導電率は高いのでこれが解答となります。
その他は符号が逆転しただけなので、参考までに把握しておきましょう。
★ポイント
- 導電率は「血液(細胞外液>細胞内液)>骨格筋>脂肪」
答え:2
97 電気工学に関する関係式で誤っているのはどれか。
- 仕 事=仕事率×時 間
- 仕事率=電 圧×電 流
- 電 圧=電 流×抵 抗
- 電 流=電気量×時 間
- 電気量=静電容量×電 圧
解説:選択肢は基本的に同じ内容の関係式を形を変えて出題しています。
- 仕事=仕事率×時間
⇒概念的には(結果:得られる力)=(力の大きさ)×(距離や時間)かと思います。 - 仕事率(W)=電圧(V)×電流(A)
様々な仕事率がありますが、電圧と電流から、ここでは「W」が妥当かと思います。 - 電圧(V)=抵抗(R)×電流(I)
⇒「オームの法則:覚え方(ブリ)」 - 電気量(C)=電流(A)×時間(S)
⇒ファラデーの法則 - 電気量=静電容量×電圧
⇒Q(コンデンサに含まれる電気量)=C(静電容量)×V(電圧)
電流(A)=電気量(C)×時間(s)は間違いです。
答え:4
98 ME機器のBF形着部を表す医療機器関連図記号はどれか。
解説:第66回でも順番は異なりますが、全く同じ問題が出ています。
記号の名称は以下の通りになります。
BF形着部は□に人のマークが描かれているものになります。
答え:3
99 図のフローチャートを開始から終了まで実行してsに1から3までの整数の和を得たい。①に入る記号はどれか。
- <
- ≦
- =
- >
- ≧
解説:まず、フローチャート記号(JIS)の基礎を知っておきましょう。
- 楕円(端子)は開始/終了記号とも呼ばれています。
- 六角形は準備、◇は判断、□は処理です。
フローチャートを進めてみます。
開始から準備記号内ではsに0、iに1を代入する。
解答となる判断記号内では「iと3」の関係性を判断をしていかなければならない。
Sは1~3の整数の和なので、「sは6」となって終了する。(1+2+3)
したがって、現在sは0なので、判断記号からyesへ進む必要がある。
i=1なのでyesとなるためには少なくとも判断内は「i<3」となるが、
「sが6」となるまでyesを繰り返すので、判断内は「i≦3」となる。
答え:2
100 分光光度計から得られる吸光度で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 0から1の値をとる。
- 透過率の逆数で表す。
- 混濁によって減少する。
- 溶液の濃度に比例する。
- 溶液の光路長に比例する。
解説:基本的には「Lambert-Beer(ランベルト・ベール)」の法則を知っていれば解くことができます。
- 吸光度は、上記の式で求めることができます。求めた吸光度は1よりも大きい値をとることもあります。
- 混濁により増加します。
- 吸光度=モル吸光係数×光路長×濃度で表されます。
⇒吸光係数は同一物質であればある程度一定でありますが、光路長、濃度に比例する関係であるのがわかります。
答え:4と5
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