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【臨床検査技師国家試験】第69回PM臨床血液学【解説】

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国家試験臨床血液学AM問59~67です。

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集 

目次

第69回臨床血液学PM59~67

問題 59 PT 正常、APTT 延長のときに考えられるのはどれか。2 つ選べ

  1. 血友病 A
  2. 重度肝障害
  3. 第Ⅴ因子欠乏症
  4. ビタミン K 欠乏症
  5. 抗リン脂質抗体症候群

解説

★PT正常、APTT延長が考えられる疾病

PT(プロトロンビン時間):外因系凝固反応

APTT(活性化部分トロンボプラスチン):内因系凝固反応

★先天性疾患

  • 血友病A、B
  • von Willebrand病
  • 接触因子の欠損

★後天性疾患

  • 抗リン脂質抗体症候群
  • 後天性血友病(抗凝固因子抗体)

答え1と5

問題 60 末梢血検査で赤血球数 300 万/μL、ヘモグロビン 6.0 g/dL、ヘマトクリット 22.5%であった。
診断に最も有用な血液検査項目はどれか。

  1. フェリチン
  2. ビタミン B12
  3. ハプトグロビン
  4. エリスロポエチン
  5. セルロプラスミン

解説:採血データからHbの異常低値で貧血を一番に考える。次に小球性(MCV80以下)か大球性(MCV101以上)かあるいは正球性なのかを計算し求める。

★MCV(平均赤血球容積)計算方法

  • Ht{(ヘマトクリット)÷RBC(赤血球数)}×1000:単位fL

★MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)計算方法

  • {Hb(ヘモグロビン)÷RBC(赤血球)}×1000:単位pg

★MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)計算方法

  • {Hb(ヘモグロビン)÷Ht(ヘマトクリット)}×100:単位g/dL

上式に代入し、計算すると

MCV=(22.5/300)1000=75fL
MCH=(6.0/300)
1000=20pg
MCHC=(6.0/22.5)*100=26.7g/dL

計算結果から小球性低色素性貧血であり、鉄欠乏性貧血が最も疑われる。貯蔵鉄を反映するフェリチンの測定が必要。

答え1

問題 61 32 歳の男性。アフリカ系アメリカ人。貧血の精査で採血した末梢血の May-Giemsa 染色標本(別冊 No.9)を別に示す。この疾患について誤っているのはどれか。

  1. 遺伝性疾患である
  2. 赤血球は高酸素状態で変形する
  3. マラリア感染に対して耐性がある
  4. 変形した赤血球は柔軟性が低下する
  5. 赤血球にヘモグロビン S が含まれる

解説:写真から鎌状赤血球や破砕赤血球の異常赤血球形態を認める。
アフリカ系アメリカ人ということで鎌状赤血球症(ヘモグロビンS症)が鑑別にあがる。
β鎖の6番目のアミノ酸がグルタミン酸からバリンに変わっている変異とされている。
アフリカ系(いわゆる黒人の方)に多い遺伝的疾患で、赤血球は低酸素状態において変形する。

単純に、貧血(Hbが少ない人)で高酸素状態になる??という考え方もできますね。

答え2

問題 62 放射線の影響を最も受けにくいのはどれか

  1. 単 球
  2. 好酸球
  3. 好中球
  4. 赤血球
  5. リンパ球

解説:知っておかなければ解けない問題です。

放射線の影響を受けやすいのは分裂増殖能を有する有核細胞。
逆に無核の赤血球は放射線の影響を受けにくいとされ、赤血球を含む輸血用血液製剤
(新鮮凍結血漿以外)には
放射線が照射されている。
血後の重篤な副作用であるGVHD(移植片対宿主病)を予防するためとされている。

答え:4

問題 63 染色体異常とそれに伴う融合遺伝子との組合せで正しいのはどれか

  1. t(8;21)(q22;q22) CBFB-MYH11
  2. t(9;11)(p21.3;q23.3) PML-RARA
  3. t(9;22)(q34;q11.2) BCR-ABL1
  4. t(15;17)(q22;q12) KMT2A-MLLT3(MLL-AF9)
  5. inv(16)(p13.1q22) RUNX1-RUNX1T1

解説:下表を知っておくと解くことができます。ややこしいですがよく出るので覚えておくとよいでしょう。

答え3

問題 64 67 歳の男性。汎血球減少症の精査のため骨髄検査を行った。
骨髄穿刺液の May-Giemsa 染色標 本( 別 冊 No.10A、B)及 び 鉄 染 色 標 本( 別 冊No.10C)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

  1. 癌の骨髄転移
  2. 多発性骨髄腫
  3. 巨赤芽球性貧血
  4. 再生不良性貧血
  5. 骨髄異形成症候群

解説
図Aでは芽球様細胞(Blast?)、図Bでは偽ペルガー・ヒュー核異常(眼鏡みたいな細胞)や脱顆粒を伴う好中球が存在が観察できる。10Cでは環状鉄芽球が観察できる。
汎血球減少、偽ペルガー核異常、脱顆粒好中球など、骨髄異形成症候群(MDS)に合致する所見であり、環状鉄芽球を伴うMDSの抹消血液像だと考える。赤芽球が多く見られたので鉄染色を追加したのだと考える。

環状鉄芽球:赤芽球を100個以上鏡検し15%以上認めた場合とされ、環状鉄芽球の定義は、赤芽球の核に沿って鉄顆粒を5個以上認める

答え5

問題 65 79 歳の女性。貧血と腰椎の溶骨性病変を指摘されて受診した。血清と尿の免疫固定法による蛋白電気泳動の結果(別冊 No.11A、B)を別に示す。考えられるのはどれか。

  1. 骨肉腫
  2. 骨髄線維症
  3. 多発性骨髄腫
  4. 大顆粒リンパ球性白血病
  5. 原発性マクログロブリン血症

解説:電気泳動の読影問題です。陽極側がアルブミンで、順にα1、α2、β、γ分画となります。
図Aは血清の免疫固定法ですが、抗IgG血清のγ領域に明らかなピークを認め、さらに抗κ鎖血清にもピークがありIgG-κ型のM蛋白が認められます。この時点で多発性骨髄腫(MM)が鑑別にあがりますが、さらに図B(尿)を見てもBJPと思われるγ部位にピークがあり、抗κ鎖血清にもピークがあります。κ型のM蛋白が存在していると言えます。
高齢女性で貧血と腰椎の溶骨性病変があり多発性骨髄腫が最も考えられる。

答え3

問題 66 末梢血の May-Giemsa 染色標本(別冊 No.12)
を別に示す。最も考えられるのはどれか。

  1. 血小板無力症
  2. von Willebrand 病
  3. Bernard-Soulier 症候群
  4. Wiskott-Aldrich 症候群
  5. Schönlein-Henoch 紫斑病

解説:写真はRBCよりも大きい(8μm以上)血小板で巨大血小板と考える。

★血小板の定義

  • 血小板(2μm)
  • 大血小板(4μm)
  • 巨大血小板(8μm以上)

★巨大血小板が出現する疾患

  • Bernard-Soulier症候群
  • May-Hegglin異常
  • 白血球封入体を伴う巨大血小板性血小板減少症 など

設問ではBernard-Soulier症候群のみ巨大血小板が出現する。

Bernard-Soulier症候群では血小板無力症とともに代表的な先天性血小板機能低下症。
血小板膜糖蛋白(GP)Ⅰb/Ⅸ/Ⅴ複合体の欠損によるものであり、巨大血小板性の血小板減少症と血小板機能低下による出血傾向となる。

答え3

問題 67 MCV が正常である患者の赤血球の大きさを測定し、健常人と比較した成績(別冊 No.13)を別に示す。考えられるのはどれか。

  1. 腎性貧血
  2. サラセミア
  3. 鉄欠乏性貧血
  4. 再生不良性貧血
  5. 遺伝性球状赤血球症

解説:RBCの直径ヒストグラムの図であり、二峰性(2つのピーク)が見られる。
二峰性が出るという事は、大きさが2パターン存在していおり、そういった疾患もしくは貧血の治療後の場合が考えられる。
設問をみると、⑤の遺伝性球状赤血球症のみが二峰性を示す疾患となる。

★遺伝性球状赤血球症

膜蛋白の異常により赤血球異常が引き起こされる疾患。
赤血球膜表面積が赤血球内容物に対して相対的に減少してしまう。このため赤血球が円盤状ではなく球状の形態をとるが、この異常形態を呈する赤血球は全体の一部である。正球性の貧血でありMCVは基準値内である。
そのため正常赤血球と球状赤血球(直径が短い)の二峰性パターンをしめす。

答え5

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