過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html
国家試験の過去問解説のまとめページです
第67回臨床検査医学総論AM問11~15
11 一次救命処置に含まれないのはどれか。
- 意識確認
- 気道確保
- 人工呼吸
- 静脈路確保
- AED の使用
解説:BLS(Basic Life Support:一次救命処置)についての問題です。
以下にBLS手順を示します。
静脈路確保は、二次救命処置になります。
★二次救命処置(Advanced Cardiovascular Life Support)
気管挿管などの気道確保と高濃度酸素投与、電気的除細動、静脈路確保と薬物投与を主体とした高度な処置のこと。
答え:4
12 ヒトパピローマウイルスによって引き起こされるのはどれか。
- 乳 癌
- 卵巣癌
- 子宮筋腫
- 子宮頸癌
- 子宮体癌
解説:ヒトパピローマウイルス(HPV)と言えば、「子宮頸がん」です。
その他にも「肛門癌、膣癌」、男性でも「陰茎癌」などを引き起こすことが知られています。
感染しても90%の人は自然治癒すると言われていますが、HPVの特定の型に感染した人が、持続感染をし、癌を発症すると言われています。
その他選択肢を見てみます。
- 乳癌
⇒エストロゲン(卵胞ホルモン)、食生活、ストレスなどが関与 - 卵巣癌
⇒加齢や高齢出産でリスクが上がり、BRCA1またはBRCA2に変異がある場合に卵巣
癌と乳癌を併発することがある「遺伝性乳癌・卵巣癌症候群」 - 子宮筋腫
⇒エストロゲン(卵胞ホルモン)が筋腫の成長に関与 - 子宮体癌
⇒エストロゲン(卵胞ホルモン)の過剰分泌が関与
答え:4
13 間質性肺炎の血清マーカーはどれか。2つ選べ。
- CYFRA
- KL-6
- ProGRP
- SLX
- SP-D
解説:腫瘍マーカーと疾患の組み合わせ問題です。各選択肢を見ていきます。
- CYFRA(サイトケラチン19フラグメント:シフラ)
⇒肺癌の腫瘍マーカーで、扁平上皮癌、腺癌、大細胞癌で陽性になる。 - KL-6(シアリル化糖鎖抗原KL-6)
⇒間質性肺炎で産生される。 - ProGRP
⇒小細胞肺癌で陽性となる。 - SLX(シアリルLex-Ⅰ抗原)
⇒腺癌で陽性となりやすく、肺癌の他に膵癌、肝内胆管癌の腫瘍マーカーとして用いられます。 - SP-D
⇒SP-AとSP-Dは間質性肺炎で産生される。
上記より、間質性肺炎では、KL-6、SP-A、SP-Dが陽性となります。
※間質性肺炎は、間質と呼ばれる肺胞の壁に炎症や損傷が起こり、壁が厚く硬くなるため酸素を取り込みにくくなる病気のことをいう(肺繊維化)
答え:2と5
14 心不全の重症度評価に用いられるのはどれか。
- AST
- BNP
- CK
- LD
- トロポニン
解説:「心不全と心筋梗塞」におけるマーカーの鑑別問題です。
★BNP(脳性ナトリウム利尿ペプチド)
⇒心室肥大、心筋虚血などにより分泌が亢進する。
BNP濃度は心不全、腎不全、高血圧、心肥大、急性心筋梗塞などで上昇し、病態が改善すると正常化する。心不全や腎不全のマーカーとなり、重症度評価や治療効果判定に用いられている。
★心筋梗塞マーカー
- 見張っとく気ある?
- み(ミオグロビン)⇒はっ(白血球)と(トロニンT)くき(CK)あ(AST)る(LDH)?
※H-FABP(心臓由来脂肪酸結合蛋白定量 )も心筋細胞が障害を受けると、速やかに約1 時間から上昇しはじめ、5~10時間後でピークを迎える。
答え:2
15 慢性閉塞性肺疾患(COPD)で増加するのはどれか。
- 残気量
- 肺活量
- 1秒率
- 1秒量
- 肺拡散能
解説:慢性閉塞性肺疾患(COPD)では残気量(RV)の増加、肺活量の低下、1秒率(FEV1/FVC)の低下、1秒量(FEV1)の低下、肺拡散能(DLco)の低下が認められる。
具体的には下図のように「%VCは80%以上、1秒率が70%未満」の場合を
「閉塞性換気障害」という。
答え:1