そしたら、ビリルビンについてまとめていくね
※国家試験対策でもあり、僕の備忘録でもあります。あくまで参考程度にご覧ください。
詳しいことはエビデンスのある教科書を見る事をオススメします!
臨床検査におけるビリルビン(Bil)とは(臨床化学)
臨床的意義
- ビリルビンとは赤色胆汁色素であり、化学式はC33H35N4O5(分子量585)である
- Hbと共に黄色から赤色にかけて大きな吸収ピークを持つ
- 2個のプロピオン酸基を含む2塩基酸
- 酸化されるとビリベルジンになる(緑色胆汁色素)
- 直射日光で急激に退色する(光分解)
- ジアゾ試薬と反応し2分子のアゾ色素を形成
- SI単位への換算はmg/dL÷0.0558=μmol/L
代謝
- 細網内皮系でヘモグロビンのヘムが開裂(グロビンはまだ結合)
- プロトポリフィンⅨが開裂(グロビンと鉄を離す前)
- ビリベルジン
- ビリルビン
- 血清ビリルビンはⅨα型のみ(新生児の一部でⅨβ型)
- 白人>有色人種
- 通常は尿中には抱合型(D-Bil)、非抱合型(I-Bil)のいずれのビリルビンも出現しない
- 黄疸尿のほとんどは抱合型(D-Bil)
分析法
- Lauffらが1981年に逆相高速液体クロマトグラフィーによって、δ(デルタ)-ビリルビン(アルブミンと共有結合する)を見つけてから、これもD-Bil(直接ビリルビン)に分類
Malloy-Evelyn法
スルファニル酸をジアゾ化⇒ビリルビンのアゾ色素を比色
(水溶性のジアゾ試薬と直接反応するビリルビンは直接ビリルビン)
(メタノールを加えてすべてのビリルビンを発色⇒直接ビリルビン値を引く⇒間接ビリルビン)
Jendrassik-Cleghorn法
Jendrassik-Grof法
Malloy-Evelyn法では混濁が生じることがあったのでカフェイン-安息香酸-酢酸ナトリウム法に置き換えられた。
Michaeisson法
カフェインの代わりに水溶液タイプのダイフィリンを使用
フェーリング液によりアルカリ性にし、生じたアゾビリルビンブルーを比色(590nmAAB変法)
ビリルビンオキシダーゼを用いる酵素法
ビリルビン自体の黄色をビリルビンオキシダーゼの酵素作用により退色(その変化量を450nmで測定)
※総ビリルビンは弱アルカリ性下で界面活性剤を加え、ビリルビンオキシダーゼを作用させる。直接ビリルビンは酸性条件下で作用させる。
メタバナジン酸を用いる方法
メタバナジン酸によってビリルビンをビリベルジンに酸化させ、変換する。黄色の消失を測定する(広く使用されている)
変動因子
光:分解される(低下する)
→非抱合型ビリルビンは抱合型ビリルビンよりも2~3倍強く反応する
溶血:ジアゾ法、Malloy-Evelyn法では直接型の法が干渉を受ける
薬剤:正誤差⇒アセトヘキサミド、カフェイン、エリスロマイシンなど
負誤差⇒タンパク質、アスコルビン酸など
※ジアゾ法ではEDTAやシュウ酸塩入りの採血管は使用しない
- 性差:男性>女性
- 年齢:新生児期に顕著に増加⇒3~5か月で最低⇒徐々に上昇⇒14~15歳で成人値
- 季節変動:夏>冬
基準値
測定法 | 総ビリルビン | 直接ビリルビン |
mg/dL | μmol/L | mg/dL | μmol/L | |
ジアゾ法 | 0.1~1.0 | 2~17 | 0.1~0.5 | 2~9 |
酵素法 | 0.1~1.0 | 2~17 | 0.1~0.5 | 2~9 |
酵素法(抱合型特異的) | 0.2~1.2 | 3~21 | 0.0~0.2 | 0~3 |
まとめ(臨床検査におけるビリルビン(Bil)のワンポイントなど)
- 古くなった赤血球は脾臓で破壊される
- ヘムとグロビンになる
- ヘムから鉄と非抱合型(間接)ビリルビンになる
- 血中でアルブミンと結合し、肝臓へ運ばれる
- 肝臓でグルクロン酸と結合し、抱合型(直接)ビリルビンになる(グルクロン抱合)
- 胆のうへ
- 胆のうから、十二指腸へ
- 腸管内で腸内細菌による脱抱合や還元を受けウロビリノーゲンとなる
- 酸化され、ウロビリンとなる
※これらを理解することで、黄疸が見られる患者のビルルビンを測定し、間接、直接のどちらが有意に増加しているのかをしらべ、病態を推察することができるようになる。
直接ビリルビンが増加している場合は腹部エコーなどで胆管の拡張を調べていく。
疾患 | 非抱合型Bil | 抱合型Bil | 蛋白結合型Bil |
溶血性貧 | + | – | – |
新生児黄疸 | + | – | – |
Criger-najjar症候群 | + | – | – |
Gilbert症候群 | + | – | – |
疾患 | 非抱合型Bil | 抱合型Bil | 蛋白結合型Bil |
肝細胞性黄疸 | + | + | + |
胆汁うっ血 | + | + | + |
Dubin-Johnson症候群 | + | + | + |
- 種々の溶血性疾患で見られる黄疸⇒非抱合型ビリルビン
- 肝性黄疸(体質性やウイルス性)、肝後性黄疸(胆石、胆管がん)⇒抱合型ビリルビン
さらに細かい内容などは専門書で確認することをオススメします。