臨床検査技師国家試験の生化学分野で頻出の「ビタミン」。それぞれの働きや欠乏症は混同しやすく、暗記に苦労する方も多いのではないでしょうか?
この記事では、国試で問われるポイントに絞って、各ビタミンの特徴を視覚的に分かりやすく整理しました。効率よく知識を定着させましょう!
ビタミンって何?まずは基本の「2つのグループ」を覚えよう!
ビタミンは、体の機能を正常に保つために微量でも不可欠な有機化合物です。大きな特徴として、水に溶けるか、油に溶けるかで2つのグループに分けられます。この違いが、性質や体への影響を理解する上で非常に重要です。
分類 | ビタミン種類 | 特徴 | 覚え方ゴロ |
---|---|---|---|
脂溶性ビタミン | A, D, E, K | 🛢️ 油と一緒に吸収されやすい 🏠 体内に蓄積しやすい ⚠️ 過剰症に注意が必要 |
「脂(あぶら)だけ」 (D・A・K・E) |
水溶性ビタミン | B群, C | 💧 水に溶けやすい 🚽 余分なものは尿で排泄されやすい ⚠️ 欠乏症に注意が必要 |
(脂溶性以外) |
【詳細解説】各ビタミンの働きと国試ポイント
脂溶性ビタミン (D・A・K・E)
👁️ビタミンA (レチノール)
- 働き: 視覚機能の維持(ロドプシンの成分)、皮膚や粘膜の健康維持
- 欠乏症: 夜盲症(暗い場所で見えにくい)、皮膚乾燥
- 過剰症: 頭痛、吐き気、骨障害(骨吸収の促進)
国試ポイント: 「A(えー)っと暗いな夜盲症」。視覚=ビタミンAと直結!過剰摂取で骨に悪影響が出る点も重要です。
🦴ビタミンD
- 働き: カルシウム(Ca)とリン(P)の吸収促進、血中Ca濃度の調節、骨形成
- 欠乏症: くる病(小児)、骨軟化症(成人)
- 過剰症: 高カルシウム血症、腎障害、軟部組織の石灰化
国試ポイント: 「D(でっ)かい骨にはカルシウム」。ビタミンD=骨・カルシウムとセットで!活性型ビタミンDは腎臓で産生されることも問われます。
🛡️ビタミンE (トコフェロール)
- 働き: 抗酸化作用(細胞膜の酸化を防ぐ)、血行促進
- 欠乏症: 溶血性貧血(特に未熟児)、神経・筋障害
- 過剰症: 比較的毒性は低いですが、血液が固まりにくくなることがあります。
国試ポイント: 「E(いー)仕事する抗酸化」。抗酸化作用が最大のキーワードです。
🩸ビタミンK
- 働き: 血液凝固因子の産生(肝臓でのγ-カルボキシル化に必須)。プロトロンビン(第Ⅱ因子)などが代表です。
- 欠乏症: 血液凝固の遅延、新生児に出血傾向(新生児メレナ)
- 過剰症: 溶血性貧血(合成ビタミンKの場合)
国試ポイント: 「K(け)がに注意、血液凝固」。ビタミンK=血液凝固!抗凝固薬のワーファリンと拮抗する作用は超重要です。
水溶性ビタミン (B群・C)
🍚ビタミンB₁ (チアミン)
- 働き: 糖質代謝の補酵素として不可欠
- 欠乏症: 脚気、ウェルニッケ脳症(神経症状)。アルコール多飲者で欠乏しやすいです。
国試ポイント: 「B1(びーわん)グランプリで糖質ゲット」。糖質代謝=B₁と直結させましょう。
✨ビタミンB₂ (リボフラビン)
- 働き: 三大栄養素すべてのエネルギー代謝に関わる補酵素(FAD, FMN)
- 欠乏症: 口角炎、舌炎、脂漏性皮膚炎など、皮膚や粘膜の症状が特徴
国試ポイント: 「B2(ブーツ)で口裂け」。口や皮膚の炎症と結びつけると覚えやすいです。
💪ビタミンB₆ (ピリドキシン)
- 働き: アミノ酸代謝の補酵素として中心的な役割
- 欠乏症: 皮膚炎、口内炎、貧血
国試ポイント: 「B6(B-ROKU)なアミノ酸」。AST/ALT(アミノトランスフェラーゼ)の補酵素である点は最重要項目です。
🧬ビタミンB₁₂ (コバラミン)
- 働き: 葉酸と協力して赤血球を産生(DNA合成)、神経機能の維持
- 欠乏症: 悪性貧血(巨赤芽球性貧血)、神経障害。胃を切除した患者で欠乏しやすいです(内因子欠乏のため)。
国試ポイント: 分子内にコバルト(Co)を含む唯一のビタミン。悪性貧血と内因子は必ずセットで覚えましょう。
👶葉酸(ビタミンB9)
- 働き: ビタミンB₁₂と協力して赤血球を産生(DNA合成)
- 欠乏症: 巨赤芽球性貧血、神経管閉鎖障害(胎児)
国試ポイント: B₁₂と同じく巨赤芽球性貧血の原因。妊婦に重要な栄養素です。
🍊ビタミンC (アスコルビン酸)
- 働き: コラーゲンの生成、抗酸化作用、鉄の吸収促進
- 欠乏症: 壊血病(血管がもろくなり出血傾向)
国試ポイント: 「C(しー)っかりコラーゲン」。コラーゲン生成=C。ビタミンC欠乏で血管が脆くなる(壊血病)と覚えましょう。
最終チェック!ビタミン総まとめ表
臨床検査技師国家試験でよく出るビタミン一覧です。ご活用ください。
ビタミン | 主要な働き | 欠乏症のキーワード | 国試最重要ポイント |
---|---|---|---|
A (脂溶性) | 視覚、皮膚・粘膜 | 夜盲症 | ロドプシン、過剰症で骨障害 |
D (脂溶性) | Ca・Pの吸収促進 | くる病、骨軟化症 | 骨代謝、活性型は腎臓で産生 |
E (脂溶性) | 抗酸化作用 | 溶血性貧血 | 生体膜の保護 |
K (脂溶性) | 血液凝固 | 出血傾向 | プロトロンビン、ワーファリンと拮抗 |
B₁ (水溶性) | 糖質代謝 | 脚気 | アルコール多飲で欠乏 |
B₂ (水溶性) | エネルギー代謝 | 口角炎・舌炎 | 口・皮膚の炎症 |
B₆ (水溶性) | アミノ酸代謝 | 皮膚炎 | AST/ALTの補酵素 |
B₁₂(水溶性) | DNA合成、神経 | 悪性貧血 | 内因子、コバルト(Co)を含む |
葉酸(水溶性) | DNA合成 | 巨赤芽球性貧血 | B₁₂と協力、胎児の発育 |
C (水溶性) | コラーゲン生成 | 壊血病 | 抗酸化作用、鉄吸収促進 |
さい
この記事が、皆さんの国家試験合格の一助となれば幸いです。頑張ってください!