今回は、第71回臨床検査技師国家試験の中から「臨床検査総論」分野(午前問1〜10、午後問1〜10の全20問)を一気にピックアップし、全選択肢の正誤理由を主観的ではありますが、現場目線を交えて解説していきます。
総論は、寄生虫の形から医療法規、最新のゲノム医療まで、とにかく範囲が広くて暗記が大変な科目です。
この記事では「なぜそうなるのか?」という理屈や、現場の検査室でどう役立っているのかというリアルなエピソードを盛り込んで、丸暗記から脱却できるような構成にしています。国試前の総復習にぜひ活用してくださいね!
第71回 臨床検査総論:午前問題の正誤理由まとめ(問1〜問10)
午前 問1:コンパニオン診断
【問題】
コンパニオン診断に用いられるのはどれか。
- 1. PSA
- 2. 血小板凝集能
- 3. EGFR変異解析
- 4. 75g経口グルコース負荷試験
- 5. T細胞サブセット〈CD4/CD8〉
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正答:3
【解説】薬の「相棒」を見つけるための検査
コンパニオン(Companion)には「仲間・パートナー」という意味があります。
特定の薬(分子標的薬など)を使う前に、「この患者さんにその薬が本当に効くか?副作用が出ないか?」をあらかじめ調べる検査のことです。
個別化医療の主役です。
《国試で狙われる黄金の組み合わせ》
- EGFR遺伝子変異 ⇒ 非小細胞肺がん(ゲフィチニブ等)
- ALK融合遺伝子 ⇒ 非小細胞肺がん(アレクチニブ等)
- HER2遺伝子増幅 ⇒ 乳がん・胃がん(トラスツズマブ等)
- PD-L1発現 ⇒ 非小細胞肺がんなど(ペムブロリズマブ等)
【全選択肢の正誤理由】
- 1. PSA(誤り)
前立腺がんの腫瘍マーカーです。スクリーニングや経過観察に使いますが、特定の薬の効き目を測るコンパニオン診断ではありません。 - 2. 血小板凝集能(誤り)
血が止まりにくい(一次止血異常)原因を調べるための凝固・線溶系検査です。 - 3. EGFR変異解析(正解)
非小細胞肺がんの患者さんに、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬という薬が効くかどうかを判定する、まさにコンパニオン診断の代表格です。 - 4. 75g経口グルコース負荷試験(誤り)
甘いサイダーのような薬を飲んで血糖値の推移を見る、糖尿病診断のための生理機能検査です。
(以前エックスで、あまりにも美味しいため、Amazonに売ってないか?というポストを見たことがあります笑) - 5. T細胞サブセット〈CD4/CD8〉(誤り)
HIV感染症の進行度などを見るための細胞性免疫検査です。
暗記方法・覚え方のコツ
まずは「肺がんのトリオ(EGFR、ALK、PD-L1)」を丸暗記しましょう。そして、HER2(ハーツー)は「Her=彼女」という英語から、女性に多い「乳がん」とリンクさせると記憶に定着しやすいです👍
さいの補足
分子標的薬って、本当にピンポイントでがん細胞を狙い撃ちするすごい薬なんですが、その「標的(的)」がない患者さんに使っても全く効かないどころか、重い副作用だけが出ちゃうんですよ。
しかも薬代が桁違いに高い!だからこそ、僕たち臨床検査技師が行う遺伝子検査や病理組織検査(免疫染色など)の結果が、治療方針と医療費の無駄を省くための道しるべになっているんです。
午前 問2:混濁尿の透明化処理
【問題】
混濁尿は透明化処理で鑑別が可能である。処理方法と対象となる混濁の原因の組合せで正しいのはどれか。
- 1. 加温 ── 細菌
- 2. 3%酢酸 ── リン酸塩
- 3. 10%塩酸 ── 尿酸塩
- 4. 10%水酸化カリウム ── 脂肪
- 5. アルコール・エーテル混合液(2:1) ── シュウ酸塩
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正答:2
【解説】濁りの原因を化学変化であぶり出す
おしっこが濁っているとき、それが「塩類(結晶)」なのか「細菌や細胞」なのか「脂」なのかを見分けるために、試薬や熱を加える検査です。丸暗記ではなく、化学的な性質で整理しましょう。
(実際には細菌性のものは臭いでわかりますけど笑)
| 処理方法 | 透明になる(溶ける)原因物質 |
|---|---|
| 加温(60℃程度) | 無晶性尿酸塩(温めるとスッと消えます) |
| 3%酢酸(弱酸) | リン酸塩、炭酸塩(※炭酸塩はシュワッと気泡が出ます) |
| 10%塩酸(強酸) | シュウ酸カルシウム |
| 10%水酸化カリウム | 尿酸結晶(※膿汁・白血球はドロドロのゼリー状になります) |
| 有機溶媒(エーテル等) | 脂肪(乳び尿)、コレステロール |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 加温 ── 細菌(誤り)
細菌などの細胞成分は、ただ温めたくらいでは透明になりません。加温でサッと溶けるのは「無晶性尿酸塩」です。 - 2. 3%酢酸 ── リン酸塩(正解)
リン酸塩はアルカリ性の尿で析出しやすく、酢酸(弱酸)を加えると中和されてサッと溶けます。 - 3. 10%塩酸 ── 尿酸塩(誤り)
強酸の10%塩酸で溶けるのは「シュウ酸カルシウム」です。尿酸塩は酸には溶けにくく、加温で溶かします。 - 4. 10%水酸化カリウム ── 脂肪(誤り)
10%水酸化カリウム(強アルカリ)を入れると、白血球の核が溶け出してスライムのようにドロドロ(膠状)になります。脂肪を溶かすのはエーテルなどの有機溶媒です。 - 5. アルコール・エーテル混合液 ── シュウ酸塩(誤り)
エーテルは油汚れを落とす「有機溶媒」なので、脂肪やコレステロールを溶かします。
暗記方法・覚え方のコツ
試薬の性質を日常生活に置き換えてイメージしましょう。
・エーテル(有機溶媒)= クレンジングオイル(油や脂肪を落とす)
・酢酸(酸性)= お酢で水垢(アルカリ性のリン酸やカルシウム)を溶かす
・炭酸塩に酢酸を入れると、炭酸水にレモンを絞った時のように「シュワッ(気泡)」となる。
さいの補足
一般検査室で濁った尿を見たとき、やみくもに試薬を入れるわけではありません。
まずは試験紙で「pH」を見ます。もしpHがアルカリ性なら『あ、リン酸塩の濁りかもな』とアタリをつけられますし、酸性で濁っていれば『尿酸塩かな?』と推測できます。
pHと結晶の関係性を知っておくと、現場での鑑別スピードが格段に上がります。
午前 問3:DNA合成酵素
【問題】
DNA合成酵素はどれか。
- 1. リガーゼ
- 2. ヘリカーゼ
- 3. イソメラーゼ
- 4. ポリメラーゼ
- 5. エンドヌクレアーゼ
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正答:4
【解説】DNA複製の工事現場チーム
DNAのコピー(複製)は、ひとつの酵素が全部やるわけではなく、専門の職人(酵素)たちがチームを組んでリレー形式で行っています。誰がどんな作業を担当しているのかをイメージしましょう。
チャックを開けるように、二重らせんを一本ずつにほどいていきます。
合成のスタート地点となる短い足場(RNAプライマー)を作ります。
足場から出発して、新しい塩基のパーツをどんどん繋げて合成していきます。
最後に残ったDNAの切れ目(隙間)をしっかり糊付けして完成させます。
【全選択肢の正誤理由】
- 1. リガーゼ(誤り)
DNAの切れ目を「つなぐ(糊付けする)」酵素です。一から合成するわけではありません。 - 2. ヘリカーゼ(誤り)
合成が始まる前に、二重らせんを「ほどく」酵素です。 - 3. イソメラーゼ(誤り)
DNAトポイソメラーゼなどは、DNAをほどく時にギュッと生じる「きついねじれ」を直してくれる裏方の酵素です。 - 4. ポリメラーゼ(正解)
鋳型(元のDNA)の配列を読み取って、新しいDNA鎖を「合成する」主役の酵素です。 - 5. エンドヌクレアーゼ(誤り)
DNAの鎖の「内部(エンド)」をチョキッと切断するハサミのような酵素です。
暗記方法・覚え方のコツ
酵素の名前は英語の語源を知るのが一番の近道です。
・ポリメラーゼ:ポリ(Poly=たくさんの)パーツをくっつける。
・リガーゼ:リガ(Ligate=結ぶ・縛る)。靭帯(Ligament)と同じ語源ですね。
・ヘリカーゼ:ヘリックス(Helix=らせん)を扱うからヘリカーゼ。
さいの補足
この問題の正解である「DNAポリメラーゼ」は、遺伝子検査室で毎日行われているPCR検査の絶対的な主役です。
PCRというのは、熱に強い特別なDNAポリメラーゼ(Taqポリメラーゼなど)を利用して、機械の中でDNAの合成を人為的に何度も繰り返させ、見つけたい遺伝子を何百万倍にも増幅させる技術です。
「DNAポリメラーゼ」は今の医療にはなくてはならない大事な酵素です🔥
午前 問4:寄生虫卵の小蓋
【問題】
虫卵で小蓋がないのはどれか。
- 1. 回虫
- 2. 肝蛭
- 3. 肝吸虫
- 4. 日本住血吸虫
- 5. 日本海裂頭条虫
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正答:1、4(複数正解・不適切問題)
【解説】卵の「フタ(小蓋)」があるのは誰?
小蓋(しょうがい)というのは、卵から幼虫が孵化するときにパカッと開く「蓋(フタ)」のことです。
これを持っているのは基本的に吸虫類と一部の条虫類だけです。
国試で頻出のものをパッと整理しましょう。
[Image comparing parasite eggs with and without an operculum under a microscope]
❌ 小蓋がないもの
- 線虫類全般(回虫、鞭虫など)
- 日本住血吸虫(※吸虫なのに例外!)
- 有鉤・無鉤条虫
⭕️ 小蓋があるもの
- 吸虫類全般(肝吸虫、肺吸虫、肝蛭など)
- 日本海裂頭条虫
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 回虫(正解)
線虫類なので小蓋はありません。表面がゴツゴツした乳頭状の卵殻が特徴です。 - 2. 肝蛭(誤り)
吸虫類です。すごく大きくて、はっきりした小蓋を持っています。 - 3. 肝吸虫(誤り)
吸虫類です。小型で、小蓋の縁に「肩峰(いかり肩のような出っ張り)」があるのが特徴です。 - 4. 日本住血吸虫(正解)
ここが引っかけです!吸虫類なんですが、例外的に小蓋を持っていません。代わりに側面に小さな「棘(トゲ)」があります。 - 5. 日本海裂頭条虫(誤り)
条虫類の一部(擬葉目)ですが、小蓋を持っています。反対側に小さなボタン状の突起があるのもポイントです。
暗記方法・覚え方のコツ
国試のひっかけポイントはいつも同じです。
・吸虫類は基本的に「小蓋あり」だが、住血吸虫だけは例外でない。
・鞭虫(線虫)の両端にある出っ張りは「極栓」であり、パカッと開く小蓋とは全くの別物。
さいの補足
国試では「正解が2つある」「正解がない」という不適切問題が毎年必ず紛れ込みます。本番で「あれ?1も4も小蓋がないぞ…私の記憶違い?」とパニックになり、時間を浪費してしまうのが一番危険です。深く勉強している学生さんほど引っかかりやすい罠ですね。
「あ、これは不適切問題かもしれないな」と割り切って、適当にマークしてサッと次の問題へ進むスルースキルも重要です。
午前 問5:Lambl(ランブル)鞭毛虫の寄生部位
【問題】
Lambl(ランブル)鞭毛虫の主な寄生部位はどれか。
- 1. 胃
- 2. 肺
- 3. 大腸
- 4. 脳脊髄
- 5. 十二指腸
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正答:5
【解説】臓器別の代表的な寄生虫
寄生虫には、それぞれ「お気に入りの住処(臓器)」があります。
Lambl(ランブル)鞭毛虫は、汚染された水などを飲んで感染し、胃酸を耐え抜いて十二指腸〜空腸の粘膜にビッシリと吸着して激しい下痢を起こす原虫です。
| お気に入りの臓器 | 代表的な寄生虫 |
|---|---|
| 胃 | アニサキス(サバの生食で胃壁に刺さる!) |
| 肺 | ウェステルマン肺吸虫(サワガニなどの生食) |
| 大腸 | 赤痢アメーバ、鞭虫、蟯虫 |
| 脳脊髄 | 有鉤条虫(豚肉の生食)、トキソプラズマ |
| 十二指腸・小腸 | Lambl鞭毛虫、回虫、鉤虫 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 胃(誤り)
胃の中で暴れて激痛を起こす代表例はアニサキスです。ランブル鞭毛虫は胃をスルーして腸へ向かいます。 - 2. 肺(誤り)
肺に住み着いて血痰などを出すのはウェステルマン肺吸虫などです。 - 3. 大腸(誤り)
大腸で粘血便(イチゴゼリー状)を起こすのは赤痢アメーバなどですね。 - 4. 脳脊髄(誤り)
脳に迷い込んでてんかん発作を起こすのは、有鉤条虫の幼虫(有鉤嚢虫)やトキソプラズマです。 - 5. 十二指腸(正解)
Lambl鞭毛虫は十二指腸から空腸上部に寄生し、吸盤でピタッと張り付いて増殖します。
暗記方法・覚え方のコツ
ランブル鞭毛虫の活動している姿(栄養型)は、顕微鏡で見ると「おじいさんの顔」や「とぼけたフクロウの顔」のように見えるのが最大の特徴です。

「顔の形をした原虫が、十二指腸の壁にビッシリ並んでこっちを見ている」という少しホラーなイメージをすると、絶対に忘れませんよ。
さいの補足
ランブル鞭毛虫症(ジアルジア症)は、海外旅行帰りの患者さんの下痢の原因として、今の日本の病院でもたまに遭遇すると言われています。
便の検査をする際、水みたいな便(水様便)なら「動いている顔(栄養型)」を探しますが、少し硬い便(泥状便)ならカプセルに包まれた「シスト(嚢子)」を探すことになります。
便の硬さで見つかる形が違う、というのも現場ならではの面白いポイントです。(僕は遭遇したことすらありませんが笑)
午前 問6:腟トリコモナス症
【問題】
腟トリコモナス症で誤っているのはどれか。
- 1. 尿沈渣で虫体が検出される。
- 2. 栄養型による接触感染である。
- 3. 腟分泌物から囊子が検出される。
- 4. 患者とパートナーを同時に治療する。
- 5. 塗抹標本ではGiemsa染色が用いられる。
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正答:3(誤っている記述)
【解説】腟トリコモナスの特異なライフスタイル
主に性行為によって感染する原虫です。他の消化管に寄生する原虫(アメーバなど)とはライフスタイルが全く違うため、国試でもその「違い」が狙われます。
| 項目 | 特徴とポイント |
|---|---|
| 形態・発育段階 | 活動状態の「栄養型」のみ。 (※休眠用のカプセルである囊子=シストは作らない!) |
| 症状 | 女性:悪臭を伴う黄緑色の泡状の帯下(おりもの)、強い痒み。 男性:無症状が多いが、尿道炎を起こすことも。 |
| 検査・染色法 | ピクピク動くのを直接顕微鏡で見る。 染色するならGiemsa染色やパパニコロウ染色。 |
| 治療 | パートナーの同時治療が絶対条件。 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 尿沈渣で虫体が検出される。(正しい)
女性の腟だけでなく尿道や膀胱にも感染するため、男女ともに尿検査(尿沈渣)で見つかることがよくあります。 - 2. 栄養型による接触感染である。(正しい)
性行為による粘膜の直接接触で、活発に動いている「栄養型」のまま引っ越して感染します。 - 3. 腟分泌物から囊子が検出される。(誤り:これが正解)
トリコモナスは生活史の中で「囊子(シスト)」を作りません!常に栄養型として存在しています。 - 4. 患者とパートナーを同時に治療する。(正しい)
片方だけ治しても、未治療のパートナーからまたうつされる「ピンポン感染」を繰り返してしまうため、同時治療が鉄則です。 - 5. 塗抹標本ではGiemsa染色が用いられる。(正しい)
動きが止まってしまった場合など、形をしっかり観察して確定するためにギムザ染色などが用いられます。
暗記方法・覚え方のコツ
なぜ腟トリコモナスには「囊子(シスト)」がないのか、理屈を知れば忘れません。
赤痢アメーバなどは便と一緒に外(水や土の中)へ出るため、過酷な環境に耐えるカプセル(囊子)に変身する必要があります。
でも腟トリコモナスは「性行為で直接、人の温かい粘膜から粘膜へお引っ越しする」ため、外の寒い環境に出る機会がないんです。だから頑丈なカプセルを作る能力を捨てて、栄養型のまま生きているわけです。
さいの補足
尿沈渣の検査で、排尿から時間が経って尿が冷たくなると、トリコモナスは特有のピクピクした動きを止めてしまいます。さらに特徴的な鞭毛やヒラヒラした膜も縮んでまん丸になってしまうため、大きさがそっくりな「好中球(白血球)」と見分けるのがものすごく困難にります。
だからこそ、現場では「尿は新鮮なうちに素早く鏡検する」というのが絶対ルールになっています。
慣れていないと、動いていても見逃すことが多いです。
午前 問7:条虫類の特徴
【問題】
条虫で正しいのはどれか。
- 1. 雌雄異体である。
- 2. 消化管を有する。
- 3. 神経細胞はない。
- 4. 中間宿主内で増殖する。
- 5. 頭部、頸部、片節の3部位からなる。
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正答:5
【解説】究極のヒモ男?サナダムシの体
条虫類(サナダムシ)は、人間の腸管内に寄生することに特化しすぎた結果、体の構造がかなり思い切った進化を遂げています。他の寄生虫とどこが違うのかを比較しましょう。
| 分類 | 性別 | 消化管 |
|---|---|---|
| 条虫類 | 雌雄同体(1匹に両方ある) | なし(肌から直接吸収) |
| 吸虫類 | 雌雄同体(※住血吸虫だけは別) | あり(でも肛門がなく行き止まり) |
| 線虫類 | 雌雄異体(オスとメスがいる) | あり(口から肛門まで貫通) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 雌雄異体である。(誤り)
条虫は「雌雄同体」です。いくつも連なった節(片節)の一つひとつの中に、オスとメス両方の生殖器官を持っています。 - 2. 消化管を有する。(誤り)
条虫は「消化管」を持っていません。人間が消化してくれた栄養分を、自分の体表から直接吸い取って生きています。 - 3. 神経細胞はない。(誤り)
一応、頭部に脳のような神経節があり、そこから神経が伸びています。 - 4. 中間宿主内で増殖する。(誤り※議論あり)
基本的には、中間宿主の体内では幼虫に成長(発育)するだけで、個体数を増やす「増殖」は最終目的地である腸内で行います。(※後述の補足へ) - 5. 頭部、頸部、片節の3部位からなる。(正解)
腸壁にガッチリしがみつくための「頭部」、新しい節を作り出す工場のような「頸部」、そして卵の詰まった「片節」の3つのパーツで構成されています。
暗記方法・覚え方のコツ
条虫は「究極の省エネ寄生虫」とイメージしましょう。
人間の腸という最高のレストランに住むため、自分で消化する面倒を放棄しました(消化管の消失)。そして、相手を見つけて交尾する手間すら省くために1つの体に男女の機能を備え(雌雄同体)、ただひたすら栄養を吸って卵を産み続けることに全振りした生き物です。
さいの補足
選択肢4を「絶対に誤り!」と言い切るのが難しいのは、「エキノコックス(多包条虫など)」という例外がいるからです。
エキノコックスは中間宿主である野ネズミや人間の体内で無性的に『増殖』して重い病気(包虫症)を引き起こします。
詳しく学習を進めている学生ほど「エキノコックスがいるから4も正解になるのでは?」と深読みしてしまいます。
国試では、例外よりも「全体的な基本ルール(5番)」を優先して選ぶ割り切りも必要になってきます。
午前 問8:パニック値の判定
【問題】
パニック値対応となるのはどれか。
- 1. ALP:300 U/L
- 2. カルシウム:10.8 mg/dL
- 3. グルコース:200 mg/dL
- 4. ナトリウム:175 mmol/L
- 5. 総コレステロール:300 mg/dL
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正答:4
【解説】今すぐ医師に報告しないと命が危ない値
パニック値とは、「ちょっと高いですね」レベルではなく、放置すれば直ちに命に関わるため、検査室から主治医へ『至急の報告』が義務付けられている極端な異常値のことです。
| 検査項目 | 基準範囲の目安 | パニック値の設定例 |
|---|---|---|
| カルシウム | 8.8〜10.1 mg/dL | 6.0以下、または 12.0〜13.0 以上 |
| グルコース | 73〜109 mg/dL | 50以下、または 400〜500 以上 |
| ナトリウム | 138〜145 mmol/L | 120以下、または 160 以上 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. ALP:300 U/L(誤り)
IFCC法なら高値ですが、命を脅かすような緊急事態の数値ではありません。(子供では高値が普通です。) - 2. カルシウム:10.8 mg/dL(誤り)
基準値を少し超えた軽度の高値です。不整脈や意識障害が出るような危険なレベル(12〜14以上)には達していません。 - 3. グルコース:200 mg/dL(誤り)
糖尿病の患者さんや食後なら普通に見かける数値です。パニックになるのは500を超えるような極端な高血糖か、50を下回る低血糖の時です。 - 4. ナトリウム:175 mmol/L(正解)
これは非常に危険な高ナトリウム血症です!痙攣や脳浮腫を起こして命に関わる緊急事態なので、即座にパニック値報告が必要です。 - 5. 総コレステロール:300 mg/dL(誤り)
高脂血症ですが、将来的に動脈硬化のリスクが高まるというだけで「今すぐ死ぬ」わけではないので、パニック値自体が設定されていません。
暗記方法・覚え方のコツ
国試でパニック値の問題が出たら、「電解質(Na、K、Ca)はシビアに見る」のが鉄則です。電解質は狭い範囲で厳密にコントロールされているため、少しズレただけでも心臓や脳に致命的なダメージを与えてしまいます。
また、「成長期の子供は骨が伸びるためALPが成人の2〜3倍高い」という引っかけも超頻出なのでセットで覚えておきましょう。
さいの補足
現場で「Na 175」という恐ろしい値が出た時、慌ててすぐ電話!……する前に、私たちは必ず「プレアナリティカルエラー(分析前誤差)」を疑います。
つまり、「点滴(生理食塩水)をしている腕から採血しちゃってないか?」という確認ですね。前回値からの急激な変化などを見て、データの信頼性をチェックしてから報告するのが、臨床検査技師のプロとしての腕の見せ所です。
午前 問9:尿沈渣の結晶(写真問題)
【問題】
尿沈渣に認められた結晶(別冊No. 1)を別に示す。考えられるのはどれか。
- 1. 高尿酸血症
- 2. 閉塞性黄疸
- 3. ネフローゼ症候群
- 4. 先天性シスチン尿症
- 5. 先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症
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正答:2
【解説】トゲトゲのウニみたいな結晶の正体
写真の成分は、黄褐色で細かい針が放射状に集まった「ビリルビン結晶」です。水に溶ける直接ビリルビンが、尿の中に大量に捨てられることで結晶化して現れます。
| 特徴 | ビリルビン結晶のポイント |
|---|---|
| 見た目 | 黄褐色〜黄赤色。細かい針の集合体(ウニや毬藻みたい)。 |
| 出やすい環境 | 酸性尿 |
| 関連する病気 | 閉塞性黄疸、重症の肝障害など |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 高尿酸血症(誤り)
尿酸結晶も同じような黄褐色ですが、形が「ヒシ形」や「レモン形」「バラの花(ロゼット)」のような板状になります。 - 2. 閉塞性黄疸(正解)
胆道が詰まることでビリルビンが血中に逆流し、おしっこへ大量に排泄されるため、このビリルビン結晶が出現します。 - 3. ネフローゼ症候群(誤り)
脂質異常が起きるため、透明な長方形の角が欠けた「コレステロール結晶」が出ることがあります。 - 4. 先天性シスチン尿症(誤り)
無色透明で、きれいな正六角形をした「シスチン結晶」が出現します。 - 5. 先天性アデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ欠損症(誤り)
褐色でまん丸の「2,8-DHA結晶」が出現します。
暗記方法・覚え方のコツ
結晶の写真問題は「身近な形」に例えるのが一番です。
・ビリルビン:黄褐色のトゲトゲ(ウニ・イガグリ)
・シスチン:透明な六角形(亀の甲羅・ハチの巣)
・コレステロール:透明な長方形(角が欠けた窓ガラス)
さいの補足
現場でこのビリルビン結晶が見えるとき、おしっこの見た目(外観)はすでに濃い「ビール尿(黄褐色)」になっているはずです。
当然、試験紙での定性検査もビリルビンが強陽性を示します。もし「見た目が普通の黄色い尿」で「定性も陰性」なのにこのトゲトゲが見えたら、それはビリルビンではなく、形が似ている薬の結晶などを疑う必要があります。一つの画面だけで判断せず、定性・外観・沈渣の3つ、そして生化学のデータを組み合わせ、点ではなく面で捉えるのがプロの鑑別法です。
午前 問10:内部精度管理法の分類
【問題】
内部精度管理法で患者データを用いるのはどれか。2つ選べ。
- 1. X-R管理図法
- 2. 累積和管理図法
- 3. 項目間チェック法
- 4. デルタチェック法
- 5. マルチルール管理図法
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正答:3、4
【解説】機械を見るか?患者さんのデータを見るか?
検査室の品質を守る精度管理には、大きく分けて「専用の液体(コントロール血清)を使う方法」と「実際の患者さんのデータを使う方法」の2種類のアプローチがあります。
🧪 コントロール血清を使う
- 目的:機械や試薬そのものが正常に動いているかを監視する
- 該当:X-R管理図法、マルチルール管理図法など
🩸 実際の患者データを使う
- 目的:「検体の取り違え」や「点滴の混入」など、分析前のミスを見抜く
- 該当:項目間チェック法、デルタチェック法など
【全選択肢の正誤理由】
- 1. X-R管理図法(誤り)
コントロール血清を測って、グラフ(図)を書いて日々のばらつきを管理する方法です。 - 2. 累積和管理図法(誤り)
コントロール血清のズレを毎日足し合わせていって、小さな異常を早期発見する方法です。 - 3. 項目間チェック法(正解)
実際の患者データを使います。「ASTとALTのバランス」など、生理的につながりがある項目のつじつまが合っているかをチェックしてミスを見抜きます。 - 4. デルタチェック法(正解)
実際の患者データを使います。「前回の数値」と「今回の数値」を比べて、病気では説明できない急激な変化があったら検体取り違えなどを疑います。 - 5. マルチルール管理図法(誤り)
コントロール血清のデータに複数の統計ルールを当てはめて、機械の異常を判定する方法です。
暗記方法・覚え方のコツ
選択肢の言葉の響きだけで見分ける裏技です。
・「〜管理図法」とつけば、グラフを書いて機械の調子を見る=コントロール血清を使う。
・「〜チェック法」とつけば、おかしな結果が出てないか監視する=患者データを使う。
※唯一の例外である「患者データ移動平均法」だけは名前の通り患者データを使うので注意してください。
さいの補足
コントロール血清による管理は「検査機器が正常か」を保証するものですが、もし病棟で『AさんのスピッツにBさんの血を入れちゃった』り、『点滴をしている腕から血を引いてしまった』場合、機械が正常でも出てくる結果はデタラメになります。
こうしたエラーを防ぐ最後の砦がデルタチェックです。今の検査システムは、前回値との差が大きすぎるとデータ欄が真っ赤になって私たち技師に警告してくれる仕組みになっています。もしくはコメントにて警告してくれます。
第71回 臨床検査総論:午後問題の正誤理由まとめ(問1〜問10)
午後 問1:尿沈渣の円柱(写真問題)
【問題】
尿沈渣無染色標本(別冊No. 1A)とSternheimer染色標本(別冊No. 1B)を別に示す。この構造物はどれか。
- 1. 硝子円柱
- 2. 脂肪円柱
- 3. 赤血球円柱
- 4. ろう様円柱
- 5. フィブリン円柱
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正答:1
【解説】背景に溶け込む透明な円柱
これは、2つの画像から円柱の特徴を読み、鑑別する問題です。
- 画像A(無染色):まるでガラスのように透き通っていて、背景に溶け込みそうです(屈折率が低い)。中に細胞などのツブツブも入っていません。
- 画像B(染色):S染色で薄い青紫色にフワッと染まっています。
この「透明で中に何も入っていない」という特徴は、基本中の基本である硝子(しょうし、ガラス)円柱の典型的な姿です。
【全選択肢の正誤理由と特徴】
- 1. 硝子円柱(正解)
タンパク質(Tamm-Horsfallムコタンパク)だけでできた、プレーンな透明の円柱です。 - 2. 脂肪円柱(誤り)
中に脂肪のツブツブがいっぱい詰まっています(ネフローゼ症候群など)。 - 3. 赤血球円柱(誤り)
中に赤血球が3個以上取り込まれていて、赤っぽく見えます(糸球体腎炎のサイン)。 - 4. ろう様円柱(誤り)
ロウソクの蝋のように光を反射し(屈折率が高い)、輪郭がくっきりしていて亀裂が入っています(重い腎不全のサイン)。 - 5. フィブリン円柱(誤り)
中にフィブリンが含まれていて、モヤモヤと不均一に見えます。
暗記方法・覚え方のコツ
「硝子(ガラス)」という名前の通り、背景が透けて見えにくいのが最大の特徴です。顕微鏡で見るときは、光を絞って暗くしないと透明すぎて見逃してしまいます。
さいの補足
硝子円柱は、健康な人でも激しいスポーツをした後や、夏場に水分不足で脱水気味になった時(尿が濃くなった時)に普通に出ます。
だから数個見えたくらいで「腎臓病だ!」と慌てる必要はありません。でも、赤血球円柱のような「中身が入っている円柱」が見えたら、それは腎臓で出血や炎症が起きている確実なサインなので、異常所見としてすぐ報告します。
午後 問2:漏出液と滲出液の鑑別
【問題】
滲出液と比較して漏出液で高値を示すのはどれか。
- 1. LD
- 2. 蛋白
- 3. 比重
- 4. 細胞数
- 5. グルコース
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正答:5
【解説】サラサラの水漏れか?ドロドロの炎症スープか?
お腹や胸に溜まった水(体腔液)は、その原因によって「漏出液(ろうしゅつえき)」と「滲出液(しんしゅつえき)」に分けられます。この2つの違いは臨床検査の基本中の基本です。
| 項目 | 漏出液(サラサラ) | 滲出液(ドロドロ) |
|---|---|---|
| 原因 | 心不全、肝硬変など | 肺炎、がん、腹膜炎など |
| メカニズム | 血管の圧力が上がって水分だけが漏れる。 | 炎症で血管の壁がスカスカになり、タンパク質や細胞ごと染み出す。 |
| 蛋白・LD・細胞・比重 | 低い・少ない | 高い・多い |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. LD(誤り)
細胞が壊れると出てくる酵素なので、炎症が起きているドロドロの「滲出液」で高くなります。 - 2. 蛋白(誤り)
炎症で血管の隙間が広がり、タンパク質が漏れ出すため「滲出液」で高くなります。 - 3. 比重(誤り)
液体に色んな成分(細胞やタンパク質)が混ざるほど重くなるので、「滲出液」で高くなります。 - 4. 細胞数(誤り)
炎症部位に白血球が集まったり、がん細胞が落ちたりするので「滲出液」で高くなります。 - 5. グルコース(正解)
糖分は分子が小さいので、漏出液でも血管からすり抜けて血液と同じ濃度になります。一方「滲出液」では、そこに集まったバイ菌や白血球が、生きるためのエネルギーとして糖をバクバク食べてしまうため濃度が下がります。なので結果的には、漏出液の方が高値になってしまいます。
暗記方法・重要基準
胸水の鑑別で使われる「Light(ライト)の基準」は絶対暗記です。
以下のうち1つでも当てはまれば「滲出液」と判断されます。
① 胸水蛋白 / 血清蛋白 比 > 0.5
② 胸水LD / 血清LD 比 > 0.6
③ 胸水LD値 > 血清LD正常値上限の 2/3
暗記方法・覚え方のコツ(Lightの基準)
絶妙に中途半端で引っかけられやすい数字は、定番の語呂合わせでサクッと覚えてしまいましょう!
「ライトに、ゴー・ロク・兄さん!」
- ・ライトに = Lightの基準
- ・ゴー = 0.5(胸水蛋白 / 血清蛋白 比 > 0.5)
- ・ロク = 0.6(胸水LD / 血清LD 比 > 0.6)
- ・兄さん = 2/3(胸水LD値 > 血清LD正常値上限の 2/3)
さいの補足
検査室に胸水や腹水が届いた時、私たちはまず肉眼で「見た目(外観)」をチェックします。透明でキレイな淡黄色なら『漏出液(水が漏れただけだな)』、白っぽく濁っていたり血が混じっていたりすれば『滲出液(重い炎症やガンかも)』と、機械にかける前にある程度アタリをつけることができます。グルコースが極端に低い時は、中でバイ菌が糖を食べて増殖している証拠でもあるので、細菌検査がとても重要になってきます。
午後 問3:遺伝形式と代表的疾患
【問題】
X連鎖潜性(劣性)遺伝形式をとる疾患はどれか。
- 1. 血友病A
- 2. 糖原病Ⅰ型
- 3. Marfan症候群
- 4. 遺伝性球状赤血球症
- 5. フェニルケトン尿症
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正答:1
【解説】男性ばかりが発症する遺伝の不思議
※最近、優性→顕性(けんせい)、劣性→潜性(せんせい)と用語が変わりました。国試でも両方書かれる傾向にあります。
「X連鎖潜性遺伝」は、原因遺伝子がX染色体に乗っているせいで、男女の発症率にものすごく偏りが出るのが特徴です。
- 男性(XY):Xを1本しか持っていないので、そこに変異があるとカバーできず必ず発症します。
- 女性(XX):Xを2本持っているので、片方が変異してももう片方でカバーでき、通常は発症しない「保因者(キャリア)」になります。
- 絶対ルール:父親から息子には必ず「Y」が遺伝するので、父親から息子へ遺伝する(男→男)ことは絶対にありません。
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 血友病A(正解)
血液を固める第VIII(8)因子の異常によるもので、X連鎖潜性(劣性)遺伝の代表疾患です。(第IX因子が足りない血友病Bも同じです) - 2. 糖原病Ⅰ型(誤り)
常染色体潜性(劣性)遺伝です。 - 3. Marfan症候群(誤り)
結合組織の異常で、常染色体顕性(優性)遺伝です。 - 4. 遺伝性球状赤血球症(誤り)
赤血球の膜の異常による貧血で、約70〜80%が常染色体顕性(優性)遺伝です。 - 5. フェニルケトン尿症(誤り)
アミノ酸代謝異常症の一つで、常染色体潜性(劣性)遺伝です。
暗記方法・覚え方のコツ
「X連鎖潜性遺伝」の病気は数が限られているので、ゴロ合わせで丸暗記しちゃいましょう!
「血(血友病)に染まったG(G6PD欠損症)の赤緑(赤緑色覚異常)ジストロフィー(筋ジストロフィー)」
この4つさえ覚えておけば大体解けます!
さいの補足
国試では「血友病Aの患者の血液検査データはどれか」という複合問題が出やすくなります。そのとき「第VIII因子は内因系だから、PT(プロトロンビン時間)は正常で、APTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)だけが延長するな」とパッと繋がるようにしておくと良いです👍
午後 問4:寄生虫疾患と特徴的な症状
【問題】
血尿をきたすのはどれか。
- 1. 広東住血線虫
- 2. 東洋毛様線虫
- 3. 日本住血吸虫
- 4. Manson(マンソン)住血吸虫
- 5. Bilharz(ビルハルツ)住血吸虫
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正答:5
【解説】住血吸虫の「住み家」と症状の違い
住血吸虫は、水の中にいる幼虫が人間の皮膚を突き破って侵入し、血流に乗って特定の血管に住み着く寄生虫です。種類によって「最終的に住み着く場所」が違うため、症状や提出される検体が全く変わってきます。
| 項目 | Bilharz住血吸虫 | 日本住血吸虫 | Manson住血吸虫 |
|---|---|---|---|
| 住み家 | 膀胱の静脈 | 小腸の静脈 (門脈系) |
大腸の静脈 (門脈系) |
| 主な症状 | 血尿 | 血便、肝脾腫 | 血便、肝脾腫 |
| 提出検体 | 尿(尿沈渣) | 便 | 便 |
| 卵のトゲ | 頂棘(先端に鋭いトゲ) | 微棘(ほとんど無い) | 側棘(横に大きなトゲ) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 広東住血線虫(誤り)
カタツムリやナメクジから感染する線虫です。脳に迷い込んで激しい頭痛(髄膜脳炎)を起こしますが、血尿は出ません。 - 2. 東洋毛様線虫(誤り)
小腸に寄生して下痢や腹痛を起こす線虫です。 - 3. 日本住血吸虫(誤り)
腸の血管に寄生し、産んだ卵が腸の壁を突き破って便に混ざるため「血便」が主症状になります。 - 4. Manson住血吸虫(誤り)
これも腸の血管に寄生するため、血便や肝脾腫がメインです。 - 5. Bilharz住血吸虫(正解)
膀胱の周りの血管に好んで寄生します。成虫が産んだ卵が、先端の鋭いトゲ(頂棘)で膀胱の壁をブチ破って尿の中に出てくるため、膀胱から出血して「血尿」になります。
暗記方法・覚え方のコツ
虫卵の写真問題対策として「トゲの場所」をセットで覚えましょう。
・ビルハルツ:ビルの先端のように、お尻の真下にトゲ(頂棘)がある。
・マンソン:マンボウのヒレのように、横に大きなトゲ(側棘)がある。
「ビルハルツは膀胱の壁をトゲで破るから血尿!」と痛いイメージを持てば完璧です。
さいの補足
アフリカや中東に多いので、日本でも海外渡航歴のある患者さんの血尿から稀に見つかることがあります。怖いのが、この寄生虫による慢性的な膀胱の炎症を放置すると「膀胱癌」になりやすい点です。普通の膀胱癌は移行上皮癌(尿路上皮癌)が多いんですが、ビルハルツによるものは物理的な刺激が続くため『扁平上皮癌』になる、というのも病理細胞診分野の超重要ポイントです。
午後 問5:衛生動物と関連疾患
【問題】
衛生動物と疾患の組合せで誤っているのはどれか。
- 1. ノミ ── ペスト
- 2. ブユ ── 疥癬
- 3. キチマダニ ── 野兎病
- 4. コロモジラミ ── 回帰熱
- 5. コナヒョウダニ ── アトピー性皮膚炎
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正答:2(誤っている組合せ)
【解説】衛生動物の3つの悪さパターン
虫やダニが人間の病気に関わるとき、「病原体を運んでくる運び屋(媒介)」「自分自身が皮膚に寄生する」「死骸やフンがアレルギーを起こす」という3つのパターンがあります。
| 衛生動物 | 関連する病気 | 悪さのパターン |
|---|---|---|
| ノミ(ネズミノミ) | ペスト、発疹熱 | 病原体の「運び屋」 |
| マダニ類(キチマダニ等) | 野兎病、日本紅斑熱、SFTS | 病原体の「運び屋」 |
| コロモジラミ | 回帰熱、発疹チフス | 病原体の「運び屋」 |
| ヒョウヒダニ類 | アトピー、気管支喘息 | 死骸が「アレルゲン」 |
| ヒゼンダニ | 疥癬(かいせん) | 皮膚に潜る「寄生虫」 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. ノミ ── ペスト(正しい)
ペスト菌を持ったネズミの血を吸ったノミが、人間を刺すことで媒介します。歴史の教科書でも有名ですね。 - 2. ブユ ── 疥癬(誤り:正解)
ブユ(ブヨ)は刺されるとメチャクチャ痒く腫れますが、感染症は媒介しません。疥癬を起こすのは、皮膚の角質にトンネルを掘って住み着く微小な「ヒゼンダニ」です。 - 3. キチマダニ ── 野兎病(正しい)
野兎病は、菌を持った野ウサギの血を吸ったマダニに噛まれることで感染します。 - 4. コロモジラミ ── 回帰熱(正しい)
シラミは回帰熱や発疹チフスを運びます。血を吸う時ではなく、潰したシラミの体液が傷口から入って感染するのが特徴です。 - 5. コナヒョウダニ ── アトピー性皮膚炎(正しい)
家の中にいるチリダニ類は、その死骸やフンが強力なアレルゲンになって喘息などを悪化させます。
暗記方法・覚え方のコツ
シラミとノミが運ぶ病気は、ゴロ合わせでサクッと覚えておきましょう。
・コロモジラミ:「白い衣(コロモジラミ)で、発疹チフスが回帰(回帰熱)する」
・ネズミノミ:「のみ(ノミ)のペース(ペスト)で発進(発疹熱)」
さいの補足
選択肢2のヒゼンダニが起こす「疥癬」は、高齢者施設などで集団感染を起こすことがあり、医療現場でも非常に厄介です。皮膚科からの依頼で、患者さんの皮むけ(落屑)を採取し、苛性カリ(KOH)溶液をポタッと落として角質を溶かしてから顕微鏡を覗き、生きたヒゼンダニや卵を探し出すのが私たち検査技師の仕事になります。
午後 問6:寄生虫の染色法
【問題】
Kinyoun(キニヨン)抗酸染色が用いられるのはどれか。
- 1. マラリア
- 2. トリパノソーマ
- 3. リーシュマニア
- 4. ミクロフィラリア
- 5. クリプトスポリジウム
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正答:5
【解説】便の中で赤く染まる原虫たち
キニヨン染色は、結核菌などで有名な「抗酸菌染色」の仲間で、熱を加えずに染められる便利な方法です。酸やアルコールで色が抜けない強固な殻を持つ微生物を、鮮やかな赤色に染め出します。
| 寄生虫 | 検査材料 | 代表的な染色法 |
|---|---|---|
| クリプトスポリジウム | 糞便 | Kinyoun染色(抗酸染色) |
| マラリア原虫 | 血液 | ギムザ染色 |
| トリパノソーマ | 血液、髄液など | ギムザ染色 |
| リーシュマニア | 組織、骨髄 | ギムザ染色 |
| ミクロフィラリア | 血液 | ギムザ染色 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. マラリア(誤り)
赤血球の中に寄生する血液寄生虫なので、標準的な「ギムザ染色」を使います。 - 2. トリパノソーマ(誤り)
血液や髄液中にいる原虫で、「ギムザ染色」でS字にクネッとした形を染め出します。 - 3. リーシュマニア(誤り)
マクロファージという細胞の中に寄生する原虫で、「ギムザ染色」で観察します。 - 4. ミクロフィラリア(誤り)
血液中にいる幼虫なので「ギムザ染色」で観察します。 - 5. クリプトスポリジウム(正解)
便の中に出てくるオーシスト(カプセル)が強い「抗酸性」を持っています。Kinyoun染色をすると、背景が青緑色に染まる中で、この原虫だけがルビーのように鮮やかな赤色に染まるので一発で見つけられます。
暗記方法・覚え方のコツ
国試で「抗酸染色(赤く染まる原虫)」と聞かれたら、以下の3つ(腸管寄生原虫)しか出題されません。
・クリプトスポリジウム
・サイクロスポラ
・イソスポラ
「血液寄生虫(マラリアなど)は基本的にギムザ染色」と分けて覚えてしまいましょう。
さいの補足
「抗酸性を示すほど強固なカプセルを持っている」ということは、外の過酷な環境にもめちゃくちゃ強いということです。
実際、プールの消毒や水道水で使う塩素濃度では死滅しません。過去に日本でも、水道水を介して数千人規模の集団下痢症を引き起こしたことがあり、公衆衛生上もすごく警戒されている寄生虫です。
午後 問7:検体検査の分類(医療法)
【問題】
臨床検査の一次分類とそれに含まれる二次分類の組合せで正しいのはどれか。
- 1. 生化学的検査 ── 細胞性免疫検査
- 2. 尿・糞便等一般検査 ── 寄生虫検査
- 3. 微生物学的検査 ── 病原体核酸検査
- 4. 病理学的検査 ── 体細胞遺伝子検査
- 5. 免疫学的検査 ── 免疫組織化学検査
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正答:2
【解説】名前が紛らわしい!検査分類のトラップ
平成30年の医療法改正で新しく決まった「検体検査の分類」ルールです。特に「免疫」や「遺伝子」がつく名前は引っかかりやすいので要注意です。
| 大分類(一次) | 小分類(二次)の代表例 |
|---|---|
| 尿・糞便等一般検査 | 尿・糞便等検査、寄生虫検査 |
| 生化学的検査 | 生化学検査、免疫化学検査 |
| 免疫学的検査 | 免疫血液学検査、細胞性免疫検査 |
| 病理学的検査 | 病理組織検査、免疫組織化学検査 |
| 遺伝子関連・染色体検査 | 病原体核酸検査、体細胞遺伝子検査 |
【全選択肢の正誤理由と引っかけ対策】
- 1. 生化学的検査 ── 細胞性免疫検査(誤り)
T細胞などを調べる検査なので、そのまま「免疫学的検査」になります。 - 2. 尿・糞便等一般検査 ── 寄生虫検査(正解)
便の中の虫卵を探したり、尿の中のトリコモナスを探したりするので、一般検査の分類に入ります。 - 3. 微生物学的検査 ── 病原体核酸検査(誤り)
「病原体」という言葉に騙されないでください!対象がウイルスでも、遺伝子(核酸)をPCR等で増やす検査なら「遺伝子関連・染色体検査」になります。 - 4. 病理学的検査 ── 体細胞遺伝子検査(誤り)
がん細胞などの遺伝子変異を調べる検査なので「遺伝子関連・染色体検査」です。病理はあくまで組織や細胞の「形」を見る検査です。 - 5. 免疫学的検査 ── 免疫組織化学検査(誤り)
ここが最大のトラップです!組織スライドを染める検査(免疫染色)なので、「組織」を扱うということで「病理学的検査」に分類されます。
暗記方法・覚え方のコツ
受験生を惑わす「3つの免疫トラップ」を整理して覚えましょう!
① 免疫化学検査 ⇒ 自動分析機で化学的に測るから「生化学的検査」
② 免疫組織化学検査 ⇒ 組織スライドを染めるから「病理学的検査」
③ 細胞性免疫検査 ⇒ 免疫細胞そのものを調べるから「免疫学的検査」
さいの補足
なんでこんな細かい分類を法律で定めているかというと、日本の全ての検査室の「精度」を底上げするためなんです。病院の機能評価や外部精度管理調査(サーベイ)では、この「一次分類ごとに責任者が配置されているか」「標準作業手順書(SOP)はあるか」が厳密にチェックされます。就職してからも書類作成や監査対応でずっと付き合っていく、とても大切な分類ルールです。(ただし、SOP作成だけは本当にク○です笑)
午後 問8:感染経路別予防策
【問題】
疾患と予防策の組合せで適切なのはどれか。
- 1. 疥癬 ── 患者の陰圧個室隔離
- 2. 水痘 ── 医療従事者のN95マスク着用
- 3. 梅毒 ── 医療従事者のフェイスシールド着用
- 4. 肺結核 ── 患者のカーテン隔離
- 5. マイコプラズマ肺炎 ── 医療従事者のワクチン接種
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正答:2
【解説】見えない敵から身を守るためのルール
院内感染を防ぐため、病原体がどうやって移るのか(接触・飛沫・空気)によって、私たち医療従事者の防御手段を変える必要があります。
| 感染経路 | 代表的な病気 | 必要な追加予防策 |
|---|---|---|
| 空気感染 | 水痘、肺結核、麻疹 | 陰圧個室隔離、 N95マスクの着用 |
| 飛沫感染 | インフルエンザ、マイコプラズマ | ベッド間隔の確保、 サージカルマスク着用 |
| 接触感染 | 疥癬、ノロウイルス | 手袋、ガウンの着用 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 疥癬 ── 患者の陰圧個室隔離(誤り)
疥癬は「接触感染」です。手袋やガウンでの防御が基本で、空気を外に漏らさない陰圧個室までは不要です。 - 2. 水痘 ── 医療従事者のN95マスク着用(正解)
水痘(みずぼうそう)は「空気感染」します。微細な粒子になってフワフワ漂うため、普通のマスクはすり抜けてしまいます。95%以上カットできるN95マスクを隙間なくつける必要があります。 - 3. 梅毒 ── 医療従事者のフェイスシールド着用(誤り)
梅毒は「接触感染」です。血が飛び散りそうな処置のときは標準予防策としてシールドをつけますが、梅毒の診療だから常に必須、というわけではありません。 - 4. 肺結核 ── 患者のカーテン隔離(誤り)
肺結核は「空気感染」です。カーテンを閉めただけじゃ隙間から菌が漏れ放題なので、ちゃんと「陰圧個室」に入っていただく必要があります。 - 5. マイコプラズマ肺炎 ── 医療従事者のワクチン接種(誤り)
「飛沫感染」なのでサージカルマスクで防ぎます。そもそもマイコプラズマには有効なワクチンがありません。
暗記方法・覚え方のコツ
国試において「空気感染」する病気は、この3つだけ確実に覚えておけばすべての問題が解けます!
「空気(空気感染)の、結(結核)・末(麻疹=はしか)は、水(水痘=みずぼうそう)」
さいの補足
私たちが結核の患者さんの痰を処理するときなどに使うN95マスクですが、ただ顔に当てるだけじゃダメなんです。自分の顔の形にピッタリ合っているか、息を吸った時にマスクがペコッとへこんで、息を吐いた時に横から空気が漏れないか(シールチェック)を毎回必ず確認します。少しでも隙間があれば、そこから結核菌の飛沫核(5μm以下)が入ってきちゃうので、装着には厳しいルールがあるのです。
午後 問9:染色体分染法
【問題】
染色法と濃染する部位の組合せで正しいのはどれか。
- 1. C分染法 ── ユークロマチン
- 2. G分染法 ── GC塩基
- 3. NOR分染法 ── テロメア
- 4. Q分染法 ── AT塩基
- 5. 姉妹染色体分染法 ── ヘテロクロマチン
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正答:4
【解説】染色体をシマシマに染め分ける技術
分染法(バンディング)は、染色体をただベタ塗りするのではなく、濃淡のシマ模様(バンド)に染め分ける技術です。これで「どこが欠けているか」「何番の染色体か」が一目で分かるようになります。
| 染色法 | 濃く染まる(光る)場所の性質 | 主な目的 |
|---|---|---|
| Q分染法 | AT塩基が豊富なところ | Y染色体の確認など |
| G分染法 | AT塩基が豊富なところ | 染色体検査の主役! |
| R分染法 | GC塩基が豊富なところ | G分染法と白黒が逆転する |
| C分染法 | ヘテロクロマチン | セントロメア付近の確認 |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. C分染法 ── ユークロマチン(誤り)
中心の動原体付近にある「ヘテロクロマチン」を濃く染める方法です。遺伝子が活発なユークロマチンは薄く染まります。 - 2. G分染法 ── GC塩基(誤り)
「AT塩基」が多い領域が黒く染まります。GC塩基が多いところは逆に薄くなります。 - 3. NOR分染法 ── テロメア(誤り)
硝酸銀を使って「仁形成域(NOR)」を黒く染める方法です。端っこのテロメアではありません。 - 4. Q分染法 ── AT塩基(正解)
キナクリンマスタードという蛍光色素を使います。「AT塩基」が多い領域が強く結合して、紫外線でピカッと光ります(染まるパターンはG分染法とほぼ同じです)。 - 5. 姉妹染色体分染法 ── ヘテロクロマチン(誤り)
細胞が分裂する時に起こるDNAの乗り換え(交差)を見る特殊な方法で、ヘテロクロマチンを染める目的ではありません。
暗記方法・覚え方のコツ
分染法のアルファベットは、元になった英単語とリンクさせましょう。
・C分染法 = Centromere(セントロメア)
・Q分染法 = Quinacrine(キナクリン:色素の名前)
・G分染法 = Giemsa(ギムザ染色)
・R分染法 = Reverse(リバース:G分染法と白黒が逆転するから)
さいの補足
実際の病院や検査センターで行われている染色体検査の99%は「G分染法(G-band)」です。
白血病の診断で有名なフィラデルフィア染色体(9番と22番の転座)なども、すべてこのG分染法のシマ模様を見て、私たち技師が(僕未経験です)パソコン上で一本一本パズルのように並べ替えて見つけています。
ちなみに「Q分染法」は、男性の『Y染色体』がひときわ強く光る性質があるので、そこに異常がないか調べたい時に大活躍する少しマニアックな方法です。
午後 問10:標準予防策の対象
【問題】
標準予防策で感染性を考慮しないのはどれか。
- 1. 汗
- 2. 尿
- 3. 髄液
- 4. 精液
- 5. 唾液
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正答:1
【解説】体から出る液体は基本的に全部アウト!
標準予防策(スタンダードプリコーション)は、「患者さんの体から出るものは、すべて病原体を含んでいるかもしれない(感染性がある)」という前提で動く、医療現場の最強の基本ルールです。でも、たった一つだけ例外があります。
| 対象(感染性ありとして扱う) | 唯一の例外(対象外) |
|---|---|
| ・血液 ・体液(髄液、胸水、涙など) ・分泌物(唾液、精液、母乳など) ・排泄物(尿、便など) ・傷のある皮膚、粘膜 |
汗 (※血が混じってなければOK) |
【全選択肢の正誤理由】
- 1. 汗(正解)
汗腺の構造上、血液中のウイルス(HIVや肝炎ウイルスなど)がそのまま汗に漏れ出ることはないため、汗だけは唯一「感染性を考慮しない」対象外とされています。 - 2. 尿(誤り)
「排泄物」なので当然アウトです。手袋をして処理します。 - 3. 髄液(誤り)
「体液」なのでアウトです。 - 4. 精液(誤り)
「分泌物」です。HIVなどの性感染症ウイルスを多く含むため、極めて感染性が高いものとして扱います。 - 5. 唾液(誤り)
これも「分泌物」なのでアウトです。
暗記方法・覚え方のコツ
国試では「これって体液に入るの?」と迷うようなマイナーな液体が引っかけで出ます。
・涙、母乳、鼻水、嘔吐物 ⇒ これらはすべて「体液・分泌物・排泄物」に含まれるので感染性あり(対象)です!
「汗以外は、体から出る液体は全部アウト!」と極端に覚えてしまうのが一番安全ですよ。
さいの補足
夏の暑い日、腕が汗でびっしょりの患者さんを採血することがあります。この時、私たちは必ず手袋(グローブ)をつけますが、それは「汗から感染するのが怖いから」ではありません。採血という行為自体が『必ず血液(=感染性のあるもの)に触れるリスクがある』から、標準予防策の大原則に従って防御しているんです。「汗には感染性がないけれど、いつ血が出るか分からないから常に手袋をする」というのが、医療現場の正しい考え方です
お疲れ様でした!総論の復習はバッチリですか?
全20問、本当にお疲れ様でした!臨床検査総論は範囲が広くて心が折れそうになりますが、ここを乗り越えれば現場に出た時の「基礎体力」が確実についています。
一気に丸暗記しようとせず、今日解説したような「現場でのリアルな使われ方」や「語呂合わせ」を思い出しながら、少しずつ記憶に定着させていってくださいね。
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それでは、次回の記事でまたお会いしましょう!
