エコー検査ができないと一言で言っても
- エコー検査がしたくても環境的にできない
- エコー技術が足りなくて、自信を持って検査にあたれない
- エコー検査の習得方法がわからない
上記以外にも、悩む人によってたくさんの理由があると思います。
僕も検査センターあがりの技師なので、病院に転職した当時はエコー検査にめちゃくちゃ苦労しました。
この記事では、エコー検査ができない人が取るべき行動を示し、
「検査ができない」「検査スキルを上げたい」
こういった悩みを少しでも減らせれるような方法を書いています。
僕は環境的にはエコー検査に携われる状況にいます
僕が実際にやっていた練習方法も書いていますので、参考になってくれたら幸いです。
エコーができない理由とは
臨床検査技師としてのスキル・経験の不足
エコー検査は一度やってみればわかるのですが、とにかく「スキル」「経験」が重要です。
患者さん一人ひとり、臓器の形や大きさ、場所、角度など違いますし、病態も異なります。それらをなるべく同じ形で評価するために、エコー走査の標準化も確立されていますが、ルーチン走査ができたところで完璧に検査をこなすことは難しいでしょう。
エコー検査ができないと感じる理由は、おそらく「スキル・経験の不足」が1番のポイントになると思います。
職場の環境問題
あなたの職場はどのような環境でしょうか?
エコー研修ができるほど、充実した施設でしょうか?
ここも大事なポイントです。
- エコー走査手順を、正しく教えてくれる人がいるか。
- 撮ったエコー画像を評価してくれる十分な経験を持つ技師又は超音波専門医はいるか。
- 日に何件もエコー検査があるか。
上記全て当てはまる施設の方は「十分な研修が可能」ですので、そのまま研鑽に務めてください。
もし、当てはまらない施設にいる方は、その環境を変える必要があるかもしれません。
エコーの資格や研修の不足
エコー検査は、医療現場で広く利用される重要な検査ですが、その実施には専門的な知識と技術が要求されます。
研修不足や資格の不足は、エコー検査が適切に行えないと感じてしまう、主な原因の一つです。
研修不足による問題点
- 画像の読み取りミス: 正常な組織と病変を誤って判断してしまう。
- 検査走査のミス: 検査部位を間違えたり、適切な角度でプローブを当てられない。
時間がかかってしまう。 - 患者への説明不足: 検査の目的や手順を十分に説明できず、患者が不安を感じてしまう。
エコー検査の資格
- 超音波検査士: 超音波検査に関する専門的な知識と技術を有することを証明する資格です。
超音波検査士の受験には下記内容が必要とされ、試験をパスすることで、「エコーができる」最低限の担保になると考えれます。
★試験内容(下記リンクは日本超音波医学会トップページです)
認定資格/超音波検査士制度委員会|公益社団法人日本超音波医学会
基礎分野
- 超音波の物理: 超音波の発生、伝播、反射、屈折、減衰など、超音波の物理現象に関する知識。
- 超音波機器: 超音波診断装置の原理、構成、操作方法、プローブの種類と特徴など、機器に関する知識。
- 画像表示: Bモード、Mモード、ドプラ法など、超音波画像の表示方法と特徴に関する知識。
- 安全管理: 超音波検査における安全管理、患者への配慮などに関する知識。
臨床分野
各専門領域(体表臓器、循環器、消化器、泌尿器、産婦人科、健診、血管)ごと
- 解剖学: 各領域の解剖学的知識。
- 生理学: 各領域の生理学的知識。
- 病理学: 各領域の疾患に関する病理学的知識。
- 超音波像: 各領域の正常像と異常像の識別。
- 検査技術: 各領域における適切な検査方法、走査方法。
- 臨床応用: 検査結果の解釈、診断への応用。
超音波検査士の資格の有無で、エコー検査ができるできないは決まりませんが、自信につながることは間違いありません。
また、履歴書にも記入することができるため、エコー検査ができる証明になり、転職でも有利になります。
エコー資格取得のメリット
給与待遇の向上
資格手当: 資格保有者には手当が支給される場合が多いです。
昇給・昇進: 専門知識・技術が評価され、昇給や昇進の機会が増えます。
転職: 有資格者は転職市場で有利になり、高待遇の職場を選びやすくなります。
時給アップ: パート・アルバイトでも資格により時給が優遇される傾向があります。
キャリアアップの可能性
エコー資格取得はキャリアアップに大きく貢献します。
専門性の証明: 資格は専門知識・技術の客観的な証明となり、周囲からの評価が高まります。
業務範囲の拡大: より高度な検査や責任ある業務を任される機会が増えます。
管理職への道: チームリーダーや管理職への昇進の可能性が広がります。
専門分野の確立: 超音波検査を専門とするキャリアパスを築けます。
資格取得は自身の市場価値を高め、キャリアの選択肢を広げます。
患者から信頼される存在になること
病院・施設への信頼感向上: 資格取得者が多く在籍する病院や施設は、全体的な技術水準が高いと見なされ、患者さんからの信頼を得やすくなります。
エコーを習得する対策
エコーを習得するためには
- エコー技師に求められるスキル(知識・技術)
- エコーを学べる場所
- エコーを習得するための期間(逆算)
- エコー技師の求人状況の把握(研修できる施設があるか、需要はどうか)
この4点が重要になってきます。
これらを学ぶためにはどうしたらいいのかを、深堀りしていきましょう。
エコー技師として求められるスキル
必要な知識
超音波検査士の資格取得に必要な知識が該当します。
★試験内容
基礎分野
- 超音波の物理: 超音波の発生、伝播、反射、屈折、減衰など、超音波の物理現象に関する知識。
- 超音波機器: 超音波診断装置の原理、構成、操作方法、プローブの種類と特徴など、機器に関する知識。
- 画像表示: Bモード、Mモード、ドプラ法など、超音波画像の表示方法と特徴に関する知識。
- 安全管理: 超音波検査における安全管理、患者への配慮などに関する知識。
臨床分野
各専門領域(体表臓器、循環器、消化器、泌尿器、産婦人科、健診、血管)ごと
- 解剖学: 各領域の解剖学的知識。
- 生理学: 各領域の生理学的知識。
- 病理学: 各領域の疾患に関する病理学的知識。
- 超音波像: 各領域の正常像と異常像の識別。
- 検査技術: 各領域における適切な検査方法、走査方法。
- 臨床応用: 検査結果の解釈、診断への応用。
基礎はぶっちゃけエコーを撮るだけならさほど必要ないかもだけど、全くの無関係ではないので、なるべく勉強しておきましょう。
業務内容
★エコー技師の主な業務内容
- 検査準備: 患者さんの検査目的などの情報収集、検査の説明、体位の調整、機器の準備など、検査前の準備を行います。
- 検査実施: 超音波装置を操作し、目的部位の画像を撮影します。患者さんの状態に合わせて、走査方法を工夫する必要があります。
- 画像記録・保存: 撮影した画像を適切に記録し、保存します。近年では、デジタルデータとして保存されることが一般的です。
- レポート作成: 検査結果を医師に報告するためのレポートを作成します。画像所見だけでなく、患者さんの情報や臨床情報も考慮してレポートを作成する必要があります。
- 機器管理: 超音波装置やプローブの保守点検、清掃など、機器の管理を行います。
- 患者対応: 検査中の患者さんへの声かけや説明、不安の軽減など、患者対応も重要な業務です。
- 他職種との連携: 医師、看護師、他の医療従事者と連携し、チーム医療に貢献します。検査結果を共有し、患者さんの治療方針の決定に役立てます。
- 自己研鑽: 最新の技術や知識を習得するため、学会や研修会に参加するなど、自己研鑽に励むことも重要です。
超音波検査技術の重要性
★超音波検査技術の重要性について
- 非侵襲性: 身体への負担が少なく、繰り返し検査が可能。
- リアルタイム性: 検査中の動きをリアルタイムで観察できる。
- 多岐にわたる応用: 腹部、心臓、血管など、様々な臓器の検査に利用。
- 早期発見: 腫瘍や炎症などの病気を早期に発見できる可能性が高い。
- 放射線被曝の心配がない: X線のように放射線被曝の心配がないため、妊婦さんや子供にも安全。
- 手術支援: 手術前の計画や術中のモニタリングに役立つ。
CT検査では被爆リスクもあり、MRIは強力な磁気や機械音、閉所恐怖症などのリスクがありますが、エコー検査はそういったリスクが一切ありません。
プローブをあてるとすぐに画像に出せるため、診療に大いに役立ちます。
未経験者がエコーを学べる場所
エコー研修の受けられる病院やクリニック
エコー研修を受けられる病院やクリニックは、大学病院や総合病院の画像診断科、地域の中小病院、クリニックなど様々です。
研修内容は、機関によって異なりますが、一般的に超音波装置の操作、画像の読み取り方、各臓器の解剖学などを学ぶことができます。
研修場所を探す際のポイント
専門性
- 興味のある臓器(腹部、心臓など)の専門的な研修を行っているか。
- 指導医の経験: 豊富な経験を持つ指導医がいるか。
- 研修期間: 短期集中型、長期的な研修など、自分の都合に合わせた研修があるか。
研修を探す方法
- 医療機関のウェブサイト: 各医療機関のウェブサイトで研修情報を検索。
(職場の技師又は医師経由で紹介してもらうのが一般的かも) - 医療系専門誌: 医学雑誌や専門誌に掲載されている研修情報をチェック。
- 医療系学会: 各学会が主催する研修会に参加。
- 医療系求人サイト: 研修と同時に就職を検討している場合は、医療系求人サイトも活用。
(エコーを学びたいと相談すればOK。過去の実績に基づいた研修カリキュラムを持つ施設を紹介してくれる)
これらの研修は、いっそのこと転職をしてしまった方がスムーズにいくことがほとんどです。臨床検査技師に特化した転職サイトは以下の3社です。
日本国内のエコー学会情報
日本国内のエコー学会情報:未経験者でも学べる
エコー検査の技術向上を目指したい方にとって、学会への参加は非常に有益です。未経験者でも安心して参加できるよう、日本国内で活動している主なエコー関連学会とその特徴についてご紹介します。
一般社団法人 日本超音波検査学会
特徴: 超音波検査技師を中心に、幅広い医療従事者が所属する学会です。基礎的な知識から最新の研究発表まで、多岐にわたる内容を学ぶことができます。
主な活動: 学術集会、認定試験、雑誌発行など。
ウェブサイト: 一般社団法人日本超音波検査学会
一般社団法人 日本心エコー図学会
特徴: 心臓の超音波検査に特化した学会です。心エコー検査の技術向上を目的とした教育プログラムや研究発表を行っています。
主な活動: 学術集会、認定試験、ガイドライン作成など。
ウェブサイト: 一般社団法人日本心エコー図学会
日本超音波医学会
特徴: 医師を中心に、超音波診断に関する研究や臨床を行っている学会です。最新の研究成果や診断技術に関する情報を得ることができます。
主な活動: 学術集会、雑誌発行、教育プログラムなど。
ウェブサイト: 公益社団法人日本超音波医学会
未経験者向けの取り組み
多くの学会では、未経験者でも参加しやすいよう、以下の取り組みを行っています。
- 基礎講座: 超音波検査の基礎知識や機器の操作方法などを学ぶための講座。
- ワークショップ: 実際に超音波装置を操作して実習できる機会。
- 症例報告: 経験豊富な医師や技師による症例報告を通して、臨床での応用を学ぶ。
- パネルディスカッション: さまざまな分野の専門家による意見交換を通して、最新の知識や技術に触れる。
学会参加のメリット
- 専門知識の習得: 最新の知識や技術を習得できる。
- ネットワーク構築: 同分野の専門家との交流を深めることができる。
- モチベーション向上: 学会発表や質疑応答を通じて、モチベーションを高めることができる。
学会への参加方法
学会のウェブサイトから参加登録: 各学会のウェブサイトから、参加登録を行うことができます。年間の会員費が発生します。詳しくは各種学会HPを参照ください。
オンラインセミナー
コロナ禍以降、オンラインでのセミナーや講習会が増えています。ZOOMなどで症例検討なども見る機会が増えましたので、ぜひ探してみてください。
ハンズオンセミナー
超音波検査では、ハンズオンセミナーを受けることで、ルーチン走査を学ぶことができます。
ただし、高額な場合が多く、受講すればエコーが撮れるようになるわけではないので注意が必要です。
エコーを習得するための期間
何を以て「習得」と呼ぶのかによってめちゃくちゃ異なる定義です。
ここでは、「一人でルーチン走査を完了できる」を基準に書いていきたいと思います。
いわゆる「当てるだけ」というやつですね。
一人で自信を持って所見を付けられる(考えられる)ようになるのには「3年以上」かかると思います。経験を積めば積むほど自分の弱点が次々に現れて、中々自信を持つことができない人も多いはずです。
エコー検査は本当に奥が深く、熟練者のエコーを見ると、自分の未熟さに嫌気がさすこともあります。
腹部エコー習得までの期間
僕の経験上、上腹部だけでざっくり「半年程度」だと思います。消化器を含めると倍程度の期間を要すると思います。
膵臓の描出や、回盲部の描出などは「そこそこの経験」があっても難しい場合も多いと思います。(偉そうな事言っていますが、僕は未だに上手く出せません)
心エコー習得までの期間
心エコーは腹部エコーに比べて走査の数が少ないです。しかし、患者さんによって心臓の大きさも向きも、角度も違うため、きれいな描出を目指すと大変苦労します。
そしてやっと出せた画像に、各種計測やドプラによる測定などを加えて評価していきます。
それらの事を一通り時間を意識してこなせるようになるにはやはり「半年程度」はかかると思います。
未経験からの独り立ちの期間
これは目指す「レベル」によって全然変わってくると思いますが、
- ルーチン走査をこなせる
- 各種病態についてのエコー知識を持つ
最低限でもここは死守すべき内容だと思います。本当にその職場の環境が重要で、
「相談できる技師、又は超音波専門医」がいる場合はさほど気にする内容でもないのですが、いない場合は「検査者」にある程度の責任が発生します。
最終的な判断を下すのは「医師」ですが、検査者があなただけの場合は、やはり責任を持って検査にあたる必要があると思います。
エコーに関する求人情報
エコー技師としての求人状況にもアンテナをはる必要があります。
「未経験者」でも歓迎してくれる職場も、探せばあるものです。なお、年齢的にも若ければ若いほどチャレンジしやすい事もあるので、「技術職」である検査技師は早めに決断を下す必要があります。
エコー部門の求人状況
臨床検査技師の超音波検査(エコー)に関する求人状況は求人を見ていても、明らかに需要があるように見えます。
超音波検査は専門性が高く、即戦力として期待されるため、転職市場でのニーズが非常に高いです。
特に腹部、心臓、頸動脈のエコー技術に長けた技師は、多くの求人が存在します。
経験者・未経験者向け求人の違い
臨床検査技師としてエコー検査の求人に応募する場合、経験の有無によって求められるものが異なります。
以下に、経験者と未経験者の違いを箇条書きでまとめました。
経験者
★経験者に求められること
- 即戦力: 入社後すぐに業務に貢献できることが期待されます。
- 高度な技術: 様々な臓器の検査経験や、特殊な検査技術が求められることがあります。
- トラブルシューティング能力: 検査中に発生するトラブルに対処できる能力が求められます。
- 指導能力: 後輩の指導や教育に携わることもあります。
- 高収入: 経験やスキルに応じて、高収入が期待できます。
- キャリアアップ: 専門性を活かして、リーダーシップを発揮するポジションに就くことができます。
- 専門性の高い仕事: 自分の専門性を活かして、患者さんの健康に貢献できます。
未経験者
★未経験者に求められること
- 学習意欲: 新しいことを学ぶ意欲と、積極的に行動できることが求められます。
- 基礎知識: 医学、解剖学、生理学などの基礎知識が求められます。
- コミュニケーション能力: 周りの人と協力し、チームで仕事を進めることができることが求められます。
全国のエコー関連求人の傾向
関東地方のエコー求人
- 求人数が多い: 大都市圏であるため、医療機関や健診施設が多く、求人数も豊富です。特に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に集中する傾向があります。
- 多様な勤務形態: 常勤、非常勤、派遣など、様々な働き方を選択できます。
- 専門分野の求人: 心臓、腹部、乳腺など、専門分野に特化した求人も見られます。
- 未経験者歓迎の求人: 教育体制が整った施設では、未経験者や経験の浅い方を歓迎する求人もあります。
地方での求人数
地方におけるエコー関連の求人状況は、都市部とは異なる傾向が見られます。
- 慢性的な人材不足: 医師不足と同様に、地方ではエコー検査技師も不足している傾向があります。そのため、比較的採用されやすい状況と言えます。
- 未経験者・資格取得見込み者歓迎: 経験者だけでなく、未経験者や資格取得見込み者も積極的に採用する施設が見られます。研修制度が充実している場合もあります。
- 幅広い業務への対応: 大病院が少ないため、一人で幅広い検査に対応できる人材が求められる傾向があります。
- 地域医療への貢献: 地域住民の健康を支える重要な役割を担うことができます。
地方での就職は、都市部に比べて競争率が低い可能性があり、地域医療に貢献したいという方にはおすすめです。ただし、給与水準やキャリアアップの機会は都市部と差がある場合もあります。
臨床検査技師専門の転職サイト
臨床検査技師に特化した転職サイトがあります。
無料登録で利用できるので、「エコーを学びたい、スキルを上げたい」と考えている方はぜひ利用してみてください。
担当のキャリアコンサルタントの方は、臨床検査技師の仕事を熟知している人が揃っているので、ニッチな相談をしても十分理解し、対応してくれるはずです。