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第71回 臨床検査技師国試【臨床検査医学総論】全選択肢の正誤理由まとめ(過去問復習)

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こんにちは!現役臨床検査技師のさいです。

今回は、第71回臨床検査技師国家試験の中から「臨床検査医学総論」分野(午前問11〜15、午後問11〜15の全10問)をピックアップし、全選択肢の正誤理由を主観的ではありますが、解説しています。

医学総論は、検査の基準値や病態生理、各種疾患の特徴など、すべての分野の土台となる超重要科目です。この記事では、単なる丸暗記ではなく「なぜその検査値が変動するのか」「現場でどう役立つのか」というリアルな視点を交えて解説しています。毎日の国試勉強や、過去問の復習にぜひご活用ください!

※本記事内の問題文および選択肢は、厚生労働省ホームページにて公開されている「第71回臨床検査技師国家試験問題および解答について」より引用して作成しております。

第71回 臨床検査医学総論:午前問題の正誤理由まとめ (問11〜問15)

午前 問11:カットオフ値と基準範囲

【問題】
カットオフ値が用いられるのはどれか。

  • 1. AST
  • 2. CEA
  • 3. LD
  • 4. クレアチニン
  • 5. ナトリウム
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正答:2

【解説】基準値とカットオフ値って何が違うの?

この2つの言葉、なんとなく同じような意味で使ってしまっていませんか?実は、検査界隈では「目的」が全く違います!2つの違いを比較してみました。

基準範囲(共用基準値など)
  • 意味:健康な人の真ん中「95%」が入る範囲
  • 目的:健康な状態からどれくらいズレているか?を見る
  • 対象:AST、Na、Creなど、普通の生化学検査ほぼすべて
カットオフ値
  • 意味:陽性か陰性かをスパッと分ける「境界線」の一点
  • 目的:その病気である可能性が高いか?をあぶり出す
  • 対象:腫瘍マーカー(CEAなど)、感染症検査、アレルギー検査

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. AST(誤り)
    肝機能の一般的な検査なので「基準範囲」を使います。
  • 2. CEA(正解)
    大腸がんなどを調べる「腫瘍マーカー」ですね。例えば「5.0 ng/mL以上なら陽性!」といったように、カットオフ値を使ってがんの可能性を拾い上げます。
  • 3. LD(誤り)
    組織のダメージを見る一般的な検査なので「基準範囲」です。
  • 4. クレアチニン(誤り)
    腎機能の一般的な検査なので「基準範囲」です。
  • 5. ナトリウム(誤り)
    電解質のバランスを見る検査なので、厳格な「基準範囲」で評価します。

暗記方法・覚え方のコツ

国試で「カットオフ値」と聞かれたら、とにかく「腫瘍マーカー」「感染症検査」を探す。これだけで1点ゲットできます!

ちなみに、この境界線は適当に決めているわけじゃありません。「病気の人を見逃さない(感度)」と「健康な人を誤診しない(特異度)」の絶妙なバランスを取るために、ROC曲線というグラフを使ってベストな数値を計算しているのです。

さい
さい
腫瘍マーカーは絶対的なガン発見器ではないので、結果に一喜一憂しすぎないことも大切です。

さいの補足

現場でデータを見ていると、CEAがカットオフ値の「5.0」を微妙に超えて「5.5」くらいになっている健康な方って、実は結構いらっしゃるんです。長年の「タバコ」や加齢、糖尿病などでも数値がちょっと上がっちゃうことがあるんですよね(偽陽性といいます)。だから、1回数値を超えたからといって「即ガン確定!」というわけではなく、画像診断と組み合わせたり、手術後の経過を追うために使うのがリアルな臨床現場での使われ方です。

午前 問12:腫瘍ウイルスと疾患

【問題】
子宮頸癌の原因はどれか。

  • 1. EBウイルス
  • 2. 単純ヘルペスウイルス
  • 3. ヒトT細胞白血病ウイルスI型
  • 4. ヒトパピローマウイルス
  • 5. ヒト免疫不全ウイルス
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正答:4

【解説】がんを起こす「腫瘍ウイルス」たち

ウイルスの中には、細胞の遺伝子に入り込んで「がん」を引き起こすやっかいなやつらがいます。国試で狙われる組み合わせは決まっているので、サクッと整理しておきましょう。

《国試頻出の腫瘍ウイルスマスターリスト》

  • ヒトパピローマウイルス(HPV) ⇒ 子宮頸癌、尖圭コンジローマ
  • EBウイルス(EBV) ⇒ 伝染性単核球症、バーキットリンパ腫、上咽頭癌
  • HTLV-1 ⇒ 成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)
  • B型・C型肝炎ウイルス(HBV, HCV) ⇒ 肝細胞癌

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. EBウイルス(誤り)
    伝染性単核球症(キス病)の原因で、悪性腫瘍だとバーキットリンパ腫などに関連します。
  • 2. 単純ヘルペスウイルス(誤り)
    口唇ヘルペスや性器ヘルペスの原因です。痛いですが、細胞をがん化させるわけではありません。
  • 3. ヒトT細胞白血病ウイルスI型(誤り)
    HTLV-1のことです。主に母乳から感染して、何十年も潜伏したあとに成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)を引き起こします。
  • 4. ヒトパピローマウイルス(正解)
    これが子宮頸癌の主な原因です。150種類以上の型があるんですが、特に16型と18型が悪さをする「高リスク型」と呼ばれています。
  • 5. ヒト免疫不全ウイルス(誤り)
    エイズ(AIDS)の原因ウイルスです。免疫力を落としてしまうため、結果的にHPVが排除できず子宮頸癌のリスクは上がりますが、HIV自体が直接がんを作るわけじゃありません。

暗記方法・語呂合わせのコツ

「子宮頸癌=HPV」は、検査の名前とセットで音(響き)で覚えてしまうのが一番楽です!

子宮頸がん検診で行う細胞の染色法を「パパニコロウ染色(Pap smear)」と言いますよね。
【パパ】ニコロウ染色で、【パピ】ローマウイルスを見つける!
パ行つながりでリンクさせておくと、本番でど忘れしないかも!?

さい
さい
顕微鏡を覗いて異常な細胞を見つけ出すのが、腕の見せ所です!僕は病理はみていないですけども笑

さいの補足

子宮頸がんは、私達臨床検査技師の仕事が患者さんの命を直接救う代表的な病気です。産婦人科の先生がこすり取った細胞をパパニコロウ染色して顕微鏡で見ると、HPVに感染した細胞は核の周りがポコッと白く抜けた「コイロサイト(空洞細胞)」という形になります。この異常を、ガンになる一歩手前(異形成)の段階で見つけて早期治療に繋げる。これが検査室の本当に大切なことなのです。
僕は尿沈渣でコイロサイトを見つけたことならあります笑

午前 問13:甲状腺機能亢進症の症状

【問題】
Basedow病で認められるのはどれか。

  • 1. 頻脈
  • 2. 便秘
  • 3. 皮膚乾燥
  • 4. フレイル
  • 5. 記銘力低下
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正答:1

【解説】バセドウ病は「24時間ダッシュ状態」

甲状腺ホルモンは、全身の代謝を活発にする「アクセル」のような役割です。Basedow病(バセドウ病)はこのアクセルが壊れて踏みっぱなしになる病気なので、体はずっと全力疾走しているような状態になっちゃうんです。

🔥 アクセル全開(亢進)
Basedow病など
  • 心臓:ドキドキ(頻脈)
  • お腹:ゆるくなる(下痢)
  • 体重:食べても痩せる
  • 皮膚:汗だくでしっとり
  • 精神:イライラ、不眠
VS
💤 冬眠モード(低下)
橋本病など
  • 心臓:ゆっくり(徐脈)
  • お腹:動かない(便秘)
  • 体重:食べてないのに太る
  • 皮膚:カサカサで乾燥
  • 精神:ぼーっとする、物忘れ

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 頻脈(正解)
    アクセル全開なので心臓もフル稼働します。動悸や頻脈はバセドウ病の典型的なサインです。
  • 2. 便秘(誤り)
    腸の動きが鈍くなる「低下症(橋本病など)」の症状です。バセドウ病は逆に動きすぎて下痢気味になります。
  • 3. 皮膚乾燥(誤り)
    これも低下症の症状。バセドウ病の人は常に代謝が高くて暑がりなので、汗ばんで皮膚はしっとりしています。
  • 4. フレイル(誤り)
    これは加齢によって心身が弱っていく状態を指す老年医学の言葉ですね。甲状腺とは直接関係ありません。
  • 5. 記銘力低下(誤り)
    脳の働きまでゆっくりになってしまう「低下症」の症状です。バセドウ病だと逆に落ち着きがなくなってイライラしやすくなります。

暗記方法・覚え方のコツ

バセドウ病には「Merseburg(メルセブルグ)の三徴」という有名な3点セットがあります。

① 眼球突出(目が飛び出る)
② 甲状腺腫大(首の付け根が腫れる)
③ 頻脈(ドキドキする)
どれも「前に出てる!活発!」というイメージでひとまとめにして覚えておきましょう。

さい
さい
亢進か低下か迷ったら、「常にダッシュしている人」と「冬眠しているクマ」を想像すると一発です!

さいの補足

検査室で血液データを見ていると、バセドウ病の患者さんは「FT3・FT4が異常高値」なのに「TSHがほぼゼロ(0.01未満など)」というすごく極端な数字を出してきます。甲状腺ホルモンが出過ぎているので、脳が『もう作らなくていいよ!ストップ!』とTSH(刺激ホルモン)を必死に止めている証拠なんですよね。この『ホルモン高値・TSH低値』の組み合わせ、現場でよく出食わすので押さえておいてくださいね👍

午前 問14:ネフローゼ症候群の病態

【問題】
ネフローゼ症候群で誤っているのはどれか。

  • 1. 浮腫
  • 2. 乏尿
  • 3. 蛋白尿
  • 4. 血清アルブミン低下
  • 5. LDL-コレステロール低下
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正答:5(誤っているもの)

【解説】負のドミノ倒し!四大症状のメカニズム

ネフローゼ症候群の症状は、バラバラに暗記するとしんどいです。「タンパク質が尿に漏れ出た」という最初のキッカケから、連鎖的にトラブルが起きているフローをイメージするとスッと理解できます。

【スタート】糸球体フィルターが壊れる
⬇️
① 高度の蛋白尿(3.5g/日以上)
⬇️ 血中のタンパク質が減る
② 低アルブミン血症(3.0g/dL以下)
⬇️ 血管内に水を留めておけなくなる
③ 浮腫(むくみ)
⬇️ 同時に、肝臓が焦って脂質も作りすぎる
④ 高脂血症(LDL・コレステロール上昇)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 浮腫(正しい症状)
    アルブミンが減ると、血管の中に水分をキープしておく力(膠質浸透圧)が下がり、水が血管の外へ逃げて全身がむくんでしまいます。
  • 2. 乏尿(正しい症状)
    水が血管の外へ逃げてしまうため、血管内を流れる血液量自体は減ってしまいます。すると腎臓への血流も減り、尿が作れなくなって尿量が減る(乏尿)ことがあります。
  • 3. 蛋白尿(正しい症状)
    全ての始まりです。高度の蛋白尿(3.5g/日以上)は診断の必須条件です。
  • 4. 血清アルブミン低下(正しい症状)
    尿にダダ漏れになるので、当然血中では減ります(3.0g/dL以下)。
  • 5. LDL-コレステロール低下(誤り:これが正解)
    低下ではなく「上昇(高脂血症)」します!血中のタンパク質不足に焦った肝臓が「ヤバい!早く作らなきゃ!」とフル稼働するんですが、その道連れでコレステロールなどの脂質まで大量に作りすぎてしまうんですよね。

暗記方法・覚え方のコツ

ネフローゼ症候群のドミノ倒しは、ちょっとふざけたリズムで覚えてしまいましょう。

① タンパクが尿にドバドバ(蛋白尿)
② 血のアルブミンがすっからかん(低アルブミン血症)
③ 水が血管から逃げてパンパン(浮腫)
④ 肝臓が焦って脂を作りすぎギトギト(高脂血症)

さい
さい
この病気の患者さんの尿は、タンパク質が多すぎてビールのように細かく泡立つことが多いです。

さいの補足

一般検査(尿検査)を担当していると、ネフローゼの患者さんの検体は顕微鏡を見るだけで一発で分かります。定性でタンパクが振り切れるのはもちろんですが、尿沈渣を見ると「卵円形脂肪体」や、「脂肪円柱」が高頻度で見えますし、何よりなんか汚い笑。
病態(高脂血症)と顕微鏡の像が見事にリンクする、とても面白い疾患です。

午前 問15:バイタルサインの定義

【問題】
バイタルサインでないのはどれか。

  • 1. 血圧
  • 2. 呼吸
  • 3. 体温
  • 4. 体重
  • 5. 脈拍
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正答:4(バイタルサインではないもの)

【解説】「生きている証拠」がバイタルサイン

バイタル(Vital)って、英語で「生命の、生きている」という意味なんですよね。つまりバイタルサインとは、人間が今現在「生きて活動している証拠」をリアルタイムに示すサインのことです。

《基本の4大バイタルサイン》

  • ❤️ 脈拍: 心臓がちゃんと動いているか
  • 🩸 血圧: 血液を全身に巡らせる圧があるか
  • 🫁 呼吸: 酸素を吸って二酸化炭素を吐き出せているか
  • 🌡️ 体温: 細胞が代謝して熱を作れているか

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 血圧(正しい指標)
    全身への血液循環をリアルタイムに評価する超重要サインです。
  • 2. 呼吸(正しい指標)
    換気状態(生きるための酸素交換)を評価する重要なサインです。
  • 3. 体温(正しい指標)
    感染症や代謝状態を評価する大事なサインですね。
  • 4. 体重(誤り:これが正解)
    体重は薬の量を決めたり栄養状態を見るためには重要ですが、刻一刻と変化するリアルタイムな「生命活動の兆候」ではありませんよね。だからバイタルには含まれません。
  • 5. 脈拍(正しい指標)
    心臓のポンプ機能を評価する基本中の基本のサインです。

暗記方法・周辺知識のコツ

現代の医療現場では、基本の4つに加えて「第5のバイタルサイン」と呼ばれるものがあります。これも周辺知識として聞かれやすいのでセットで頭の片隅に置いておきましょう。

・SpO2(血中酸素飽和度)
・意識レベル(JCS、GCS)
・痛み(疼痛レベル)
・尿量

さい
さい
「バイタル測ってください!」って言われて体重計持っていくのは、ちょっと無理がありますよね(笑)

さいの補足

臨床検査技師は看護師さんのように毎日病棟でバイタルを測るわけではありませんが、この知識は絶対に必須です。たとえば外来の採血室で患者さんが急にバタッと倒れたり、運動負荷心電図などの検査中に気分不良になったとき、お医者さんが来るまでの初期対応として「意識の確認」や「脈拍・血圧の測定(バイタルチェック)」をサッと行うのは私たちの役目でもあります。

第71回 臨床検査医学総論:午後問題の正誤理由まとめ (問11〜問15)

午後 問11:ヘリコバクター・ピロリの検査法

【問題】
ヘリコバクター・ピロリ菌の除菌判定に用いられるのはどれか。

  • 1. 血液培養検査
  • 2. 消化管造影
  • 3. 尿素呼気試験
  • 4. 尿培養検査
  • 5. 便培養検査
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正答:3

【解説】除菌判定の鉄則=「今、生きている菌」を探す

ピロリ菌の検査って種類が多くて混乱しがちですよね。でも「除菌治療が成功したか」を判定したいなら、「胃の中に今現在、生きた菌が活動しているか」を見つけ出せる検査を選べばいいんです。

《主な検査と除菌判定の適否》

  • 尿素呼気試験:◎適(第一選択)
    →生きた菌のウレアーゼ活性を見る
  • 便中抗原検査:○適
    →便の中の菌の死骸を見る
  • 鏡検法・培養法:○適
    →胃カメラで直接採るから正確(でも苦しい)
  • 血清・尿中抗体検査:×不適
    →過去の感染歴の残骸(抗体)なので区別できない

【全選択肢の正誤理由と引っかけ対策】

  • 1. 血液培養検査(誤り)
    敗血症など血液中にばい菌が入り込んでいるかを調べる検査です。ピロリ菌は胃の粘膜にへばりついているだけで、血液には乗らないので対象外です。
  • 2. 消化管造影(誤り)
    バリウムを飲んで胃の形を見る検査ですね。胃が荒れてるな〜というのは分かりますが、ミクロの細菌そのものの存在は直接確認できません。
  • 3. 尿素呼気試験(正解)
    ピロリ菌が持つ強力な「ウレアーゼ」という酵素の働きを利用します。目印をつけた薬(尿素)を飲んで、吐く息に二酸化炭素が混ざって出てくれば「あ、胃の中で菌が活動してるな」と分かります。苦痛がなくて精度が高いので第一選択です。
  • 4. 尿培養検査(誤り)
    膀胱炎などの尿路感染症の原因菌を調べる検査なので無関係です。
  • 5. 便培養検査(誤り:ひっかけ注意)
    ここ、国試でめちゃくちゃ狙われるトラップです笑
    「便中抗原検査」なら正解になりますが、選択肢は「便培養」ですよね。ピロリ菌は微好気環境という特殊な条件でしか育たないので、雑菌だらけの便からピロリ菌だけを培養して育てるのは至難の業。臨床検査として便培養は行われません。

暗記方法・覚え方のコツ

なぜ「抗体検査」が除菌判定に使えないのか、理由を知っておきましょう。
抗体って、体が菌と戦うために作った「武器」です。もし薬でピロリ菌が全滅しても、体は『また来るかもしれない』と警戒して、数ヶ月〜数年間も血液中に抗体を残し続けます。つまり、抗体検査では「今生きているのか、過去の亡霊なのか」が区別できないのです。

さい
さい
尿素呼気試験の前は、絶対に「胃薬」を飲まないように患者さんに念押しします。まぁ、絶食ですけどね。

さいの補足

現場で尿素呼気試験を行うとき、私たちが一番気をつけるのが「胃酸を抑える薬(PPIなど)を休薬しているか」という点です。胃薬を飲んでいるとピロリ菌が一時的におとなしくなってしまい、本当はまだ生き残っているのに、吐く息の検査で「陰性(除菌成功!)」と間違った結果(偽陰性)が出ちゃうんです。こういう分析前誤差を防ぐのも技師の腕の見せ所です。

午後 問12:睡眠時無呼吸症候群(SAS)

【問題】
睡眠時無呼吸症候群で誤っているのはどれか。

  • 1. 肥満に合併することが多い。
  • 2. 高血圧を合併することが多い。
  • 3. 無呼吸は仰臥位で起こりやすい。
  • 4. 終夜睡眠ポリグラフィはスクリーニングに有用である。
  • 5. 睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数〈AHI〉が5未満を示す。
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正答:5(誤っているもの)

【解説】睡眠時無呼吸症候群(SAS)の重症度

睡眠中に空気の通り道が塞がって、10秒以上呼吸が止まる病気です。この診断基準である「AHI(1時間あたりの無呼吸・低呼吸の回数)」の数字は、視覚的なメーターで覚えてしまいましょう。

正常
5回未満
軽症
5〜15回
中等症
15〜30回
重症
30回以上

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 肥満に合併することが多い。(正しい)
    首周りに脂肪がついていると、仰向けになった時に気道が狭くなりやすいんですよね。肥満は最も大きな危険因子の一つです。
  • 2. 高血圧を合併することが多い。(正しい)
    睡眠中に呼吸が止まって酸欠になると、脳が「息ができない!死ぬ!」と焦って交感神経を急激に興奮させます。この夜間の血圧スパイクが毎晩続くことで、持続的な高血圧になってしまうんです。
  • 3. 無呼吸は仰臥位で起こりやすい。(正しい)
    仰臥位(仰向け)で寝ると、重力で舌の付け根が喉の奥に落ち込みやすくなります。横向き(側臥位)で寝るだけでいびきがマシになる患者さんも多いですよ。
  • 4. 終夜睡眠ポリグラフィはスクリーニングに有用である。(国試的には正しい)
    終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)は一晩中センサーをつけて調べる検査です。厳密には「簡易タイプ」がスクリーニングで「フルタイプ」が確定診断なんですが、国試ではざっくり「SASを調べる有用な検査」として正しい扱いになることが多いです。
  • 5. 睡眠1時間あたりの無呼吸・低呼吸指数〈AHI〉が5未満を示す。(誤り:これが正解)
    さっきのメーターの通り、AHIが「5未満」はただの正常範囲(病気じゃない)です。SASと診断するには、原則としてAHIが「5以上」あることが条件になります。

暗記方法・覚え方のコツ

SASの検査と治療はセットで覚えてしまいましょう。

・検査:PSG(終夜睡眠ポリグラフィ)で一晩中モニタリングする。
・指標:AHI(無呼吸・低呼吸指数)で回数を数える。5回以上でSAS。
・治療:寝る時に空気を送り込むマスクをつけるCPAP(シーパップ:持続陽圧呼吸療法)を行う。

さい
さい
日中の異常な眠気で交通事故の原因にもなるため、社会的にも非常に重要な疾患です。

さいの補足

実はこの「終夜睡眠ポリグラフィ(PSG)」、病院で検査を行うのは多くの場合、私たち臨床検査技師です。患者さんが夕方に入院してきたら、頭(脳波)、顔(眼球運動・呼吸)、胸(心電図)、指先(SpO2)などに数多くのセンサーをペタペタと正確に貼り付けます。結果を解析して無呼吸の回数(AHI)を算出し、CPAP治療の導入に繋げています。(CPAPを継続できるかは患者さん次第です笑)

午後 問13:肝硬変の血液検査データ

【問題】
肝硬変において血中で増加するのはどれか。

  • 1. 血小板数
  • 2. アルブミン
  • 3. γ-グロブリン
  • 4. 総コレステロール
  • 5. コリンエステラーゼ
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正答:3

【解説】上がるもの・下がるものを理屈で整理!

肝硬変のデータ変動は丸暗記しようとすると絶対パンクします笑
「肝臓という工場がカチカチに硬くなって機能しなくなったからこうなる」という病態で整理するとすごく簡単です👍

📉 下がるもの(機能低下・渋滞)
・工場がサボるから作れない:アルブミン、コレステロール、コリンエステラーゼ
・門脈が渋滞して脾臓が暴走する:血小板
📈 上がるもの(ゴミと過剰防衛)
・処理しきれないゴミ:ビリルビン、アンモニア
・免疫の過剰防衛:γ-グロブリン(抗原が素通りするから抗体が作られまくる)

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 血小板数(誤り:減少する)
    肝臓が硬くて血液が通れず、手前の脾臓に血液が渋滞して腫れ上がります(門脈圧亢進による脾機能亢進)。脾臓が暴走して正常な血小板までバクバク食べてしまうので減少します。
  • 2. アルブミン(誤り:減少する)
    血液中で一番多いタンパク質で、すべて肝臓工場で作られています。工場が止まるので当然減少します(腹水の原因になります)。
  • 3. γ-グロブリン(正解:増加する)
    γ-グロブリン=抗体です。肝臓の掃除役が機能しないため、腸からの異物(抗原)が全身にばらまかれ、免疫が過剰反応して抗体を大量に作ってしまうのです。
  • 4. 総コレステロール(誤り:減少する)
    これも肝臓工場で作られるので低下します。
  • 5. コリンエステラーゼ(誤り:減少する)
    肝臓の「タンパク合成能力」をピンポイントで反映する酵素です。もちろん低下します。

暗記方法・覚え方のコツ

肝硬変では「アルブミン(A)が下がり、グロブリン(G)が上がる」という真逆の動きをします。その結果として起こる「A/G比の低下(逆転)」というキーワードは、臨床化学でもよく出題されるので絶対に紐づけておきましょう。

さい
さい
この「γ-グロブリンの増加」は、別の検査分野でも国試の超重要キーワードに繋がります!

さいの補足

現場の検査室で「血清タンパク分画(電気泳動)」という検査を行うと、肝硬変の患者さんのデータは一目で分かります。正常ならきれいに分かれるはずの「β分画」と「γ分画」の間の谷間が、増えすぎたIgAやIgGによって埋め尽くされて、なだらかな丘のように繋がってしまうんです。これを「β-γブリッジング(β-γ癒合)」と呼びます。国試で『β-γブリッジングを示すのはどれか』と聞かれたら、秒殺で『肝硬変』を選べるようにしておきましょう!

午後 問14:子宮筋腫の特徴

【問題】
子宮筋腫で正しいのはどれか。

  • 1. 悪性腫瘍である。
  • 2. 月経過多をきたす。
  • 3. 子宮内膜が増殖する。
  • 4. 擦過細胞診で診断する。
  • 5. エストロゲンにより縮小する。
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正答:2

【解説】子宮筋腫ってどんな病気?

女性の4人に1人は持っていると言われるくらい、非常にポピュラーな良性のコブ(腫瘍)です。できる場所によって3種類に分けられます。

《筋腫のできる場所と症状》

  • 粘膜下筋腫: 内側に出っ張る。小さくても激しい月経過多・不妊の原因になる。
  • 筋層内筋腫: 筋肉の壁の中にできる。一番多いタイプ。
  • 漿膜下筋腫: 外側に出っ張る。かなり大きくなるまで無症状のことが多い。

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. 悪性腫瘍である。(誤り)
    定義上「良性腫瘍」です。ほかの臓器に転移したり命を脅かすようなことはありません。(悪性の場合は子宮肉腫と呼ばれ、全然違う病気になります)
  • 2. 月経過多をきたす。(正解)
    これが一番のメイン症状です。子宮内膜の面積が広がったり、子宮がうまくギュッと収縮して止血できなくなったりするため、生理の出血量が異常に増えてしまいます。
  • 3. 子宮内膜が増殖する。(誤り)
    筋腫は「筋肉(平滑筋)」が増殖する病気です。内膜が異常に増殖するのは「子宮内膜増殖症」という別の病態です。
  • 4. 擦過細胞診で診断する。(誤り)
    擦過(さっか)細胞診は、表面をこすって細胞を採る検査(子宮頸がん検診など)です。筋腫は壁の中に埋まっている硬いコブなので、表面をこすっても細胞は採れません。エコーやMRIなどの画像で診断します。
  • 5. エストロゲンにより縮小する。(誤り)
    逆です。子宮筋腫は、女性ホルモン(エストロゲン)によって大きくなる性質を持っています。

暗記方法・覚え方のコツ

エストロゲンは、筋腫を育てる「エサ」だとイメージすると簡単です。

・若い頃:エストロゲンがドバドバ出るため、エサを食べて筋腫が大きくなる。
・閉経後:エストロゲンが出なくなるため、エサをもらえなくなった筋腫は自然に小さくなっていく。

さい
さい
血液検査で「重症の貧血」を見つけたら、若い女性の場合は子宮筋腫を疑います。

さいの補足

臨床検査技師が血液検査(CBC)をしていると、ヘモグロビン(Hb)が 5.0 g/dL台という、いつ倒れてもおかしくないレベルの「鉄欠乏性貧血」の患者さんに出会うことがあります。これがもし高齢男性なら『胃や大腸からの出血』を疑いますが、20〜40代の女性だった場合、原因のトップは『子宮筋腫による月経過多』です。毎月の生理でちょっとずつ血液を失っているため、体が酸欠に慣れてしまって、極度の貧血でも普通に歩いて病院に来られる方が多いのも現場ならではの特徴ですね。Hbが低いデータを見つけると、基本的にはびっくりしますけどね笑

午後 問15:遺伝性腫瘍と原因遺伝子

【問題】
遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の原因遺伝子はどれか。

  • 1. APC
  • 2. BRCA1
  • 3. MEN1
  • 4. MLH1
  • 5. VHL
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正答:2

【解説】アルファベットばかりで嫌になる遺伝子問題

遺伝子の名前ってアルファベットの羅列で覚えるのが嫌になりますよね。でも、国試で聞かれる代表的な組み合わせは決まっているので、単語カード感覚でサクッと押さえておきましょう。

HBOC
(遺伝性乳癌卵巣癌)

BRCA1, BRCA2
家族性大腸腺腫症
(FAP)

APC
リンチ症候群
(HNPCC)

MLH1, MSH2

【全選択肢の正誤理由】

  • 1. APC(誤り)
    家族性大腸腺腫症(FAP)の原因遺伝子です。若い頃から大腸に無数のポリープができて、放置するとほぼ100%大腸癌になってしまいます。
  • 2. BRCA1(正解)
    BRCA1とBRCA2は、傷ついたDNAをきれいに直す(修理する)大切な役割を持っています。これが生まれつき壊れていると、細胞ががん化しやすくなり、乳癌や卵巣癌のリスクが跳ね上がります(HBOC)。
  • 3. MEN1(誤り)
    多発性内分泌腫瘍症1型(MEN1)の原因遺伝子です。名前の通り、副甲状腺や膵臓など、ホルモンを作る器官に同時に腫瘍ができます。
  • 4. MLH1(誤り)
    リンチ症候群の原因遺伝子の一つです。DNAのコピーミスを直す遺伝子が変異するため、大腸癌や子宮体癌のリスクが高まります。
  • 5. VHL(誤り)
    フォン・ヒッペル・リンドウ(VHL)病の原因遺伝子です。腎細胞癌などのリスクが高まります。

暗記方法・覚え方のコツ

HBOCの原因である「BRCA(ブラカ)」という名前、実はただ英単語の頭文字を並べただけなんです。これを知っていれば絶対に間違えませんよ!

BReast(乳房)+ CAncer(がん) = BRCA遺伝子

さい
さい
最近の検査室では、このBRCA遺伝子検査が「薬を使うための切符」として大活躍しています。

さいの補足

昔は「自分が遺伝性がんの家系かどうか」を知るためだけに行われていた検査ですが、今は意味合いが大きく違います。実は、BRCA遺伝子に変異がある患者さんには、「オラパリブ」という特効薬(分子標的薬)が劇的に効くことが分かったのです。
だから今、私たちがゲノム検査を行ってBRCA変異を探すのは、『この患者さんに特効薬が使えるか?』を判定するため(コンパニオン診断)という、がん治療のど真ん中に関わる超重要な役割なんです。
コンパニオン診断についても近年よく出題されています。

お疲れ様でした!医学総論の復習はバッチリですか?

全10問、お疲れ様でした!臨床検査医学総論は範囲が広くて心が折れそうになりますが、ここを乗り越えれば現場に出た時の「基礎体力」が確実についています。
一気に丸暗記しようとせず、今日解説したような「現場でのリアルな使われ方」や「語呂合わせ」を思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってくださいね。

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それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!