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【国試対策】出題は少ないけど超重要!「医療制度・倫理」で失点しないための徹底解説

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【国試対策】医療制度・倫理・業務範囲パーフェクト解説
知っておきたい技師のルール

さい
さい
こんにちは、SAI-LABOのさいです!
国試の勉強、お疲れ様です。今回は「医療制度・倫理・業務範囲」の分野を解説していきます。
この分野、過去5年で3問しか出てないみたいだし、後回しでもいいかな…?
さい
さい
その気持ち、めっちゃ分かります!確かに、生化学や血液学みたいなメイン科目と比べると出題数は少ないですよね。
でも、この分野は臨床検査技師として働く上での「ルールブック」そのものなんです。ルールを知らないと、思わぬところで自分が損をしたり、最悪の場合、法的なトラブルに巻き込まれることも…。
ホームランを打つための知識も大事だけど、アウトにならないための知識も同じくらい重要。しっかり押さえていきましょう!

医療費の仕組みと関連用語

まずは、僕たちのお給料の源泉でもある「医療費」の仕組みから。特に、国が推進している計算方式は頻出です。

【第67回 午前 問1】医療費の計算方式 DPCを理解する

検査や投薬の種類・量に関わらず、病気の種類と入院日数に応じて医療費が決められる診療報酬計算の方式を指す用語はどれか。

  • 1.APACHE
  • 2.DPC
  • 3.GCP
  • 4.SOP
  • 5.TQC

 

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正解:2.DPC

さい
さい
たくさんのアルファベットの略語が出てくると、頭がごちゃごちゃになりますよね!
でも大丈夫。それぞれの「何のための用語か」という目的で分類すれば、スッキリ整理できますよ。

2. DPC (Diagnosis Procedure Combination) → 正解

DPCは「診断群分類包括評価」と訳されます。簡単に言えば、入院医療費の「セット料金」方式です。

DPCを例えるなら…

レストランのコース料理みたいなものですね。
「A5ランク牛肉のステーキコース」なら、前菜やスープの種類が多少違っても料金は一定、みたいな感じです。
これに対して、昔ながらの「やった検査や薬の分だけ料金を足していく」方式を出来高払い方式(アラカルト料理)と呼びます。
DPCは、医療の標準化や質の向上、医療費の透明化を目指して導入されました。

【不正解の選択肢】何が違うのか?

1.APACHE (Acute Physiology and Chronic Health Evaluation) → 患者の重症度スコア

これは医療費の計算方式ではなく、ICU(集中治療室)に入室している患者さんの重症度を評価するための点数(スコア)です。「この患者さんはどれくらい危険な状態か」を客観的に示すためのもので、予後の予測などに使われます。

3.GCP (Good Clinical Practice) → 治験のルール

これは「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」のことで、新しい薬や医療機器の有効性・安全性を確かめる「治験」を行う際の倫理的・科学的なルールを定めたものです。

4.SOP (Standard Operating Procedure) → 作業手順書

これは「標準作業手順書」のことで、私たち臨床検査技師にとって最も身近な言葉の一つです。特定の検査を「誰が・いつやっても同じ結果が得られる」ように、具体的な作業手順を定めたマニュアル(レシピ)のことです。

5.TQC (Total Quality Control) → 総合的品質管理

検査室で行う「精度管理」を、病院や企業全体に広げたような考え方です。製造部門だけでなく、営業、企画、経理など、すべての部署が協力して組織全体の品質向上を目指す活動を指します。

臨床検査技師の業務と倫理

ここでは、私たちが「やって良いこと」「やってはいけないこと」、そして「やるべきこと」について問われます。特に電子カルテの普及に伴うルールは重要です。

【第70回 午後 問5】やってはいけない!不適切な行為とは

病院内において不適切な行為はどれか。

  • 1.診療放射線技師が腹部超音波検査を行った。
  • 2.倫理委員会の承認を受けた研究に残余検体を使用した。
  • 3.採血を行った際、患者の氏名に加えて生年月日を尋ねた。
  • 4.ベッドサイド検査の際、患者確認のために患者情報をプリントアウトして持参した。
  • 5.医師の電話指示により、臨床検査技師が医師名で電子カルテを開いて検査オーダーを入力した。

 

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正解:5

さい
さい
これは、僕が新人研修で「これだけは絶対にやるな」と口酸っぱく言われた項目です。
軽い気持ちでやってしまうと、後でとんでもない問題に発展する可能性があります…。けど、代行入力というチート技で普通にさせられていますけどね笑
要は、責任の所在を明確にする必要があるということですね。

5. 医師名で電子カルテを開いてオーダー入力 → ×(不適切)

これが正解(不適切な行為)です。電子カルテの操作は、すべて「誰が、いつ、何をしたか」という記録が残ります。医師の指示があったとしても、他人のIDとパスワードでログインしたり、他人の名前で操作したりすることは「なりすまし」にあたり、絶対にしてはいけません。

もしそのオーダーで医療過誤が起きた場合、「誰がその指示を入力したのか」という責任の所在が不明確になり、法的な問題に発展します。電話指示の場合は、必ず医師自身に入力してもらうか、それが不可能なら「代行入力」機能などを使い、自分が入力したことが明確に分かる形で行う必要があります。

【その他の選択肢】なぜ適切なのか?

1.診療放射線技師が腹部超音波検査 → ○(適切)

超音波検査(エコー)は、臨床検査技師と診療放射線技師の両方が実施できる業務です。法律(臨床検査技師等に関する法律)で定められています。

2.研究に残余検体を使用 → ○(適切)

検査後の残った検体(残余検体)を研究に利用すること自体は可能です。ただし、①倫理委員会の承認を得る、②個人情報が特定できないように匿名化する、といった厳格なルールを守ることが絶対条件です。

3.採血時に氏名+生年月日を尋ねる → ○(適切)

これは患者誤認を防ぐための非常に重要な手順です。氏名だけでなく、生年月日など2つ以上の指標で確認することが推奨されています。同姓同名の患者さんがいる可能性を常に考えなければなりません。

4.患者情報をプリントアウトして持参 → ○(適切)

ベッドサイドで検査を行う際、電子カルテがその場にない場合など、患者確認のために一時的に情報を印刷して持参することは業務上必要です。ただし、その紙を紛失したり、置き忘れたりすると重大な個人情報漏洩になるため、使用後は必ずシュレッダーで破棄するなど、厳重な管理が求められます。

【第71回 午後 問7】検査分野の正しい分類

臨床検査の一次分類とそれに含まれる二次分類の組合せで正しいのはどれか。

  • 1.生化学的検査 – 細胞性免疫検査
  • 2.尿・糞便等一般検査 – 寄生虫検査
  • 3.微生物学的検査 – 病原体核酸検査
  • 4.病理学的検査 – 体細胞遺伝子検査
  • 5.免疫学的検査 – 免疫組織化学検査

 

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正解:2

さい
さい
この問題は少し悩ましいです。実際の病院の部門分けと、学問的な分類が少し違うので混乱しやすいかもしれません。2と3で迷いましたが、厚労省の公式な正答は「2」とされています。その理由をしっかり理解し、他の選択肢がなぜ違うのかも整理していきましょう。

2. 尿・糞便等一般検査 – 寄生虫検査 → ○ (正解)

これが正解です。「一般検査」という大きな枠(一次分類)の中に、尿検査、便検査、髄液検査、そして「寄生虫検査(便中虫卵検査など)」が含まれる(二次分類)という関係です。これは実際の検査室の部門分けとしても、学問的な分類としても最も一般的で、広く受け入れられています。

【不正解の選択肢】なぜ違うのか?

1.生化学的検査 – 細胞性免疫検査 → ×

細胞性免疫検査(T細胞の働きなどを見る検査)は、通常「免疫学的検査」の分野に分類されます。「生化学的検査」は酵素や脂質などを測定する分野です。

3.微生物学的検査 – 病原体核酸検査 → ×

「病原体核酸検査(PCR法など)」は、確かに微生物検査室で行われることが多いですが、これは「遺伝子関連検査」という独立した大きな枠組みに属する手法です。「微生物学的検査」は主に培養や鏡検といった伝統的な手法を指すことが多く、包含関係としては2の方がより適切と判断されたと考えられます。

4.病理学的検査 – 体細胞遺伝子検査 → ×

体細胞遺伝子検査(がん細胞の遺伝子変異など)も、3と同様に「遺伝子関連検査」という独立した分野です。病理組織を材料にすることは多いですが、病理学的検査(組織の形を見る)そのものではありません。

5.免疫学的検査 – 免疫組織化学検査 → ×

免疫組織化学検査(IHC、免疫染色)は、抗体を使って組織内の特定のタンパク質を可視化する技術で、「病理学的検査」の特殊染色の一種として分類されます。「免疫学的検査」は主に血清中の抗原や抗体を測定します。

まとめ

【結論】プロとして働くための3つのルール

 

ルール1:お金の流れを知る(DPC)

DPCは入院費の「セット料金」方式

医療費の仕組みを理解することは、病院経営への貢献にも繋がります。DPCと出来高払いの違い、そしてAPACHEやGCPといった関連用語との区別をつけられるようになりましょう。

ルール2:自分の名前で、責任を持つ(倫理)

他人のIDでの操作は「なりすまし」。絶対ダメ!

電子カルテの操作記録は法的な証拠になります。安易な代行入力は、自分自身と病院を大きなリスクに晒します。患者確認の徹底や個人情報管理も同様に、プロとしての自覚が問われます。

ルール3:自分の持ち場を知る(業務範囲)

検査の大きな分類と、そこに含まれる具体的な手法を整理する

検査室の各部門(生化学、免疫、血液、微生物、一般、病理など)が、どのような検査を担っているのかを正しく理解することは、他部署との連携や業務全体の流れを把握するために不可欠です。

さい
さい
お疲れ様でした!この分野は一見地味ですが、知れば知るほど「プロの臨床検査技師とは何か」が見えてくる、奥が深い分野です。しっかり復習して、自信を持って現場に出られるようになりましょう!