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【臨床検査技師国家試験】第68回AM臨床免疫学【解説】

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国家試験臨床免疫学AM問79~89です

過去問は厚労省ホームページより引用しております。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics_150873_139_140.html

国家試験の過去問解説のまとめページです

臨床検査技師国家試験解説集 

第68回臨床免疫学AM79~89

79 IgEについて正しいのはどれか。

  1. J鎖を持つ。
  2. 補体を活性化する。
  3. 2つのサブクラスがある。
  4. 分子量は約900,000である。
  5. H鎖の定常部ドメインは4個からなる。

解説:免疫グロブリンの特徴一覧です。

免疫グロブリンまとめ

★IgG

  • 分子量150000
  • 1量体
  • H(Heavy)鎖:γ
  • L(Light)鎖:λ、κ
  • サブクラス:IgG1~4
  • 定常部ドメイン数3
  • 基準値:870~1700 mg/dL
  • 胎盤通過性あり
  • 補体活性化能あり(IgG4のみ無し)
  • オプソニン作用あり
  • 血中半減期が長い
  • 二次免疫応答のメインとなる

★IgA

  • 分子量:1量体は170000、分泌体は320000
  • 1量体、分泌体は2量体
  • 2量体はJ鎖ペプチドをもつ
  • H鎖:α
  • L鎖:λ、κ
  • サブクラスIgA1~2
  • 定常部ドメイン数3
  • 基準値100~400 mg/dL
  • 粘液中に含まれる抗体

★IgM

  • 分子量90000
  • 5量体
  • J鎖ペプチドあり
  • H鎖:μ
  • L鎖:λ、κ
  • サブクラス:無し
  • 定常部ドメイン数:4
  • 基準値:35~250 mg/dL(女性の方が高い)
  • 補体活性化能:最も高い
  • 感染後最も早く出現する抗体
  • 一次免疫応答のメインとなる
  • 血中半減期は短い

★IgE

  • 分子量:200000
  • 1量体
  • H鎖:ε
  • L鎖:λ、κ
  • サブクラス:無し
  • 定常部ドメイン数:4
  • Ⅰ型アレルギーに関与

上記の内容を覚えていれば解けます。IgG、A、M、Eはメジャーなので覚えておきましょう。igDもありますが、ほとんど使うこともないので気にしなくてもいいかと思います。

答え:5

80 補体のC1成分について正しいのはどれか。

  1. 易熱性成分である。
  2. 走化性因子として働く。
  3. 別経路の活性化に関与する。
  4. 活性化にはMg2袷が必要である。
  5. 補体成分の中で血清中の濃度が最も高い。

解説:補体成分についての問題です。補体成分C1~C9などの特徴を知っておかなければ解けません。免疫の問題はこういった暗記が多い所ですね。

★各補体成分の特徴

  • C1:補体反応の起点となる成分(Ca2+)存在下で反応していく
  • C1r、C1s:(Ca2+)存在下でC1qとともに複合体を形成する
    C1sはC2、C4を活性化する
  • C2、C4:(Mg2+)存在下でC4b2a複合体を形成し、C3を活性化する
  • C3:補体の中心成分で最も濃度が高い
  • C3a:アナフィラトキシンのひとつで走化、殺菌能を持つ
  • C3b:オプソニン化で貪食能をもつ
  • C5b、C6~C9:MAC(膜侵襲複合体)を形成し、細胞膜を破壊する(溶菌、溶血作用)

★耐熱性(56℃30分加温)

あり:C3、C4

なし:C1、C2、C5、C8、C9

上記を知っていると、「あ~はいはい」と解くことができますが、知らないと意味不明な内容です。
耐熱性の問題は比較的よく見るのでしっかり把握しておきましょう。

C3、C4以外は易熱性です。

答え:1

81 血清中にMタンパクが認められる疾患はどれか。

  1. 慢性肝炎
  2. Basedow 病
  3. 骨髄異形成症候群
  4. 原発性マクログロブリン血症
  5. 全身性エリテマトーデス(SLE)

解説:血清中にM蛋白が出る疾患は2つあります。覚えておきましょう。

★M蛋白が出現する疾患

  • 多発性骨髄腫(MM)
    ⇒免疫グロブリンがIgG、IgAのとき
  • 原発性マクログロブリン血症
    ⇒免疫グロブリンがIgMのとき
比較的簡単な問題です。BJP(ベンスジョンズ蛋白)も多発性骨髄腫で出現するので覚えておきましょう。

答え:4

82 免疫担当細胞について正しいのはどれか。

  1. 好塩基球は貪食能を持つ。
  2. NK細胞はIFN-γを産生する。
  3. 好中球は遅延型過敏反応に関与する。
  4. Th2細胞は主に細胞性免疫に関与する。
  5. CD4陽性T細胞はMHCクラスⅡを発現する。

解説:設問をただしく直し、まとめます。

  • 好塩基球は貪食能を持つ。
    好中球、マクロファージ、単球が貪食能を持つ
  • NK細胞はIFN-γを産生する。
  • 好中球は遅延型過敏反応に関与する。
    T細胞やマクロファージが遅延型過敏反応に関与する
  • Th2細胞は主に細胞性免疫に関与する。
    ⇒ヘルパーT細胞のうちTh1は細胞性免疫に、Th2は体液性免疫に関与する
  • CD4陽性T細胞はMHCクラスⅡを発現する。
    MHCクラスⅡを発現するのは抗原提示細胞のB細胞・単球・樹状細胞

答えは②になりますが、設問の内容は理解するようにしておきましょう。

答え:2

83 CRP産生に関与するサイトカインはどれか。

  1. IFN-γ
  2. IL-4
  3. IL-6
  4. IL-18
  5. TGF-β

解説:サイトカインについてですが、CRPは炎症反応で出現します。すなわち、下表の炎症性サイトカインが該当します。

IL-6が該当します。サイトカインは覚えるのが大変なので、これも反復して頭に叩き込んでいきましょう。

答え:3

84 臨床的意義のある不規則抗体はどれか。

  1. 抗C
  2. 抗Leb
  3. 抗N
  4. 抗P1
  5. 抗Xga

解説:臨床的意義のある不規則性抗体を一覧にしました。覚えた方が楽かもしれません。

Rh 抗D、抗c、抗C、抗e、抗E
Duffy 抗Fya、抗Fyb
Kidd 抗JKa、抗JKb
Diego 抗Dia、抗Dib
Kell 抗K
MNS 抗M、抗s、抗S
Lewis 抗Lea
JR 抗Jra
Rhの不規則抗体は臨床的意義大なので、それを問うてる問題だと思います。

答え:1

85 交差適合試験(クロスマッチ)の主試験が陽性になる可能性が高いのはどれか。

  1. 患者がA型、提供者がO型
  2. 患者がAB型、提供者がO型
  3. 患者が直接抗グロブリン試験陽性
  4. 提供者が直接抗グロブリン試験陽性
  5. 患者がRhD陽性、提供者がRhD陰性

解説:複雑に考えると難しくなります。「O型赤血球製剤は緊急輸血に使用される」ということを知っていれば、①と②は消え去ります。あとはクロスマッチを考えていきましょう。
クロスマッチでは、製剤(供給者)血球と患者血漿を用いて検査を行います。「直接クームス」では血球と抗体が結合している状態なので、患者血球を用いない③も関係ないので消えます。供給者に直接クームス陽性の場合は患者の血漿と反応をして凝集してしまう可能性が出てきます。従って④が正解となります。
Rh不適合型ではクロスマッチに影響は出ることはありません。(検出することがない)

交差適合試験(クロスマッチ)まとめ

  • 主試験
    受血者血漿中に供血者血球に対する抗体の有無の確認
  • 副試験
    供血者血漿中に受血者血球に対する抗体の有無の確認

※直接クームス(直接抗グロブリン試験)
赤血球が生体内において不完全抗体ですでに感作されているかの確認

答え:4

86 カラム凝集法の反応像別冊No. 17 を別に示す。正しいのはどれか。

  1. A型 RhD陽性
  2. O型RhD陽性
  3. O型RhD陰性
  4. AB型 RhD陰性
  5. AB型 RhD陽性

解説:カラム法の血液型検査です。それぞれの凝集を見ていきましょう。見方は下に示します。

抗A、抗B、抗Dが4+、コントロールは-、A1血球、B血球が-
従ってAB型Rh陽性なのがわかります。亜型や非特異反応など無い基本的な問題なので、ぜひ解けるようにしておきましょう。

答え:5

87 CH50が高値を示す疾患はどれか。

  1. 肝硬変
  2. 悪性腫瘍
  3. 血管神経性浮腫
  4. 全身性エリテマトーデスSLE
  5. 膜性増殖性糸球体腎炎MPGN

解説:CH50(血清補体価)についての問題です。疾患とデータ変動をまとめました。
大変ですが、覚えておきましょう。数の少ない方を覚えておくのも手かもしれません。

★CH50高値

  • 悪性腫瘍
  • 感染症
  • 炎症性疾患
  • 関節リウマチ

★CH50低値

  • 全身性エリテマトーデス
  • 悪性間接リウマチ
  • 慢性肝炎
  • 肝硬変
  • 急性糸球体腎炎
  • 膜性増殖性糸球体腎炎
  • 播種性血管内凝固症候群(DIC)など

答え:2

88 輸血用血液製剤について誤っているのはどれか。

  1. 濃厚血小板は振盪しながら保存する。
  2. 赤血球液の保存温度は2〜6℃である。
  3. 濃厚血小板の有効期限は採血後7日間である。
  4. 新鮮凍結血漿の有効期限は採血後1年間である。
  5. 洗浄赤血球液の有効期限は製造後48時間である。

解説:製剤の保存についてです。設問の誤っている箇所を直してまとめて覚えておきましょう。設問と答えの日数があまり変わらないので難問といえば難問です。

  • ✖濃厚血小板の有効期限は採血後7日間である。
    ⇒採血後4日間です。

④の「新鮮凍結血漿の有効期限は採血後1年間である」は明らかに間違っていそうですが、正しいので要注意です。

僕はこれが間違っていると思いました(笑)

答え:3

89 輸血副反応と原因の組合せで正しいのはどれか。

  1. C型肝炎   輸血用血液製剤中のリンパ球
  2. 血管内溶血   輸血用血液製剤の補体
  3. 輸血後GVHD   不規則抗体
  4. 輸血関連循環過負荷(TACO)  抗内皮細胞抗体
  5. 輸血関連急性肺障害(TRALI)   抗白血球抗体

解説:輸血副反応についてです。

上の表は重要なので覚えておくといいです。⑤のTRALIが正しいです。

他の設問を直してみると

  • C型肝炎   超微量HCV混入製剤(検出感度未満)
  • 血管内溶血   ABO不適合輸血
  • 輸血後GVHD   供血者リンパ球
  • 輸血関連循環過負荷(TACO)  過剰輸血、急速輸血

となります。

答え:5

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